GYAO!アプリが実践するASO施策。ユーザー行動を意識した勝ちパターンを発見し ASO施策を実行せよ!

 Post by MML編集部
国内最大級の無料動画アプリ「GYAO!」のASO事例。GYAOでは広告のほかにASOも行っており、それぞれKPIを設定して効果を追っているという。ASOにおけるKPIの考え方や現状を把握し、ユーザー行動を意識した勝ちパターンの発見方法など、GYAOで実際に行っている方法論を余すところなく披露した。 株式会社GYAO ASOチーム責任者 宮下 裕道氏
株式会社GYAO ASOチーム責任者 宮下 裕道氏
本記事は、Reproが主催する「aCrew for User Acquisition ~GYAO,ママリ,finbeeのASO施策~」より、GYAO 宮下氏の講演「GYAO! ASOチーム体制とPDCAの回し方」の模様をお届けする。 GYAO!は、ヤフーとGYAOが運営する国内最大級の無料動画サービス。2019年9月時点で、最新のアプリストアランキングでは、AppStoreで最高9位、GooglePlayで最高6位を記録した。 GYAOのASOチームは現在5人が所属。広告領域は3名が担当し、クリエイティブ運用サポートは1名が担当。ASO全体のグロースを1名が統括して管理している。ASOチームはslackのASOチャンネルを展開。iOSアプリチーム、Androidアプリチーム、マーケティングチームから出てくる改善案を広く募集し全体に共有することで、課題発見や改善速度向上などのシナジー効果を発揮している。

ASOにおけるKPIの考え方

GYAO!では、テレビCM、ラジオCM、Web広告など、さまざまな広告を投下しているが、そこから単純にKPIを追うのが難しい状態だ。そのため、オーガニックの「検索」軸と「探す」軸におけるCTRとCVRを中心に見ている。なぜなら他の項目に関しては、広告の投下によって大きく流入数が変化してしまう。それがASOの効果検証として見た場合、オーガニックの2軸で見たほうが、効果が分かりやすいからだと宮下氏は解説する。 GYAO:負うべきKPIの設定

GYAO!の現状把握と勝ちパターンの発見

GYAO!の現状把握についてハイプサイクルで表すと、GYAO!は啓蒙活動機と安定期の中間に位置している。アプリ軸で見ると、主にブラッシュアップ、エクスペリエンス向上、サービスの磨き込みなどを行っている状態である。 ユーザーの行動パターンを調査すると、基本的には4つのパターンに当てはまる。まずは、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアのトリプルメディアからGYAO!の存在を知る。次に、アプリストアでGYAO!を探してダウンロード、利用して飽きたら削除するというサイクルとなる。 「GYAO!の場合はアンインストールされやすい傾向があるが、再インストール率は非常に高い。一般的にはアンインストールしたユーザーの40%以上は再インストールする傾向があると言われている。GYAO!の勝ちパターンとしては、この4つのサイクルを加速させるに尽きる」と語った。 GYAO:ユーザーの行動パターン

フレームワークを活用してASOを実施

勝ちパターンを発見したら、重点的にPDCAを回していく。それを回すためACJM(アプリストア・カスタマージャーニーマップ)という独自ツールを利用する。ポイントとしてはそのサービスで価値の高いものを明確にし、最も価値の高いものから順番にスクリーンショットを並び替えていく。 そしてアプリストアの状態が、サービスの状態に最適化しているかどうかを比較する。宮下氏は「これに沿って、ユーザーがどういう気持になったかということをユーザー体験も含めて深掘りする可視化ツールである」と述べた。 GYAO:ACJM(アプリストアカスタマージャーニーマップ) もう1つのツールはCRC(クリエイティブ・レーダーチャート)。画像コンテンツを制作する際、その構成要素を可能な限り言語化、可視化し、それを定量的に評価する独自ツールである。 このツールには大きく3つのポイントがある。クリエイティブなインパクトや瞬間的な認識の見やすさを評価する「視認性」。文字サイズ、カーニング、レイアウト、文字の読みやすさを判断する「可読性」。バーナム効果、レストルフ効果、バンドワゴン効果など6つの心理学的側面でコンテンツ判断する「認知バイアス」で構成されている。 GYAO:CRC(クリエイティブレーダーチャート) まとめると、まずは現状の課題と伸び代を理解する。現状把握したら勝ちパターンを発見して、さまざまな仮説をもとに検証を繰り返す。最後に、勝ちパターンが見えたら、伸び代を中心に有効なASO施策を重点的に実施する。GYAO!の場合はこの3つを重点的に行なっていると語った。