10月4日、公益財団法人日本デザイン振興会は「2017年度グッドデザイン賞」の受賞作品を発表しました。今回、デザイン性や操作性などに優れた1,403件の中から、特にスマートフォンアプリの作品13件をピックアップしました。
日本経済新聞 電子版アプリ / 紙面ビューアーアプリ
受賞企業:株式会社日本経済新聞社
日本経済新聞 電子版アプリ、日本経済新聞 紙面ビューアーアプリはデジタルによる新しいニュース消費体験と、根強く続く紙の新聞を読む体験の「両方」をこれらのアプリで提供しています。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
デジタルに特化したニュースの提示法と、紙の新聞の提示法の「両方」を同時に提供している新しい新聞体験。「電子版アプリ」は、操作性を考慮したボタン類の配置などシンプルだが使いやすい環境を実現している。新聞の紙面ビューアーは幾つかあるが、操作性や表示速度等に優れ、圧倒的に使いやすい。シンプルだが違和感なく紙の新聞より便利。紙面に慣れた読者、年配の読者に配慮している。
http://pr.nikkei.com/campaign_event/201604_appcp/
http://pr.nikkei.com/lp/1304/
みえる電話
受賞企業:株式会社NTTドコモ
通話相手の発話内容がリアルタイムに文字表示され、スマートフォン画面上で閲覧できるサービスです。聴覚障がい者をはじめ耳の聞こえづらい方々が、緊急通報といったトラブル対応等でやむなく電話が必要となるシーンで非常に困っている実態に着目し、本サービスをデザインしました。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
通話相手の発話内容がリアルタイムに文字表示され、スマートフォン画面上で閲覧できるサービス。発話を文字に変換する性能も良く、また通話相手が話をしている状態を受け手に示す工夫もあり、細部まで良く検討されている。このサービスが普及し、聴覚障がい者など耳の不自由な方の社会進出が支援されることを期待します。
http://mieru-denwa.idc.nttdocomo.co.jp/
グリコード
受賞企業:江崎グリコ株式会社、株式会社電通、株式会社電通テック、Google ZOO、株式会社BIRDMAN、株式会社ココノヱ、株式会社ロボット、株式会社ワンダラス
GLICODEは、おかしを使ってプログラミングの基礎的な考え方を学べる、学習用アプリケーションです。おかしを並べてカメラで読み込むと、おかし1つ1つがコードに変わり、アプリケーションの中のキャラクターを動かすことができます。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
次の時代のプログラミング学習の敷居を下げつつ、子どもにとって興味がある「お菓子」を使ってそのプロセスを始めてもらう施策は素晴らしい。プロモーションとしてだけではなく、サービスとして継続してもらいたい。
http://cp.glico.jp/glicode/
じぶん銀行スマートフォンアプリ
受賞企業:株式会社じぶん銀行
銀行の窓口やATMは「みんな」で使うものですが、スマホアプリは確実に自分のもの。まさに「じぶん銀行」。アプリそのものを「自分のもの」「自分ごと」に、どんどん寄せていきたいと考えました。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
ゴチャゴチャしたプロダクトの多い銀行系のアプリ・ソフトウェアにおいて、ここまで機能や要件を整理して再構築したことは素晴らしい。また単なる銀行アプリにとどまらない、実験的な施策が盛り込まれている点も興味深い。一方でいくつか課題は残るため、今後の改善を期待したい。
http://www.jibunbank.co.jp/service/jibun_app/
母子健康手帳アプリ
受賞企業:NPO法人ひまわりの会、株式会社NTTドコモ、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
妊娠・出産・赤ちゃんの成長を正しく学ぶアプリ。 妊娠週数や月齢に合わせて「赤ちゃんの成長に合せたコンテンツ」を毎日お届けします。各種健診や予防接種記録など、紙の母子健康手帳の記録をすべてクラウド保管。 紙の母子健康手帳と一緒に使って欲しいアプリです。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
出生証明、誕生日、成長記録、予防接種の記録など、乳幼児の重要な情報がたくさん記録される母子健康手帳は、毎日は使わないもの。けれども急に必要になる時にどこに置いてあるのかを忘れてしまったり、旅行カバンに入れ忘れないように気をつけたりしなくてはいけない。このアプリがあればいつも母子手帳を持ち歩ける上に、父親も一緒に利用できるので父母子手帳にもなり、育児への参加意識も高まることが期待できる。さらに役所や病院からの大事な重要な知らせ(医療や育児支援金の受け取りなど)を、紛失しやすい封筒ではなくアプリで受け取れるのも育児の手助けとなる。さらなる進化、行政との連携を期待します。
https://www.boshi-techo.com/service/
みんなのシール
受賞企業:有限会社コスモメディアサービス
デジタルな世界へのシェアだけでは語り尽くせないお気に入りの写真は、カタチに残せばもっと楽しい!日々スマートフォンで撮影する写真をSNSでシェアして終わりじゃもったいない!そんなデジタル写真に「カタチ」を与えるアプリが「みんなのシール」です。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
切り取るための型やフレームも多数用意されており、指で描いた通りの形状にカッティングし、シールにしてくれる点が非常に興味深い。リピーターも多く、ユーザーのニーズを的確に捉えている。
http://www.minnanoseal.com/
ゆびつむぎ
受賞企業:株式会社エクストーン
「ゆびつむぎ」は、幼児期の子どもと親のコミュニケーションを育む事を目的とした、タッチ絵遊びアプリです。海・森・湖などのテーマがあり、子どもが画面を指でタッチするだけで、たくさんの動物や植物が登場します。 また、子どもが生み出した様々な植物や動物たちに触れることで次々と変化が起こり、画面の中の物語はどんどん広がっていきます。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
美しくあたたかいイラストに、思わずタップしたくなる心地良いインタラクション。オーソドックスだがとても丁寧に完成度高く仕上げられている。どこをタップしても反応がある設計は、子ども目線で作られており、親子で活用しているシーンが思い浮かぶ。
http://apps.xtone.co.jp/yubitsumugi/
otototone(オトトトン)
受賞企業:株式会社ステッチ、株式会社ピース
オトトトンは世界に溢れる音に興味を持たせて気づきを与え、音に対する意識を変えるアプリです。音をアプリ上で録音することで、音量・音高・時間などの音の構成要素から、60種類を超えるキャラクターを生成します。さらに音は、音楽家・宮内優里作曲のBGMとミックスされ、音楽としても楽しめるように再構築されます。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
子どもたちが環境音を楽しむ感性を養い、創造性を拡張するという目的を、しっかりとデザインに落とし込めているアプリである。コンセプトも良く、子どもでも直感的に使用でき、かつあたたかみのあるUI/UXも評価できる。教育現場等でのさらなる活用の促進を期待します。
http://otototone.jp/
ポケットセラピスト -カラダとココロの痛みの健康相談サービス
受賞企業:株式会社バックテック
ポケットセラピストは、国家資格を保有する専門家にチャットでの健康相談を通して、二人三脚で腰痛などの痛みを、改善までサポートするサービスです。バックテックは、カラダだけでなくココロにもフォーカスを当てた独自のノウハウをもとに、オンラインを通じた腰痛対策サービスを提供しています。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
丁寧に作り込まれたヘルスケアアプリである。患者側の使うアプリ、医者側が使う管理サイト、どちらも丁寧に作り込まれており、ビジュアルとしても美しくまとめられている。医療分野のソフトウェアは使い勝手が悪いことが多いが、実証実験では高いリピート率を記録しているようで、今後の収益化が期待される。
https://pocket-therapist.jp/
FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-コンシェルジュ
受賞企業:富士通デザイン株式会社
HOPE LifeMark-コンシェルジュは、病院システムと連携した通院サポートアプリです。 特別な専用端末を持ち歩くことなく、自分のスマートフォンにアプリを入れて頂くだけで通院における各場面で患者さんをサポートします。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
病院への通院スタイルの変革を目指したサービス。自分のスマートフォンにアプリを入れるだけで通院における各場面で利用者をサポートする。病院の入口を通るだけで自動で再来受付ができ、診察順が近づいた際にスマートフォンに通知が届くので待合室以外でも安心して待つことができる点が評価された。
患者にとっては、予約の難しさや待ち時間のイライラなどの解消を目指し、医療従事者の負荷(予約忘れや呼び出したときに不在などのトラブル)を軽減した。デザインにおいて、患者の通院の状況や医療従事者の仕事を良く分析している。派手さはないが、細部に気を配ったとても良いデザインである。様々な予約システムがこれからも生まれてくる中で、公共的な予約システムの基盤になることを期待しています。
http://journal.jp.fujitsu.com/02/01/
amehare〈アメハレ〉
受賞企業:株式会社ディスカバリー
『amehare』は「まいにち使うものだから、もっと見やすく便利に」をテーマとしたスマートフォン用天気予報アプリです。スマートフォンというパーソナルなメディアに合わせ「今日は雨か晴れか?暑いか寒いか?雨の場合いつどのぐらい降るのか?」など生活の中で求められる情報を1から整理し構築しています。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
天気に関するあらゆる情報を、コンパクトな画面の中に納めた点が評価できる。温度を色面積の帯で直感的に表したり、スライダーを用いた時系列変化など様々な画面や操作系が破綻せずに共存している。このような多機能アプリは一般的には、メニューが肥大化して破綻してしまうことが多いのだが、このアプリではメイン動線を厳選することでその点を回避している。
https://discoveryinc.jp/amehare/
頭痛ーる
受賞企業:株式会社ポッケ
「頭痛ーる」は、気象病や天気痛と呼ばれる気圧の変動が起こす頭痛などの痛みに注目した気象予報士が考案した気圧予報に基づく体調管理アプリです。頭痛持ちで悩んでいる方を中心に月間25万人以上の方が気圧の変化をチェックして予定を変更する・心構えをするなどの体調管理や薬の服用前に確認するなど必須アプリとして活用しています。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
気象病などの気圧の変動が起こす頭痛などの痛みに注目した気圧予報に基づく体調管理アプリである。自分の住んでいる市区町村を登録すると気圧の変化や予測を気圧グラフで確認することができ、体調の変化に対する対処ができる。片頭痛、関節痛、めまい、肩こり、イライラなどの一部が気象の変化に関係していると言われているが、「頭痛ーる」を使うことで、これらの症状に対応して仕事や遊びの予定を変更することや事前に薬を飲むなどの対処が可能となる。専門知識が無くても利用できるよう、利用者に優しいデザインを実現している。多様な機能を一つのサービスとして上手にまとめている。今後の更なる発展に期待したい。
https://zutool.jp/
保育施設向けアプリ [キッズダイアリー]
受賞企業:キッズダイアリー株式会社
先生の業務と園のマネジメントの大幅な効率化を目指したサービスおよびアプリです。各園の特徴にもセミオーダーデザインで対応でき、現在の日本の幼児教育の様々な問題を今までなかった斬新な機能とUI/UXで組み合わせたサービスで解決していきます。
審査委員の評価(グッドデザイン賞より)
保育園・幼稚園において保護者と園長と保育士の3者を、タブレットやスマホで保育所の業務効率を高め、3者の潤滑なコミュニケーションを実現するアプリ。送り迎えの保護者がタブレットをタッチするだけで園児の入退室を管理でき、スマホで遅刻や病欠等を保育士に知らせることができ、園児退出後に手書きで作成していた日報をアプリで作成することにより、保育士の事務作業量を軽減させる。
2016年に10園が試験的に導入。それぞれの園の事情に対応したサービスの開発を行っているという。食事・睡眠・排せつなど園での生活をグラフにして可視化したり、体温の変化を伝えたり、アレルギー情報を共有するなどの機能も充実させ、これからの発展に大いに期待ができる。
https://www.kidsdiary.jp/
この中で気になったらアプリがあれば、試しにダウンロードされてはいかがでしょうか。