神田昌典氏「時代が変わるタイミングで活躍するのは30代や40代。新しい時代を切り開くために仲間と同盟せよ!」

 Post by MML編集部
前回に引き続き、講演の模様をお届けする。「日本は170年サイクルで時代が変遷し、時代が変わるタイミングで活躍するのは30代や40代」。坂本龍馬など、幕末の英雄から生き様を学び、現在の組織に通用する方法を提言。そして、マーケティングオートメーションを活用した新たな改革方法を提案した。
経営コンサルタント・作家 神田 昌典氏
本記事は、マルケトが主催する世界最大級のマーケティングカンファレンス「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」より、経営コンサルタントで作家の神田 昌典氏から「『デジタル×アナログ=文理融合』で変革するマーケティングと営業」と題した講演の模様をお届けする。

CMOは男性と女性、どちらがいいのか?

マーケティング活動を融合し、そして統合し、リーダーシップを握っていく人材というものは、誰がふさわしいのだろうか。 神田氏は、メルボルン大学の客員教授マグリットソン氏が脳科学的な観点から考察した、「男性と女性はどちらがマーケターとして優れているのか」という内容のブログを引き合いに出した。 ブログによると、男性の脳と女性の脳を取り出して調べて見た結果、男性の脳は女性よりも10%大きく、処理する脳神経細胞が5%多いことが分かった。 女性の脳は小さいが、男性より情報プロセスを行う部位が 20%多いため、直観力や洞察力が非常に優れている。 男性も女性も、生まれてから脳の発達は一緒なのだが、男性は 8歳になると男性ホルモンによって、男性固有の脳の部位が発達する結果、コミュニケーションの発達が阻害されてしまう。 女性はそれが無いため、8歳以降もコミュニケーション能力が秀でてくる。 加齢と脳の関係を見ると、女性の脳は男性よりも脳の血流スピードが多く、その結果、脳の老化現象の始まりが遅い。 男性の脳は、45歳を過ぎると特に左前頭葉の脳繊維が減少する。その結果、トータルに物事を見たり、客観的に物事を見たり、自分自身の思い込みが激しくなったり、自分の話しか しなかったりする症状が現れるという。 「現在のマーケターは、洞察力やコミュニケーション能力が必要だということは、皆さんよくお分かりだと思います。 脳科学的な観点でみると、優れているのは女性だということになります。 そして、45歳以上の男性は年齢とともに 自分の話しか しなくなる。 マーケターはこれでいいのでしょうか?」。 「日本の上場企業の中でもここ数年、CMOというポジションを作る会社が増えてきました。現在、日本の女性役員比率は 3.3%しかありません。 そしてアメリカが 19%、イギリスが 23%。 会社の意思決定に重要な役割を果たすマーケター、ここに女性が入れば日本の会社は変わると思うのです。 なんて話すと男性の皆さんから反発を買うかもしれません。 しかし、日本のことを考えれば身を引くべき時です というのが私の真摯な意見です」。

時代が変わるタイミングで活躍するのは30代・40代

「さて、大きな時代の流れを示しますと、だいたい170年サイクルで時代の変遷というものを見ておりまして、私は時代予測を経営者にお伝えする仕事をしています。 これは渡部昇一先生と共著で出版した『日本人の成功法則』に書かれているものですが、時代が変わるタイミングでは活躍するのは 30代もしくは40代です。 正確には42歳で、それ以外はございません」。 「その人たちが新しい志を掲げることによって大きく時代が変わります。 坂本龍馬、西郷隆盛、吉田松陰、福沢諭吉、これは当時みんな 30代でした。 全権委託をされていない、藩の中でたまたま影響力のあった人たちが集まって、同盟を組んだのです。 おそらく同盟を組んだその段階では、これを朝廷に持って行っても相手にされないだろうなと考えていたと思います。 しかしそれがきっかけで、歴史が動いてしまった」。 「何を言わんとしているかというと、肩書なんていらない、誰の後ろ盾もいらない、要は同盟を組めということです。 私どもはトップから経営コンサルに入るケースがあるのですが、ある上場企業は、この2年間で株価が約4倍になりました。 その理由は、中間管理職で動かない人たちが自然にいなくなったからです。 そして30代・40代が結束を組んで、部署間をまたぐような組織を勝手に作りました」。 「要するに、組織の動きに歯止めをかけているところを、待った無しで取り除かなければいかない ということです。 ここにいる30代・40代が同盟を組んで、改革を起こしていかなければいけない。 時代サイクルは、必ずそのように回っています」。

50代が活躍する方法とは?

「では、50代はどうすればいいの? 50代は捨て石か? はいそうです。 実は、50代はすごく重要な役割があるのです。 それは何かというと、提言3『“イケてる上司” は盾になれ!』。 マルケトを日本に持ってきた投資家のアレン・マイナー氏が日本に浸透した歴史を見ると、イケてる上司が、まず初めに改革をやり始めたのです」。 「だいたい50代というと、デジタルネイティブではないので、どんなにがんばっても無理です。 一番いいのはデジタルネイティブの世代を使うことです。 味方に付けて、応援することによって、自分が出世するのです。 捨て石とはそういうことですよ、自分が捨てられるのではなくて、捨て石になることで大いに持っていくという話ですから、賢く考えない、だからしがみつく、盾になる。 こういうことが私の提言です」。

社内の同志をつなぎ合わせる「マーケティングオートメーション改革」

「そんなこと言うけど、うちの会社は大きくてそんなこともできないですよ、と言うかもしれません。 しかし我々のマーケティングオートメーションは素晴らしいツールです。 いったい何かと言うと、社内に対してメールが送れるのです。 社内に対して、誰がこの変革に対して積極的なのか、誰がこの新しいプロジェクトに積極的なのか、開封率や訪問数、動画閲覧数からチェックできます。 すなわち、社内の同志をつなぎ合わせるマーケティングオートメーションができるのです」。 「マーケティングオートメーションというのは自分のビジョン、会社にとって必要なビジョンを短期間で実現するための確実なツールです。 ですから顧客に使おうとすると、いろいろなレギュレーションがあって大変なことになります。 しかし、今日学んだことを社内に広めようと思った瞬間に、そのためのツールが全て用意されています。 このツールの有用性が分かるからこそ初めてトップが動く、そういう可能性を秘めています」。 「我々は、給与とか出世のためにやっているのではなくて、我々の子供たちがアジアの競争の中で、非常に大変な世の中を過ごすか、それとも我々が新しい時代を切り開くリーダーとして立つことによって、子供たちはそれぞれの才能を発揮できる世の中が、準備できるかにかかっています」。 「マーケターというのは最高の職業だと思っています。 会社の中の矛盾やおかしな点を果敢に変革し、その結果、我々の子供たちが本当に誇りを持って働きたいと思う会社作りを、ぜひ共に行っていきたいと考えています。 今回はご清聴、誠にありがとうございました」。