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PayPay「100億円あげちゃうキャンペーン」はどのような効果をもたらしたのか? 1周年の軌跡を振り返る

 Post by MML編集部

スマートフォン決済サービス「PayPay」は10月5日で1周年を迎える。サービス開始当時のキャッシュレス市場を振り返りながら、なぜ「100億円あげちゃうキャンペーン」が誕生したのか、もたらされた成果はどのようなものか、順を追って解説された。

PayPay株式会社 コーポレート統括本部マーケティング本部 本部長 藤井 博文氏

PayPay株式会社 コーポレート統括本部マーケティング本部 本部長 藤井 博文氏

本記事は、宣伝会議が主催する「AdverTimes Days 2019(秋)」より、PayPay 藤井氏の講演「最後発の革命児『PayPay』のプロモーション戦略について」の模様をお届けする。

LINE Payが2014年12月サービスを開始。その後、楽天ペイは2016年10月開始、d払いは2018年4月開始と大手3社の決済サービスが開始するなか、PayPayは2018年10月にサービスを開始した。

後発スタートとなったが藤井氏は「PayPayは今まで積み上げてきた成功事例、失敗事例をフル活用できるのは非常に恵まれたポジションである。これを日本市場に投入して、日本で遅れているキャッシュレス市場を爆速で推進していきたい」と述べた。

サービスを認知してもらうためには大規模キャンペーンを行う必要があった。しかしプロダクトの安定化と大手加盟店の参画、両方が揃わないとキャンペーンを行っても意味がないと感じていた。その時ファミリーマートが12月に加盟店として参画することが決定したため、その日に合わせて大規模キャンペーンを実施することが決定した。

「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施

2018年12月4日、「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施した。キャンペーンの狙いについて藤井氏は「先行する競合サービスと同じようなことをやっても、同じような結果しか生まれない。ここは驚きを与える。今までに無かったようなことをやる。そこに焦点を当てて、最後にひねり出した企画がこれである」と述べた。

効果については、PriceとPlaceの組み合わせで社会的現象的なメディア露出に成功。実際100億円を投じたのだが、テレビ露出だけで7時間22分の単独メディア露出が実現できた。メディア換算としては、これだけでも50億円弱の効果が見込まれたと藤井氏は語った。

さらに効果が大きかったのは、加盟店側の露出が非常に増えたことである。特に家電量販店のPRが後押ししたことと、ファミリーマートの露出が大きかったことで、そこにお客様が来店し、混雑の状態をメディアが撮影するという流れができた。

PayPay 社会現象的メディア露出。53番組7時間22分。大規模な加盟店露出

プロダクトの部分でも効果を発揮した。それは「全額当選くじ」。藤井氏は「本来決済は無機質なものだが、決済をした時、全額が当たるかも知れないという“決済のエンタメ化”を演出できた。そしてSNSで爆発的な拡散につなげることができた」と解説した。

プロモーションの部分については、このタイミングで宮川大輔さんを起用してCMを流した。プロモーションの枠としては圧倒的にユーザーインセンティブの枠に寄せた戦略だという。

PayPay ペイペイチャンス当選。SNS拡散。高感度が高いタレント起用。音楽・ダンスが話題に。

このキャンペーンを通じて、約400万人の新規ユーザーを獲得できた。決済回数は10日間で330万件を記録。PayPayでは日時ベースでユーザー認知調査を取っているが、このキャンペーンを通じてサービス認知度No.1を獲得できた。ユーザー数とサービス認知だけ見たらこのキャンペーンは大きな成果があったと藤井氏は語った。

PayPay成果。新規登録400万。決済回数10日間330万。サービス認知度No.1

第2弾「100億円キャンペーン」を実施

第1弾の「100億円あげちゃうキャンペーン」は開始からわずか10日間で終了してしまい、12月13日のキャンペーン終了日からユーザーの決済回数は大きな谷ができ、残念ながら定常的な利用にはつながっていない状態が見受けられた。そこで打開する対策として、第2回のキャンペーンを実施した。

「100億円」という規模は前回と一緒だが、キャンペーン内容に大きな変更を加えている。上限額の設定は今まで1回5万円還元だったが、継続的な利用を促すため、1回1,000円還元まで下げた。その分くじを強化して、最大10回に1回当たるものから、最大5回に1回当たるよう変更。やたら当たる状況を作り出し、大きなバズを生み出す仕組みを設計した。

このキャンペーン期間中には新たな加盟店としてローソンと松屋が参画。店頭アピールを強化してもらった。CMは宮川大輔さんがマスクを外し、PayPayのダンスと音楽を入れたCMを打つことによって好感を得た。CM総研のランキングにもTOP10入りを果たした。

PayPayマーケティングの仕掛け。上限額の設定。くじの当選確率アップ。拡大した大手店舗での訴求をさらに促進。クリエイティブ資産継続。CM高感度TOP10入り

2回目のキャンペーンを通じて新規ユーザー数は760万人(2019年5月時点)を達成。決済回数も第1回の最大50万件を超えて、今回は最大70万件を達成した。認知についても、理解や意向の部分もこのキャンペーンを通じて向上した。

PayPay成果。累計登録760万。決済回数期間中平均45万。サービス認知・理解・意向でNO.1

「ワクワクペイペイ」を実施

決済回数の深度を上げ、分析を通じたキャンペーンを始める。2回目のキャンペーンで分かってきたことは、「コンビニ」と、コンビニ以外の「他店舗」、その2店舗を組み合わせて利用できるユーザーは基本的に定着率が非常に高いということが分かってきた。

今回はコンビニ・プラスアルファで利用するユーザーを増やしていくというところに焦点を当てたキャンペーンを実施した。6月はドラッグストア、7~8月は飲食チェーン、8月は食品スーパーと、こういった場所や時間に絞ったキャンペーンを実施した。

実際、送客効果はあったのか6月のドラッグストアキャンペーンを調査すると、約6割の人が今までドラッグストアで決済していなかったと回答し、新規ユーザーの送客効果はあったということが実証できた。ドラッグストア側でも、実施の売上や来店客数に影響が出ていることも実証できており、それらは大きな成果につながった。

ワクワクペイペイ実施効果。キャンペーン参加PayPayユーザーの利用状況。初めてドラッグストアで決済したPayPayユーザー約60%

第2回のキャンペーンと比べると、ドラッグストアでの決済回数も約2.5倍に増加していた。キャンペーンに参加された各加盟店も、非常に大きな喜びをいただいたそうだ。

ワクワクペイペイ実施効果。PayPay平均決済回数(週次)。前回キャンペーンと比べたドラッグストアでの決済回数約2.5倍。

食品スーパーで、ランチタイム限定のキャンペーンを開始したら今まで来てなかったお客様がランチタイム時、スーパーへ押し寄せるという効果があった。食品スーパー側から考えると、プラスの行動で来店することに、決済サービスで実現できたのは嬉しいと語った。

ワクワクペイペイ実施効果。時間別PayPay決済金額(日次平均)。11時~14時にかけてスーパーにおけるPayPay決済回数、増加

「ワクワクペイペイ」キャンペーンを通じて、新規ユーザーは1,000万人を突破。決済回数についても1日100万件を超える状況となった。サービス利用意向調査についても、PayPayが最も利用している決済サービスNO.1に選ばれた。

PayPay成果。累計登録1000万。決済回数1日100万超え。サービス利用意向。最も利用している決済サービスNO.1

今後4つの軸で行われるマーケティング戦略

PayPayではこの1年で、市場に取り組む足場ができたと考えている。2019年10月には消費税の増税があり、そこに政府の5%還元施策も開始する。そこが大きな山場だ。いままでの成果をベースにしながら新しい市場に立ち向かっていきたいと藤井氏は熱く語った。