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リテールメディアの始め方|広告主・小売事業者別の5つのステップ

 Post by MML編集部

リテールメディアは、広告主と小売のどちらにとっても大きなチャンスになり得る新しいマーケティングの手法です。

しかし、いざ取り組もうにも、「具体的な始め方が分からない」「何を準備すればいいのか……」と、最初の一歩でつまずいてしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、リテールメディアを始めるにあたり、広告主と小売それぞれの立場で押さえるべき具体的なステップを5段階に分けて解説します。準備から実践まで、迷わずスムーズに進められるよう、ポイントをわかりやすく紹介していきます。

※リテールメディアの全体像やメリットなどについてを先に知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
💡関連記事:リテールメディアとは?メリットや成功事例をわかりやすく解説

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始める前に決めるべき、それぞれの戦略

リテールメディアは、「媒体主」である小売事業者と、「広告主」であるメーカー・ブランドの双方にとってメリットがありますが、成功のためにはそれぞれの立場で戦略の出発点を明確にする必要があります。

【リテール事業者向け】収益を生むための3つのポイント

①目的(What):メディア化で何を得たいのか?

主目的は「広告収益」ですが、それ以外にも得られる価値を明確にしておくと導入がスムーズになります。

広告収益の確立: 新たな収益の柱として、広告事業を立ち上げる。
販促効果の向上: メーカー協賛のキャンペーンなどを誘致し、自社の販促コストを抑えつつ売上を向上させる。
データ活用の深化: 広告配信を通じて得られるデータを、品揃えやマーケティング施策に活用する。

もちろん収益の部分が最も大きいのですが、こういったことも明確にしておくと社内の合意形成がスムーズになります。

②媒体(Where):どの「接点」をメディア化するのか?

自社が持つどの顧客接点を「広告媒体」として活用できるか、資産の棚卸しをします。すでにある資産を最大限に活用することが、スピーディな立ち上げにつながります。

  • 自社アプリ: トップバナー、クーポン画面、プッシュ通知など
  • ECサイト: トップページ、商品ページ、検索結果など
  • 店頭(インストア): デジタルサイネージ、レジ横モニター、タブレットなど

こうした接点を一つひとつ見直し、「どこが広告メディアになり得るのか」を棚卸しすることが、リテールメディアの導入に向けた大切なステップです。

また、アプリの場合は弊社が提供するリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」にてSDKを導入いただくだけで、手間をかけずに広告配信が可能になります。

③指標(How):メディアとしての成功をどう測るのか?

メディア事業としての成功を測るためのKPIを設定します。

広告売上・収益額: 事業としての直接的な成果。
広告枠の販売率・稼働率: メディアとしての価値が市場に受け入れられているかの指標。
MAU(月間アクティブユーザー数): メディアとしてのリーチ力を示す、広告主へのアピールポイント。

【広告主向け】「広告出稿者」としての3つの戦略基盤

小売の顧客接点を活用し、自社商品の売上を最大化するために決めておくべき3つのポイントです。

①目的(What):リテールメディアで何を解決したいのか?

従来の広告・販促施策の課題と紐づけて、リテールメディアで達成したいゴールを具体化します。

  • 売上向上: POSデータと連携し、キャンペーンによる売上リフトアップを目指す。
  • 新規顧客の獲得: 競合商品を購入している層など、これまでリーチできなかった顧客層へアプローチする。
  • リピート購買促進: 小売の購買データを活用し、適切なタイミングで再購入を促す広告を配信する。

②媒体(Where):どの小売の、どの「広告枠」に出稿するのか?

目的を達成するために、最も効果的な媒体(小売)を選定します。

  • ターゲット顧客との親和性: 自社商品のターゲット層が多く利用する小売(ドラッグストア、スーパーなど)を選ぶ。
  • 出稿できる広告フォーマット: バナー、動画、プッシュ通知など、目的に合った手法が提供されているか。
  • リーチできる店舗網・エリア: キャンペーン対象エリアをカバーしているか。

また、「ARUTANA」のようなリテールメディアプラットフォームを活用すれば、個別の小売アプリごとに出稿先を探す手間なく、複数の公式アプリに横断で広告配信することも可能です具体的な事例も多くありますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。

③指標(How):出稿の成果をどう測るのか?

投下した広告費に対して、どれだけのリターンがあったかを測るための指標を設定します。

  • ROAS(広告費用対効果): 施策期間中の売上リフト額 ÷ 広告費。
  • 売上リフトアップ率: 施策実施前後、または広告接触・非接触層での売上比較。
  • クーポン利用率・CTR: ユーザーの反応を測る中間指標。

ちなみにリテールメディアの効果は、広告クリックだけではなく、来店促進、店内での衝動買い、ブランド認知度向上など多方面に及ぶことで、状況によってはROIを評価しづらいといった声もあります。

施策によってはROIが定量化しづらい部分に大きな付加価値が潜んでいる可能性もあることから、「売上以外の指標」(例:ロイヤル顧客の増加、SNSでのバズ、店舗スタッフのエンゲージメントなど)を取り入れて総合的に成果を評価する仕組みづくりが求められています。

リテールメディアの始め方をそれぞれの立場から解説

【リテール事業者向け】リテールメディアの始め方 5ステップ

アプリを運営していて、ダウンロード数はある程度伸びた。でも、その先に何をすればいいのか分からない。広告収益化までは手が回っていない。そういったお声をよくうかがいます。

ここでは、小売企業が自社アプリで広告収益を得るために、準備すべきポイントと流れを5つのステップでご紹介します。

STEP1:アプリや店頭の「広告枠」を整理する

はじめに確認すべきなのは、自社アプリの中に「広告を載せられそうな場所」がどれくらいあるかです。アプリのトップ画面にあるバナー、カテゴリーページの途中に表示されるコンテンツ枠、商品レコメンドの欄、クーポン一覧、そしてプッシュ通知など。これらはすべて、広告主にとって魅力的な情報掲載面になります。

すでに存在しているこうした画面要素が、そのまま広告枠として使えるケースも少なくありません。どこに、どんな情報が表示できるかを一度整理してみることが、収益化への第一歩です。

弊社はアプリ開発においてもウエルシア様やツルハ様など、多くの大手リテールアプリの開発実績がございますので、アプリのリニューアルなどについてもお気軽にお問い合わせください。

STEP2:メディアとしての価値指標(MAUなど)を把握する

DL数だけでなく、メディアとしての価値を示す指標を把握します。特に重要なのがMAU(月間アクティブユーザー数)です。

広告主は「月に何人にリーチできるのか」を重視するため、自社アプリのMAUを正確に把握することが収益試算の第一歩となります。

STEP3:広告配信の仕組み(SDKなど)を導入する

広告配信を始めるには、大規模なシステム改修が必要だと思われるケースもありますが、実際にはそこまでではありません。

基本的には広告配信サーバーや管理画面といったシステムを導入します。自社開発はコストと時間がかかるため、ARUTANAのようなSDK(ソフトウェア開発キット)を提供している外部パートナーを活用するのが現実的です。

SDKとは、必要な機能を簡単に追加できるパーツのようなもので、導入も大きな手間がかかるものではありません。すでにアプリをお持ちであれば、その延長で広告配信をスタートできるため、初期のハードルは想像以上に低いと言えるでしょう。

STEP4:MAUや出稿単価から収益のイメージを持つ

収益化の可能性を考える際に、シンプルな試算をしてみるのがおすすめです。たとえば、月に10万人のアクティブユーザーがいるアプリがあったとして、1ユーザーあたり30円の広告価値がつけば、それだけで月間300万円の収益になります。

実際にARUTANAを活用している小売企業の中には、月数百万円以上の純広告収益を得ている事例もあります。大規模なチェーンでなくても、一定のユーザー数が継続的に利用していれば、十分に収益を見込める可能性があります。

まずは自社のMAUに想定単価を掛けて、イメージをつかんでみましょう。

STEP5:広告枠の設計やアプリ改修を検討する

より多くの広告収益を得るために、ユーザー体験を損なわない範囲で、新たな広告枠の設計やアプリ自体のリニューアルを検討します。

ただしアプリの設計によっては、広告を設置できる場所が限られていたり、ユーザーの使い勝手を損ねる懸念がある場合もあります。広告収益化とUX向上の両方に知見のある開発パートナーに相談するのも有効な手段です。

広告収益化とUX向上の両方に知見のある開発パートナーに相談するのも有効な手段です。

【広告主向け】リテールメディアの始め方 5ステップ

「リテールメディアに取り組みたいけれど、何から始めればいいのか分からない」

そう感じているメーカーやブランドの担当者は少なくありません。

リテールメディアは、実際の売場に近い場所でのコミュニケーション手段であり、デジタル広告の新たな活用方法でもあります。その特性上、広告部門だけでなく、販促や営業部門とも連携しながら進めることが欠かせません。

ここでは、リテールメディアを導入するにあたって、広告主側が押さえておくべきステップを5つに分けてご紹介します。準備から社内調整までの流れを具体的に把握することで、スムーズな導入が可能になります。前段で決めたステップを元に進めていきましょう。

STEP1:これまでの店頭施策や課題を整理する

まずは過去に行ってきた店頭施策を振り返りましょう。店頭POPの設置や什器の展開、サンプリングキャンペーンの実施など、どんな手法を使い、どんな結果が出たのかを棚卸しすることがスタート地点になります。

その中で「思ったより反応が取れなかった」「若年層の関心を引けなかった」といった課題が見つかることもあるはずです。

こうした見えづらかった効果や接触機会の少なさを補えるのが、スマートフォンを通じて直接アプローチできるリテールメディアの強みです。

STEP2:出稿する媒体を選定する

目的とターゲットに合わせ、どの小売の、どの媒体(アプリ/EC/店頭)に出稿するかを検討します。

例えば、ファミリー層に届けたいならスーパーのアプリ、若年層ならコンビニのサイネージ、多くの公式アプリに横断配信するなら「ARUTANA」といった具体的な選定を考えます。

STEP3:配信対象と配信方法を決める

ターゲットに合わせて、どの店舗で、どの手段(バナー、プッシュ通知など)を使って広告を配信するかを検討します。

ターゲットに合わせて、どの店舗で、どの手段を使って広告を配信するかを検討していきます。たとえば、小さな子どもを持つ世帯が多い地域であれば、ファミリー層の来店が多いドラッグストアやスーパーのアプリにバナーやプッシュ通知を配信するといった設計が考えられます。

STEP4:配信内容や配信タイミングを設計する

いつ、どんな内容を届けるか、というコミュニケーションの設計です。配信する曜日や時間帯、バナーの訴求内容や表示面の選び方などを細かく設計することで、広告効果を最大化します。

また、広告を届けるタイミングやクリエイティブの内容も重要なポイントです。朝の通勤時間に配信するのか、買い物前後の時間帯に設定するのかによって、反応率は大きく変わってきます。

配信する曜日や時間帯、バナーの訴求内容や表示面の選び方なども含めて、細かい設計を行うことで、狙ったターゲットにしっかり届く広告配信が実現します。

STEP5:社内を巻き込む 関係部署との費用・役割調整

リテールメディアの導入では、「どの部署が担当し、どの予算で実施するのか」が曖昧になりやすいという課題があります。これは、マス広告のように広告部門だけで完結する施策ではなく、店舗や売場に近い場所で展開されるため、販促部門や営業部門との連携が欠かせないからです。

テレビCMなどのマス広告であれば、広告部門が単独で媒体を選定し予算を組むことが一般的ですが、リテールメディアでは売場との連動や顧客行動に基づく設計が求められます。広告として出稿費をかけて情報を届けながら、同時にクーポン配信や来店促進といった販促要素も含まれるため、費用負担や役割分担が曖昧になりがちです。

導入前に、目的・役割・予算の枠組みを整理し、関係部署との認識を共有しておくことが、スムーズな実行につながります。また、「広告であり販促でもある」という特徴を明確に伝えることで、マス広告とは異なる新しい施策として社内の理解も得やすくなります。

導入時によくあるQ&A

リテールメディアに興味はあっても、いざ導入となると「どれくらいの費用がかかるのか」「社内で承認が取れるのか」「全国の店舗で展開できるのか」など、さまざまな疑問が出てくるものです。初めての取り組みであればなおさら、不安はつきものです。

ここでは、そうしたよくある質問に対して、現場で役立つ形でお答えします。導入の判断材料として、ぜひお役立てください。

【広告主】費用はどれくらいから始められますか?

施策の内容や配信対象によって費用が変わりますが、小規模であれば月数十万程からスタートできるケースが多いです。たとえば、地域を限定して、特定の店舗のアプリ内でバナーとクーポンを配信するような小規模キャンペーンであれば、それほど大きな予算を必要としません。

まずは一部のターゲットや店舗に絞って実施し、その結果を見ながら規模を広げていく方法が現実的でおすすめです。媒体資料や出稿事例を参考にしながら、予算感に合った施策を組み立てていきましょう。

社内でスムーズに承認を得るためには?

導入を検討する際、最もハードルになるのが「社内稟議が通るかどうか」です。リテールメディアは、広告と販促の両面を持つ特性があるため、部門をまたいだ協力体制を組むことで、予算の取り方や説明の仕方に幅を持たせることができます。

「売上につながる施策として明確な指標で効果が見える」「販促予算とも連携しやすい」など、具体的な成果イメージを添えて提案することで、稟議も通りやすくなります。初回はテストとして小さく始められる点を伝えるのも効果的です。リスクを抑えて試せるという安心感が、社内の後押しにつながります。

また、金額なども含めた具体的な事例などもぜひお問い合わせください。近しい業種での例を提示させていただきます。

複数店舗・エリアでの配信はできますか?

全国に複数の店舗を展開している場合でも、リテールメディアは柔軟に対応できます。ARUTANAを使えばリテール公式アプリをまたいで広告を配信できる仕組みが整っているため、エリア別や店舗別に配信を分けることも可能です。

たとえば、新商品をまず首都圏で試験展開し、その後、関西・東海と順に拡大していくといった運用もスムーズに行え、費用対効果の面でも納得感を得やすくなります。

まとめ 最初の一歩が、未来の収益の柱を作る

本記事では、リテールメディアの「始め方」を、戦略の立て方から、広告主・小売事業者それぞれの具体的なステップまで、網羅的に解説しました。

重要なのは、難しく考えすぎず、まずは自社の立場を明確にし、目的と保有資産を整理することです。これが、全ての計画の土台となります。

・リテール事業者様にとっては、日々運営している自社のアプリや店舗が「新たな収益源」に変わる、大きなチャンスが眠っています。

・広告主様にとっては、Cookieレス時代において、購買意欲が最も高い顧客と繋がれる、効果的な一手を手に入れる機会です。

リテールメディアは、この両者のニーズが交差する点にこそ、その真価があります。

リテールメディアの立ち上げから運用までをワンストップで支援する私たちのプラットフォーム「ARUTANA」と、2025年8月時点で約4,050万人以上に達する月間アクティブユーザーのネットワーク、そして数多くの導入支援で培った知見。そのすべてを活かし、戦略設計から立ち上げ、運用までを伴走します。

もちろん、リテールメディアの成功は、その土台となる公式アプリの質に大きく左右されます。 弊社DearOneは、累計1億ダウンロードを超えるアプリ開発サービス「ModuleApps」を通じて、ウエルシア様やツルハ様をはじめとする多くの大手小売事業者様のアプリ開発も支援してまいりました。「これからアプリを立ち上げる」、あるいは「既存アプリをリニューアルしてメディア価値を最大化したい」というご相談から、ARUTANAによる収益化まで、一気通貫でサポートできるのが私たちの最大の強みです。

「自社の場合はまず何から相談すれば?」「話だけでも聞いてみたい」——。

どんな些細なことでも大歓迎です。未来の収益の柱を作るための第一歩、ぜひお気軽にご相談ください!

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