販促や集客、ブランディング戦略を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ゆうこすと元美容部員 和田さん。が語る インフルエンサーを上手に動かしてPR効果を引き出すコツとは?

 Post by MML編集部

インフルエンサーマーケティングとは、各SNSにおいて影響力を持つ方が商品やサービスを紹介してもらい、認知や購買などを促進する手法である。人気インフルエンサーである ゆうこすさんと元美容部員 和田さん。から、インフルエンサーマーケティングで効果を出す方法や、インフルエンサーに求められていることなどを語った。

(画像左から)モテクリエイター ゆうこす / 美容クリエイター 元美容部員 和田さん。

(画像左から)モテクリエイター ゆうこす / 美容クリエイター 元美容部員 和田さん。

2019年10月、日経BPが主催する大型イベント「日経クロストレンド EXPO 2019」が開催された。インフルエンサーのゆうこすさん、美容クリエイター 元美容部員 和田さん。が「ゆうこすと元美容部員 和田さん。が本音で語るインフルエンサーマーケティング」というテーマで対談が行われた。

ゆうこすさんは、2011年、HKT48第1期生オーディションに合格。脱退したあと2016年にインスタグラムを開始。モテるメイクやファッションなどを発信する「モテクリエイター」として活動し、現在では総フォロワー数が150万人を突破。その後会社を立ち上げ、インフルエンサーの育成やスキンケアブランドの経営、企業とのコラボレーションなどを行っている。

元美容部員 和田さん。は、大手化粧品メーカーにて美容部員を6年経験。2018年、YouTube チャンネル「和田さん。チャンネル」を開設。美容部員の経験を活かして、お客様の悩みやニーズを解決できる情報を提供している。現在は C Channelを退社し独立、美容クリエイターとして活動を行なっている。

強いインフルエンサーの条件とは

ゆうこす )最初は「強いインフルエンサー」について議論したいと思います。最近インスタグラムでいいね機能がなくなって、代理店さんから何を基準にインフルエンサーを選んだらいいのか聞かれます。はたして、いいね数が商品の購買と直結しているのかというと、そうでもない気がしていて、どこを見て判断したらいいのかすごく気になるところです。

和田さん。)私が思うのは、信頼度でしかないと思っています。信頼がないと、その人が紹介している情報が商品購入につながらないですし、そこが一番重要なところです。

厳選した情報を届けられる人ってすごく大事だと思っています。今までは拡散できることが強みだったと思うのですが、今はたくさんある情報の中から信頼している人が厳選した情報を受け取りたいというのがニーズになっていると思います。例えばゆうこすさんも、たくさんのPR案件を依頼されると思うのですが、その中でも情報を選んでフォロワーに届けていると思っていて、そういう部分が信頼につながっていると思います。

今のインフルエンサーに求められているもの

ゆうこす )「Z世代」と呼ばれる若者って小学生の頃からスマホを使っているから、インターネット上の人とのつながりを一番分かっている世代だと思っています。なぜかというと、初めて触った SNS は Twitter やインスタグラムなど個人発信のSNSで作っていて、私より上の世代は mixi や Facebook から入っています。

私より上の世代は、個人発信を作っていないので、受信の中でつながるという経験がないのです。つまり「○○好き集まれ」などを経験したことがないので、人とつながる場合はプロフィールを作り込んで、相手に投げて初めて人とつながれるので、とても手間がかかることだし、リスクの高いことですよね。

ある意味、今インフルエンサーに求められているのは、「○○好き集まれ」という mixi のスレッドを立てているような状況で、そこに情報の一貫性があるとフォロワーも安心感を持ってくれます。皆さんって横目をすごく気にされていて、何かのコミュニティに属したり、誰かを応援したりすることで、「こういうファン層がいるから、私と同じような人達だから、これを買っても変じゃないかな」ということですよね。

強いインフルエンサーというのは情報の一貫性があって、ファンのことやフォロワーのことを理解して発信していることだと思います。例えばインスタグラム写真の撮り方の一貫性とか、情報発信の一貫性とか、その人をタグ付けしている人の一覧とか、そういうところから理解できます。

よく代理店さんから、データを頂いてもいいですか、データを見たあとで判断してもいいですかと言われるのですが、もちろんデータもそうなのですが、自分の特性を理解しているインフルエンサーは強いなと思います。

和田さん。)私のファン層はゆうこすさんと若干近いと思いますが、年齢層もジャンルも違うと思います。私の場合は、おしゃれは好きだけど、最近始めた、分からないという女性がメインですし、ゆうこすさんは 「モテたい」というジャンルのファン層が多いので、細分化されています。

ゆうこす )細かいファン層を理解できていないとうまく行かないですよね。いかに発信者が自分を分析できているかというのは、責任にもつながってきますよね。

コアなファン作りの方法

ゆうこす )コアなファン作りってどうされていますか?

和田さん。)私もいろいろなインフルエンサーと交流していますが、どうやってコアなファンを作っていらっしゃるのかなと考えた時、それはコミュニケーション活動かなと思っています。皆さんが知らないようなニッチな情報をジャンルに合わせて、一貫して情報を伝えるというのは大前提のこと、お客様から頂いた質問、コメント、DM をマメに回答していくことが重要だと思っています。

やはり結局は人間と人間なので、信頼関係が必要ですよね。だからコアなファンを作っていらっしゃるインフルエンサーはコメント欄がすごい数になっていて、よく見ると全て返信されていることもあるので、地味でとても大変な作業ですよね。

ゆうこす )最近 SNS でもライブ配信機能が入りました。ライブ機能はコミュニケーションがインタラクティブなので、インフルエンサーもリアルタイムでコメント返しをしていて、そういうところもチェックしてみるといいと思います。

インフルエンサーを動かすコツ

ゆうこす )次のテーマは「インフルエンサーマーケティングで効果を出すコツ」について議論したいと思います。テーマが漠然となってしまいますが、クライアントさんの狙いとして、認知させたいのか、購買させたいのかによって、テキストで行くのか、動画なのか、ライブ配信なのか と配信方法も変わってきます。和田さん。はどういう案件が多いですか?

和田さん。)基本的に案件をお受けする時は、直接クライアントさんとお話したいというのが大前提にあります。それはあくまで、こういうふうに打ち出してくださいというのを聞くのではなくて、その商品が作られたストーリーを聞きたいと思っています。

プラットフォームを使ってお客様に情報発信するからこそ、それに見合った表現をしたほうが一番刺さると思っています。そういうことなので、その商品ができあがったストーリーを聞いて、さらにゴールはどうしたいのか、その2点を最も重要視して打ち合わせしています。

クライアントさんって商品を作った想いがとても強いですよね。成分の話をいただくこともあるのですが、それを私が話してしまうと逆効果になるケースもあって、クライアントさんの力になれないこともあります。そこは内容を精査して、中立的な立場で言えることが効果を引き出すことにつなげる重要ポイントですね

ゆうこす )自分のフォロワーが分かっていて、自分のキャラや立ち位置が分かっていて、きちんとブランドや製品の話を聞きたいと思っていることって強いインフルエンサーだなと思っています。代理店の中には投稿用のテンプレートシートを頂くこともあるのですが、それを使うと自然な投稿になりえないですよね。

そういうことでお互い意識しないといけないことだと思っていて、クライアントさんの方にはインフルエンサーのことを「オタク化」させてほしいんですよ。もちろん私も絶対に打ち合わせさせてほしいと思っていて、本当にインフルエンサーがオタク化したら写真を大量に撮っちゃうし、テンプレートに書かれた言い回しではなくて、私達がいつも使っている言葉じりや言い回しを使います。そういうことで一度打ち合わせさせてもらって、いろいろと質問させてほしいと思っています。

インフルエンサーを使った配信方法について

ゆうこす )あとは、リーチを取るために同じ層のインフルエンサーをたくさん起用して、同じ日、同じ時間に、同じ内容を一斉に配信しているのを見かけます。それって同じような内容が書かれているから盛り上がっているように見えるのですが、逆に怪しく見えてしまいます。もしやるのであれば例えば全く違う切り口の発信を見たいと思うので、全体的なバランスを見て発信してくれたらと思います。

和田さん。)まさにその通りだと思います。インフルエンサーもいかにリアルな出来事を投稿すると思います。あとは、長期間でブランディングしていくというのは、私は大切だなと思っていて、ストーリーで垣間見せていくことってすごくリアルじゃないですか。私だったらそういう投稿を見たくなります。この人毎日投稿しているな、というのはあると思います。

PR案件の成功例について

ゆうこす )最近依頼されたPR案件で、これは良かったというのはありますか?

和田さん。)最近化粧品のPR案件をさせていただいたのですが、そのブランドは「憧れ」「好き」「何でもいいから関わりたい」という思いがありました。そのブランドの担当者さんから、全部おまかせしますので好きにしてくださいということで、お手伝いさせていただきました。

担当者のお悩みは、ブランドの敷居が高いと思われてしまって、あまり百貨店に足を運んでくれないという課題がありました。それを受けて、YouTubeとインスタライブで、私と美容部員さんが気楽に話している模様を流し、いろいろなことを聞いても丁寧に答えてくださる美容部員の凄さを配信したいと伝えたところ、全てOKしてくださって、素直に楽しいPRだったなと思いました。

ゆうこす )私もライブ配信することが多くなっていて、ライブ配信だと言いづらいということがあって、しかも24時間で消えてしまいます。ライブ配信が30分もあると見ない人もいるので、定期投稿やYouTubeを並行してライブ配信を組み合わせて使ったほうが優れていると思っているし、その方法でお願いすることもあります。

それでもライブ配信にコアなファンがいて、見ている人達がインタラクティブになれるような感覚があるそうです。私も好きなブランドがあるのですが、そのブランドを普通に投稿して、店舗に行ったあとインスタライブで、こんな感じで体験できるんだよと配信しています。

難しいPR案件とは

ゆうこす )逆にこのPR案件は難しかったな、というのはありますか?

和田さん。)先程おっしゃっていたように、会社としてこういうふうにPRしたいんですとコピペが届いて、考えがぶれないクライアントさんだと難しいですね。フォロワーから見て嘘っぽい内容だなと思われるから変えたいという意見を受け入れてもらえなくて、それで投稿しても全くフォロワーに響かなかったというのは今まであるので、逆にそういうのはお断りさせていただいています。

ゆうこす )やはりインフルエンサーといっても、年齢層もジャンルも違うので、そこを同じスタイルでPR依頼をすると失敗してしまいます。インフルエンサー1人ひとりの年齢層やジャンル、配信スタイルに合わせたものにしてほしいと思います。それから会社って組織だから、上司から言われて後から出してくることもあるのですが、こちらもファンの状況とか、シーズンとか、ターゲットとか総合的に考えて提示しているので、後出しは難しいですね。

社内インフルエンサーについて

ゆうこす )次のテーマは「社内にインフルエンサーは必要か」について議論したいと思います。和田さん。は、C Channel に所属していましたが、最近「中の人」が増えてきていますよね。ちなみに、なぜインフルエンサーになろうと思ったのですか?

和田さん。)C Channel は映像制作会社なのですが、私はそこの社員としてコスメ動画の企画を担当していました。その後たまたま YouTube 事業部が誕生して、私もお手伝いとして参加したのがきっかけなのですが、それがなければ今の私はなかったです。C Channel 自体ももっと発信していけば会社の成長に繋がりますし、私はこれから必要なのではないかと思います。

ゆうこす )私も基本、社内インフルエンサーは賛成派です。インフルエンサーって基本、マネタイズがPR案件になってくるんですね。つまり安定がないので、自分のやりたいことがどんどんずれていって、ユーチューバーで言うと、どんどん過激になっていくのが問題だと思っています。だからインフルエンサー活動が安定するとやりたいことができるし、収入も入ってくるので、私は良いと思います。

あと社内インフルエンサーは、自社ブランドのことをよく把握していますよね。だからフォロワーにとって有益な情報をたくさん発信できる利点があります。ニッチでお客様がタメになる情報をポップに発信すると、それを読んだフォロワーはみんなに知ってほしいからリツイートしたくなるんですね。そういう情報を発信できるのは社員さんしかいないと思っています。

和田さん。)私がデビューする前は、動画を撮る方法も知らない、発信する方法も知らない、お客様にどういうニーズがあるのか知らない状態でした。YouTube 事業部でお手伝いする中から、動画の撮り方やクライアントのニーズが聞ける環境にいたからこそ、今の私が生まれたのだと思っています。社内で発信していくというのは、会社や自分にとっても重要なことだと思います。

会社と社員が Win-Win になれる関係作りを

ゆうこす )両者にメリットはあると思うのですが、一方でSNSを続けるのって、とても大変なんですよ。24時間365日、自らがカスタマーサポートセンターになっている状況が続くので、精神的な負担もあると思います。だけど一般的な事務作業と、SNSをやることを比較すると、SNS のほうが気楽そうに見えますよね。

SNS をやっている人は肩身の狭い思いをしているという話をよく聞くので、社内で SNS をやるのであれば会社の人達がきちんと守ってあげてほしいです。あと SNS をやることは仕事で、片手間にやることではないです。そのため SNS をやる時間を仕事として取って上げる必要があります。

それと、フォロワーが増えていくと Win-Win の関係性になりえない可能性があって、「それなら1人で SNS やったほういいや」となって、会社の SNS を辞めてしまうケースを聞きます。そのため、フォロワーが増えるほど、お互い Win-Win になれるよう会社もサポートするというのが大事です。

和田さん。)私もとにかく辛くて大変だった時、周りがわがままだと感じたとしても自分の意志を貫き通した時、それでも守ってくれる環境がありました。私の周りのインフルエンサーも会社と揉めてしまったという話を聞くので、そこはおっしゃる通りですね。

ゆうこす )最後にいろいろと語らせていただきました。最近いいね数がなくなって見づらくなったと思いますが、自分のファン層を理解してニッチな情報を発信しているインフルエンサーは強いし、こちらから積極的にクライアントとコミュニケーションを取るインフルエンサーはエンゲージも高く効果を発揮できるので、できれば綿密な打ち合わせができればと期待しています。