インバウンド需要の影響下、ここ数年で宝石ジュエリー業界の公式アプリが登場しています。業界の市場規模やお客さまの購買傾向を振り返りながら、どのようなアプリが登場しているのか説明します。
ジュエリーはデザイン優先、自分へのご褒美などで購入
矢野経済研究所が発表した「
宝飾品(ジュエリー)市場に関する調査(2019年)」によると、2018年の国内宝飾品(ジュエリー)小売市場規模は、前年比101.0%の9,567億円と、引き続き微増ながらもプラス成長を維持しています。
貴金属の老舗 GINZA TANAKAが発表した「
ジュエリー・貴金属工芸品の消費実態 一般意識調査」によると、ジュエリーについての考え方について聞いたところ、最も多かったのは「デザインを優先して選ぶ」で53%、次いで「気軽に身につけられるものが欲しい」が50%、「1つはしっかりしたものを手元に置いておきたい」が46%となりました。
5年以内にジュエリー・貴金属工芸品を購入した人の世帯年収を調査したところ、貴金属工芸品の購入経験者は全体の約半数(49%)が世帯年収700万円未満で、高所得者に限らず全体的に購入されていました。
一方、ブライダルジュエリー購入者は、全体の約半数(48%)が世帯年収500万円未満で、結婚を意識し始める若年層など、比較的年収の低い層がブライダルジュエリーを購入しているそうです。
5年以内にブライダルジュエリーを除くジュエリー・貴金属工芸品を購入した人に購入のきっかけを聞いたところ、いずれの購入者も「自分へのご褒美」が最も高い結果(30~40%)になりました。次いで「家族/友人/知人への贈り物・プレゼントを買いたかった」が多く(16~28%)、特に女性用ジュエリー購入者(28%)が突出しました。
以上のように、デザインや品質を重視してジュエリー・貴金属工芸品を購入されるお客様は多いようです。つまり、その情報は店舗内に限らず、店舗へ来る前から情報収集して、どの商品がマッチしているのか比較・検討しているユーザー行動が見て取れます。
宝石ジュエリーの公式アプリ一覧
スマートフォンの普及率の高まりから、ここ数年、ジュエリー・宝飾品の公式アプリが登場しています。以下、その一覧となります。
会社名 |
アプリ名称 |
対応OS |
KOMEHYO |
ブランド品のフリマ KANTE |
iPhone、Android |
As-meエステール |
ACCESSORIES BLOSSOM |
iPhone、Android |
As-meエステール |
BLOOMジュエリー |
iPhone、Android |
サマンサタバサジャパンリミテッド |
サマンサ公式アプリ |
iPhone、Android |
エフ・ディ・シィ・プロダクツ |
4℃/ヨンドシー |
iPhone、Android |
ミキモト |
ミキモト ブライダル |
iPhone、Android |
Swarovski AG(オーストリア) |
Jewellery for Swarovski |
iPhone、Android |
Van Cleef & Arpels(フランス) |
VCA Time Nature Love |
iPhone、Android |
Van Cleef & Arpels(フランス) |
BLOOMwithVCA |
iPhone、Android |
Chaumet(フランス) |
Enlight by Chaumet |
iPhone |
DE BEERS(イギリス) |
De Beers Group Engage |
iPhone、Android |
DE BEERS(イギリス) |
De Beers Group Events |
iPhone、Android |
Chopard(スイス) |
ChopTrack |
iPhone、Android |
この中から、特徴的な機能についてピックアップしていきます。
カタログ機能、商品お気に入り
商品のデザインや形にこだわるお客様も多く、多くのアプリでカタログ機能を提供されています。ミキモトアプリでは、トップ画面に表示された商品カテゴリをタップすると、円弧に並んだ商品一覧を掲載、ハートマークをタップするとお気に入りに登録できます。来店の際、参考写真として利用できます。
オンラインショップ、在庫確認
お客様が来店しなくても気軽に商品が購入できるよう、オンラインショップを提供されてるアプリも多いです。その他、来店目的のお客様に在庫確認機能を提供しています。スワロフスキーでは、対象商品を選択後、店頭在庫をチェックをタップし、検索条件を入力すると、対象店舗の在庫状況が表示されます。
宝石鑑定
RECARTは、宝石鑑定士が監修した宝石即時買取アプリ RECART NOWを提供しています。貴金属や宝石の写真をアップロードし、必要な項目を入力すると査定額が表示されます。提示された金額でよければ、キャッシュ交換を依頼し、集荷する日を入力して終了です。
AR機能を活用した、試着アプリ
ジュエリー・宝飾品アプリの中にはなかった機能ですが、今後提供されるものと期待しています。それは試着機能です。商品選択後、カメラを起動すると、対象の場所に商品を重ね合わせることができるAR機能です。
- 対象アプリ: Ar Jewellery、mirrAR、AR Jewelry app など
また以下などのように、まだアプリ公開をしていない大手チェーンも少なくないようです。
公式アプリ未公開の主なジュエリーアプリ(※)
※2020年、売上高 約100億円以上のジュエリー業界を対象とした。
これからアプリ開発を依頼する企業におかれましても、当記事が開発方針を検討する参考になれば幸いに思います。