商品を購入するとき店頭で「ポイントカードはございますか」と言われてすぐにカードを出せなかったり、財布に入れても場所がかさばって、うまく管理できなかったりすることがあります。最近では、スマートフォン端末1つに会員カード情報をまとめアプリ化できる「ポイントカードアプリ」が登場しています。国内の共通ポイントカード、自社ポイントカードをまとめました。
ポイントカードアプリとは?
カード形式のポイントカードをスマートフォンで利用できるデジタル会員証のことです。商品決済時、店頭でスマートフォンを提示するとカード形式と同じようにポイントが蓄積できるメリットがあります。店舗ごとにオリジナルのポイントカードアプリを提供しておりますので、使いたいアプリをダウンロードすれば利用できます。
おすすめのポイントカードアプリ
共通ポイントカードアプリ
では実際、公式のポイントカードはどれくらいあるのでしょうか。その前にポイントカードアプリの種類をご紹介いたします。まずは共通ポイントカードアプリです。これは加盟している企業で共通して利用できるポイントカードになります。
- Tポイント、Pontaカード、dポイントクラブ、楽天ポイントカード、スマホサイフ、カタリナ、三井ショッピングパーク、ショプリエ、JRE POINT、Stamps
上記のように、有名なところでは「Tポイント」や「Pontaカード」、「dポイントクラブ」などがあります。今回は「楽天ポイントカード」アプリを例に、どのような機能があって、どのように使えるのかについてご説明します。
アプリを起動したら、楽天会員の情報でログイン。商品を購入時、店頭にバーコードを提示すると楽天ポイントが貯まります。溜まったポイントはアプリ上で管理でき、期間限定ポイントの有効期限がチェックできます。貯めたポイントは1ポイント1円で利用できます。
各サービスによって加盟店の種類や数、ポイント数などに違いがあります。
自社ポイントカードアプリ
続いて、店舗独自のポイントカードアプリです。これは店舗が提供している会員カードの番号や登録情報を公式アプリに入力すると、会員カードと同じように店頭でスマホを提示するとポイントが貯まる機能です。
共通ポイントカードを利用するデメリットは、サービスが提供する情報しか収集することができず「この情報がほしい」と思っても追加で収集することはできません。サービスを解約した場合、今まで取得した情報は引き継げず、消されてしまうサービスもあります。
また、共通ポイントカードはASPとなるため、そこから応用したサービスへと発展させていくことも難しくなります。そういった2つの理由から、自社独自でポイントサービスを運用する会社も出ています。今回は、共通ポイントを利用していない企業やブランドを以下にまとめました。
小売・雑貨系
「無印良品」や「ニトリ」など、多くの小売業でポイントカードアプリを提供しています。お客様が継続的に来店することから店舗のファンが多い業界です。そのため会員証を活用したポイントカードアプリとの親和性も強いといえます。
- 無印良品、ニトリ、IKEA、タワーレコード、ABCマート、ゲオ、カインズ、アカチャンホンポ、Francfranc、トイザらス、FANCL、コメ兵、ディズニーストア、ブックオフ、THE BODY SHOP、トレジャーファクトリー、じぶんまくら、WonderGOO、タックルベリー、オカダヤ、USVなど
アパレル系
小売業と同じようにアパレル系でもポイントカードアプリを提供しています。他の業界と比べてポイントカードの提供割合が高いのですが、これは企業のほか各ブランドからも公式アプリを提供していることから混戦模様となっています。
- UNIQLO、GU、ビームス、ユナイテッドアローズ、nano・universe、ベイクルーズ、WEGO、tutuanna、GUESS、バーニーズニューヨーク、TOMORROW LAND、Honeys、スーツのAOKI、洋服の青山、スーツのはるやま、P.S.FA、フォーエル、モリワン、Motherways、ORIHICA、タカキュー、J.FERRY、coen、グローバルスタイル、OSADA、ペルルペッシュ、TONAL、マツオインターナショナル、JAM HOME MADE、WORLD、CENO.JPなど
カラオケ・漫画喫茶
カラオケや漫画喫茶の業界は、以前から会員証を使ったCRM戦略を展開していました。今回、スマートフォンを活用したアプリ戦略へ移った時、ポイントカードアプリを導入したという背景があります。
- ビッグエコー、カラオケBanBan、ジャンボカラオケ広場、カラオケ館、JOYSOUND、コロッケ倶楽部、カラオケルーム歌広場、カラオケレインボー、ラウンドワン、自遊空間、アイ・カフェ、快活CLUB、バグース
家電量販店
家電量販店についても、カラオケや漫画喫茶同様、会員証を使ったCRM戦略を展開しています。他の業界と比べて購入単価や購入頻度も高く、ポイントの還元率も高いですから、お客様はポイントカードが手放せない状況となっており、アプリを使う方も多くなっています。
- ヤマダ電機、ビックカメラ、コジマ、ヨドバシカメラ、ケーズデンキ、エディオン、ノジマ、ドスパラ、ジョーシン
総合スーパー
総合スーパーは、会員証を取り扱っている企業と取り扱っていない企業があるため、ポイントカードよりも、デジタルチラシに力を入れている企業アプリが多いです。利益率が低いため、なかなかポイントに力を入れることができないというのが本音だと思います。
- イトーヨーカドー、ドン・キホーテ、ヤオコー、セイコーマート、いなげや、ミスターマックス、リカーマウンテン
美容・ドラッグ
美容・ドラッグ系も総合スーパーと同じく、小売業で利益率も低く、なかなかポイントに力が入れられない業界です。ドラッグ系の場合、お客様は1つの店舗に絞らず、さまざまな競合店に渡り歩きますが、美容系は1つに絞る傾向が高いといえます。そのため、会員証があれば、来店頻度を上げるツールとして役立ちます。
- クオール薬局、コクミン、薬王堂、ミス・パリ、美容室UNIX、ANIMAhair
飲食系
飲食系の場合、自社で製造・販売を行うことから、小売業よりも利益率が高いといえます。しかし飲食系のお客様は、さまざまな競合店へ渡り歩くことから、会員証が強力なツールになります。ブランド力のある飲食店は、ポイントカードアプリを作ることが今後、継続的な売上を伸ばすツールになります。
- ケンタッキー、クリスピー・クリーム・ドーナツ、あみやき亭、ココス、PABLO、シャトレーゼ
スポーツ系
外資系のスポーツ用品販売店などの企業は、会員証を提供しており、それに合わせてポイントカードアプリを提供しています。しかし他の業界と比べるとまだ会員証の割合は少ないようです。サッカーチームはブランド力があり、ファンは何度も競技場へ来場するため、会員証を使うと大きな効果が生まれます。
- 共栄スポーツ、ウィンザーラケットショップ、つり具のブンブン、キャスティング、ミズノ、ハヤサカサイクル、大宮アルディージャ、福山ローズファイターズ
コンタクトレンズ販売
コンタクトレンズは同じ店へ何度も足を運ぶことから、会員証を提供している企業が多いです。そうしたことから、ポイントカードアプリを提供している企業も見受けます。しかし地方のチェーン店ではまだアプリへ導入している企業が少ないため、今後増えていくことが期待されています。
- アイシティ、メルスプラン、シティコンタクト
宿泊・交通
宿泊業界は、有名な比較サイトやレビューサイトに頼っているため、会員証の導入まで至っている企業も少ないようです。JAFについては以前から会員証やポイントプログラムを提供していたことから、自然とアプリ化に進んだのではないかと思います。
- アパホテル、大江戸温泉物語、JAF
ポイントカードアプリのデメリット
このように多くの企業がポイントカードアプリを導入するには大きなメリットがありますが、逆にデメリットも存在します。アプリストアのレビューを見ると以下のコメントが散見されます。
- アプリの起動が遅い
- 起動しても何度か押さなければ表示されない
- 毎回、IDとパスワードを聞かれる
- アプリがクラッシュする(落ちる)
- 起動しても画面が真っ白
ポイントカードアプリは商品購入時、レジですぐに表示させるべき機能です。それゆえ遅延やクラッシュなどが発生すると店員や後ろに並んでいるお客様に迷惑がかかり、店舗の信頼を落としかねない事態となります。
機種変更した場合の引き継ぎ方法
スマートフォンを機種変更した場合、どのアプリを再び利用するのか選択する必要があります。とくに会員証として利用できるポイントカードアプリはなおさらのことでしょう。では機種変更した場合、ポイントカードは引き継ぐことができるのでしょうか?
多くのポイントカードアプリの場合、アカウントIDやパスワードを入力すると会員証が表示される形式となっているため、そのまま引き継ぐことが出来ます。ご自身が利用されているポイントカードは大丈夫なのか不安な方は、対象アプリのFAQをご覧ください。
ユナイテッドアローズの事例
宣伝会議が主催する「インターネットマーケティングフォーラム2017」より、ユナイテッドアローズの高田 賢二氏が登壇し、自社ハウスカードの取り組みについて語りました。
現在ユナイテッドアローズでは、自社ECと実店舗の両方で使えるハウスカードを提供しています。高田氏の話によると、自社ECと実店舗を利用しているお客様の年間購入額は、自社ECのみを利用されているお客様の約5倍も高いとか。
お客様のお金の使い方、商品の買い方、ファッションの価値観も時代に合わせて変わってきていることから、ユナイテッドアローズもECや実店舗を含めてシームレスなチャネルを開発し、タッチポイントを増やしていくことが大切だと語っています。
ニトリの事例
ニトリホールディングスは、2018年2月期決算説明会を開催しました。ポイントカードに関連した話を抽出すると、通販事業では、通期で売上高前期比135%の305億円となりました。上期にかけて、商品画像やトップページのリニューアル、「ニトリアプリ」の利便性向上などに取り組んだ結果、第4四半期では139.8%と大きく増加しました。
通販事業が急成長しているのであれば、店舗を縮小して通販事業に力を入れれば、さらに売上が増加するのではないかと思います。
しかし、ニトリホールディングスの白井 俊之社長は、自社アンケートを取った結果、通販で購入するお客様は、実店舗で商品を見て・触ってから通販で購入する人がまだ多い状況のようです。この2つがあるから、相乗効果が生まれるわけです。
ニトリでは、実店舗で商品を見て・触ってから、商品バーコードを公式アプリで読み取り、通販サイトで商品購入する「手ぶらdeショッピング」を提供しています。また、メンバーズ会員限定で、通販サイトで購入した商品を配送センターで受け取るとポイントが貯まるキャンペーンも実施しています。
これらの施策は、共通ポイントカードではなかなか実現しません。このように、自社ポイントカードを活用してお客様を仲間にし、そこから利用回数を促進できるような満足できるサービスを提供することで、企業の売上に貢献できるものに変化していくのではないかと思います。
ポイントカードアプリを作成したい場合
ポイントカードアプリを作成または開発するためには、ポイントカードシステムを構築する必要があります。カード形式のポイントカードでもIDやパスワードを持っていないサービスもありまして、それらはセキュリティの関係上ログイン情報を持っておく必要があります。
システムが構築できたあと、APIを発行してアプリと連携し表示できるようシステム改修を行います。自社でシステムを持っておらず、協力会社にシステムを委託またはポイントカード会社を利用している場合は、その会社に利用できるかご質問ください。
当サービス「ModuleApps」でも、ポイントカードアプリを作りたいがどうしたらいいのか分からないというご相談を受けることがあります。その際、完成予想図のご提案からポイントカードのシステム会社との打ち合わせ、アプリの開発、グロース(成長)を見据えたアプリ運用までを行っていますので、お気軽にご相談ください。