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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

4社が語る「プッシュ通知」のグロースハック術。担当者はどこに着目し成功へ至ったのか?

 Post by MML編集部

2016年10月13日、アプリの成長をミッションとする人たちが自社の成功事例や失敗事例をシェアするイベント「Growth Hack Talks by Repro #2」が開催された。今回のテーマは「プッシュ通知」。ファンコミュニケーションズ、リクルートマーケティングパートナーズ、モバイルファクトリー、ダイバースの4社が登壇し、各社の取り組みについて講演した。

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リテンション率の向上はアプリマーケティングの要

イベントの開始に先立ち、主催者であるRepro 代表取締役CEOの平田祐介氏は、アプリ業界におけるアメリカと日本の現状について語られた。

アメリカの伸びているアプリ事業会社では、プッシュ通知やインナップマーケティング(CRM)を行う専任部署があり、Reproの試算では、アプリを立ち上げて1か月後の継続率・リテンション率を3%上げることができると、広告換算では22%削減することと同じ効果があるという。

「広告費22%は結構なコストだから、専任部署を立ち上げて、広告費をかけずにリテンション率を上げていこう」というのは、アメリカでは当たり前な考え方になっているという。

その点、日本ではこのような現状についてあまり知られておらず、結構な規模の会社でもWebのほうを重要視しているので、アプリの専任部署はなかなかできないようだ。平田氏は、「今日の会で勉強していただいて、Growth Hack Talksを役立てていただけたらと思う」と語った。

プッシュ通知を許諾するタイミングを考える

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ファンコミュニケーションズの廣瀬 空氏が登壇し、自社が運営する「ゲーマグ」アプリにおける「プッシュ通知の許諾率の高め方」をテーマに語った。「ゲーマグ」とは、”モンスターストライク” や “パズル&ドラゴン” の攻略法の記事を集める「ニュース系アプリ」のことである。

廣瀬氏は、「プッシュ通知の許諾率は平均40%と言われていますが、これを高めるには2つのポイントがあります。1つは『許諾を出す場所を最適化する』こと。もう1つが『許諾の案内をPDCAで回そう』ということ」であると述べた。

許諾を出す場所について、日頃から廣瀬氏は「いろいろなアプリを触っていると、初回起動の直後でプッシュ通知の許諾を出すアプリが多くて、すごくもったいないなと感じている」という。「それで、どこで出すべきかというと、『ユーザーが最初にサービスの良さを体験していただいた後に許諾を出すべきだ』と思っている」そうだ。

「ゲーマグ」でもさまざまなタイミングで許諾を出してみたが、一番許諾率が高くて自然だったのは「記事を読んだあとに出す」ことだったという。そもそもプッシュ通知とは、ユーザーがサービスの良さを知ってから「お知らせを受け取ってもいいかな」と思うのが自然である。新規ユーザーを定着させる「オンボーディング」フェーズの一環としてプッシュ通知の許諾を考えたほうがいいと思う。

続いて、「許諾の案内をPDCAで回そう」ということで、ゲーマグではデータベースに登録する文言ごとに重みを付けて、自動的にABテストを行うようにしている。その結果、プッシュの許諾率は37~40%だったものが59~66%に増加した。

廣瀬氏は「ニュースアプリの平均的な許諾率は40%くらいなので、60%くらいまで行ったことは結構うまくいった事例だと思う」と語った。

ちなみに人気の文言は、「“あなたに”お届けします」や「“あなたが”プレイしているゲーム」、「※不要な通知は送信しません」といったダイレクトな文言がウケたという。逆に「大好評!!人気記事の通知機能!」や「大好評!!人気記事を通知します!」といった場違いな文言は不人気だったそうだ。

以上のように、プッシュ通知の承諾タイミングを調整し、承諾の案内をPDCAで回すことによって、プッシュ通知を許可する割合が増加するものと考えられる。

運用ポリシーを考え、PDCAを回す

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続いて、「ゼクシイ恋結び」アプリのプッシュ通知施策について、リクルートマーケティングパートナーズの李 希成氏が登壇。「ゼクシイ恋結び」は、あなたの検索条件や「いいね!」から好みを学習して使えば使うほど最適な相手が見つかるマッチングアプリ。

李氏は、「結論から言うとプッシュ通知はやってみるしかないと思う。やってみると思ったときに、それは何でもできるのですが、使っていないアプリからどんどんお知らせが送られてきたら、アプリを削除される可能性があります。そのため、プッシュ通知とは『ユーザーとのコミュニケーションの場』と考え、ユーザーメリットのないプッシュ通知は送らないということで、運用ポリシーを書き、チームで意識合わせをした」という。

運用ポリシーが定まったところで、次は配信時刻、内容、配信数、開封数、開封率などを書き込んでモニタリングを行い、プッシュ通知を改善する方法としてKPIの設定を行った。「再訪」や「アクション」「有料化」「サービス認知」などさまざまな観点があるが、ゼクシイ恋結びでは「再訪」を重視してKPI設定を行ったという。

「再訪」を分解すると、「アクティブユーザーを、よりアクティブにする」ものと「休眠ユーザーを呼び戻す」ものがあるが、ゼクシイ恋結びでは両方とも取っているそうだ。

最後は、プッシュ通知の配信内容を検討していく。プッシュ通知の内容を改善する際、李氏が考えるべき3つの変数は「『誰に』『いつ』『何を』送るか」であるという。

「誰に」というのは、性別や評価など「ユーザーに紐づく情報」と、登録やマッチングなど「ユーザのアクション情報」の2つにセグメントを切って配信しましょうという意味である。例えば、「会員登録〇日以上経過が、いいね獲得数が〇件以下の男性」はエンゲージメントが低いといった観点でユーザーを限定できる。

「いつ」というのは、10月20日19:00といった全ユーザーに共通する「絶対時間」と、会員登録から〇日後という個人に紐づく「相対時間」がある。李氏は、「どちらかというとプッシュ通知は「相対時間」が大事だと思っている。ユーザーがアプリを利用する一連の行動の中で、何日後にどんなプッシュ通知を送るかを考えながら設定するほうが効率的だと思う」という。

「何を」というのは、「並びを変える」「口調を変える」「絵文字を付ける」など条件をそろえて、何度も試してみるしかないそうだ。

まとめると、運用ポリシーを決めた後モニタリングをして、KPIを設定し、配信内容を検討していく。ここまでできると言語化できて、言語化できると自動化できるようになるため、現在は自動化配信設定を行っているそうだ。例えば、「登録初日に送る」とか「マッチングしたら送る」など、このようなことをグロースハックしているという。

どういうアプリを運用しているのかを意識してプッシュ通知を送る

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続いて、モバイルファクトリーの中山 政樹氏から、「ステーションメモリーズ(駅メモ)」アプリによるプッシュ通知施策の取り組みについて語った。

「駅メモ」とは、「でんこ」というキャラクターと共にチェックインして、全国の駅を集めて回る位置情報系ゲームアプリ。駅を集めることでキャラクターが成長していき、バトルもできる。電車に揺られながら日々の生活の中でも遊べるアプリである。

中山氏は、「そもそも自分たちが運用しているアプリなのかを意識して、プッシュ通知を送ることが必要」と語った。例えば駅メモは、駅にチャックインして遊ぶアプリ遊ぶゲームであるから、基本的には電車に揺られながら遊ぶゲーム。旅行も推奨しているため、旅の思い出を邪魔しないよう操作時間はすごく短くしており、基本的に駅でチェックインして終わるアプリである。

プロモーションのほかに運用チームでも、プッシュ通知を実施していくという話となり、さまざまな取り組みを行ったという。例えば、駅メモを利用するユーザーは朝通勤する割合が高いので、毎朝プッシュ通知を配信していたところ、開封率は高まったのだが、休日は劇的に低下したそうだ。

「そもそも開封率が良かったのだから内容は悪くなかった」ため、今度は同じ内容で時間帯やタイミングを変えて配信したところ、次第に開封率は上がったという。「ユーザーが移動したくなるタイミングや、実際移動しているタイミングを狙って配信するといい結果が出た」と、中山氏は述べた。

次にどのような文言だったら開封率が上がるかを考えた。このアプリはパートナーの「でんこ」というキャラクターの可愛さが魅力の一つであると気づき、中山氏は、「事務的な文言を送るよりも、キャラクターに合わせたセリフのほうが絶対に効果がある」と思ったという。

とにかくキャラクターの口調に合わせた文言を大量に作成し、新規インストールしたユーザーに向けて翌日プッシュ通知を送った。すると、明らかに開封率が高いものと低いものが出たという。中山氏は、「調べてみた結果、開封率の高い文言は一番最初に選択できる人気キャラクターの口調だった」という。

まとめると、そもそもどういうアプリを運用しているかを意識し、どのタイミングでどのような文言を送ったら開封率が上がるかを検証する必要がある。

マジックナンバーを発見し、プッシュ通知で促す

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最後にダイバースの徳永 清詩氏より「Poiboy(ポイボーイ)」で効果のあったプッシュ施策について講演した。「Poiboy」とは、女性がお気に入りの男性を見つけて、ポイする(登録する)とコミュニケーションが始まる恋愛応援アプリ。18~24歳の80%が利用しており、開始してから半年で登録者20万人を突破したそうだ。

Poiboyのプッシュ通知施策は、前提に「ログイン促進だけで終わりたくない」というのがあり、実際は「アクションを促すようなプッシュ通知を送りたい」という。徳永氏は、「ユーザーは登録したあと、次のアクションをしてくれるユーザーがなかなかいない。まずは登録したあと、次のステップへ進んでいただくためには、どのようなタイミングでどういった文言を送ればいいかというところに着目して、プッシュ通知を送る施策を練った」そうだ。

今回話すテーマは「マジックナンバーの発見」と「ファネル分析」「プッシュ通知施策」の3段階に分かれている。

「マジックナンバーの発見」とは、これはユーザーのリテンション(継続)が増加するポイントを見つけるということが目的となる。ちなみにマジックナンバーとは、リテンションが増加するきっかけとなるアクションのことである。そのために、ユーザのアクションフローを決定し、アクション別のリテンションを調査して仮説を立ててそのKPIを達成するためにプッシュを打っていくということになる。

Poiboyの場合、「会員登録する」「人を探す」「ポイしてコレクションする」「女性同士で共有する」「メッセージを送る」というフローになる。アクションを考えると、「アプリを起動してグループを見る」「プロフィールからポイする」「メッセージに行く」というのが1つのフローとなる。

そこでマジックナンバーの仮説を立てていく。「グループを見る」と「ポイする」のリテンション回数を調べてみると、「グループを1回見る人」よりも「グループを5回見る人」のほうが、リテンションは4%以上の差があった。さらに「1回ポイする人」よりも「4回ポイする人」のほうが、リテンションは7%の差があった。

「この2つを上げるだけで、1週間後に11%のユーザーが戻ってきてくれる人が増える。これって本当にすごいことで、広告換算費用とプッシュ通知費用を比較したら天と地の差が出ますね」と、徳永氏。あとは、「グループを見る」「ポイする」というアクションを、いかにプッシュ通知で促すかということになる。

続いて「ファネル分析」を使って、アクションナンバーまでのフローを確認できるように環境を整えて、プッシュ通知の送った結果を可視化する。最初が100%でどんどんふるい落とされる感じでフローが推移していき、最終的にはコンバージョン率が表示され、全体が像が分かるようになっている。

最後に「プッシュ通知施策」。「お知らせ文言」や「ディープリンク」「ターゲット」「開封率」などを一覧にして、PDCAを回しながら繰り返し実施していく。徳永氏は、「これらを実施した結果、コンバージョンが平均3%、女性だと平均6%アップしました。最大で8%出た」と効果の高さがうかがえた。


今回、「プッシュ通知」をテーマに4社とも違った視点で取り組みが語られた。参加者から多くの質問が寄せられ、予定の時間をオーバーするなど、白熱したセミナーとなった。