アプリ開発費用、実際いくらかかる?依頼した場合の相場や金額をシミュレーション

 Post by MML編集部

スマートフォンの普及により多くの企業がアプリを開発しています。うちの会社もアプリを作ろうと思ったとき、どれくらいの予算がかかるのか相場を知っておけば依頼するときの準備ができますね。

アプリ開発費用は人件費と開発期間に応じて価格に影響します。法人の場合、シンプルな機能のアプリ開発は585万円から877万円、標準アプリの開発は877万円から2,193万円、複雑なアプリの開発は4,386万円以上が相場です(2023年8月末現在)。個人でアプリ開発するなら1万円ほどの費用で済みます。

それらは実際、どのような部分で価格に影響していくのでしょうか。具体例を交えながらご紹介します。

アプリ開発費用に悩める少女

アプリ開発費用の相場

スクラッチ開発の場合

アプリの種類はこれからアプリを作る上で、考慮する必要があるもう1つの重要な要素です。SPDLOADでは最も人気のあるアプリと平均開発費用を公開しています。費用は2023年8月末の為替相場で計算しています。この費用から搭載する機能や構成要素によって関わる人数や期間が決定するため、価格が変動します。

アプリの種類 費用の相場 工数
レストランアプリ 585〜2,193万円 900時間
デリバリーアプリ 585〜2,193万円 900時間
リテールアプリ 731〜2,193万円 1,200時間
eコマースアプリ 877〜3,655万円 1,600時間
タクシーアプリ 731〜5,848万円 1,600時間
ビジネスアプリ 731〜2,924万円 1,200時間
学習アプリ 877〜3,290万円 900時間
ヘルスケアアプリ 804〜4,386万円 1,200時間
ストリーミングアプリ 1,170〜4,386万円 1,600時間
ゲームアプリ 877〜3,655万円 1,600時間
コミュニティアプリ 263〜2,193万円 900時間
マッチングアプリ 263〜2,193万円 1,400時間
ARアプリ 1,462〜3,655万円 1,600時間

アプリ開発費用の内訳

アプリ開発費用は100万円から2,000万円以上の範囲があり、アプリの開発期間や開発工数、エンジニアの人件費に応じて価格に影響します。以下はそれらが分かりやすいよう大きく3つに分類しました。具体的にアプリの開発期間や開発工数、エンジニアの人件費の内訳などの算出方法を解説します。

1.開発期間・開発工数

具体的には、開発の要件が決定した時点で大まかにインフラ設計、管理画面やAPIの実装、単体テスト、検収、審査などを行います。アプリに実装する機能が増えれば増えるほど開発は複雑になっていき、そこに費やす人件費と開発期間が変わっていくという仕組みです。

以下は、標準のアプリ開発をイメージした開発工数となっています。シンプルなアプリ開発を行う場合、ここから作業を削ったり、作業期間を短くしたり、ASPやモジュールを利用したりして開発期間を短縮し、費用を抑えることができます。

2.エンジニアの人件費

アプリ開発費用を考える際、最も予算を占めるのはエンジニアの人件費と言えます。さらにシステム開発は、プロジェクト全体を管理する「プロジェクトマネージャー(PM)」、プログラムやソフトウェアの仕様書を作る「システムエンジニア(SE)」、仕様書にそってコードを書く「プログラマー(PG)」などがチームを組んでシステムを開発します。

エンジニアを1ヶ月間依頼した場合の料金は、SOHO・個人のプログラマーが40〜70万円、大手企業に在籍するプログラマーが50〜100万円、初級システムエンジニアは70〜100万円、中級システムエンジニアは90〜120万円、上級システムエンジニアは100〜180万円が相場です。

3.デザイン費用、サーバサイド費用

システム開発会社に依頼する場合、アプリデザインは制作会社にお願いする場合があります。アプリの場合、どのような場所にボタンや画像を配置してユーザーの満足度を向上させるのか、UI/UXを考慮する必要があります。そのためデザインの全体戦略から入ってデザインに落とし込む作業が発生します。こちらも人件費と製作期間で費用が決まります。主に月間80万円から100万円ほどが相場となります。

スタンドアローンのアプリを開発する場合は上記で述べた費用となりますが、データベースを活用して情報を掲載したい場合、サーバサイドの開発が必要になります。費用は最低でもアプリ開発費用の2倍から3倍以上が相場です。

4.公開後の保守費用

アプリ開発が終了し、無事にアプリを公開しました。しかしそれ以降もメンテナンスをする必要があります。AndroidやiOSは、随時OSをバージョンアップし続けています。過去にはiOS11にOSがアップデートされた影響で、32ビットのアプリは互換性を失い、アプリが使えなくなる問題がありました。そう行った影響で従来のアプリは64ビットに対応するよう努力してきました。

また、アプリに関係するサーバー、プッシュ通知、モバイル決済、APIなどのメンテナンスも費用として計上されます。アプリを維持するための平均コストの相場は、年間開発コストの約20%と言われています。

5.OSのアップデート費用

アプリストアに公開されているアプリは、対象バージョンに合わせて開発されています。GoogleとAppleは1年に1度、各OSの新しいバージョンを公開しており、特にiPhoneユーザーは安定性を確認しながら仕様端末のOSをアップロードしています。

開発された当初は対象バージョン範囲内に入っているためユーザーはダウンロードしてくれますが、それが数年経つとダウンロードできなくなったり、WebViewやプッシュ通知など、機能のアップデートでOSのバージョンアップをお願いされたりします。アプリストアでも最低要件のバージョンも存在しているため、修正したアプリをアップロードできない事も起こります。

アプリの複雑さやOSアップデートとなった機能の改修などにもよりますが、1か月あたり10万円が相場と言われています。

アプリ開発費用をシミュレーション

ここでは、以前開催された、開発会社を対象にしたスマホアプリ開発の見積りに関する勉強会での資料を抜粋し、見積金額の費用相場を考えました(勉強会の主催者から許可を得ています)。

この勉強会では、株式会社ペッパー警部という関東地方を中心に50店舗を運営するカレーチェーンストアを想定しています。「顧客満足度向上を軸とした公式アプリを開発したい」という依頼から、具体的には店舗のヘビーユーザーを獲得し、将来的にカレーコミュニティーのソーシャルグラフを獲得するのが狙いです。

機能や要件は以下の通りです。

●機能
・店舗検索(GPSを利用して地図画面の対象店舗の場所にピンを立てる)
・メニュー機能(30項目)
・ログイン機能(OpenIDまたはFacebook、Twitter、Google+)
・チェックイン機能(NFC/iBeacon)
・チェックイン後クーポン表示(サーバ側で自動生成。利用後無効化)
・キャンペーン情報の表示
・最新情報表示(WebView)
・英語へ翻訳した文言も必要(海外の観光客向け)

●要件
・iOS、Androidのアプリを開発したい(iOS6.0~7.1、Android4.0.3~4.4.2)
・タブレットは対象外
・デザインはデザイン会社から提供される
・サーバーサイドはクライアントの情報システム部が開発中
・公開後のサポート・保守は別途見積
・アプリ公開作業はクライアントが行う

●スケジュール
・開始 1か月:デザインデータ作成
・開始 2か月:クライアントのサーバとの結合試験
・開始 3か月:受入テストののち公開

以上の内容から画面仕様書や要求仕様書で確認し、7つのチームが議論を重ねてアプリ開発の見積りを作成されました。

チーム名 単価 工数
(人日)
見積金額
(税別)
見積書 備考
チームA 4万円 335.0 1,339万4千円 PDF 5名チーム(PM1名、Android2名、iOS2名)。QRコード別見積。
チームB 4万円 86.0 344万円 PDF 設計15人日。
チームC 4万円 77.8 311万2千円 PDF 仕様の把握、すり合わせに時間がかかった。
チームD 4万円 77.0 308万円 PDF イメージで見積もった。
チームE 4万円 67.5 291万円 PDF ハイブリッドアプリ。ログイン絡みはWebViewで対応。
チームF 4万円 121.0 484万円 PDF iOS6以前はGPSでチェックイン対応。
チームG 4万円 21.0 162万円 PDF 実装工数の見積。テスト工数は外注。3人チーム。

◆なぜこんなにバラつくのか

見積費用の平均は350万円ですが、費用のランキングで見ると1,339万円から162万円までとかなりばらつきがあります。この理由として、要件が抽象的でどの機能にどれくらいの工数を見積もればよいのか分からなかったという意見が多かったそうです。

例えば、ひとくちに店舗検索といっても、検索結果は「地図表示」か「リスト表示」か、リスト表示の場合は「都道府県ごと」か「GPSを使って近い場所順に表示させる」のか、店舗情報はアプリの中に埋め込むのか、常に最新の店舗情報をデータベースから取得させるのか、店舗を選択した時や取り消しした場合、どのような挙動をするのか……など、具体的に考えると多くの選択肢があります。

企画書の段階で厳密な要件の選定がなされていない場合、細かい要件設定で考える時間を取られることから費用もかさんでしまうケースが多いようです。また、アプリ開発の途中で機能の変更が発生した場合、追加の見積もりが発生する可能性もあります。そのことを見込んで見積りを算出すると他社よりも高くなってしまうケースが出るそうです。

自作でアプリ開発する場合の費用

個人でのアプリ開発費用

話はそれますが、個人が独学でアプリ開発をする場合、どのOSのアプリを作りたいのか、どのような機器を揃えたらよいのか、どのような勉強をしたらよいのか。インターフェースや審査ガイドラインはどのようなものか、具体的にまとめていますのでこちらをご確認ください。

https://moduleapps.com/mobile-marketing/22430app/

アプリ開発費用のランキング

今までの話は、フルスクラッチのアプリ開発会社やシステム開発会社に依頼した場合の料金ですが、時代が進むにつれノーコードで開発する会社も登場しており、アプリ開発会社もランク分けされる状況となっています。主に、ノーコード型アプリ開発サービス、ハイブリッド型アプリ開発サービス、フルスクラッチ型アプリ開発、内製と4つの種類に分類されます。

アプリ開発サービスランキング:ノーコード型アプリ開発サービス、ハイブリッド型アプリ開発サービス、フルスクラッチ型アプリ開発、内製

ノーコード型アプリ開発サービスとは、アプリ機能をテンプレート化してノーコードでアプリに組み込むだけで自社のアプリが開発できるサービスです。「店舗アプリ」や「SaaS型アプリ」とも言われており個人商店に向けたサービスとなっています。既にできあがった機能を使って組み込む方式なので、エンジニアの工数もかからず料金が安く済みます。ただしこんな機能がほしい、この機能を修正したいといった依頼が受けられないのがデメリットです。

フルスクラッチ型アプリ開発とは、システム開発会社やアプリ開発会社に1からアプリ開発を依頼することです。ヒアリングから要件定義、アプリ設計、インフラ設計、単体テスト、デザイン、総合テスト、検収、アプリ公開とすべての項目を行います。理想的なアプリができる分、それに関わる人員も多く、開発期間もかかるのがデメリットです。

内製とは、自社でシステム部門を持って開発を行う方式です。システム開発会社との意見の相違もなく、自由度がさらに高い複雑なアプリも開発できますが、全てのリスクを自社で背負うデメリットがあります。カインズ、セブン&アイHD、ファストリテイリング、エディオン、良品計画などの大手企業が、DX戦略の一環として内製化に進んでいます。

種類 概要 費用の相場
ノーコード型アプリ開発サービス テンプレートを組み込んでアプリ開発 3〜10万円
ハイブリッド型アプリ開発サービス テンプレート+オーダーメイドでアプリ開発 100〜1,000万円
フルスクラッチ型アプリ開発 1からオーダーメイドでアプリ開発 1,000万円以上
内製 自社でシステム開発部門を持って開発 3,000万円以上

ハイブリッド型アプリ開発サービスとは、ノーコード型の場合提供されている機能以外のオリジナル機能は提供されていません。かといってフルスクラッチではすべての機能を位置から開発するので時間や費用がかかる。その中間をとって、基本的にテンプレートを用意しているが、オーダーメイドで機能も開発できるため、時間や費用も短縮できるサービスになります。

ModuleApps 2.0

例えば、ハイブリッド型アプリ開発サービスの代表である「ModuleApps2.0」は、豊富なアプリ機能から必要な機能を選択して組み込むことで、自社オリジナルのアプリが開発できるサービスです。「こんな機能を入れたいんだけど」といった自社オリジナルの機能もオーダーメイドで開発できます。アプリを作って終わりではなく公開後も成長できるよう専門家とともに伴走できるサービスもあります。

これからアプリ開発の依頼を考えているかたは、以上の情報を踏まえてどのようなアプリにするのか検討してみてはいかがでしょうか。