今までは店舗外のお客様をいかに店舗内に誘導させるかという来店誘導が主流でしたが、今後は店舗内にいるお客様をいかに購入させるかというレイアウト戦略・購買戦略が注目されてくるのかもしれません。
ショッピングカートの動きをリアルタイムに解析
イギリスの製品開発・技術コンサルティングを行っているCambridge Consultantsは2015年3月、
ネットワーク接続型ショッピングカートを開発することを発表しました。
これはスーパーに置いてあるショッピングカートのタイヤにセンサーが取り付けてあり、お客様が移動すると現在どの場所にいてどちらへ移動するのか追跡できるシステムです。店内にはセンサーの位置を把握するビーコンを何台も設置します。
Cambridge Consultantsが提供された映像では、商品の入ったカートを移動するとある一定のスピードで黒い点がマッピングされ、そのデータはサーバーに蓄積される仕組みとなっています。映像をつなげると以下のようになります。
発信器はタイヤの回転で発電するため、電池の交換が必要ありません。また費用はカート1台につき5ポンド(約878円)かかりますが、今後売れ行きに応じて安くなる見込みです。
このようなデータが集まってくると、例えば「この場所を通ったお客様にキャンペーン情報を提供する」とか「この場所を10回通ったお客様はクーポンを提供する」といったことも可能になります。
また、お客様があまり移動されない場所があれば、例えばお客様が目をとめるコーナーを設置して導線の流れを変えるなどの仕掛けができそうです。
また、レジにおいても、どこが一番混雑する場所でどこがよく空くのか、どのようにしたらお客様がまんべんなくレジに並んでもらえるかといった社内的な戦略も立てることができます。
ここまで精密でリアルタイムな実証実験ではありませんが、日本でも
名古屋パルコで店舗内に50~300個のビーコンを設置して人流解析を行っている事例があります。人流解析は以前から行われていましたが、現在ではビーコンを使った解析が行えることで比較的安く調査や分析を行えるようになりました。
このショッピングカートの技術は、楽しんで衝動買いをするお客様へ向けてお客様がショッピングの体験を最大限にするための購買戦略につながっていくのではないでしょうか。