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「JRE POINT」を顧客理解に活かす、JR東日本のデジタル・プラットフォーム戦略

 Post by MML編集部

R東日本グループが展開するポイントサービス「JRE POINT」について広告でも見る機会が多くなった。このサービスはJR東日本の鉄道、駅ビル、エキナカなどで利用できるサービスで貯まったポイントはSuicaにチャージでき、または商品交換でも利用できる。今回、JR東日本がデジタル・プラットフォームを推進した背景や導入効果、今後の予定について語った。

佐野 太 氏

東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部 新事業・地域活性化部門 次長 佐野 太 氏

本記事は、トレジャーデータが主催するオンラインイベント「PLAZMA 13」より、東日本旅客鉄道株式会社 佐野氏から「新しい暮らしの提案にむけたデジタル・プラットフォームの構築と拡大」というテーマで講演が行われた。

鉄道プラットフォームの課題

これまでのビジネスは、鉄道というプラットフォーム上に、駅ビル、ホテル、エキナカ商業施設を展開していた。また交通量が多い特性を活かしてポスター、中づり広告、デジタルサイネージなどの広告を掲示していたが、メッセージが一方通行となり、効果測定ができない課題があったという。どうすれば店舗を使っていただけるか、そして再来店してもらえるかという観点は低かったと話す。

そこでJR東日本グループのポイントサービス「JRE POINT」より会員情報を一元管理し、ユーザー行動や購買情報などが把握できるようになった。これを活用して、メール、LINE、Webサイト、アプリといったメディアから1人ひとりのユーザーに配信することが可能となり、効果測定も可能になったという。

今後は、ポイント事業の「JRE POINT」、クレジットカード事業の「JRE CARD」、eコマース事業の「JRE MALL」、この3つの旗印となる「JRE」を掲げ、DXを推進していく。お客さまを個客化し、顧客理解をしていく。さらにはロイヤルカスタマー化によるLTV向上を図る。お客さまによりよいサービスを提供し、末永く愛用されていく事業になりたいと語った。

CDPを導入し顧客理解を最適化

今までは各サービスのデータベースは独立しており、サービス担当者が個別に一方的な情報を発信していた。つまりリアルのプラットフォームビジネスと似たような施策を続けていたという。

そこでTreasure Data CDPを導入し、分散化していたデータベースを1つのプラットフォームに統合。BIツールで仮説を策定し、その仮説に基づいてMAツールをセット、お客さまが好む情報を最適なタイミングで配信、LTV向上に取り組んでいる。

現在の活用方法としてJRE MALLや駅ビルでは、Treasure Data CDPで集計したデータを加工、BIツールと連携し、日々の結果を可視化している。特に駅ビルではクラスタごとのユーザーのロイヤリティ定義を行って、各施策実行の基盤を作っている。今後、データ統合を行ったら他事業とも連携し、細かい粒度でお客さま理解を深めていく予定だ。

JRE MALL、駅ビルの活用事例

ECモールで展開しているJRE MALLでは、いつどんな時、どのようなお客さまが何を購入したのか、どういう動線でやってこられたのか、どういうきっかけで購買したのかなどを可視化して全体を把握している。

その情報から、購買したときの経路分析や各店舗の購買親和性などを分析し、担当者はPDCAを回しているという。このことによって考えるきっかけが非常にできたので、どのようにやったらより一層便利にお客さまが使っていただけるのか、仮説作りに時間を注力していると佐野氏は語った。

次は、駅ビルのロイヤリティ定義化についての事例。JR東日本が展開するJRE POINT加盟駅ビル利用者のうちポイント会員である買上率は平均で50%を超えており、上位では70~80%が会員であることから、利用状況や購買状況がわかりやすい業態となっている。

駅ビルの売上拡大に向けて、購入頻度の引き上げ、利用業種の拡大に努めている。最近では、利用業種の拡大が駅ビル全体に寄与していることがわかってきた。つまり、駅ビルの複数業種のショップを利用しているお客さまが全体の売上に寄与することがデータ分析でわかってきており、より多くのお客さまに、幅広い業種のショップをご利用いただけるように取り組んでいくという。

また、全体から、年齢、性別、主要利用日時等を分析すると6つのクラスターが存在することがわかり、このクラスターごとに購入回数や購入金額に応じたロイヤリティを定義した。行動を細分化することで傾向が見えるようになってきており、今後はそこに対してより積極的に取り組んでいくという。

こういうことは事業部門だからこそできる取り組みであると佐野氏は語った。事業創造本部は新しい事業を創出し、売上を高めていくことがミッションであり、そのために分析をして仮説を作り出し、施策を繰り返すのがメインの業務である。つまり事業部門が主導してCDP導入を推進していくことが、結果として会社全体の売上貢献につながる仕組みの構築につながった説明した。

今後の取り組みについて

今後は新しい暮らしの提案に向けて、MaaSやデジタルによる新しい移動や旅を提案していく。そして紙媒体もチケットレス化・モバイル化へと進んでいく。最近では「非接触」といったお客さまのニーズも出てきており、それらに対応しながらお客さまとデータでつながるのが今後の戦略であると語った。

「乗車スタイルが大きく変化しており、新しい駅空間の創造が求められている。お客さまの要望から多くのヒントを頂いておりまして新事業を展開する余地がたくさん生まれている。グループ全体で保有するデータを一元管理・分析をして、鉄道生活サービス、Suicaといったトータルでのサービス戦略を推進していく」と語った。