ASOの情報収集は?ABテストのやり方は?アプリのASO実務担当者5名が回答するトークセッション開催

 Post by MML編集部

ASO実務担当者5名をお招きしてトークセッションを開催。アプリの新規ユーザー獲得において押さえるポイントについて質問が寄せられた。ASOの情報収集の方法、どんなASOを使っているか、ABテストの方法は、成果の追い方などの質問が寄せられ、担当者は丁寧に回答した。

(写真左より)App Annie 卯木氏 / ママリ 趙氏 / GYAO 宮下氏 / finbee 富宇賀氏 / Repro 前田氏 / Repro 伊藤氏

本記事は、Reproが主催する「aCrew for User Acquisition ~GYAO,ママリ,finbeeのASO施策~」より、5人をお招きしトークセッションが行われた。モデレーターはRepro伊藤氏が務めた。「アプリの新規ユーザー獲得において抑えるべきポイントと各社の実例」をテーマに、各社の取り組みについて意見を交わした。

―― ASOはどのように情報収集していますか?

趙:私は今までずっとSEOをやっていまして、ASOのノウハウはありませんでした。ASOの情報を検索してもなかなか見つからない状態でしたが、SEOをやっていた昔の同僚にASOまでやっている人がいまして、その人と情報交換しながらノウハウを蓄積しました。

宮下:ASOの情報が載っている海外サイトを見ています。海外のサイトって、ASO専門会社がブログを運用して情報発信しています。そこから最新情報を収集しています。

―― ASOツールはどんなサービスを利用していますか?

趙:弊社は、キーワードの順位を追うために「AppFollow」を使用しています。あとはGoogle Play Consoleのアナリティクスを見ています。

宮下:弊社は「AppAnnie」を使用していますが、一番使っているのは「AppFollow」ですね。あとキーワードの動向を調査するために「Google キーワードプランナー」や「Googleトレンド」を使用しています。

前田:弊社では「AppAnnie」を使用していて、キーワードのボリューム調査として「Apple Search Ads」を使用しています。

―― ASO専任担当者はいたほうがいいですか?

宮下:GYAO!の場合、そもそもアプリランキングで上位に掲載されていて、10位以内に入るとインプレッション数がすごく高いです。そうなってくるとASOというよりプロモーションとしてアプリを利用できるという目的があります。あと、インプレッション数がすごく高いぶん、CTRが1%増加するとCVRもすごく効果が大きくなるので、上位アプリのASOは効果があります。

基本的に弊社のチームはASO専任担当ではなく兼務で入っているので、ASOに割く時間はわずかです。効果が出るのであれば専任をつけたほうがいいと思いますし、会社にも利益があればそうしたほうがいいと思います。しかし、ASOに関する正攻法は確立していなくて、会社側も不確実なものに投資するのは難しいと思います。

趙:ママリの場合は3人のチーム体制です。マーケティングでアプリ集客をやりながらASOもやっていますが、リソースで言えば全体の5%ぐらいです。2018年2月からテレビCMを開始してアプリ流入が増えたのですが、少しでもCTRが上がるとCVRも変わるだろうということもあって、本格的にASOを開始しました。リソースの問題でASO専任を置けていないのですが、将来的には置きたいと思っています。

―― PDCAの回し方ですが、どこを成果として追っていますか?

富宇賀:finbeeの場合は、CPIをKPIとして設定しています。ただ本質的に、獲得単価が安くてもリレーションが増えるのはよくないので、そこは考慮すべきです。マーケティングにおいてはCPIとCPAを見ていて、リテンションの観点ではグロースのタスクになってくるので、プロダクトを回しています。ちなみに、アトリビューションツールはAppsFlyerを使っています。

宮下:GYAO!の場合は、アプリストアに対するKPIなので、総パフォーマンスに対するCPI、CVR、オーガニックを中心に追っています。基本的には新規ダウンロードが増えれば増えるほどいいということです。それ以降の継続は、プロダクトで調整しています。

ちなみに講演の中で動画をやめた話をしましたが、結論から言うと、静止画よりも動画のほうが効果は高いです。だけど動画は、著作権のあるコンテンツを利用しています。コンテンツには掲載期限が決まっていて、さらに確認する手順も非常に多くて手間がかかるので、運用コストが合わないからやめました。

―― アプリストアのスクリーンショットを使ったABテストはどのように行っていますか?

趙:ママリの場合は、Google PlayでABテストをして、効果が良かったものをAppStoreに反映しています。もちろん、Google Playで効果が良かったものをそのままAppStoreに反映しても、思ったほどCVRが上がらないこともあります。

そもそも、ママリはGoogle Playのユーザー数が少ないので、この手順では時間のロスになります。それでPDCAを回すことを考えると、最近ではGoogle PlayとAppStore、同時にアップして前後比較をしています。

宮下:GYAO!の場合は、基本的にGoogle PlayでABテストをして、効果が良かったものをAppStoreに反映します。しかし、Google PlayとAppStoreって基本的にUIも違いますし、ユーザー層も違うと思います。だから参考値としてABテストをして、AppStoreで効果がなければ、AppStoreだけスクリーンショットを変えるという感じでやっています。

―― ASO以外で注力していることはありますか?

富宇賀:finbeeでは、動画広告がCPI、CPAの獲得単価が低いのでかなりそこに注力しています。動画広告を見た人があとから思い出して、アプリストアで検索してダウンロードしてくれるので、オーガニックの割合では5~7割がダウンロードしていますね。

―― アプリストアのレビュー対策はしていますか?

趙:ママリの場合はレビュー返信していますが、それはカスタマーサクセスとして対応しています。ASOとしてのレビュー返信はできていなくて、今後対応していきたいです。

伊藤:以前のミートアップで、GANMA!(ガンマ)の担当者が2年間ずっとレビュー返信し続けて、ようやくちょっとだけ評価が上がったという事例を話していたので、直接ASOに効果があるのかというと、なかなか難しい面があります。

宮下:GYAO!の場合ですが、レビュー返信をやろうと思っています。なぜならGoogle Playのフィーチャー枠を狙っていまして、あの枠に掲載されるためのノウハウの1つとしてレビュー返信をしているという情報を入手しています。アプリを更新しないとフィーチャー枠には上がらないので、現在検討中の段階になります。

伊藤:公式のガイドラインにも書いてあることですが、フィーチャー枠に掲載されやすい条件として、「GoogleやAppleが新しくリリースした機能をすぐにアプリ対応している」や「クラッシュしないアプリを作る」などがあります。

あとはASOって、SEOほどグレーな手法に気づかないところはありますが、それでもレビューの不正やあからさまなキーワード対策は徐々に規制していますので、今後はASOも洗練されて、PDCAを正しい方法で回せたり、そもそも良いアプリを作って内部スコアを上げたりすることが大事になってくると思います。