新しい生活様式を受け入れる必要に迫られた昨今、ユーザーの買い物行動にも変化が起きている。LINEチラシを中心にさまざまなLINE販促を活用しているウエルシア薬局は、LINEが提供する新しい販促手法によって、今後の小売店向けデジタル販促施策がどのように変わっていくかをお伝えする。
ウエルシア薬局株式会社 商品本部 販促企画部長 清田 明信 氏
本記事は、中堅・中小企業に向けたLINE活用カンファレンス「
LINE SMB DAY」より、ウエルシア薬局株式会社 清田氏から「集客・購買・囲い込みまで。LINEで実現する“小売店向け”デジタル販促」というテーマで講演が行われた。
ウエルシア薬局では、折込チラシなどを活用した「アナログ販促」と、LINEやWeb、アプリなどを活用した「デジタル販促」を行っている。今までアナログ販促の費用がデジタル販促よりも多かったのでが、2020年度からデジタル販促の予算が逆転したという。今後はこの差が広がっていくだろうと語った。
ウエルシア薬局のLINE活用事例
ウエルシア薬局では主に「LINE公式アカウント」「LINEプロモーションスタンプ」「LINEチラシ」のLINE販促を行っている。LINE公式アカウントではマス広告のように広くアピールし、LINEプロモーションスタンプでは認知を広げる施策として、LINEチラシやLINE公式アカウント上でのクーポン配信ではサービス利用からお客様の習慣化を狙っている。
特にLINE公式アカウントでは、掲載情報も随時更新している。商品部と密接に連携しながら、お客様が飽きることがないよう、いつも新しい情報がキャッチできるよう更新を行っている。2020年10月現在、ウエルシアグループ全体のLINE公式アカウントは約800万人が友だちになっている。
クーポンと連動したLINE公式アカウントの効果
ウエルシア薬局では毎月末の金曜、土曜、日曜日に「お得デー」という販促を行っている。お好きな商品1品10%オフのクーポンを配信しており、リアルでは店頭で告知、デジタルではLINE公式アカウントと公式アプリから配信している。
「8月度」と「お得デー」の1日平均の増加率を比較すると、LINEの友だち登録者数はお得デーが121%アップ、アプリ閲覧数もお得デーが112%もアップした。さらには公式アプリのダウンロード数がお得デーが437%も増加しており、非常に効果があるのでぜひやってみてほしいと清田氏は述べた。
お得デーのクーポンを利用した売上推移についても、4月と比較して8月は149%増加しており、効果が見込まれるかたちとなった。
LINEチラシの活用法と効果
2019年11月からLINEチラシを導入した。当初はLINEチラシの友だち数やPVが伸びない状況で、LINEの担当者と打ち合わせをしながら試行錯誤したという。例えば、LINEのトーク画面やさまざまなコンテンツを使ってLINEチラシをアピールしていった。その後インセンティブを付けたキャンペーンを行い、お客様が習慣的に利用してもらうよう促した。
新型コロナウィルスの影響で2~3月はチラシを配布していない時期があったため減少しているのだが、現在は順調に推移しており8月で400万PVを突破した。そのなかで特徴的なのは「ミニチラシ」の使い方である。全店配信するチラシのほかに、ウエルシア薬局の商品部からおすすめ商品を6品以上選択し、ミニチラシとして配信している。
毎週折り込みチラシを打つと高負荷な店舗オペレーションとなってしまうが、デジタルチラシを活用することで負荷を回避した店舗オペレーションに変わっていくという。そして費用対効果についても、LINEチラシの費用に対しての利益は約300%あると語った。
ここでウエルシア薬局の取り組みについて、自社アプリとLINE公式アカウント、折込チラシとLINEチラシの住み分けについて、新型コロナウィルスの影響とLINEにできること、今後のLINEに望むことなど質問したいことを伺った(聞き手:LINE株式会社 OMO販促事業推進室 室長 江田 達哉 氏)
自社アプリとLINE公式アカウント、折込チラシとLINEチラシの住み分けについて
―― ウエルシア薬局では多くのタッチポイントをお持ちですが、自社アプリとLINE公式アカウント、または折込チラシとLINEチラシとの住み分けについて教えてください。
清田:分析してみると自社アプリはお得意様の利用が多いので、お得意様に向けたコンテンツを配信しています。LINE公式アプリはマスメディアの要素が大きいので、マス広告として広くアピールするときに利用しています。
折込チラシは購読率が年々低下している等の課題もありますが、利用者のパイは大きいので告知を知っていただくときに利用します。特に新店舗や改装店舗のお知らせは折込チラシを利用します。あとは年配の利用者が多いので、そういう方へのリーチとしても利用しています。
LINEチラシは即時で利用できるのが大きな利点なのですが、若年の利用者が多いので、若年層へのリーチとしても住み分けています。公式アプリ、LINE公式アカウント、折込チラシ、LINEチラシとそれぞれ良さがあるので、どれも終了させてはいけないと思っています。
新型コロナウィルスの影響とLINEにできること
―― 新型コロナウィルスが蔓延していますがウエルシア薬局にどんな影響があったのか、そしてLINEではどんなお手伝いができたのかお聞かせください。
清田:新型コロナウィルスは非常に大変な状況なのですが、ウエルシア薬局で取り扱っている商品に、マスク等の医療用品や食料品・日用消耗品などの今回のニーズにマッチした商品がたまたま置いていたおかげで、売上は悪くなっていない状況です。
LINEは独自で利用できる媒体だと思っています。例えば、品切れ商品のお知らせを配信したり、マスクの到着予定日をお知らせしたり、「入店する際マスクをしてください」「入店する前に消毒してください」といったお客様へのお願いも配信できたりします。そういうことをお知らせできる便利な媒体として考えています。
今後のLINEに望むこと
―― 折角の機会なので、LINEにこのような機能があるといいなといった希望することはあるますか?
清田:究極的には、その人に必要なものが、必要な時に、必要な価格で購入できる媒体であるとありがたいと思っています。それには自社IDとLINEのユーザーIDとの紐付けも必要ですし、必要とされていないお客様には配信しないというのは難しいところですが、今後に期待して究極のチラシを作っていきたいと思っています。