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ライザップ「都市伝説のように語られている手段のギャップを埋めたい」結果にコミットするCX戦略

 Post by MML編集部

「結果にコミットする。®」でおなじみのRIZAPより、マーケティングオートメーションを活用したUX戦略の事例。実際、お客様がRIZAPのカウンセリングに来られると、「ささみとブロッコリーしか食べられないんでしょ」「サバ缶しか食べられないんでしょ」と質問されることがあるそうだ。

そういったお客様とのギャップを埋めるために今回、マーケティングオートメーションを導入。RIZAPメソッドをお客様に正しく提供し、お客様の効果と満足度の向上を追求している。今回、マーケティングオートメーションを導入した背景、コンテンツの作り方、その効果について具体例を交えながら語った。

RIZAP 株式会社 マーケティング戦略本部 CX戦略部 部長 澤本 陽介氏

本記事は、アドビシステムズが主催する「Adobe Symposium 2019」より、RIZAPの澤本氏の講演「RIZAPってブロッコリーとささみしか食べれないんでしょ?? 必要としている人に、正しい情報を届ける。 ~RIZAP・良質な顧客体験への挑戦!!~」の模様をお届けする。

RIZAPとは、「結果にコミットする。®」でおなじみの「BODY MAKE」のほか、GOLF、ENGLISH、COOK、KIDSなどの事業を展開している。店舗数は全事業で現在196店舗、BODYMAKEの累計会員数は約13万人、会員属性は20~30代が51%、40~60代が44%となっている。

澤本氏が所属しているCX戦略部では、顧客体験戦略の推進、マーケティングオートメーション、コンテンツマーケティングを行っている。顧客体験の重要性を感じて2019年4月に設置された。顧客の新規獲得やブランド管理は他の部署が担当されている。

ではなぜ顧客体験を意識し始めたのだろうか。「一言でいうと、お客様へ届ける情報の中にギャップを感じているから。RIZAPが提供している食事法、トレーニング、サポートといった手段が都市伝説として世間で語られている。しかし我々が求めているのは、結果にコミットすること。つまりサービスを提供した結果、お客様が効果を得たか、満足できたかを追求している」と澤本氏は語った。

人間が太るメカニズムについて

手段のところで、まずは「RIZAP=食事制限」というギャップを取り上げた。実際、お客様がカウンセリングに来られると、ささみとブロッコリーしか食べられないのかと質問されるらしい。それだけ食べてもバランスを崩してしまう。RIZAPでは低糖質の食材をいかに美味しく食べられるか、いかに簡単に調理できるか、栄養士が監修されたレシピブックを提供している。

ちなみに、人間はなぜ太るのだろうか、そのメカニズムについて解説された。食べ物の糖質を大量に摂取すると体内の血糖値が上昇する。そうすると体内にインスリンが分泌され、血糖をエネルギーとして運んでくれる。余った血糖は中性脂肪に変化する。そのまま中性脂肪が体内に蓄積されると太るという仕組みだ。
つまり、インスリンの分泌を抑制すれば、痩せやすい体に変わっていく。

さらに、しっかり食事してリバウンドを防止するやり方のほうが減量に効率的であるという。エネルギー量は基礎代謝(30~49歳の目安は、男性1,520kcal、女性1,140kcal)を下回らないようにすることが大切だ。

食べないで痩せていくと脂肪も減少するが、筋肉量も減少していく。そして摂取するエネルギー量が基礎代謝を下回った場合、基礎代謝が低下して体が飢餓状態になり痩せないよう守ってしまう。そうすると脂肪が増加し、筋肉量が減少、基礎代謝が低下する。ここで元の食事に戻すとリバウンドの原因になる。

お酒についても飲んでよいお酒と、飲むのを控えるお酒とがある。ウィスキー、焼酎、赤ワインなどは低糖質のお酒にあたるので飲んでもいい。ビール、日本酒、梅酒、白ワインなどは高糖質のお酒にあたるので控えた方が良い。

いずれにしろお酒はたくさん飲むと筋分解を起こして、筋肉を大きくすることができなくなる。そのため筋トレした当日から翌日はお酒を控えたほうがいいと解説した。

食事管理のほか、トレーニングやサポートも

食事制限については、今まで食事したものは毎回手作業で打ち込んでいたが、現在はスマートフォンで写真を撮ると画像解析を行って自動的に商品名を判断・入力してくれるシステムを導入した。そのほか、トレーナーと目標を管理、メッセージ交換も行える。他のアプリでは、トレーナーとのカウンセリング時、何か月トレーニングしたらどれくらい減量するのかシミュレーションしてくれる。

トレーニングやサポートについては、192時間もの研修を行ったトレーナーが中心となって、最大の結果を出せるよう導いてくれる。トレーナーだけではなくカウンセラー、管理栄養士、データアナリスト、医療機関との連携を行って、チームでお客様のサポートを行う。

最近は、短期間で痩せたいという目的で来店されるお客様だけではなく、健康寿命の延伸を考えて来店される人が増加している。健康に対する意識の向上とともに、健康に対する不安も抱えている状態である。そこに着目してRIZAPでは、さまざまな大学と研究し、健康な体になるための安全・安心なサービスを提供している。

澤本氏は「結果を出すダイエットから、健康で幸福な人生までご支援したいと考えている。こういったところをマーケティングオートメーションツール(MAツール)であるマルケトを使って、お届けしたいと思っている」と解説した。

事業課題がフレシキブルに取り組めるようになった

ではなぜ、MAツールであるマルケトを選んだのだろうか。澤本氏は5つの要件に対してそれがクリアできるものだったという。

1つは、事業課題がフレシキブルに取り組めることの事例。以下のモニターに表示されたRIZAPの顧客行動ファネルを見ると、まずはお客様がRIZAPの広告を見てお問い合わせを行う。カウンセリング予約を行って、店舗へ来店し、その後 正式契約を行うという流れとなっている。

ここにはファネルごとに離脱されるお客様が存在する。具体的には、「予約」「来店」「契約」「開始」といったファネルに対し、各々「未予約」「未来店」「未契約」「未開始」という離脱顧客が存在している。そのため顧客のモチベーションを上げるためにKPIを設定し、アクションを実行している。

デジタルに強い人材だけでなく、編集力・顧客想像ができる人材で構成

2つ目は、デジタルに強い人材だけでなくも顧客想像や編集力の高い人材で構成して、マーケティングオートメーションができるようになったことである。

この件について澤本氏は「弊社は、店舗のトレーナーから本社に移動して業務を行っているメンバーも多い。今回、デジタルスキルはパートナー会社と一緒に行って、デジタル面を補おうと考えた」という。

社内のスタッフは編集に強く、顧客想像ができるメンバーを要員。お客様の悩みを解消するため、インタビューを行い、ペルソナやコンテンツ開発にあたった。編集に強いメンバーはカタログ、DM、プロダクト開発などにあたった。

また、開発段階ではIT部門とCX戦略部は同一部署に組織化した。情報システム部とマーケティング部との意見の相違を防ぐためであるという。

MAツール導入約1か月で改善効果も見えてきた

RIZAPではセールスフォースを利用しており、お客様の行動データから数百個ものカスタムフィールドを取得している。その中から「未予約」「予約」「未来店」「未契約」などKPIとなるデータと連携した。そうすることで、データが可視化しやすくなり、チーム感での言語が統一され、どのタイミングで配信しようかといった会話もしやすくなる、と澤本氏は語った。

その結果、要件定義からレポート設計まで、一連の作業は84営業日で完了できた。マルケトが導入されてから29営業日目の効果として、マルケトによるコミュニケーションが行えたお客様の中で予約率は11%、来店率は31%改善とマルケト導入の成果が出始めている。

効果について澤本氏は「予約されたお客様、来店されたお客様は予想以上に増えた。これは売上増加にもかなり貢献できる」と語った。

お客様に響くコンテンツの考え方

RIZAPでは提供するコンテンツをどのように考えているのだろうか。コンテンツを考えるにあたり、まずはカスタマージャーニーを作成。お客様が広告を見たあと店舗に来店、契約するまでのプロセスを可視化した。その際どのような施策を行うか、そして、どのようなデータが取得できて、どのような分析が必要なのか、その際お客様の心情はどのような感じなのかを1枚に表している。

ただし、このカスタマージャーニーだけではコンテンツは作ることができない。そのため、コンテンツ作りのワークショップを行っている。

RIZAPではお客様の困り事を軸に5つの温度感に応じたコンテンツ案を定義、合計で218本のコンテンツを考案した。RIZAPに通って痩せたい、健康になりたい、理想に近づきたい、そういった気持ちや想いを解決するところに、きちんと適切な情報を届けていきたいと澤本氏は語った。

最後に、「お客様はRIZAPでダイエットすることだけがゴールではなく、フルマラソンを走りたい方、健康なセカンドライフを過ごしたい方など様々なニーズが存在する。そのため提供すべき顧客体験は多様性が必要。我々は、お客様に一人ひとりの自己実現のための手段(サービス)と顧客体験を掛け合わせて多くのお客様に安心・安全でもっと楽しいRIZAP体験を提供していきたい。そして、お客様が求める結果をさらにより良いものにしていきたい」と語った。