女性向けQ&Aコミュニティアプリ「ママリ」が実践するASO施策。ママリではCVR向上を目的としており、その方法として3週間に1回程度、スクリーンショットの変更を行っている。今回サービス開始から現在まで、スクリーンショット変更の変遷をたどりながら、どのような効果をもたらしたのか解説した。
コネヒト株式会社 マーケティンググループ 榎本 美波氏
本記事は、Reproが主催する「
aCrew for User Acquisition ~GYAO,ママリ,finbeeのASO施策~」より、コネヒト 榎本氏の講演「Q&Aアプリ『ママリ』AppStoreスクリーンショットの変遷と知見について」の模様をお届けする。
コネヒトが運営する「ママリ」とは、ママの一歩を支援する女性限定のQ&Aコミュニティアプリ。ユーザー同士が質問・回答できることがメイン機能となっている。メインユーザーは、ママ、プレママ、妊活中のママで、妊娠・出産・育児といったライフイベントを主軸に、産婦人科情報などの地域情報、お金や育児グッズなどのコミュニケーションが活発に行われている。
2014年にサービスを開始、2018年には出産したママの「3人に1人」がママリを利用している。月間投稿数は約150万件と非常に多い。返信が来るまでに約2~3分と、即レスが売りのサービスであるという。
スクリーンショットの変遷
ママリでは、新規獲得のCVRを上げることを目的としており、その方法としてスクリーンショットの変更を行っている。変更スパンでは3週間に1回程度、マーケチームで仮説を立て、社内のデザイナーに依頼する。複数回のフィードバックののち公開している。
まずは2015年、ママリの立ち上がり時期のスクリーンショットを紹介。初期のスクリーンショットでは、人物写真に焦点を当て、利用者や体験談・口コミ数を訴求している。
人物写真を「ママ」から「赤ちゃん」に変更
そこから人物写真が「ママ」から「赤ちゃん」に変更する。1~2枚目にアプリ画面を配置。広告で妊活を前面に出すと獲得率が良かったという背景があり、この時期は妊活訴求を前面に打ち出していた。
お悩み回答率の高さ、クーポンを訴求
次は2017年のスクリーンショット。1~2枚目でお悩み回答率の高さを前面に掲載。2017年、お得なクーポンが取得できる有料サービス「プレミアム機能」を開始。それに合わせて2~3枚目にクーポン訴求を行った。
しかし、クーポン訴求で獲得したユーザーはリテンションレートが低くて定着しないことが分かり、プレミアム機能を前面に押した広告やスクリーンショットは、中止する結果となった。
2018年に入って横長スクリーンショットにするアプリが増加。ママリも横長スクリーンショットへと変更した。ママリ4周年のデモグラフィックをスクリーンショットに掲載。ママリはインテージの調査で「ママが使っているアプリ第1位」を獲得、スクリーンショットに掲載した。
「ママが使っているアプリ第1位」と掲載したものの、このスクリーンショットでは、アプリで何ができるのか分からず、文字サイズも小さいため、CVRは改善されなかった。
横長スクリーンショットに変更、デモグラフィックを掲載
2018年に入って横長スクリーンショットにするアプリが増加。ママリも横長スクリーンショットへと変更した。ママリ4周年のデモグラフィックをスクリーンショットに掲載。ママリはインテージの調査で「ママが使っているアプリ第1位」を獲得、スクリーンショットに掲載した。
「ママが使っているアプリ第1位」と掲載したものの、このスクリーンショットでは、アプリで何ができるのか分からず、文字サイズも小さいため、CVRは改善されなかった。
スクリーンショットを縦型に戻し、スマホの占有率を上げる
その後、スクリーンショットを横型から縦型へと戻す。1~2枚目のスクリーンショットで、スマホ画面の占有率を上げた。一節にはスマホの角度によってCVRが変わってくるという話があるそうだが、じっくり読まなくても理解できるようキャッチコピーの文字サイズを大きくした。
以前使用していた「5人に1人」という訴求を再び利用。相談アプリであることを2枚目に掲載した。スマホの画面占有率を高くして、アプリで何ができるのかキャッチコピーを掲載した結果、CVRが改善した。
テキストが多いという課題。これをクリアする2つの施策
しかし競合アプリのスクリーンショットと比べると、ママリはテキストが多くて注目されないのではないかという課題が出てきた。アプリはテキストコミュニケーションがメインであるため、競合アプリと比較してスクリーンショットの見栄えが地味であることが課題と感じたという。
そこで2点の変更を追加した。まずは、広告で妊娠関連のクリエイティブを使うとCVRが高かったという経験から、スクリーンショットのスマホ画面にエコー写真を挿入し、ユーザーの目に止まりやすいよう変更した。
次に、ママリの記事経由でAppStoreに流入する人が多いことから、それを取り逃がさないよう3枚目に記事訴求のクリエイティブを設置した。競合アプリのスクリーンショットを見ると、赤ちゃんのイラストを複数利用していたため、赤ちゃんのイラストをスマホに挿入した。
アプリで何ができるのか分からないという課題。それのクリア方法
これらの変更後、AppStoreの閲覧数と検索数および、Web経由でのCVRがいずれも改善した。しかし、アプリで何ができるのか分かりにくいという課題が出た。
検索経由でCVRを上げるためにできることはないかと考えていたところ、スクリーンショットに検索クエリを書き込むとCVRが上がるという情報を聞いたという。そこで2点の変更を行った。まずはユーザーがよく検索する「妊娠・出産・育児」を1枚目に配置し、何ができるのか明示した。
次に、記事で「医療監修」という文字を入れたらCTRが上がったという経緯があり、検索流入の多い医療系の記事からの獲得を上げるために、3枚目のスクリーンショットに医療監修を掲載した。
その結果、AppStoreで検索経由の平均CVRが114%に改善した。コンバージョンに結びやすいキーワードを全面に出すことで、同様のキーワードで検索した時、ユーザーはダウンロードしやすいのではないかと榎本氏は解説した。
3枚目の効果を検証
1枚目の変更結果は分かったが、同時に複数枚の変更を行ってしまったため、3枚目の影響が分からなくなった。そのため再度3枚目で「質問訴求」と「記事訴求」のABテストを行った。しかし、変更前後でのCVRに変化はなく、結果として3枚目の変更による影響度合いは低いことが分かった。
Appleから訴求文のリジェクトを受け、文言を変更
そんななか、アップデート申請でAppleから「ママの3人に1人が」という訴求文の使用NGが入った。宣伝文句ではなくユーザーにとって価値ある体験を訴求してほしいという内容だった。
そこで、「3人に1人」の文言から、ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)の広告でCVRが高かった感情に訴えかけるような「わかってくれる人がいる」に差し替えを行った。しかし、それほどCVRに変化はなかった。2~3枚目の文字変更では影響があったとは言えないし、目立つ領域しかユーザーは見てないのではないかと仮説している。
文字サイズを最大限に大きくするため、横長クリエイティブをテスト中
他社のスクリーンショットを見ると、文字サイズを最大限に大きくするため、横長クリエイティブを使用していることに気づく。そこで今までは縦長1枚で表現していたものを横長へ変更し、文字サイズを最大限大きく表現できるようにした。これは現在検証中である。
「以前、横長クリエイティブで失敗した経緯があったが、今回行う変更は、前回よりも見せ方や訴求軸が異なるので、CVRに影響があるのではないかと考えている」という。
スクリーンショット変更のポイントとして「まずは真似るところから始める。競合のみならずターゲットが見そうなジャンルやメジャーどころなど、範囲広く探してみると参考になる」と語りセミナーは終幕した。