O2Oアプリで新たなユーザー体験を提供する!日本コカ・コーラが実施したプロモーションやダウンロード事例を語る

 Post by MML編集部
本記事は、2月22日に開催されたApp Annieが主催するイベントDECODE「スマホファースト時代の最新アプリマーケティングセミナー」より、日本コカ・コーラの平尾 卓也氏の講演「新プラットフォーム『Coke ON』が拓く、日本コカ・コーラのデジタルマーケティング3.0戦略」の模様をお届けする。
日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 IMC iMarketing シニアマネジャー 平尾 卓也氏

日本コカ・コーラのデジタルマーケティング戦略

日本コカ・コーラでは、これまでさまざまなデジタルマーケティング戦略を実施してきた、2007年は、オウンドメディアが主流の時代で、当時「コカ・コーラパーク」というオウンドメディアをスタートした。次にソーシャル・メディアの波がやってきて、2012年からはFacebookやTwitter、LINEなどソーシャルメディアの運営を開始した。 これら「デジタルマーケティング1.0」「デジタルマーケティング2.0」と実施していくなかで、それを取り巻く環境も変わっていった。生活者はスマートフォンからアプリを利用する時代が到来し、コカ・コーラパークのユニークユーザー数が減少し始めた。 また、お客様はコンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアなどで飲み物を購入するケースが増え、自動販売機で飲み物を購入する割合が緩やかに減少している。会社として、自動販売機チャネルの立て直しが大きな課題となっていた。 「当然、生活者も変わってきますし、我々のビジネスも変わっていくなかで、デジタルマーケティングの施策も進化していかなくてはならないと考えていました」と平尾氏は語る。 そんななか、オフィス内の自動販売機でカード型のロイヤリティプログラムを限定的に実施したところ、7%の売上アップを実現したという。「下がり続ける自動販売機ビジネスを食い止める策として、ポイントプログラムはすごく有効だと確信しました」と、「Coke ON」につながるデジタルマーケティング3.0のきっかけについて説明した。

お客様のスマホと自販機をつなぐ「Coke ON」

「Coke ON」とは、日本コカ・コーラが提供する自動販売機とアプリを連動させたアプリ。コンセプトについて平尾氏は「我々は飲料ビジネスですから、消費者ののどを潤すだけではなく、『買う』『飲む』『楽しむ』のそれぞれの瞬間において、「Coke ON」を選択することで、より楽しくお得な毎日を送っていただくことを目指しています」と説明した。 「買う瞬間」については、アプリを使って15本購入すると、1本無料でプレゼントするという「ポイントプログラム」を実施している。当然ながらアプリのダウンロード数が増加するとともに、それに対応した自動販売機も増やしていく必要がある。日本中に約98万台のコカ・コーラ自動販売機が設置してあるが、そのうち首都圏を中心に、15万台が「Coke ON」に対応した自動販売機を導入している。 「98万台のうち15万台というとすごく少ないと思われますが、例えば、全国のコンビニ 55,000店舗、大手ファーストフード店 3,000店舗を比較するとすごく大きな数字で、デジタルで繋がった店舗が15万と考えていくと、非常に大きな第一歩なのかなと思います」と説明した。 続いて「飲む瞬間」については、「Coke ON」アプリからサンプリングを行っている。「サンプリングというのは昔からある手法なのですが、一般的にどうやって配るのかというのは非常に問題でした。例えば、チケットをコンビニで引き換えるサンプリングの場合、何か月も前からコンビニと交渉を行うので、時間やコストが非常にかかります。「Coke ON」の場合、即時でチケットを配布し、対応自販機で引き換えていただくだけでサンプリングが実行できる、非常に画期的な手法だと思っています」と「Coke ON」で実施するサンプリングのメリットを語った。 ワールドワイドパートナーとして世界的に大規模なキャンペーンを展開したリオ五輪では、「コカ・コーラ」ブランドをアピールするプログラムを実施。日本人選手が金メダルを獲得すると、「コカ・コーラ」ブランド製品のドリンクチケットをプレゼントする「ゴールドメダル サンプリング」を行った。具体的には、「Coke ON」と「コカ・コーラ」公式Twitterを連動させて、金メダルを獲得した瞬間、リツイートされた数だけ製品が当たるキャンペーンを実施、夏の期間中に約20万本のサンプリングを行った。 続いて、気温やエリアを限定したサンプリングを実施した。これは35度を超えたエリア限定で、「アクエリアス」をプレゼントするというもの。「製品ブランドが持つ特性が非常にマッチした施策でしたので、こういった施策を実施することで、単にサンプリングだけではなく製品便益も伝えることができると思います」と説明した。 さらに、試験的な取り組みとして、購買データを活用したターゲット広告を配信し、それを見て「Coke ON」をダウンロードされたお客様には、属性にマッチした製品をプレゼントするサンプリングを行った。 また、特定の製品を購入すると、プレミアムコンテンツが楽しめる新しい飲用体験の施策も行っている。「2015年はきゃりーぱみゅぱみゅさんと一緒にCMを作りましたが、特別にライブ映像を使わせていただくことができましたので、それを「Coke ON」で「コカ・コーラ」を買っていただいた方にプレミアムコンテンツとして提供しました」と説明した。 最後に「楽しむ瞬間」としては、現在はまだ実施できていないものとして、イベントを実施する際にGPSやスタンプ機能を活用して、新たなイベント体験を提供する予定だ。また、「Coke ON」に厳選したプレイリストを提供する「Coke ON ミュージック」というサービスを2016年11月より展開している。このサービスでは、Spotifyと連携してコカ・コーラ社製品のイメージに合ったプレイリストを提供している。

アプリダウンロード数獲得のためテレビCMを放映

「Coke ON」アプリの提供が開始されたのが2016年4月8日 。「2016年12月末までにダウンロード数を200万件達成すると目標設定したのですが、11月末時点でダウンロード数は129万件で、70万件不足していました。1か月で70万件獲得するのは難しいのではないかと思いました」と当時を振り返る。 そして「『Coke ON』の認知率は当時3%と非常に低い状態だったこともあり、これはマス広告を上手く活用して 、認知率を上げていこう、ということでキャンペーンを作りました」と語る。 2016年の年末、山田孝之氏を起用した「ジョージア」ブランドのテレビCMを作成して放映した。ただ、「テレビCMを流せばアプリのダウンロード数が急上昇わけではなく、テレビCMで認知率を上げつつ、そこにデジタルメディアを組み合わせることで、ダウンロードを効率的に獲得するプランを実施することにしました」という。 「『コカ・コーラ』はブランドキャンペーンに関してはすごく経験があると自負しているのですが、アプリをグロースさせていくことについては初心者なので、いろいろな方々に意見を聞き回りました」 そのなかで、アプリダウンロード数を獲得するテレビCMのクリエイティブで必ず抑えなければいけないポイントがあると平尾氏は語る。「当たり前のことかもしれませんが、1つは『必ずアプリの活用シーンを入れること』そして『アプリの画面が出ていること』最後に『スマートフォンの画面とともにApp Store、Google Playのバッジとともに検索窓を入れること』」であるという。

効果を発揮した動画広告

デジタルメディアにおいては、動画広告を展開した。「Coke ON」にまつわる要素を入れて40種類以上のクリエイティブを作成し、メディアごとにテストを実施したという。 「全ての企業に当てはまるのか分からないが、我々が学んだことを紹介すると、Facebookではタテ型の長尺動画のパフォーマンスが良いと分かりました。一方、YouTubeでは、バンパー広告(6秒広告)のパフォーマンスが良く、ダウンロードの獲得につながりました」と説明した。 動画広告のパフォーマンス結果としては、YouTube、ADNW(アドネットワーク)、GoogleのメディアがダウンロードボリュームやCPIが良かったという結果となった。 そして「お客様がテレビCMを見てApp StoreやGoogle Playを開いたとき、「Coke ON」が総合ランキングで1位になっていることはすごく重要だなと感じました。ですので、この順位を下げない努力というのは、キャンペーンの中ですごく大切だと感じました」と語る。 「これらの結果、12月31日でダウンロード数は285万件を達成しました。この1か月間でダウンロード数は160万件増加し、現在では300万件を超えて順調に伸ばしている」という。 2016年の振り返りとして、対象自動販売機の売上増加については3.5%の売上増加を目標にしていたが、結果3.7%の売上増を達成した。また「Coke ON」のダウンロード数についても200万件を目標にしていたが、285万件を達成した。「Coke ON」の認知率は、CM開始以前で3%だったものが、TVCMの結果、14.4%の認知率を達成した。「これは『ジョージア』と山田孝之さんのおかげかなと思っています」と当時を振り返った。 今までのデジタルマーケティング戦略は、作ったコンテンツを体験していただくコミュニケーションだった。「Coke ON」が登場して、デジタルとリアルが融合したサービスを通して、お客様に新たなユーザー体験を提供する、これがデジタルマーケティング3.0であると説明し、セミナーが終了した。