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新型コロナの影響を受けた飲食業界。デジタル化で売上を伸ばす新たな方法とは?

 Post by MML編集部

withコロナ時代において業界構造が変化する中、顧客とのコミュニケーションでどうAIが生かせるのか。複数の飲食店を経営するBespoの高岳氏をモデレーターとして迎え、予約システムを運営しすでに音声応対AI「LINE AiCall」の導入を進めているエビソルの田中氏、出前館の藤井氏がパネラーとして参加。飲食店業界の現状やテイクアウトの状況、LINE AiCallの効果や課題などざっくばらんに語り合った。

株式会社Bespo 代表取締役 CEO 高岳 史典氏 /株式会社エビソル 代表取締役 田中 宏彰氏 /株式会社出前館 代表取締役社長 CEO 藤井 英雄氏

(写真左から)株式会社Bespo 代表取締役 CEO 高岳 史典氏 /株式会社エビソル 代表取締役 田中 宏彰氏 /株式会社出前館 代表取締役社長 CEO 藤井 英雄氏

2020年7月、LINEが主催する、LINE社の法人向けAI製品・ソリューションに関するカンファレンス「LINE AI DAY」が開催された。「withコロナにおける飲食業界の顧客コミュニケーション」というテーマで、エビソルの田中氏、そして出前館の藤井氏をパネラーとして参加、Bespoの高岳氏をモデレーターとして迎え、パネルディカッションが行われた。

飲食店は厳しい状況に

高岳:新型コロナウィルスが到来したことで飲食業界はどうなっているのか。そのことによってLINE AiCallはどのようにお役に立っているのかについて議論します。まずは、飲食店はどの様になっているのかエビソルの田中さんお願いします。

田中:これは飲食店向け予約管理システム「ebica」でお預かりしているインターネットや電話を含めた平均予約データになります。全国約4,000店舗を対象にしているため地域差があります。今年の1月から2月までは対前年比を上回って、飲食店の予約は好調でした。

これが、新型コロナウィルスが発生し、緊急事態宣言が発令された4月から5月は、対前年比9割減と非常に厳しい状況に陥りました。グラフでは緊急事態宣言解除後から緩やかに回復しているように見えますが地域差がありまして、全国では6〜7割、東京都では5割にも戻っていない状況です。

飲食店オーナーと話しているとさまざまな感染対策や売上対策をしているが、なかなか厳しい状況だという話を耳にします。

高岳:私も飲食店経営をしていますが、このグラフ通りには行っておらず、こんなに戻っているのかというのが個人の感想です。残念ながら飲食店は、今後廃業するところも増えていくだろうと思います。それに対してできる方法はないかと考えていますが、例えばデリバリーやLINE AiCallなど、そういう観点でお話できればと思います。

コロナ影響は2月下旬から顕著に。4月予約数は昨年90%減へ

デリバリーやテイクアウトが乗り出せない理由

高岳:続いて出前館の状況についてお願いします。

藤井:新型コロナウィルスの影響でデリバリーのニーズが上がってきています。その理由の1つは加盟店の動きが非常に早かったということで意識が変わりました。飲食店がビジネスのポートフォリオを安定させたいという気持ちがあって、デリバリーだけではなく、テイクアウトやイーコマースも含めた複数のチャネルでビジネスを構成したいという要素にマインドチェンジしてきているなと強く思っています。

割合としてはイートイン5割、その他5割にしたいという加盟店が多いです。しかし実際は、8:2か9:1で、デリバリーやテイクアウトなど、その他の領域が少ないです。

高岳:我々もテイクアウトはあまりやりたくなかった領域でした。なぜならテイクアウトのメニューはお弁当を作らなければいけないので、普通のメニューとは全く違ってしまいます。ところが突然新型コロナウィルスの影響が来たので、我々も急いでテイクアウトをはじめました。

いま表示されているのはebicaの登録データですが、田中さん説明をお願いします。

自粛期間後、予約が回復傾向に

田中:これは東京・渋谷の焼肉店を事例にお借りしてきたものですが、4月に減少していたものが、6月になると全国平均よりも回復しました。緑色が、予約無しで当日来店された「ウォークイン」の人数。オレンジ色が、「予約」の人数。これを見るとウォークインよりも予約のほうが回復しているように見えます。

自粛期間後、「ウォークイン」よりも「っ予約」が先に回復傾向に(ebica登録データより)

田中:この内訳を見ると、なにかがあって急に回復したというよりは、もともとウォークインで来る予定だったお客様が到着30分前に電話をしています。例えば空席確認の電話とか、営業時間の確認の電話とか、感染対策確認の電話とかを行ってから来店するケースが最近増えています。

中でも予約直前の「電話予約」が増加。これまで「ウォークイン」だったお客様が、空席を確認してから来店するケースが増えている(ebica登録データより)

高岳:実際に飲食をやっていると、自粛期間中は営業時間を短縮化していて、解除後に営業時間を戻したのですが、実際は大きな問題が残っていて、3密を避けるために店舗の座席数が半分に絞っているわけですよ。そのため突然お客様が来店されても充分な席が足りない。それに気づいているお客様は確認したくなるのだと思います。

また店舗側からいうと直前の電話を取ることは非常に重要です。なぜかというと、密を避けて座席を埋めていかなければいけないので、たとえ満席になってもこれまでの5割ほどしか売上が計上しません。そうなると客単価を上げるか、顧客の回転数を上げるしかないので、直前の電話を取ることが非常に重要になってくるわけです。

LINE AiCall 効果と課題

高岳:このような状況の中、デジタルをどのように使っていくか、例えばLINE AiCallが実証実験でどのようなことが起こったのか、田中さん説明をお願いします。

田中:これは2019年11月、東京・大手町にある「俺のグリル」で実証実験を行いました。まずは音声自動応答で振り分けを行って、ごく一部の予約のお客様にAIスタッフの「さゆり」が予約対応をする実験を行いました。そこについては非常にうまくいきまして、お客様や店舗からも評価をいただきました。

一方で、これをどのようにサービスとしていくかというところで、例えば自動応答に切り替えた途端電話を切ってしまうお客様が非常に多いです。ここは人間が対応する、またはそれ以上の効率でAIのさゆりが予約対応していただけるよう、この1年間ブラッシュアップを重ねてまいりました。ギリギリのスタッフ数による運営のなか電話対応も増加。コロナの収束が見えない中で固定費を圧縮。限られたスタッフの生産性向上をAIで下支えする。

高岳:これは飲食店のニーズは非常に高いのですか?

藤井:非常に高いです。経営者向けの中期戦略の会場で飲食店の方とお話するのですが、「いつできるのか」「いつでも始めたい」と言われます。今後は、空席予約だけではなくデリバリーやテイクアウトにも応用可能です。予約をAIで受付して、そのデジタルデータをどのように使っていくかという違いなので、このあと非常に面白いマーケットになっていくのではないかと思っています。

高岳:これは人間の声のように反応するのですか?

田中:いままでの自動応答とは一線を画していて、人間の声に近い音声合成で対応ができます。空席が埋まっていたらお断りしますし、または別の時間帯の候補を提示します。店舗の系列店があれば、そこの空席状況を確認してお客様におすすめします。

高岳:予約以外の対応はできるのですか?

田中:はい。対応できます。予約以外の問合せについては店舗に戻して、その時さゆりとお客様との会話履歴を可視化できるようになっています。今後対応範囲を増やしていく予定です。

高岳:当日来店する予約の電話って、飲食店側からすると一番忙しい時間帯にかかってくるのですよ。お客様は営業時間じゃないと電話がかからないと思うので。そうすると電話が取れないこともあります。ところが先ほどのデータを見ると、直前の電話を取ることは非常に重要になってきます。

あと、飲食店スタッフは人員が少なくなっています。それは資金的に雇っていけない状況になっているから。そのなかで誰が電話を取るのかとなった時、LINE AiCallが人のように電話をとってくれたら素晴らしいと思います。

それとデリバリーはまた別のルートなのですよね。目の前のお客様に提供する料理と、デリバリー用の料理は分けて作らなければいけないので、そのあたりもAIで振り分けていけたら素晴らしいと思います。

藤井:電話で受けた注文を、チェーン店だと自社のPOSに打ち込んで、キッチンプリンターで厨房に料理名を伝送しなければいけないので、それが電子化できれば直接キッチンに伝送できるようになるので、すごく楽になりますね。

高岳:飲食店のスタッフってAIのことがわからないです。だからAIの良さを伝えるためには、AIはすごいということではなくて、君たちにとってこんなに良いことがあるよということを伝えなければいけないので、それが、LINEが提唱する「ひとにやさしいAI」だと思っています。

では最後に締めの言葉を1人ずついただけますか。藤井さんからお願いします。

藤井:飲食店の方と話して思うのは、イートインはより体験型に向かっていくか単価アップに向かっていくことでしょう。そしてデリバリーやテイクアウトは、長時間持つような性能のいい容器が誕生して、家でも店舗の味が食べられるようなニューノーマルな時代がやってくると個人的には思っています。我々はデジタル化で店舗をサポートしていきたいと思います。

田中:新型コロナウィルスの影響でインバウンドのお客様は減少していますが、我々が思う以上にインバウンドにおける日本の飲食サービスの人気は根強いものがあります。日本が誇る飲食コンテンツの空席情報をお預かりできているということは誇りに思っていますし、同時に責任を感じています。

いま我々ができることは貴重な空席情報をAIなどの最新技術と組み合わせることによって、周辺事業者とタッグを組んで連携していくことです。あとは地方自治体と大型キャンペーンをフル活用して、営業・販促・マーケティングと飲食の売上拡大施策をアップデートすることを支援させていきたいと思っておりますので、ぜひwithコロナを乗り切ってきましょう。

高岳:これを読んでいる飲食関連の方がいらっしゃったら、最新技術で皆さんを支えていきますので、ぜひ頑張っていきたいと思います。どうもありがとうございました。