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中古車のガリバーが実践する、アプリ運用に有効な「PDCA」「右目・左目分析」とは?

 Post by MML編集部
株式会社IDOM デジタルマーケティングセクション セクションリーダー 中澤 伸也氏
本記事は、Repro、ロケーションバリュー、FROSK、モンスター・ラボの4社共催で開催された「アプリの虎Vol.3 ~有名企業のアプリ活用最前線~」より、IDOMの中澤氏より「アプリならではのユーザー体験とPDCAで成果を倍増させる」というテーマで講演を行った。 今回ご紹介するのは、自社で運営する「ガリバーオンライン」アプリの事例。このアプリは、常時約2万台保有する中古車情報の中から、お好みの自動車を検索できる公式アプリ。チャット機能も用意し、店舗に近い体験を行うことができる。

2つの集客方法でお客様を誘導

中古車を購入する際、ガリバーは最終的に店舗で接客を行う流れとなっている。そして店頭に来るお客様の集客方法は2つのルートがある。1つは、Webサイトやアプリから流入してお申込みフォームへ遷移し、その後コンタクトセンターで接客を行う。お客様にアポイントを取って店舗で商談を行う方法。もう1つは、CMやチラシを見たお客様が店舗へ直接来店する方法である。

ガリバーが抱える3つの課題

2つの集客方法のうち、50%はWebサイトやアプリから流入する「オンライン経由」となっている。しかしオンライン経由は、経由ポイントが多いため、次のポイントへ来るまでに多くのお客様が離脱してしまうことから、ROIが悪いという課題がある。 またガリバーのお客様は、中古車に平均7年間乗っている方が多く、次の中古車を購入するために3か月間検討するそうだ。長期間乗っていることからCRMが効かず、アクイジションが中心のマーケティングになってしまう。販売価格も高いことから、検討期間の間に何度も接触を続けていかないと、なかなか店舗へ来てくれない課題もある。 特に最近ではモバイルシフトが進んできている。PCとモバイルの流入比率を調べると、7割以上がモバイルから流入してきているそうだ。そのためPCのユーザー行動と比べると、細切れで接触を行い、リピート回数が多いのが特徴。なるべく早くお客様と接点が持てるようなプッシュ型のアプローチができたらと思い、ガリバーオンラインアプリを導入したという。 これらの課題をまとめると以下の図となる。ドロップポイントを減らして離脱率を下げる「ファネルの短縮化」、成約につなげるまでの営業スタッフを減らし「トータルコストを削減」、モバイルに合わせた「ユーザーリピートの確保」が必要である。

それらの課題を解決した公式アプリ

これらの課題を解決したのが、ガリバーオンラインアプリである。流れ作業のようなフロー型から、お客様を留まらせるストック型にシフトさせたのがこのアプリである。申込みフォームという概念がなくなり、コンタクトセンター、店舗での商談はアプリ上にあるチャット機能が対応する。 そのため、アプリ上から中古車検索を行い、欲しい車を見つけたらチャットで店員に相談し、見積もりを取得する。その後チャットで仮契約を行ったら、店舗に契約の印鑑を持っていくという流れとなる。 今までのようなドロップポイントの多い動線と比較すると、トータルコストは3分の1ほどに圧縮できるのではないかと中澤氏は語った。それは対人接客に時間がかかるからである。コンタクトセンターでお客様の状況をヒアリングするために、長い時で1時間、店舗で商談をすると2時間ほど時間がかかる。これが全てアプリ上で完結することから、トータルコストが大きく削減できるわけだ。

アプリ運用を実現するPDCAとは?

これらを実現するために、ReproとAdjustが提供するツールを利用している。Reproに関してはPDCAの要になっている。なぜならチャットの部分は行動ログベースの定量分析があまり役に立たないことからReproを導入しているという。 ガリバーオンラインでは、どのようなPDCAを回しているのだろうか。デジタルマーケティングのチームでは、以下の図のようなフレームに則ってPDCAを回しているという。 毎日の業務で、担当者はユーザー行動をモニタリングしてセグメントし、基本KPIを帳票していく。そこから課題の仮説が浮き出してくるので、その仮設を検証していき課題定義を行う。その後、施策の立案を行い、課題管理表や施策管理表に登録していく。 これらの作業以外に、週次スプリント定例も行っている。施策のブラッシュアップや課題からさらに施策を立案する。次に取り組むステータスを判断し、優先順位を判断する。そして重要なのは、効果検証のKPIと、効果検証をその都度、施策ごとに定義することだ。その後、実際に検証項目を設定して、施策を実行し、モニタリングを行いながら繰り返していく。

「定型モニタリング」の具体的方法

具体的に、「定型モニタリング」を行う方法について解説した。現在行っているモニタリングや分析手法は社内で「右目・左目分析」と呼んでいるとのこと。それは、定型帳票をもとにした基本KPIを使って分析し、同時に、撮影された動画を見ながらWeb行動観察を行う分析方法だ。 ここで2つの点が重要となる。1つは、「初めてインストールしてくれた人」などのユーザー行動を必ずモニタリングすることで、定量データからは判明できないもしくは、ログでは判別できないような気づきを得ることができる。 もう1点は、何か施策を実施した時、目標値(KPI)に近づくとユーザーはどのような行動を行うのか把握しておくこと。そのためには、行動観察とKPIを必ず両方見るということを行う必要がある。

「仮説検証」の考え方

ユーザー行動を見ていくと、「もしかしてお客様はこう思っているのかな」「こんなところが良くなかったのかな」といった仮説が見えてくる。この仮説検証の時に真因訴求を行うことが重要だ。 しかし「調べていたらこんな数値を見つけました」といった可視化が行われると、担当者の思考が停止してしまうことが多いという。そのため、可視化されたものからさらに背景は何があるのか仮説を繰り返すことで真因が見えてくるという。そして質より量を優先して、気づいたことはどんどん記入していく。

「施策管理表」に必要な項目は?

施策管理表は、今の施策を明確化するだけでなく、組織としてナレッジを蓄積する役割がある。そのため、施策の背景、実施概要、担当者名、目標とするKPI / KGI、現在の進捗を必須として入力すること。 ここで大事なのは、ターゲットKPI / KGIを入力すること。この施策を実施すると直接的に良くなるのはどのKPIなのか。逆に、そのKPIが良くなると、結果的に何が良くなるのかが分かってくる。KPIとKGIを両方設定することで、その施策の目的をぶらさないことが大事である。

本来のユーザー行動が見えてきた「右目・左目分析」

ここで、右目・左目分析の実践例を披露した。例えば、アプリにチャット機能を導入して、アナリティクス(左目)をモニタリングしたとする。アナリティクス上では対象日から数値が増加して大成功したかのように見える。 実は、アナリティクス上ではチャット画面は全て「チャット」という項目1つにまとめられてしまうので、ユーザーはどんな動きをしているのか分からない。その時必要になるのが、実際のユーザーの動きを録画した動画機能(右目)である。 1人ひとりの動きを録画した動画を見ていくと、ユーザーがどんなポイントでチャットボタンを押しているのか、押した後はアクティブな気持ちで使っているのか、ネガティブな気持ちになって離脱しているのかがすぐに判断できる。 今までのような我々のやり方を踏まえて、他の企業でも実践して良い結果を生み出していただけたらと語りセミナーは終幕した。

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