プッシュ通知のメリットとは?効果を上げるために知っておきたいこと

 Post by MML編集部

スマホアプリの機能の中でも、最近特に注目を浴びているプッシュ通知。アプリをダウンロードしたユーザーにさまざまな情報を提供できるこの機能を有効に使って売り上げアップや顧客ロイヤリティ向上に努めた事例も多いそうです。今回はプッシュ通知の事例とともにメリット・デメリットについてまとめました。

プッシュ通知を許可したアプリは起動回数や継続率も高い

アプリマーケティング研究所が「アプリビジネス支援”グロースハック”サービス最前線!」で紹介しているUrban Airshipを利用したユーザーの 5億プッシュの統計からは、次のことが浮き彫りになりました。

まず、アプリを初回起動した時にプッシュ通知が許可される確率は 35~50%と比較的多く、プッシュ通知を嫌悪感なく利用しているユーザーが多いようです。特にニュース系のメディアは 50%にのぼり、ユーザーが必要だと感じているアプリの許諾率は高いことが分かります。

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そして、プッシュ通知を許諾オンしているアプリは、許諾オフしているアプリよりも起動回数が高く、ロイヤリティ向上にもつながっているようです。さらに、プッシュ通知を許諾オンしているアプリの継続率は許諾オフしているアプリより 10%ほど高い傾向にあることも分かりました。

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AppBank Felloの事例によると、事例からみるプッシュ通知の効果を高めるポイントは次の5つだそうです。

  • プッシュ通知は継続的に送ること
  • 緊急性があり、かつ役に立つメッセージを送ること
  • 同じ内容を送り続けてはいけない
  • ユーザーが親近感を覚えるようなものにしてみること
  • ユーザーの行動時間帯に合わせること

毎回同じ内容をプッシュ通知するとアンインストールされることも

いいことづくめのように見えるプッシュ通知ですが、もちろんデメリットもあります。その事例によると、毎日プッシュ通知をしていたアプリがある日を境にプッシュ通知を停止したところ、停止した日からアクセスが減少し、DAUやMAUも減少したそうです。

つまり、プッシュ通知を行う場合は継続的に続けていくことが大切なのです。

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また、同じ内容を送り続けることも逆効果となります。500人のスマホユーザーを対象にした調査では、約 31%のユーザーがプッシュをアンインストールした経験があると回答し、そのうち 37%のユーザーは「プッシュ通知が毎回同じメッセージだから」を理由としてあげたそうです。

配信タイミングと配信内容の吟味が成功のカギ

ここでもう1つエキサイトの事例を紹介します。エキサイトニュースアプリは、アプリのダウンロード数は順調だったものの、アクティブユーザーの再起動率(DAU)があまり伸びておらず、その点が課題でした。

アクセス数の時間別推移を見ると、朝7時と12時にアクセスが上昇していることが分かり、それならば出退社の時間帯やお昼休みにニュースを読まれるのではないかと仮説を立て、その時間帯にプッシュ通知を行いました。

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すると、通知を行った3つの時間帯にアクセスが急上昇し、再起動率も上昇しました。これは頻繁に起動するニュースアプリだからこそ、プッシュ通知の活用が成功につながった事例でしょう。

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また、GrowthPushを用いたSimplogの事例では、ブログの投稿数を向上させるためにブログの新規登録から 1日後、3日後、5日後にプッシュ通知を行いましたが、あまり効果が出ませんでした。

そこで、「ユーザーはいつも投稿するネタを持っているわけではないのではないか?」という仮説から、今度は「人気の投稿を見てみる」「ランキングを見る」といった文言に変更したところ、開封率が向上し、1か月後には 1.19倍の効果が見られたそうです。

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どんな内容が 最もプッシュ通知を開封したくなるのか?

ジャストシステムは、ネットリサーチサービス「Fastask」を利用して、直近1年間にECサイトで買い物をした20~50代の男女1,110名を対象に「ECプロモーション別の消費行動調査」を発表しました。

「あなたは、ECサイトのアプリから届くプッシュ通知のうち、開封したくなるものはどんな内容」なのか質問しました。最も多かったのは「割引クーポンの内容」で56.5%、次いで「セール情報」が51.9%、「ポイント倍増」が48.1%となりました。

プッシュ通知を許諾するユーザーは、スマホ端末にお知らせを送ってもいいよと思っているわけです。そして、それが自分に直結する「割引クーポン」や「セール情報」「ポイント倍増」なら開けたくなります。つまり割引に限らず、ユーザーがメリットを感じるものであれば開封したくなるわけですね。

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プッシュ通知は、初回起動で許諾を出すと効果が下がる

アプリのグロースハックをシェアするイベント「Growth Hack Talks by Repro #2」が開催され、ファンコミュニケーションズの廣瀬 空氏が登壇。「ゲーマグ」におけるプッシュ通知の事例を披露しました。

「プッシュ通知の許諾率は平均40%と言われていますが、これを高めるには2つのポイントがあります。1つは『許諾を出す場所を最適化する』こと。もう1つが『許諾の案内をPDCAで回そう』ということ」であると廣瀬氏は述べました。

許諾を出す場所について、日頃から廣瀬氏は「いろいろなアプリを触っていると、初回起動の直後でプッシュ通知の許諾を出すアプリが多くて、すごくもったいないなと感じている」そうです。「それで、どこで出すべきかというと、『ユーザーが最初にサービスの良さを体験していただいた後に許諾を出すべきだ』と思っている」とのこと。

「ゲーマグ」でもさまざまなタイミングで許諾を出してみて、一番許諾率が高くて、自然だったのは「記事を読んだあとに出す」ことだったということでした。

自分で登録したプッシュ通知はコンバージョンが高い

さらに、「『ぷっ』しゅま ~プッシュ通知ノムコウ」というイベントより、ディー・エヌ・エーの小田切 航平氏がオークション・フリマアプリ「モバオク」におけるプッシュ通知の取り組みについて語りました。

効果が高まるプッシュ通知はどのタイミングなのか調査していたところ、最もコンバージョンが高かったのは「自分で配信登録したプッシュ通知」であったそうです。 そのため「お客様が事前にカレンダーを確認して、自分でリマインダー登録してくださいとアナウンス」したらコンバージョンが上がったそうです。

開封率が85%も増加!絵文字を活用したプッシュ通知

伴走型アプリ開発サービス「ModuleApps2.0」では、通常のプッシュ通知に「絵文字」が反映される機能を公開しました。回転寿司チェーンの「活美登利」では、絵文字を使ったプッシュ通知を活用しています。文字だけの一般的なプッシュ通知と比較すると、カラフルな絵文字が入ったことで、とても目立つお知らせ情報になったと思います。

ではプッシュ通知の文言を絵文字にしたことで、どれくらいの効果が見込めるのでしょうか?App AnnieとLeanplumが実施した「モバイルマーケティングトレンド:絵文字でアプリの♥(と💸)を勝ち取る」レポートによると、2016年現在、絵文字の利用率は前年と比較して163%まで増加しています。

そしてプッシュ通知の開封率を調査したところ、絵文字が入っていないプッシュ通知の開封率は2.44%だったのに対し、絵文字が入ったプッシュ通知の開封率は4.51%と、絵文字がないプッシュ通知より 85%増加したことが分かりました。

さらに、iOSとAndroidによるプッシュ通知の開封率を調査したところ、絵文字が入っていないプッシュ通知の開封率と比較して、iOSは50%増加、Androidは135%増加したことが分かりました。

どちらのOSも絵文字によるエンゲージメントが向上しますが、特にAndroidのほうが効果が高いという結果となりました。

効果は常に試行錯誤の連続

ModuleAppsではこのほか「ロッテリア」や「ニトリ」の公式アプリでキャンペーンのお知らせや季節にちなんだプッシュ通知を配信しており、反応率が高い結果が出ています。また、配信日も平日より、休日もしくは直前の金曜日に配信したほうが来店効果が上がった事例もあります。

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ただし、その店舗へ来店するユーザーの好みや来店頻度によって配信内容や配信タイミングが変わってくるため、そこは企業担当者様と常に話し合いをしながら試行錯誤を繰り返しています。

いかがでしょうか。アプリを公開して運用しても、ユーザーがなかなか起動してくれない時やうまく利用されていない時、プッシュ通知は大きな効果を発揮します。また、プッシュ通知のタイムリーさを活かして、ユーザーに新しい情報をプッシュ通知でお知らせするのも効果的でしょう。プッシュ通知のメリットを理解し、有効に活用してみてください。