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効果や将来性は?Chromeブラウザの「プッシュ通知」機能
Google ChromeチームはChromeの最新ベータ版となる「Chrome 42」にプッシュ通知機能などを追加したと発表しました。このバージョンはWindows、Macのほか、Android OSにも対応されるもので、今後スマホサイトの新しい機能として注目されています。このプッシュ通知はどのような効果をもたらすのでしょうか。
Chromeのプッシュ通知とは?
Chrome 42に搭載されるプッシュ通知は、ユーザーがプッシュ通知を許可すると、たとえブラウザが開いていない状態でもプッシュ通知を配信することができます。この機能はネイティブアプリを導入しなければ実現できなかったプッシュ通知機能が、今回、Webブラウザでもほぼ同じ機能が使用できることで、以前から注目されていました。今回Chrome 42が登場されることで再び注目が集まっているということですね。
この機能を実体験したい方はこの手順にお進みください。
(1)まずGooglePlayストアから「Chrome Beta」をダウンロードします。
(2)次に以下の「Web Starter Kit」をスマートフォンから開いてください。
https://simple-push-demo.appspot.com
(3)ページ内の「Enable Push Notifications」にチェックを入れ、次に「SEND A PUSH GCM VIA XHR」ボタンをタップしてください。
(4)すると、お持ちのスマホ上にプッシュ通知が配信されます。
これはPC版のChromeでも同様にプッシュ通知を受信することができます。その際は、Chromeブラウザのベータ版を配布しているサイトからダウンロードし、同様に「SEND A PUSH GCM VIA XHR」ボタンを押すと、パソコンの画面上にプッシュ通知が表示されます。
プッシュ通知は効果が高い
プッシュ通知の効果については以前、「こんなにすごいの?プッシュ通知をオススメするこれだけの理由」の記事でご紹介させていただきました。
記事の概要を説明しますと、アプリマーケティング研究所が発表したUrban Airshipを利用した調査によると、アプリを初回起動した時にプッシュ通知が許可される確率は 35~50%と比較的多く、プッシュ通知を嫌悪感なく利用しているユーザーが多いようです。特にニュース系のメディアは 50%にのぼり、ユーザーが必要だと感じているアプリの許諾率は高いことが分かります。
そして、プッシュ通知を許可しているアプリは、許可していないアプリよりも起動回数が高く、ロイヤリティ向上にもつながっているようです。さらに、プッシュ通知を許可しているアプリの継続率は許可していないアプリより 10%ほど高い傾向にあることも分かりました。
また、AppBank Felloの事例によると、毎日プッシュ通知をしていたアプリがある日を境にプッシュ通知を停止したところ、停止した日からアクセスが減少し、DAUやMAUも減少したそうです。つまり、プッシュ通知を行う場合は継続的に続けていくことが大切なのです。
これら事例の続きが気になった方は併せてご覧ください。
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プッシュ通知のメリットとは?効果を上げるために知っておきたいこと
Chromeのプッシュ通知を導入するためにはいくつかの設定が必要
Chromeのプッシュ通知、つまりPush APIを導入するためにはいくつかの設定が必要です。まずは、Google Cloud Messagingを使ってデベロッパーがリモートでService Workerを起動させ、メッセージを配信します。
Service WorkerをHTTPで提供されるページで使うと接続へのハイジャック、改ざん、フィルタリングができてしまうので、それを防ぐために本番サイトはHTTPSで提供されるページのみ利用できるようになっています。
Chrome 42はページのショートカットをホーム画面に設置する機能も搭載
Chrome 42は上記のプッシュ通知のほかに「App Install Banners」機能も搭載されました。これはショートカット機能に対応されたページへ行くと画面の下部にバナーが表示され、「Add to Homescreen」ボタンを押すとホーム画面にショートカットを作成できるものです。こちらの機能もService Workerを使ったり、対象ページをHTTPSに対応するなどの作業が必要になります。
Chromeのプッシュ通知はアプリに代わる機能なのか
ここまで読むとChromeのプッシュ通知に魅力を感じてきますね。しかし、アプリに代わる機能としてChromeのプッシュ通知を導入しようとしてもいくつか課題があるようです。
まず1つは上記にも記載されていますが、Chromeのプッシュ通知に対応するためには対象サイトをHTTPS化し、Google Cloud Messaging から Service Worker を使って配信できるような開発作業が必要です。
また、Chromeのプッシュ通知はスマホのなかではAndroidのみ対応するため、iPhoneにはChromeのプッシュ通知が配信されません。Safari に配信する際は「Safari Push Notifications」に対応する必要がありますが、iOSに対応したSafariにも配信されるのかはまだまだ不明です。
いかがでしたでしょうか。Chrome42のプッシュ通知は近いうちに登場する機能ですが、それらに対応するためにはまだまだ課題も多く、具体的にどれくらいの効果があるのかは未知数です。今後アプリ対応のほかにWebサイトに対応しようとお考えの企業様にはご検討されてみてはいかがでしょうか。