Twitter社、不在着信の履歴に限定コンテンツを配信するZipDialを買収

 Post by MML編集部

Twitter 社は1月20日、インドに拠点を置くモバイルマーケティングのZipDial 社を買収したことを発表しました。日本ではあまり聞き慣れないZipDialというサービスですが、一体どのようなものなのでしょう? ZipDialのサービス概要と今後の可能性についてまとめてみました。

ZipDial_Website

「ワン切り」を利用したユニークなマーケティングサービス

ZipDialは、企業へ発行された専用の電話番号を広告などに掲載し、それを見たユーザーがワン切りをする(不在着信を行う)と、音声やSMSを使って情報やクーポンなどの特典が届く仕組みです。

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ユーザーは通話料や通信料をかけずに情報を手に入れることができ、企業は自社に関心のあるユーザーの電話番号を獲得できるメリットがあります。2010年に創業し、2014年7月時点で300企業ブランドへ向けて4億コールを達成するなどの成果をあげています。

ディズニーも利用するZipDialの大きな効果

具体的な活用事例を見てみましょう。ディズニー・チャンネルは視聴率の活性化とファン層の拡大を目的に、「Disney Jet Set Go 2013」キャンペーンの期間中、映像にZipDialの電話番号を入れた飛行機を登場させるプロモーションを実施しました。

その結果、前年の夏シーズンと比較して視聴率が40%上昇し、過去最高を記録する結果となりました。また新規の視聴者も25%増加するなど、大きな成果につながりました。

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また、インドの携帯会社サンギータモバイルは、広告の中に記載されたZipDialの番号に電話することで、SMS経由でクーポンが送付される「ガネーシャが不在着信に応答する」キャンペーンを展開。3か月のキャンペーンで150万回の電話を受け、61,059人が実際の店舗へ来店しました。その効果は従来の広告10倍だったそうです。

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無料の情報提供サービスで、通信料にシビアなユーザーをひきつける

それでは、なぜZipDialはこのようなサービスを始めたのでしょうか?ダイヤモンド社が公開した本荘修二氏の記事によると、インドの携帯電話普及数は6億台にのぼるものの、そのほとんどがプリペイド型のフューチャーフォンとのこと。これらの端末では、SMSの送信には料金がかかるものの受信は無料であり、「ワン切り」をした場合の通話料もかからないとのこと。

この料金体系に着目し、ユーザーが通信費を負担する必要のないマーケティングサービスを開始したのがZipDialなのです。

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ZipDialのサービスが人々を引きつける力を物語るエピソードがあります。ZipDialがインドで人気のスポーツ「クリケット」のスコアを知らせるサービスを開始した時のこと、サービス開始の告知をFacebookに2回掲載しただけにもかかわらず1日に数百万件の電話がかかってきたそうです。

携帯料金にシビアな傾向の強いインド人にとって、料金のかからないZipDialのサービスはとても魅力の大きいものだったようです。

買収の背景には、成長の著しいインドへの期待がある

そんな注目企業であるZipDialを買収したTwitter社。その背景には、インドが成長の著しい国であり、ZipDialも今後さらに成長する可能性が高いという予測があるのではないでしょうか。

TwitterのChristian Oestlien氏は「我々の最大の目標は、新興国市場を含む世界中のモバイルユーザー全員がTwitter独自のコンテンツにアクセスできるようにすることです。」と語っています。その目標へ向けた一つの動きとして今回の買収も行われたようです。