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UCC上島珈琲が語る、コーヒーの味や香りをデジタルに活用するD2C戦略とは

 Post by MML編集部
UCCでは昨年から実店舗とECでのD2C事業を展開し、顧客とのエンゲージメントを高めるために、LINE上に独自のサービスを構築している。UCCが取り組んでいるD2Cサービスの概要と、データ活用についてどのように取り組んでいるのかを語った。 染谷 清史 氏
UCC上島珈琲株式会社 マーケティング本部 デジタル推進部 部長 染谷 清史 氏
2020年9月、企業が顧客と価値を共創するための“体験”にフォーカスしたイベント「Experience LIVE OUT」が開催された。UCC珈琲株式会社 染谷氏から「UCCが取り組むD2Cサービス『My COFFEE STYLE』と独自のデータ活用事例」というテーマで講演が行われた。 UCCというと、缶コーヒーのイメージが強いが、UCCには「カップから農園まで」という企業のカルチャーがあり、コーヒーに関する多様な事業を展開している。例えば、ハワイで直営のコーヒー農園を展開しており、小売店舗にコーヒー豆を販売している。また、上島珈琲店というコーヒーチェーン店を運営しており、兵庫県にはコーヒーに関する博物館も運営しているなど、コーヒーをテーマにさまざまなジャンルで事業を展開している。

オンラインとオフラインを連携する「My COFFEE STYLE」

UCCでは「COFFEE STYLE UCC」という物販事業を展開している。コーヒーとの食べ併せ商品を提案したり、またはイベントでタブレットからコーヒーの味覚診断ができるツールを提供したりと、体験型でコーヒーが発見できる店舗である。(※注)感染症対策の為、2020年11月現在、実施を見合わせている。 お客様それぞれに合ったコーヒースタイルを提案するプラットフォームが「My COFFEE STYLE」である。店頭で「COFFEE STYLE UCC」LINE公式アカウントを友だちに追加すると、ポイントカードが表示される。商品購入時、店頭でバーコードを読み込むと、ポイントが付いてくる。 My COFFEE STYLE:Connected with LINE APP 中核となるものに「My COFFEE マップ」というサービスを提供している。画面上には「酸味」「苦味」「ストロング」「ライト」という4つの指標が記載された味のグラフが掲載。飲んだコーヒーの感想を入力していくとその箇所に色が変わり、入力していくごとに色が濃くなっていき、好みの傾向が判断できるようになる。 ここでの結果から、味の好みに合わせたコーヒーを毎月お届けする「My COFFEE お届け便」というサブスクリプションサービスも提供している。 Core Service:My COFFEE MAP My COFFEE STYLEでは来店データと嗜好データを連携しているため、ユーザの好みや購買の傾向がわかり、そこから分析を行うこともできる。その分析からコーヒーのレコメンドやイベント紹介、定期便などへつなげる仕組みとなっている。

UCCのCRM戦略

具合的にこれらのデータをどのように活用しているのか取り組みを紹介した。ポイントカードを店頭で読み込むと、購買データに紐付けされ、翌日お礼のメッセージとともにクーポンが配信される。2週間以上来店がない場合は、来店を促すメッセージを配信している。同様の取り組みを上島珈琲店でも行っている。 「LINEのメッセージも料金体系が変わっていくなかで、全体配信というより個別配信で来店を促すのが我々の取り組みとなっている」と染谷氏は語った。 LINEでの(簡易的)アカウント獲得からのCRM

取り組みから見えてきたこと

上島珈琲店の来店頻度についてのグラフを掲載。棒グラフは初回来店から1か月以内に何回来店したのかを表したもので、折れ線グラフは翌月の来店率を表したものである。登録初月の来店回数が多いと、翌月の来店率も向上するのがデータを見て分かる。デビューから1か月以内にどうお客様をケアするかが大事だと染谷氏は語った。 オンボーディングの重要性はオフラインでも同じ こちらはMy COFFEE STYLEの例。棒グラフは半年間のLINEアカウント数で、広告を利用せず店舗からのアプローチで獲得している。アカウントの増加と比較してブロック率(棒グラフ)が下がっていることがわかった。「KPIを“LINEアカウントの獲得”に設定するより、“エンゲージメントの高いユーザを獲得”に設定するほうが大事だということがわかった」という。 オフラインを推進した結果

コーヒーの味や香りをオンラインでどう伝えるか

コーヒーの味には多様性がある。香りや味の違いは実際に飲んでみないとわからない。これをオンライン上から画像で見せたところで無意味になると、この事業を開始してから思ったことであると染谷氏は語った。 それとは逆の考え方で、実店舗でコーヒーを体験していただいたお客様をオンラインのサービスに誘導させ、いかにLTVを向上させるかというのをKPIにしたほうが、この事業も成功するのではないかと思ったそうだ。こうした考え方はさまざまなサービスでも利用できることだろう。 「このサービスのコンセプトは『コーヒーを、誰でも楽しんで選べるように』というもの。一般的に選びづらい嗜好品の世界で、お客様が楽しんで選べる状況を作りたいと思っている。今後新しい取り組みにおいても目的をずらさず進めていきたい」と語りセミナーは終幕した。

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