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【保存版】全36社!食品スーパーの公式スマートフォンアプリ事例まとめ

 Post by MML編集部

ここのところ食品スーパーの公式スマートフォンアプリ公開のニュースが増えているようです。

2016年3月、全国で170店舗以上を展開する大手スーパー「ダイエー」は、2012年に公開した店舗アプリをリニューアルし、便利でお得なアプリへと生まれ変わりました。

また2016年7月、関東地方で約150店舗を展開するスーパーマーケット「ヤオコー」は、アプリ上から「ヤオコーカード」が提示できる会員証機能や、各店舗の最新チラシが読める機能、店舗検索ができる公式アプリを公開しました。

これまで中堅大手が中心となっていた公式アプリ開発のすそ野が、数十店舗規模のチェーンにまで拡がり一般化しつつある点も、昨今の傾向と言えるでしょう。

そこで今回は、急速に増えつつある食品スーパー業界のアプリ公開状況を一斉調査しまとめてみたいと思います。これからアプリ開発をご検討のスーパー・小売業のご担当者様は、ぜひご参考いただければと思います。

1.食品スーパーの販促の現状ーなぜ公式アプリが増えているのか?

1.折込チラシへの依存と効果の低下

最初に、食品スーパー業界の販促の現状について、簡単に解説をしてみたいと思います。

これまで食品スーパーの販促予算の中で最も多くを占めていたのは新聞折込チラシであったと考えられます。その費用負担はスーパーの運営経費のうち地代・家賃に次ぐ2位とも言われている他、船井総研さんの某コラムには地方の平均的な規模のスーパーが折込チラシにかけている年間のコストが3,000万円と紹介されるなど、薄利な食品スーパーにとって非常に大きい費用負担になっている実態が分かります。

しかしながら近年の新聞購読率低下により、折込チラシの費用対効果低下が懸念される状態になってきました。総務省が2014年4月に公開した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、新聞購読率は20代で9.2%、30代でも25.3%程度と言われており、特に若い世帯に対するリーチが十分に期待できない状況が懸念されています。

情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(2014年4月)_

情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(2014年4月)

2.電子チラシサービスによる代替模索

そのような中、各社は折込チラシの次の販促手段を模索し始めています。代表的なものとして、凸版印刷のシュフーに代表される電子チラシサービスの展開が挙げられるでしょう。この分野には他にも、ニフティのシュフモやクックパッドの特売情報など、業種を問わず多くの企業が参入しており、店舗側の利用も徐々に一般化しつつあります。

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シュフーチラシアプリ

しかし、電子チラシサービスの掲載費用も、シュフーの場合で1アクセスあたり10円(※スタンダード型メニューの場合)と、紙のチラシと変わらないコストがかかります。

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『「電子チラシお届けサービス」のご紹介』より抜粋

成果報酬型である点は折込チラシよりメリットがあるものの、決して安くない費用負担であると言えるでしょう。

3.自社ブランドアプリの登場-GUではチラシをほぼ廃止

それらの課題を解決する手段として、「自社ブランドの公式(チラシ)アプリの展開」が、近年注目を集めています。

業種は違いますが、同じく折込チラシに多額のコストをかけていたアパレルのGUでは、2012年に自社ブランドアプリの展開を開始し、積極的なキャンペーン施策により1,100万人ものモバイル会員を獲得。アプリだけでも十分な集客効果を発揮する事が可能になった事から、現在では折込チラシをほぼ廃止していると言われています。この成果は年間200億と言われる折込チラシ費用をかけているグループのユニクロでも注目されており、チラシの廃止検討の噂が以前より複数のメディアで指摘されています。

自社アプリは折込チラシ等の「ペイドメディア(費用のかかるメディア)」に対し、「オウンドメディア(自社で所有するメディア)」に位置付けられるものであり、新たな費用負担なくチラシの配信が可能になる事から、大幅なコストダウン効果が期待できます。

これら自社アプリ公開の動きは食品スーパーでも拡がっており、2012年に業界の2トップであるイオンとイトーヨーカドーがチラシアプリを公開したのを皮切りに、現在では数十社がアプリを展開するに至りました。早速各社のアプリ公開状況をチェックしてみましょう。

2.食品スーパーの公式スマートフォンアプリ事例一覧

下記はモバイルマーケティング研究所が調査した食品スーパーの公式アプリ事例一覧です。調べただけで実にこれだけのスーパーが、アプリを公開している事が分かりました。

食品スーパーの公式スマートフォンアプリ事例一覧

No 企業名 アイコン アプリ名 対応OS 公開日
1 イオン イオンチラシアプリ iOS Android 2012/08
2 セブン&アイ イトーヨーカドーアプリ iOS Android 2012/01
3 ユニー ユニーチラシアプリ iOS Android 2013/10
4 ダイエー ダイエーアプリ iOS Android 2016/03
5 イズミ ゆめタウンアプリ iOS Android 2012/11
6 ライフ ライフアプリ iOS Android 2016/08
7 平和堂 平和堂スマートフォンアプリ iOS Android 2013/09
8 イズミヤ イズミヤチラシアプリ iOS Android 2013/06
9 マルエツ マルエツチラシアプリ iOS Android 2013/01
10 フジ フジのアプリお得チェック iOS Android 2013/11
11 オークワ オークワアプリ iOS Android 2014/01
12 ベイシア ベイシアお得アプリ iOS Android 2014/08
13 いなげや いなげや公式アプリ iOS Android 2012/03
14 カスミ カスミチラシアプリ iOS Android 2012/06
15 東急ストア 東急ストアアプリ iOS Android 2013/12
16 エコス エコスアプリ iOS Android 2013/2/02
17 マルキョウ マルキョウ iOS Android 2013/12
18 東武ストア 東武ストア チラシアプリ iOS Android 2013/04
19 オーケー お友達宅配 iOS Android 2017/07
20 小田急 Odakyu OX アプリ iOS Android 2014/08
21 北雄ラッキー e-Cook Luck iOS Android 2014/04
22 ビッグハウス ベルプラス・ビッグハウスアプリ iOS Android 2014/04
23 阪急オアシス 阪急オアシス iOS Android 2014/02
24 三心 スーパー三心 iOS Android 2013/11
25 さえき さえきアプリ iOS Android 2013/03
26 ニシムタ ニシムタ iOS Android 2013/03
27 Aコープ関東 Aコープ関東アプリ iOS Android 2013/05
28 セレクション セレクションアプリ iOS Android 2013/06
29 マルイチ マルイチ iOS Android 2014/02
30 リョービプラッツ リョービプラッツアプリ iOS Android 2013/05
31 ヤオコー ヤオコーアプリ iOS Android 2016/07
32 かとりストア かとりストア iOS Android 2013/09
33 NISHIYAMA NISHIYAMA iOS Android 2014/04
34 マックスバリュー九州 マックスバリュー九州 iOS Android 2017/01
35 関西スーパーマーケット 関西スーパー iOS Android 2016/06
36 マルミヤストア マルミヤストア公式アプリ iOS Android 2016/12

※2017年8月時点、モバイルマーケティング研究所調べ
※公開日はiOS版。AppStoreのバージョン履歴を参考とした。
※公開されている直近期の売上高(下位の売上不明企業については一部店舗数により代替)を元に並べる形とした。

3.主なアプリの機能・画面構成

これらのアプリのうち主要大手及び特徴的な事例について、アプリの画面・機能についても見てみましょう。

1.イオンチラシアプリ

スーパー最大手イオンのチラシアプリです。全国のイオン・マックスバリュ店舗のチラシが掲載されています。「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新後1時間で届くチラシの更新通知(プッシュ通知)」など一般的な機能のほか、イオン関連サイトの閲覧などができるようになっています。

なお同社ではチラシ以外の販促機能を集約した「イオンお買い物」という別アプリも展開しています。こちらでは、ネットショップや各種情報のほか、音声や写真により店頭商品の情報を取得できる機能など、高度な機能が複数備わっているようです。

2.イトーヨーカドーアプリ

イトーヨーカドーのアプリです。2012年1月と、今回取り上げるアプリの中で最も早いリリースとなっています。「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新通知」など一般的な機能のほか、ネットスーパーへのリンク(外部ブラウザ)や、販売しているランドセルを子供の写真と合成できる「お試しカメラ」機能などが追加されています。

3.ユニーチラシアプリ

全国でアピタ・ピアゴを展開するユニーグループのアプリです。「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・ネットショップ・更新通知」等の一般機能が中心となります。初回起動時にGPSをONにすると、自動的に最寄りの店舗がリコメンドされるようになっているようです。

4.ダイエー公式アプリ

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ダイエーのアプリです。こちらも主な機能は「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新通知・ネットスーパー・チラシ」等です。GPSでの最寄り店検索には対応が望ましいように感じました。

7.平和堂スマートフォンアプリ

近畿圏に「平和堂」「アル・プラザ」等を展開する「平和堂」のアプリです。一般的な「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新通知」機能のほか、ポイントカード「HOPカード」の情報を登録する事でクーポンを取得する事ができるようになっています。ネットショップへのリンクは非設置となっています。

10.フジのアプリお得チェック

四国・中国エリアに98店舗を展開するフジのアプリです。一般的な「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新通知」等の機能のほか、ポイントカード連携機能やクーポン機能、店舗別のお知らせ機能等が備わっています。年齢・性別・郵便番号等の属性情報を登録するアプリ会員登録機能があり、マーケティングに活用しているようです。

12.ベイシアお得アプリ

関東を中心に123店舗を展開するベイシアのアプリです。一般的な「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新通知」等の機能のほか、ネットショッピングやキャンペーン情報等のリンクが設置されています。また、年齢・性別・郵便番号等の登録画面があり、ユーザー固有のバーコードが掲示されています。使い方には、属性情報に応じたクーポンの配信等が今後準備されているようです。

23.阪急オアシス

関西エリアで23店舗を展開する「阪急オアシス」の公式アプリです。「店舗検索・お気に入り登録・チラシ・更新通知」のほか、お知らせ・レシピ情報や、モバイル会員限定のクーポンなどが提供されています。

4.食品スーパーの公式スマートフォンアプリの傾向と今後

各社のアプリの分析を通じ、食品スーパーのアプリに共通するいくつかの課題・傾向が分かりました。そのポイントに触れると共に、今後の方向性についても考えてみたいと思います。

1.チラシ以外の販促機能がないアプリが多い

当ブログではこれまで店舗展開を行う様々な業種のアプリを取り上げてきましたが、食品スーパーのアプリに共通する傾向と言えるのが、「チラシ以外の販促機能がないアプリが多い」という点です。

たとえばアパレルのユニクロGUや小売業の無印良品などでは、チラシ機能に加えて「クーポン」「スクラッチ」「ジオフェンシング」「チェックイン」といった店舗への集客機能や、「ポイントカード/会員証」「オンラインストア連携」「店舗在庫検索」「バーコードスキャン」などのオムニチャネル・EC販促機能などが実装されています。

しかし食品スーパーの公式アプリでは、チラシ機能のみを提供し、それ以外の画面は単なるウェブリンクとなっているようなアプリが多く(例:イオン、ユニー、ダイエー、ゆめタウン、ライフなど)、アプリのポテンシャルを十分に発揮できていないように感じられました。

セブン&アイHD元会長の鈴木敏文氏の発言などからも、「オムニチャネル」強化の流れはスーパー各社にとって避けて通れないテーマとなっています。今後の開発・公開にあたっては、冒頭で触れたベイシアの例のように、チラシ機能以外の多用な販促機能の活用や、オンラインストア・ポイントカード等との連携などを通じ、アプリの持つポテンシャルを最大化させていく視点が必要と言えるでしょう。

2.チラシの提供に外部の有償サービスを利用している場合が多い

冒頭で触れた通り、公式スマートフォンアプリはホームページなどと同様、自社で所有する「オウンドメディア」の一種です。しかし食品スーパーの各アプリをチェックしてみると、チラシ機能の提供にペイドメディアの一種である有償の電子チラシサービスを活用している場合が多く、オウンドメディアの持つ「低コスト」という特徴を十分に発揮しきれていないケースが多いように感じました。

電子チラシサービスの流用には、原稿管理のしやすさなどのメリットもある一方、掲載企業はチラシの詳細画面が表示された場合に応じて課金が発生するというデメリットがあります。アプリ上から自社のウェブサーバー上のチラシデータにリンクを貼れば、ほぼ追加コストなしでチラシを提供することができ、長期的に見て大幅なコストダウンを図る事ができます。

今後アプリの改修/開発を行う際には、両方の選択肢を長期的な視野で考慮したうえで判断を下す必要があると言えるでしょう。

3.チラシがスマホの画面サイズに最適化されていない

またそもそもの問題として、一般にB4サイズ紙の大きさに合わせて作成される折込チラシは、スマートフォン画面での表示に適していないという課題があります。

例えば電子チラシサービスの「チラシル」では、紙のチラシをそのまま電子化した「シュフー」などに対し、特売情報をスマートフォン画面に最適化して1品ずつ表示するUIを採用しています。このUIは所謂「モバイルファースト」の概念でチラシの見やすさを再定義した結果と言えるでしょう。

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同種の概念は弊社が開発している「ニトリアプリ」のチラシ機能などにも採用されており、スマートフォンの画面サイズに合わせ、尚且つオンラインストアの商品購入ページにリンクさせた独自のチラシが掲載されています。

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ニトリアプリ チラシ(赤枠部分がECサイトにリンク)

サミットネットスーパーの「お買い得商品」画面なども、同種の概念でスマートフォンに合わせ設計されたものと想定されます。

若年層主体のGUなどと違い、食品スーパーが紙のチラシを廃止することは時期尚早と言えるでしょう。そのような中管理の手間を考慮し、折込チラシと同一の原稿をスマートフォンアプリでも使いたいという事情があるのかもしれません。

しかしながら、見やすさは最終的な購買率に一定の影響を与えているものと想定されます。今後の開発/改修にあたっては、最終的な売上最大化を考慮した場合に、スマートフォンに最適化したチラシ機能の画面UIを改めて検討していく必要があるのではないでしょうか。

以上が主な傾向となります。食品スーパーは他業種に比べ比較的アプリ化の進んでいる業種と言えますが、総じて「折込チラシの延長線上」の発想で開発されたアプリが多い、という課題も見えてきました。今後の改修にあたり、当記事が仕様検討の参考になれれば幸いです。

また以下などのように、まだアプリ公開をしていない大手チェーンも少なくないようです。

公式アプリ未公開の主な食品スーパー(※)

 マックスバリュー(九州除く) 大黒天物産
アークス ハローズ
バローHD アクシアルリテイリング
ヤマザワ 神戸物産(業務スーパー)
リテールパートナーズ(丸久) サンエー
Olympicグループ ベルク
アオキスーパー

※2016年度、年商1,000億円以上の食品スーパーを対象とした。

これからアプリ開発をされる企業様におかれましても、当記事が開発方針検討の参考になれば幸いに存じます。