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リテールメディアとは?定義・種類・成功事例を1次データで完全解説

リテールメディアとは、スーパー・ドラッグストア・コンビニなどの小売事業者(リテール)が保有する公式アプリ・ECサイト・店頭サイネージを広告媒体として活用し、購買データと組み合わせて展開する広告プラットフォームのことです。
Cookie規制の強化によって従来のデジタル広告の精度が落ちていく中、小売が持つ1st Partyデータ(購買履歴・会員情報)を活用できるリテールメディアは、広告主・小売・消費者の三方にメリットがある新たな収益モデルとして市場規模が急成長しています。
2024年の国内市場規模は前年比125%成長で4,692億円に到達。日経クロストレンドの調査では、マーケティング分野における「今後伸びるビジネス」ランキングで第2位(AIエージェントに次ぐ)にランクインするなど、業界の注目度が急速に高まっています。
本記事では、NTTドコモグループのDearOneが自社リテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」の運営で得た知見と、ユーザー調査・ホワイトペーパーなどによる1次データをもとに、リテールメディアの定義から種類・成功事例・導入ステップまで体系的に解説します。
💡この記事でわかること
・リテールメディアの正確な定義と仕組み
・なぜ今リテールメディアが急成長しているのか
・EC・チラシ・サイネージ・公式アプリそれぞれの強みと弱み
・国内成功事例(ZAVAS:購入率9.6倍、ファイントゥデイ:ROAS272%など)
・広告主・小売事業者別の具体的な導入ステップ
リテールメディアとは?3つの構成要素で理解する
リテールメディアとは、小売業(リテール)が持つECやアプリ、店舗を活用し、購買データと組み合わせて展開する広告プラットフォームのことです。
一言で説明すると「小売業者が広告媒体になること」です。ただしその本質は、単に広告枠を持つということではありません。
リテールメディアが他の広告媒体と根本的に異なる理由は、以下の3要素が揃っている点にあります。
① 購買に近い接点
リテール企業の公式アプリは75%が店舗内で起動されます(ARUTANAのユーザー調査データより)。
ユーザーがすでに購買文脈の中にいる状態で広告を届けられる媒体は他にありません。
② 購買データとの連携
「過去にプロテインを買った人」「シャンプーを2ヶ月前に購入した人」など、実購買履歴に基づく精緻なセグメント配信が可能。
3rd Party Cookieでは到達できなかった粒度で、高精度なターゲティングが実現できます。
③ 効果の実購買検証
「広告を見た人が実際に店舗で商品を買ったか」をID-POSデータで100%追跡できる。従来のデジタル広告では計測困難だった「最終的に商品が売れたか」を明確に可視化できます。
この3つが揃うことで、リテールメディアは広告主・小売・消費者それぞれに明確な価値を提供します。
なぜ今リテールメディアなのか:市場規模と成長背景
国内市場は年率25%超で成長中

2024年の国内リテールメディア広告市場は4,692億円(前年比125%)。そのうちEC事業者が4,142億円、店舗事業者が550億円を占めています。
特に注目すべきは店舗事業者側の急速な立ち上がりです。これまでEC主導で発展してきたリテールメディア領域において、リアル店舗を持つ小売各社が本腰を入れ始め、2028年には店舗事業者だけで1,750億円規模への拡大が予測されています。
また日本のリテールメディアネットワーク市場は、2030年に2,300百万ドル超へと拡大が見込まれており、年平均成長率(CAGR)は13.3%に達する見通しです(Grand View Research調べ)。
Cookie規制がリテールメディアの追い風に
従来のデジタル広告はCookieによるトラッキングを前提に設計されていましたが、SafariのITP、GoogleのCookie廃止方針、EUのGDPRなど規制強化が加速しています。
こうした流れの中で、小売が保有する「会員登録情報」「実購買履歴」という1st Partyデータは、Cookie規制の影響を受けない精度の高い広告配信基盤として急速に評価が高まっています。
パルス型消費の時代に対応できる唯一の媒体
かつての消費行動は「認知→検討→購買」という線形プロセスで説明できました。しかし現在は、複数の情報が積み重なって突如として意思決定が行われる「パルス型消費」が一般化しています。
この予測困難な購買行動に対応するためには、消費者の購買前後の多様なタッチポイントを「面」で捉えることが必要です。
例えば店舗公式アプリは、プッシュ通知やデジタルチラシなど「店外での計画(情報収集)」から、クーポンや会員証など「店内での実行(購買)」まで、一つのプラットフォームで全ての接点をカバーできる構造を持ちます。
「レジ前だけ」は思い込み:ユーザー行動の実態データ

ここで、ARUTANAが2025年9月に実施した独自ユーザー調査(4000名以上からスクリーニングした、週1回以上公式アプリを利用するユーザー483名)のデータを紹介します。
店内でアプリを開く場面の実態
「店内でアプリを開くのはどの場面か?」という質問に対し、最多回答は「レジでクーポンや会員証を提示する時」の68%でした。「レジ=アプリの主戦場」というのは事実です。
しかし複数回答の設計で集計すると、店内でアプリを使うユーザーの約71%が「レジに行く前の段階(棚前・セール情報確認など)」でもアプリを活用しています。

出典:ARUTANA Lab Vol.2「リテールメディア動向レポート」(2025年9月実施、n=483)
広告主にとっての示唆となりますが、レジでの提示はアプリ利用の「ゴール」です。
しかし実際の購買意思決定の多くは棚の前で行われており、そこにアプローチできる媒体は強い購買影響力を持ちます。
情報を受け取りたいタイミング:44%は「自宅で」

「お店からおすすめ商品の広告を受け取るなら、どのタイミングが良いか?」という質問では、約44%が「自宅でスマホを見ている時」と回答(次点は「お店でその商品の棚の近くにいる時」14%)。
つまり購買行動は大きく2つのフェーズに分かれています。
- 店外フェーズ(計画):自宅での情報収集・来店動機の醸成
- 店内フェーズ(実行):棚前での意思決定・購買

この2フェーズを分断せず、一貫したコミュニケーションで繋ぐことが機会損失を防ぐ鍵です。
パーソナライゼーションへの受容性
こちらは、リテール側が購買履歴やデモグラ情報を活用することについて聞いたアンケート結果です

「自分に合ったお得情報を受け取るために、店が購買履歴や属性情報を活用することをどう思うか?」という質問では、約64%が肯定的と回答。うち45%は「明確なメリットがあれば賛成(条件付き賛成)」でした。
ポイントとして、消費者は「自分のデータを無条件に提供する」のではなく、データと引き換えに明確な価値(適切なクーポン・おすすめ)を求めているという点です。この「価値交換」の設計がリテールメディアの信頼基盤を作ります。
💡関連記事:アプリ利用者の7割は「レジ前以外」も。ユーザー調査で判明したリテールメディアの新常識【無料レポート
主要5プラットフォームの徹底比較
リテールメディア市場には多様なプラットフォームが存在します。
「どれを選べばいいか分からない」という声に応えるため、広告主にとっての実際の選択基準となる「買い物客の行動プロセス」に当てはめて比較します。
リテールメディアプラットフォーム比較表

各プラットフォームの特性を紹介
ECサイト型は「特定商品の指名買い」において最強です。過去の購買履歴に基づく精密なターゲティングと、広告表示から購買までの100%効果計測が可能。ただし食品・日用品市場においてEC化率は10%以下に留まっており、消費の9割を占める「実店舗での買い物」にはアプローチできません。
デジタルチラシ型(Shufoo!・トクバイなど)は来店前の「今日どこに行くか・何が安いか」を決めるフェーズで強みを発揮します。献立や節約関心層へのリーチ力は高い一方、「誰が実際に買ったか」を証明するID-POSとの連携が技術的に難しく、投資対効果が見えにくいメディアです。
決済・ポイント型(PayPay、d払い等)はユーザー数で他を圧倒します。ただしアプリが起動されるのはレジの直前であり、カゴの中身はすでに決まっている状態。販促メディアとして商品を推奨するには「タイミングが遅すぎる」という構造的課題があります。
デジタルサイネージは認知獲得において強力な媒体です。来店客の7割にリーチできる点と、ECに登録していない一見客にも届く点が強み。ただし個人の購買行動(Who)を追跡することは基本的にできず、One to Oneのパーソナライズとは得意領域が異なります。
公式アプリは「店外計画」から「店内実行」まで、フルファネルをシームレスに繋ぐ唯一の構造を備えています。ID-POSで実購買まで100%追跡可能なため、「広告を見たAさんが実際に店でこれを買った」という事実を証明できます。
アプリの課題は単独アプリで収益化を追う際の2つの壁、
「リーチの壁」(自社会員のみ)と
「フリークエンシーの壁」(限られた会員に広告が集中し、UI/UXが損なわれるリスク)
にあります。この壁を突破するアプローチが後述する「ネットワーク型」の考え方です。
💡関連記事:「どこに投資すれば購買に繋がるのか?」主要プラットフォームを徹底比較。リテールメディア動向レポート③【無料】
国内成功事例:広告主・リテール双方の実績
広告主事例①:株式会社明治「ZAVAS(ザバス)」— 購入率9.6倍・ROAS156%

課題の背景
プロテイン市場は急激に競合が増加しており、認知度ではなく「棚の前での選択」が勝敗を分けるフェーズに入っていた。
明治が抱えていた問題は2つ。一つは「購買に最も近い接点でブランドを想起させられていない」こと、もう一つは「広告が実際の売上にどれだけ貢献したかを証明できない」こと。
テレビCMは認知を作れても、最後の棚前での意思決定に介入できない。
実施内容
新商品発売のタイミングで、複数リテールアプリへの横断配信が可能なプラットフォーム(ARUTANA)を活用。
ターゲットセグメントを「プロテイン過去購入者」というID-POSデータに基づく絞り込みに設定。クーポンではなく商品の魅力を伝えることを主眼に置いたクリエイティブで、購買検討直前のユーザーにアプローチした。
結果
- 広告接触ユーザーの購入率:非接触ユーザーの9.6倍
- ROAS:156%
注目すべきは購入率の差分。同じプロテイン購買層に対して広告が届いた人と届かなかった人で購入率が9.6倍違うという事実は、「リテールメディアがなくても売れる人には届けていない、リテールメディアが背中を押したから買った人に届けている」ことを意味する。
この数字は営業部門が小売との商談で「なぜこの商品を棚に置くべきか」を説得するデータとしても機能し、社内での活用価値が広告効果を超えたとの評価もある。
参考:広告接触ユーザーの購入率9.6倍!明治「ザバス」のリテールメディア活用と「ARUTANA」の有用性
広告主事例②:ファイントゥデイ「+tmr(プラストゥモロー)」— ROAS272%・高価格帯新規ユーザー獲得

課題の背景
ファイントゥデイ(旧資生堂パーソナルケア事業)は2024年2月、「いい髪はタンパク質から」をコンセプトにしたヘアケアブランド「プラストゥモロー」を発売。単価1,400円以上の高価格帯市場への新規参入という難しい勝負だった。
「TSUBAKI」や「uno」という既存の有力ブランドを持つ同社にとっても、全く新しい価値軸での市場導入は未知の挑戦。ローンチ期間に「迷っている消費者の背中をそっと押す」ための接点が必要だった。
もう一つ深刻な課題が「効果の可視化」だった。テレビCMや従来のデジタル広告では、最終的な「店頭での購買行動」を追跡することが構造的に難しく、「広告が売上にいくら貢献したか」を証明できないまま予算を動かしてきた。
実施内容
リテールメディアプラットフォーム(ARUTANA)を採用し、発売後約1カ月間にわたって施策を実施。
ターゲットセグメントを2層に設定。一つは「プラストゥモロー購入経験者」、もう一つは「過去に1,000円以上のシャンプー・ヘアケア商品を購入したユーザー」——つまり高価格帯の購買意欲が高い層に絞り込んだ。
複数業種のリテール公式アプリ(ドラッグストア・コンビニ・ホームセンター等)に横断配信することで、単一チェーンでは届かなかったリーチを確保しつつ、購買検討タイミングでのアプローチを実現した。
結果
- ROAS:272%
- 発売2カ月で累計出荷数195万個突破
- 同年秋にシャンプー・トリートメント・ヘアセラム同梱企画品を異例のスピードで追加発売
「広告が最終的な売上にどれだけ貢献したかを把握することは、長年の課題といえます。テレビCMでは効果を定量的に捉えることが難しく、デジタル広告においても、最終的な店頭での購買行動を追跡することが困難なケースが少なくありませんでした。リテールメディアを活用することで、この課題が解消され、投資対効果を可視化できるようになりました」
ファイントゥデイ 益川竜介Vice Presidentのコメント(記事より)
この事例が他と一線を画す点は、「販促施策」ではなく「ブランドコミュニケーションの軸」としてリテールメディアを位置づけた点にあります。
多くのメーカーがリテールメディアを「クーポン配信=販促費の使い道」として扱う中、ファイントゥデイはブランドローンチという最重要局面で使った。商品の魅力を伝えるクリエイティブで、購買直前の高価格帯購買層に届けたことでROAS272%という成果に結びつきました。
また「KPIのジレンマ」「リーチの分断」「組織の壁(販促費ありきの判断)」という3つの壁を乗り越えた設計が、他のメーカーが参考にできるケーススタディとして業界で注目されています。
参考:ROAS272%を実現!ファイントゥデイが「ARUTANA」活用でトライしたリテールメディアの最適化
参考2:なぜファイントゥデイはリテールメディアをブランドコミュニケーションの軸に取り入れたのか 高価格帯ユーザー獲得に貢献
リテール事例①:ツルハホールディングス — 売上130%・購買データ起点の広告基盤

課題の背景
ドラッグストア業界は多様なカテゴリを扱い、購買データが豊富に蓄積されやすい業態だが、その膨大なID-POSデータを広告収益に転換する仕組みがなかった。
実施内容
2020年ごろからID-POSデータを蓄積・分析した「ツルハAdプラットフォーム」を構築。
会員IDに紐づいた購買履歴を基に最適なセグメントを設定し、会員向けアプリのプッシュ通知などで広告を配信する体制を整えた。
結果
マウスウォッシュ「リステリン」の購買データ連動広告で、売上が130%にアップ。
「ドラッグストアはリテールメディアと相性が良い」とよく言われる。理由は単純で、医薬品・化粧品・食品・日用品と複数カテゴリの購買データが同一会員IDに紐づくため、クロスセルのターゲティング精度が他業態よりもずっと高い。
リステリンの事例は「既存の購買データを使ってリピートを促すだけで売上が上がる」ことを示しており、広告主側のROI計算が立てやすい事例でもある。
リテール事例②:ファミリーマート — 売上+11%から+326%、サイネージ×オンラインの乗数効果

課題の背景
コンビニは来店頻度が高く客単価の変動が業績直結するが、「来店済みの客の購買行動をいかに変えるか」という接点設計の問題があった。
FamilyMartVisionはその打ち手として2022年以降に全国展開を加速させた。皆様もレジ上のサイネージをご覧になったことがあるかと思う。
結果:ジョージア(ボトルコーヒー)単独サイネージ施策
- キャンペーン期間中の売上:未設置店舗比+11%
- キャンペーン終了後も継続して+9%高く推移(60%超がリピーター化)
- キャンペーン中の購入者の約半数が初めてジョージアを買った新規顧客
- コーヒーカテゴリ全体の売上:+17%
デジタルサイネージが「新規顧客獲得」と「カテゴリリフト」の両立に機能した事例として代表的です。
関連事例:LOFTでのTikTok広告×サイネージ×棚配置の比較検証

LOFTであるブランド化粧品のプロモーションで3パターンを比較したところ、興味深いデータが出ています。
LOFTの施策パターン比較:オムニチャネルの乗数効果
| 施策パターン | 売上(前年比) |
|---|---|
| TikTok広告のみ | 108% |
| TikTok広告+デジタルサイネージ | 221% |
| TikTok広告+デジタルサイネージ+通路沿い棚配置 | 326% |
出典:経済産業省「DXを加速させるリテールメディアの構築」資料をもとに作成
ファミリーマートとLOFTの事例が共通して示すのは「単体施策のROIより、組み合わせた時の乗数効果が圧倒的に大きい」という点です。
サイネージ単独では「誰が買ったか」を個人単位で追跡できないという弱点があるが、アプリやSNS広告と組み合わせることで相互補完できる。
オムニチャネルの設計を「どのチャネルが効いたか」という競合関係で見るのではなく「どう組み合わせるか」という相乗関係で設計することが重要という示唆になります。
リテール事例③:トライアルHD — スキャン×リアルタイムクーポンで新規顧客獲得

課題の背景
まず前提として、小売業界において「新規顧客の獲得」はリピーターへの訴求より構造的に難しい。
特にスーパー・ドラッグストアでは買い物リストが固定化している客が多く、「いつも買わないものを買ってもらう」きっかけを作ることが難題でした。
実施内容
カートに搭載したタブレット端末で商品バーコードをスキャンすると、その商品や類似カテゴリに応じたクーポンをリアルタイムで配信する仕組みを構築。
270億件のID-POSデータを活用し、「その人が過去に買っていない商品のクーポン」を文脈に合わせて配信。事例としては乳酸菌飲料「カゴメ ラブレ」において、「牛乳を購入した未購入者」というセグメントに対してクーポンを配信しました。
結果
その他のタイミングで配信したクーポンと比較して購買転換率が有意に高く、新規顧客を効率的に獲得することに成功。
「棚の前でリアルタイムに介入できる」という点で、他のどのデジタル媒体も持っていない接点設計がある。
「牛乳を買ったばかりの人に乳酸菌飲料を勧める」という関連購買のロジックは、ECサイトのレコメンドエンジンが店舗内でリアルタイムに動いているイメージに近い。購買直前の文脈を使ったセグメントの精度が、クーポンの効果を大きく左右することを示す事例といえます。
💡関連記事:成功事例から学ぶリテールメディアの活用法|広告主・小売企業が得た成果とは?
参考サイト:経済産業省-DXを加速させるリテールメディアの構築
広告主・小売事業者別の導入ステップ
広告主としてリテールメディアを始める5ステップ
実際に広告を出稿するメーカーが導入するにあたっての流れを、一般的な5つのステップに分けて説明いたします。
①ターゲット選定
リテールメディアを活用するにあたっては、まず「誰に広告を届けるのか」という視点が重要になります。
リテール企業が持つデータと自社の顧客像をすり合わせながら決定します。属性情報だけでなく、「過去の購買カテゴリ」「購買頻度」「商圏」など購買データを軸にしたセグメントが精度の鍵です
データ分析や顧客分析ツールなどを導入済みのリテール企業は既に有用なデータを持っているケースが多いため、タッグを組んで進めていくことも重要になります。
💡関連記事:顧客分析ツールとは?導入メリット、代表製品7選と選び方を紹介
②媒体の選定

続いて、リテールが保有しているさまざまなチャネルのうち、目的(新規獲得/リピート促進/認知/購買直前の後押し)に合わせて媒体を選びます。複数媒体の組み合わせが前後フェーズをカバーする観点で効果的です。
その際には、リテールから提供される「ECサイトやアプリの利用者属性」や「実際に店舗を訪れる顧客データ」などを活用し選定しましょう。
実態として「リテール企業から貰ったデータ分析結果を広告主や代理店が見て広告方針を固める」といったフローがよくあるので、特に「ターゲット設定に必要な属性データが十分あるか」は1つの判断基準となり得ます。
弊社が提供する「ARUTANA」では、MAU数が約4,750万人以上のリテールの公式アプリ群に横断で広告配信が可能となっています。プロによる伴走支援も徹底しておりますので、ぜひご検討くださいませ。
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③オンラインプロモーションの実施
媒体の決定後、主にデジタル広告を通じたプロモーションをおこないます。
設定したターゲットに合わせ、クリエイティブも最適化しましょう。リテールの会員向けアプリやECサイトなどを使って商品を訴求し、リテールが保有する1st Partyデータに基づいてクーポン配信やセグメント別の広告配信を実施することで、来店や購買を促進します。
④店頭施策との連携
このステップは行わないこともありますが、事例でもご紹介させていただいた通り、オンライン施策と連携した実店舗でのプロモーションをおこなうと大きな効果が期待できます。
店内に設置したデジタルサイネージにオンライン広告と同様の内容を流したり、POPで後押ししたり、サイネージを見たタイミングでアプリにクーポンを配信するなどの手法が一般的です。
また、海外ではスタッフの声掛けなどヒューマンタッチな施策も積極的におこなわれています。
⑤検証し、次のアクションへ
「結果を検証し、次のアクションに活かす」というプロセスが最大成果を生み出すためにとても重要です。
ID-POS連携による実購買データで効果を計測し、次のPDCAに活かします。
検証についてはこの後、具体的に詳しく説明させていただきました。読み進めていただくかこちらのページ内ジャンプをご活用ください。
小売事業者としてリテールメディアを収益化する方法
収益化の実装モデルには大きく2つのアプローチがあります。

個別実装型(fluct / Retail Booster / ProFit-X):自社アプリ単独でSSPやアドサーバーを導入し、自社媒体として広告枠を販売するモデル。カスタマイズ性は高いが、「リーチの壁」と「フリークエンシーの壁」という2つの構造的課題に直面しやすい。
ネットワーク型(ARUTANA):複数のリテールアプリが連携してネットワーク化されることで、1社では届かないマスリーチを確保しつつ広告宣伝費を獲得し、1アプリあたりの広告表示頻度を自然に分散できる。CRM価値を守りながら「量(リーチ)」「収益化」「ユーザー体験」の3つをトレードオフにしない設計が特徴。
リテールメディア導入における3つの壁と3つのコスト
多くのメリットがあるリテールメディアですが、導入を成功させるために事前に知っていただきたい、「壁」といえるポイントがあります。
特に、自社でゼロからシステムを構築・運用しようとすると、以下のような課題に直面するケースが多く見られます。
ユーザー体験(UX)の壁
広告表示頻度(FQ)の設定を誤ると、ユーザーの離反やアプリ評価の低下を招きます。
問題の本質は「広告を入れるかどうか」ではなく「限られた会員に広告がどれだけ集中するか」にあります。
複数リテールで面を広げるほど、1アプリあたりの負荷は下がります。
機能・運用の壁
日予算管理やABテストなど、運用型広告に必要な機能を自社で実装・運用するには高いハードルがあります。
アドサーバーや広告管理画面の構築・運用体制の整備など、想像以上に大きな工数が発生します。
分析・可視化の壁
広告配信結果を正確に把握するには、imp / click / CTR / CPC といった指標の計測設計が必須です。
さらに複数媒体にまたがる配信では、媒体ごとの仕様差異があり、「効果の比較が難しい」「何が効いているのかわからない」といった課題が発生しやすくなります。
3つのコストとは
更にこうした開発や設計に、
・専門的な知見を持つ人材の採用や育成(知識コスト)
・システム開発・設計にかかる費用と工数 (開発コスト)
・広告主への営業や出稿管理などのリソース(運用コスト)
といった「人・時間・知識」の体力コストが複合的に求められるため、「まず自社でやってみよう」と安易に取り組むと、大きな負担や壁に直面するケースも少なくありません。
これらを内製でゼロから整えることが難しい場合、先ほど紹介した外部パートナーの仕組みを活用することが現実的な選択肢です。
NTTドコモグループであるDearOneが提供するARUTANAでは、既にアプリをお持ちであってもSDK組込のみで収益化が開始でき、広告主獲得からレポーティングまでをDearOneが一式サポートします。
既存のアプリにSDKを導入するだけで広告配信の基盤が整い、専門チームが広告主の開拓までサポートするため、小売事業者様は開発・運用・営業といった複合的なコストやリスクを抑え、スピーディに収益化を目指すことが可能です。また、アプリ開発も専門事業としておこなっていますのでリニューアルや改修にも対応しています。
効果測定と運用のPDCAサイクル
ステップのところでも少し触れましたが、リテールメディアにおいて分析と継続的な改善が非常に重要になりますので、少し詳しく解説させていただきます。
追うべき指標と見方
効果測定の主要指標と活用のポイント
| 指標 | 意味 | 活用のポイント |
|---|---|---|
| IMP | 広告の表示回数 | CPMと組み合わせてリーチ効率を把握。単独では意味をなさない |
| CTR | 表示回数に対するクリック率 | 低ければクリエイティブかターゲティングを見直す。改善の起点になる指標 |
| CPM | 1,000インプレッションあたりのコスト | 大規模リーチを狙う施策で「費用あたりどれだけ見せられたか」を把握 |
| CPC | 1クリックあたりのコスト | CTRと組み合わせると「表示→クリック→費用」の流れが一本のストーリーになる |
| 購買数・購買額 | 実際に購入に至った件数と合計金額 | 最重要指標。クリック数との比較で広告から購買への導線を可視化できる |
| ROAS | 広告費用対効果(売上÷広告費×100) | 「売れたか」を証明する最終指標。100%超で黒字。明治ZAVAS156%、ファイントゥデイ272% |
指標は単独ではなく「IMP→CTR→購買」という流れの中で見ることが重要です。「クリックは多いが購買が伸びない」場合は店頭体験や商品配置の問題が示唆されます。
PDCAサイクルの回し方
Plan:目標KPIと施策仮説を設定。購買データだけでなく、店舗スタッフや顧客の声なども仮説の材料に使う。
Do:広告配信・クーポン施策・店頭連動を実施。ABテストを意識的に組み込む。
Check:前回との比較分析。季節・キャンペーン・外部要因も加味する。定量データと店頭の定性情報を並べる。
Act:「来店率は上がったが購買単価が低い」「CTRは良好だが購買額が伸びない」などギャップから次の仮説を立てる。
ARUTANAでは配信費用・IMP・クリック数・CTR・CPM・CPC・購買数・購買額の全データをレポートとして提供しています。
より細かい改善施策の例
「改善施策といっても何をすればいいか……」
日本では何もわからずリテールメディアの担当者を任されてしまうケースもあるため、ヒントとして改善アクションについてもう少しだけ細かい粒度でご紹介します。
ABテスト
クリエイティブやオファーの内容を複数パターン用意し、実際の反応を比較・検証することはPDCAサイクルを回す上でも有効です。
細かなコピーの違いで変わることもあれば、時には大胆なクリエイティブの変更も視野に入るかもしれません。
スプリットテスト
複数の要素(画像・文言・ターゲット設定など)を一度に変えてテストすることで、施策全体の最適な組み合わせを探る方法もあります。
ただしこちらはテストの設計が複雑になりやすいため、検証に長けた担当者や代理店によって、検証方法や指標の設定を明確にしておくと良いかもしれません。
マルチチャネルでの検証
オンライン広告、SNS、デジタルサイネージなど、複数チャネルでの反応を比較・検証することで、より正確に問題点や効果的な施策を把握できます。それぞれで見るだけでなく、チャネルを越えた施策の組み合わせを検討するのも有効です。
競合他社分析
同業他社や近い顧客層を持つ企業の施策や市場動向を調べることで、改善アイデアを得る方法です。
水平思考の一環として、異業種からヒントを得ることも視野に入れると、既存の発想を超えたアイデアが浮かぶかもしれません。
ヒント:改善は多角的な視点で
データ分析はもちろん重要ですが、先述の通り店頭スタッフや顧客からのフィードバック、SNSの口コミなど、定量・定性両面の情報を収集することで施策が浮かびやすくなります。
・広告のクリエイティブを大きく変えてみる
・クーポンではなくサンプル配布や体験型のプロモーションと連動させてみる
・ターゲットを変更するのではなく、プロモーションのタイミングを変える
・商品カテゴリの季節性
・天候や行事などの外部要因
などなど……時には部門間で連携しながら、多角的な視点で仮説を組み立て直すことが理想的です。

リテールメディアの未来と今後の課題
最後に、海外のレポートから参照した最新のトレンドと注目技術を踏まえつつ、リテールメディアの今後の展望と課題を探ってこの記事を締めたいと思います。主に海外の内容ではありますが、日本でも取り入れられる可能性があるものを選びました。
最新のトレンドと注目技術
AI・機械学習による高度なターゲティング
顧客のライフステージや嗜好性、店内での動線データまでを統合して分析し、最適なタイミングとチャネルで広告を配信する技術が今も進化中。
既に海外では、従来は注目されてこなかった「購買行動以外の兆候データ」をAIで解析する取り組みをスタートさせている企業もあります。
またWalmart Connectなど、独自のAIアルゴリズムで「次に買う商品」を予測している施策も。
アプリの「統合化」
アプリの統合といえばす日本ではかいらーくグループが有名ですが、ツルハグループが会員IDを軸に店頭サイネージと公式アプリを連携させ、来店前から店内まで一貫したコミュニケーションを設計しているように、業界全体で「個別アプリ」から「統合アプリ」への移行が進んでいます。

Google Mapsによるトラフィック流出
Google AIによる店舗説明・レビュー・営業時間の強化で、ユーザーがGoogleだけで情報収集を完結させるケースが増加。
自社アプリへの流入が減少する傾向が報告されており、プッシュ通知や広告を通じて「能動的にアプリを使ってもらう」設計への転換が急務です。
リテールメディアの動向については下記の資料にまとめておりますので、ぜひ無料ダウンロードください
>>無料ダウンロード「ARUTANA Lab リテールメディア動向レポート」(2025年版)
リテールメディアのデメリット・今後の課題
急激に進化を遂げているリテールメディアにて、現在わかっている課題についても紹介させていただきます。
データプライバシー+倫理的配慮
1st Partyデータの重要性が高まる一方で、個人情報保護や利用目的の明確化はより厳格に求められます。利用者がデータ活用に対してポジティブな印象を持てるよう、説明責任とオプトアウト手続きの整備が不可欠となってきています。
弊社が2025年9月におこなった調査では、データ活用に関して6割以上のユーザーが肯定的な回答をしました。
今後もデータプライバシー保護は厳しくなっていくと考えられますが、その分ブランドパーミッション(データ利用を許可するブランドへの信頼)が重要になっていくと言えます。
指標の標準化
広告主・リテール間での効果計測基準が統一されておらず、「何で測るか」の摺合せが商談コストになっています。
業界横断での基準整備が進むかどうかが、市場の次のフェーズを左右します。(参考:イオン×スギ薬局が語るリテールメディア事業の現状)
ROI(費用対効果)多面的評価
リテールメディアの効果は、広告クリックだけではなく、来店促進、店内での衝動買い、ブランド認知度向上など多方面に及ぶことで、状況によってはROIを評価しづらいといった声もあります。
施策によってはROIが定量化しづらい部分に大きな付加価値が潜んでいる可能性もあることから、「売上以外の指標」(例:ロイヤル顧客の増加、SNSでのバズ、店舗スタッフのエンゲージメントなど)を取り入れて総合的に成果を評価する仕組みづくりが求められています。
まとめ:リテールメディアを始めるなら今が最適なタイミング
リテールメディアは「Cookie規制」「パルス型消費」「1st Partyデータの希少性」という3つの構造変化が重なり、今まさに市場の立ち上がり初期にあります。
ユーザー調査が示すように、消費者は「自分に関係のない広告はノイズ」と感じる一方、購買に役立つ情報には明確な価値交換を求めて積極的に応じます。
「精度の高い情報を、正しいタイミングで届ける」
この当たり前を実現できる基盤を、リテールメディアは初めて広告業界に提供しています。
リテールメディアの市場は国内外で急速に拡大しており、今後も進化を続けていくでしょう。
NTTドコモグループの弊社DearOneが提供する「ARUTANA」では、既にスマートフォンアプリを保有している小売企業様は、SDKを組み込むだけで広告配信を始められます。
大がかりなシステム開発を行う必要がないため、導入スピードが早くコスト効率も良いのも大きな魅力です。
広告主様にとっても、会員データや購買履歴を安全に連携しながら、高精度のターゲティングが可能となっておりMAU4,750万人以上というリテール公式アプリ群を横断して、一気に多くの潜在顧客へとアプローチすることができます、効果測定に必要な指標や購入データのレポートも提供していますので、施策のPDCAがスムーズに回せます
リテールメディアは年々プレイヤーが増え、成熟しつつある市場ですが、まだ大きく成長する余地があると考えられます。早い段階から取り組むことで、市場が確立する前に有利なポジションを築きやすいのも事実です。
「競合が増える前にノウハウを蓄積し、リテールメディアを自社の強力な収益源としたい」
「既存顧客へのリーチだけでなく、新規層への訴求を高い精度で行いたい」
「新たなデジタル広告環境に備え、1st Partyデータを主軸とする施策を強化したい」
こうした狙いをお持ちの企業の方は、ぜひ一度「ARUTANA」の活用をご検討ください。詳細な運用の仕組みや広告収益のシミュレーションなど、気になる点がございましたらお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
詳細情報のご説明や、広告収益シミュレーションなどお知りになりたい場合もどうぞお気軽にご相談くださいませ。
私たちと一緒に、次世代の広告活用をリードしていきましょう。
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