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リテールメディアの成功事例から学ぶ活用法!事業別に紹介

 Post by MML編集部

Cookie規制やIDFA制限により、従来のWeb広告の効果が見えにくくなってきた今、注目を集めているのが「リテールメディア」です。

購買行動の“直前”や“その場”で広告を届けられるこの仕組みは、単なる認知ではなく、実際の購買に直結しやすいのが特長。広告主にとってはROIが測りやすく、小売企業にとってはアプリや店舗空間を収益化できる新たな機会となっています。

この記事では、リテールメディアプラットフォームを提供する弊社の知見から、リテールメディアがなぜ今選ばれているのか、その背景や導入企業の事例を交えてわかりやすく解説します。

💡関連記事:リテールメディアとは?メリットや成功事例をわかりやすく解説

リテールメディアの活用が進む背景

購買直前の接点で広告接点を作れる強み

リテールメディアの大きな利点としては、実際の「購買直前」、つまり「購買意欲が顕在化した瞬間」に広告を届けられる点が挙げられます。

たとえば、

  • ECサイトで商品を検索している
  • アプリでクーポンを探している
  • 店舗の棚前でアプリを起動している

などなど……。こうした行動は、今まさに購入を検討しているサインとも言えます。この「今買うかもしれない」瞬間に広告を表示できるのが、リテールメディアの大きな魅力です。

こうしたタイミングでの広告配信は、ユーザーにとっても自然で受け入れられやすく、無関係な場面で出てくるバナー広告よりもはるかに高い反応が期待できます。

さらに、購買履歴や来店履歴、アプリ上の行動データといったファーストパーティデータと連携することで、ユーザーごとに異なる最適な広告を出すことも可能です。

たとえば、2か月前にシャンプーを購入したユーザーに、新作のシャンプーをレコメンドするといったことも可能であり、クロスセルやアップセルのチャンスも広がります。

このように、リテールメディアは「広告を見るだけで終わらない」、つまり購買行動に直接つながる広告体験をつくれるのが強みです。CVR(コンバージョン率)が高く評価されているのも、この仕組みの合理性と実効性に裏打ちされた結果です。

NTTドコモグループの弊社DearOneが提供するリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」では、4,050万MAU/48,000店舗に横断で広告を配信可能です。

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小売アプリの広告枠が新たな収益源に

これまで多くの小売企業にとって、自社アプリは「情報を届けるためのツール」でした。クーポンやキャンペーン情報を配信することで、店舗への来店や売上を促進する役割を担っていました。ただしアプリ自体が直接収益を生むわけではなく、あくまで販促の一環という位置づけにとどまっていました。

ところが最近では、リテールメディアとしてアプリの中に広告枠を設け、そこに他社の広告を表示することで、新たな収益源として活用する動きが広がっています。

たとえば、食品メーカーや日用品メーカーが、小売企業のアプリ内にバナー広告を掲載し、そこからクリックや購買につながる仕組みを作っています。広告主は購買意欲の高いユーザーにリーチでき、小売側はその広告から広告収入を得ることができます。

小売アプリは「売上を支えるための道具」から「自らが収益を生むメディア」へと進化しつつあります。

アプリ開発や運用にかかるコストも、広告収入である程度カバーできるようになり、ビジネスモデルとしての持続性も高まります。広告主と小売の双方にとってメリットのある構造が生まれ、アプリの存在価値も大きく変わってきています。

NTTドコモグループの弊社DearOneが提供するリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」では、既存のアプリにSDKを導入する形で広告配信が可能になります。アプリ開発やリニューアルも得意としておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください

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Cookie規制やIDFA制限で広告の精度が低下

少し専門的な話になりますが、ご存知の通りここ数年で、個人情報保護の潮流が加速しています。

欧州GDPRを皮切りに、米国や日本でもプライバシー重視の動きが強まり、主要ブラウザではサードパーティCookieが制限され、AppleのiOSではIDFA(広告識別子)の取得にユーザーの明示的な許可が必要となりました。

これにより、従来のリターゲティング広告やオーディエンスセグメントの精度が大幅に低下。特にiPhoneユーザーではIDFA取得率が2割未満(※1)という調査もあり、広告主にとって「誰に・いつ届けるか」をコントロールする難易度が急激に上昇しています。

実際、2024年第2四半期におけるIDFAのオプトイン率(=ATTでトラッキングを許可した割合)はわずか13.85%と、過去最低水準を記録しています(※Singular調べ)。

かつては自動的に取得できていた行動データが取れなくなった今、広告主は「誰に・いつ届けるか」という基本すらコントロールしづらい状況に直面しているのです。

こうした背景から、ファーストパーティデータを基軸とし、購買直前の接点で広告が届けられるリテールメディアが、改めて注目されている背景があります。

【広告主側の事例】課題と成果

従来の広告では「購買」に結びつかない

テレビCMや新聞広告といったマス広告は、幅広い年齢層や地域に情報を届ける手段として今も活用されています。ただし、その情報が「買う」という行動に結びついているかというと、必ずしもそうではありません。

たとえば、興味を持ってくれたとしても、購入のタイミングと広告のタイミングがずれていれば、結局買わずに終わってしまうことも多いのです。「誰が買ったか」が見えづらく、購入タイミングとのズレも発生しがちです。

一方で、リテールメディアは購買行動の直前に広告を届けられるのが特長です。ECサイトで商品を検索している時、公式アプリを開いてクーポンを探している時、すでに購買モードに入っているユーザーに対して広告を出せるため、その場で手に取ってもらえる可能性が高まります。アプローチのタイミングが正確であるほど、広告は単なる認知獲得ではなく、購買の後押しにつながる“実用的なツール”として機能するようになります。

若年層への訴求が届かない

画像引用:モバイル社会研究所 (2024年調査)

10代から30代の若年層は、テレビをあまり見ず、紙媒体にもほとんど接触しない傾向があります。彼らはスマートフォンを通じて情報を得て、SNSやアプリ内のコンテンツで興味のある商品を見つけています。つまり、マス広告では接点そのものが生まれにくく、いくら広告を打ってもそもそも見られていないという状況が起きています。

リテールメディアは、若年層が日常的に利用しているスマートフォンアプリやECサイト上で展開されるため、自然な形で目に入りやすくなります。たとえば、よく利用するドラッグストアのアプリに商品情報が表示されたり、買い物中にレコメンド広告が表示されたりすることで、無理なく情報に触れてもらうことが可能です。SNS広告のような「流れてくる広告」とは違い、購買と結びついたタイミングで接触できるため、広告に対する抵抗感も少なく、認知から購買までの距離が縮まります。

商品の魅力が十分に伝わらない

限られた尺やスペースの中で商品を紹介するのが従来の広告です。しかし、複雑な機能やストーリー性を持つ商品ほど、15秒のCMや1ページの雑誌広告では伝えきれないことが多々あります。視聴者や読者に印象は残っても、具体的に「どんな商品か」はわからないまま終わってしまい、結局購入にはつながらないというケースも少なくありません。

リテールメディアでは、動画・レビュー・商品詳細など多様な形式の広告展開が可能で、理解促進〜購買までの導線を設計しやすいのが強みです。

たとえば、アプリ内で使い方の解説動画を視聴した後、そのままクーポンが表示され、購入に進むといった流れも自然に設計できます。ユーザーが納得して買える状態をつくることで、満足度の高い購買体験につながり、リピート購入の促進にもつながります。伝えたい情報をしっかり届けるという点でも、リテールメディアは非常に有効な手段となっています。

【リテール(小売)側の事例】課題と成果

アプリDL後のアクティブ率が低下している

アプリをダウンロードしてもらうというミッションを乗り越えたその後に問題はあります。ユーザーがアプリを開かなくなり、通知も見なくなり、いつの間にか使われなくなってしまう。そんな“アプリの死蔵化”に悩む企業は少なくありません。

今後はアプリ側からユーザーへ、次のアクションを促すことの重要性が高まっていきます。

リテールメディアは、こうした状況に変化をもたらします。たとえば、アプリ内で期間限定の広告や特典を配信することで、ユーザーが「今日アプリを開く理由」を作ることができます。購入履歴や興味関心に応じた通知を送れるので、情報を受け取る側にもメリットが生まれます。

今後アプリ側からユーザーへ、次のアクションを促すことの重要性は高まります。

アプリが“売り場の延長線上にある存在”として機能するようになれば、ユーザーとの接点も自然と増えていきます。こうした日常的な利用の積み重ねが、アプリの価値を引き上げ、長期的な関係づくりへとつながります。

通知やクーポンだけでは収益化できない

多くの小売企業は、アプリを通じてプッシュ通知を送ることで来店や購買を促しています。タイムセールやクーポン配信など、即効性のある施策としては有効です。しかし、通知を送った回数や開封率だけでは、アプリそのものの収益性は判断できません。「販促ツール」としては機能しても、「利益を生む仕組み」としては難しいところがあります。

アプリ内広告を導入することで、広告閲覧やクリックがそのまま“副収益”となり、販促機能と収益機能の両立が可能になります。アプリ自体をメディアとして活用でき、これは単なる販促を超えた“収益モデル”の構築につながります。

こちらはARUTANAの実際の収益事例ですが、ドラッグストアのアプリへ2ヶ月間の配信をおこない、約880万円の収益が生み出されています。

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アプリのKPIが不明確で予算が確保できない

アプリ運用においては、成果をどう測るかが非常に重要です。しかし実際には、「アプリがどれだけ売上に貢献しているか分からない」「具体的な数値が見えず、改善の方向性も定まらない」といった声が多く聞かれます。このようにKPIが曖昧だと、経営層に施策の価値を伝えづらく、予算確保も難しくなってしまいます

リテールメディアを導入することで、アプリにおける広告閲覧数、クリック数、広告経由での購買行動など、具体的な数値をもとに成果を可視化することが可能になります。たとえば、「この広告を見たユーザーのうち何%が店舗に来店したか」「広告経由の売上はいくらか」といったデータが取れるようになれば、アプリ施策の説得力が一気に増します。

これにより、アプリが単なる販促ツールではなく、数値で成果を証明できるマーケティング資産としても認識されるようになります。

導入企業の事例と具体的な成果

最も気になるのは「本当に成果が出ているのかどうか」という点かと思います。

そこでここでは、実際にリテールメディアの活用に取り組んだ企業の具体的な事例を紹介します。導入の背景や施策の内容だけでなく、その結果としてどのような数値が得られたのか、変化がどこに現れたのかを見ていくことで、より実感を持ってその価値を理解できるはずです。

事例1:Amazon

Amazonは、ECの巨人であると同時に、近年では広告事業でも急成長を遂げている企業です。

2021年、Amazonは広告売上を初めて開示し、世界中に衝撃を与えました。通年で約311億ドル(約4.5兆円)の広告収入は、実店舗売上を上回り、同社にとって“広告が第3の収益柱”であることを示しました。

これは、購買行動の直前で広告表示できるという文脈性の高さと、同社の膨大なファーストパーティデータ活用による成果です。

Amazonの広告が強い理由は、商品検索や購入直前の場面に広告を表示できる「高い文脈性」にあります。さらに、同社はAppleのIDFA制限などの影響をほとんど受けず、ファーストパーティデータを活用したマーケティングで優位性を発揮しています。今後もこの分野の成長は継続すると見られており、リテールメディアの最先端を走る事例として注目されています。

関連リンク:Investor Relations – Amazon

事例2:マツモトキヨシ

マツモトキヨシは、店舗とデジタルの融合に積極的に取り組んでいる企業です。なかでも注目を集めているのが、Googleの広告ソリューションを活用した「Matsukiyo Ads」という共同販促モデルです。

これは、メーカーの動画広告などをYouTubeやディスプレイネットワークに配信しつつ、マツキヨの会員アプリやポイントカードと連携させることで、広告から来店・購買までの行動を可視化する仕組みです。

たとえば、マンダム「ギャツビー ボディペーパー」の動画広告キャンペーンでは、広告を見たアプリ会員のうち、約4%が実際に商品を購入するという高い成果を記録しました。施策前と比べると176.7%の伸長という結果となり、特に冷夏で全体の販売が伸び悩むなかでも、アプリ経由での購買が好調だったのは印象的です。

また、アンファー「スカルプD メディカルミノキ5」のケースでは、広告を配信した地域とそうでない地域で売上に35%の差が生まれ、広告の影響力を裏付ける結果となりました。単に広告を出すだけでなく、来店データと紐づけてPDCAを回す仕組みができていることが、成果の理由といえます。

参考記事:メーカーとマツキヨが共同販促「Matsukiyo Ads」  – 来店・売上ともにアップ – Think with Google

事例3:トライアルHD

トライアルHDは、リアル店舗とデジタルを融合させた「スマートショッピング体験」を構築していることで知られています。特に注目されているのが、実店舗のカートに取り付けられたタブレット端末を使った広告配信の仕組みです。このスマートショッピングカートでは、商品をスキャンすると、その場で関連商品のクーポンや広告が配信される仕組みが組み込まれています。

たとえば、牛乳を購入した顧客に対して「カゴメ ラブレ(乳酸菌飲料)」のクーポンを配信したところ、他のタイミングで配信した場合と比較して、売上に明確な差が出たと報告されています。この事例は、購買履歴と商品の相関性を活かした“行動ベース広告”の有効性を示す好例といえます。

このような施策を支えているのが、トライアルが保有する270億件以上のID-POSデータです。これにより、どの商品の組み合わせが購買につながりやすいか、どのタイミングでどの広告を出すべきかが緻密に分析され、リアルタイムで反映されています。

実際にスマートカートでお買い物をするお客様は、通常カートに比べて購入点数が1~2個多くなるという結果が出ています。

参考記事:事業者向けキャッシュレス導入成功事例集 -経済産業省

事例4:ツルハホールディングス

ツルハグループでは、2020年ごろからID-POSデータを活用した「ツルハAdプラットフォーム」を展開しています。蓄積した購買データをもとに、消費者の行動パターンに応じた最適な広告を分析し、会員向けアプリのプッシュ通知などを通じて有料で配信しています。

この取り組みにより、広告収入という新たな収益源が生まれただけでなく、広告配信によって店舗の売上向上にも寄与する効果が確認されています。

実際、マウスウォッシュ「リステリン」の広告を購買データに基づいて配信したところ、売上が130%に増加したという結果も報告されています。

ドラッグストアは医薬品以外にも幅広い商品を取り扱っており、購買データの種類も豊富です。そのため、リテールメディアとの親和性が特に高い業態とされています。

参考記事:DXを加速させるリテールメディアの構築 – 経済産業省

実際の収益ケースなど、Webに書けない事例も多く存在しています。詳しくはぜひお問い合わせくださいませ

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リテールメディアプラットフォームが提供する未来

Cookie規制や広告効果測定の難しさが増す中で、リテールメディアは、広告主と小売の両方にとって信頼できる新しい選択肢になりつつあります。

私たちが提供する ARUTANA(アルタナ) は、小売企業の公式アプリを横断して広告を配信できる、国内唯一のリテールメディアプラットフォームです。

現在、月間アクティブユーザー(MAU)は約4,050万人、対象店舗は約48,000店舗に拡大しています(※2025年5月現在)。

これからリテールメディアを本格的に活用したい企業様へ。ARUTANAは、可視化・収益化・最適化を支える基盤として、導入から伴走支援まで提供しています。ぜひお気軽にご相談ください!

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