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ユーザー体験を通じてアプリの継続率を向上する。キャリトレが実践するオンボーディング最適化とは?

 Post by MML編集部

自社で提供するアプリを公開し、想定以上ダウンロード数があったのに、なかなかアクティブユーザー数が伸びず、コンバージョンが予想を下回っている。どうしたら継続利用してもらえるのか悩んでいる担当者も多いと聞く。今回、キャリトレで実践しているオンボーディングを最適化する方法について手順を追いながら解説された。

株式会社ビズリーチ キャリトレ事業部 プロダクトマネージャー 伊藤 くみ氏

9月25日、Reproが主催する「Onboarding Hack! ~アプリUX設計の最適解を考えよう~」が行われた。このイベントは、オンボーディングに焦点を当て、最高の体験を通してユーザーの定着率を向上する施策に取り組まれている企業をお招きし、改善ノウハウを語っていただくものである。

ビズリーチの伊藤氏より「キャリトレ、オンボーディングにおける課題・最適解の発見方法」について講演を行った。キャリトレとは、挑戦する20代のための転職サイトである。

通常の転職サイトは、求職者が掲載されている企業に応募する形式をとっているが、キャリトレは求職者も企業も双方向でダイレクトにアプローチが取れる。求職者は気になる求人があった場合、「興味がある」ボタンを押すと企業に伝わり、企業は「興味がある」ボタンを押した求職者に「スカウト」でアプローチすることができる。

オンボーディング最適化は課題を特定し、最適解を発見すること

話は本題に移り、オンボーディングを最適化するためには、オンボーディングを阻害している課題を特定すること、そして最適解を発見することが大事であると伊藤氏は語る。この方法で、オンボーディングの指標の1つとしている「登録当月内の再ログイン率」が14ポイント改善することに成功できたという。

課題特定とは、継続されない理由を明確にすること

まず、オンボーディングにおける課題特定のゴールとは何か。それは、なぜ継続利用されないのか、そして継続する人と継続しない人との差は何かを明確にすることにある。それを行うために、まずは仮説立案し、検証を行っている。

仮説を立案のコツの1点目として、大きな改善余地がある点がないか注目する。具体的には、インパクトの大きい点、自分たちでコントロールしやすい点、サービスコンセプトに合致していて本質的な点を探し出している。

キャリトレでは、最後のファネルである「採用決定」を増やすために、まずは「求職者側のログイン」の離脱ポイントを改善するように努めたという。

なぜなら「書類合格」などのファネルは、企業側の理由が強い側面はあるが、それでも社内で改善を行ない、一か月程度継続利用して転職活動することは本質的であり、なおかつ大きな離脱ポイントログイン率の改善は、インパクトが大きいからである。

2点目は、ユーザーの声を収集することである。ユーザーインタビューはとても大事であるが、準備に費用や時間がかかってしまう。キャリトレではその代案として、キャリトレを使って自社へ入社した方たちへのインタビュー、お問い合わせの内容、お祝い金申請時のコメントを見るなどしてユーザーの声を収集している。

3点目は、集めた情報について思考ツールを活用し、課題を整理することだ。その中でよく使われるツールは「Why型ロジックツリー」と「因果ループ図」である。Why型ロジックツリーは、原因を深掘りしてお互いに重複せず全体に漏れがないかたち(MECE)で分解していく。

課題が分解できたところで、ボトルネックとなる箇所を発見していくフェーズに移る。因果ループ図は、課題の構造可視化して、ボトルネックとなる箇所を発見するツールである。

「仮説立案」の項目が終わったところで、次は「仮説検証」の方法について解説された。具体的には、仮説はどの数値で証明できるかをシンプルに考えていくことである。

キャリトレの場合、「求職者は登録初日にいい求人と出会えると、サービスに利用価値を感じて継続利用する」ことを仮説とした場合、『興味がある』ボタンを押した人と押してない人でログイン率を比較して差があれば仮説は証明できると考え、証明を行っていく。

最適解を発見する解決策を立案する

続いて「最適解発見」の方法について解説した。オンボーディングの最適解とは、オンボーディングにおける課題を解決するためのベストなソリューションを作ることである。これを解決するために、まずは「アイデア出し」を行うことである。

「アイデア出し」については、PMのほか、マーケター、デザイナー、エンジニアなどチームメンバー全員で話し合うことでさまざまな観点からアイデアを引き出すことができる。そしてアイデア出しを行う時、課題やゴール像などの共通認識を持つことが大切だという。そのことで、何のためにアイデアを引き出せばいいのか明確になってくる。そして情報を引き出すために「コンセプトシート」というフォーマットを利用しているという。

「As-Is(現状)」「To-Be(ゴール像)」「課題」については、何をどうするかといった施策の目的を確認するためのもの。「役割分担」は、自分たちがどういった目線でアイデアを出せばいいのか認識するためのものになる。

「KPI」設計のコツは、まずKGIからKPIを分解していくことにある。さまざまなKPIが上がっていくことで最終的にKGIが上がっていくことを考え、施策を練っていく。

また、KPIの考え方としてキャリトレが採用しているものは、「とにかくこの数字を上げよう」という考え方ではなく、「課題解決するとこの数字が上がるはず」と考えるようにしている。過去に、この数字を上げようとしたあまり、逆にユーザー体験を悪くしてしまったことがあったため、後者の考え方を採用しているという。

続いては、「検証」と「改善」を解説。このフェーズでは社内でユーザーテストを行っているという。具体的な方法は、まず対象者がターゲットに近い属性の人を選ぶようにしている。キャリトレでは、入社したばかりの人やキャリトレ担当者以外の社内の20代を選抜している。

ユーザーテストの方法は、こちらから与えたタスクに対し、想定シナリオ通り作業が進むのか検証を行っていく。シナリオ通りに進まなかった場合は、なぜそのような行動をとったのか質問し、課題発見を行っていく。

そして、ユーザーストーリー全体から、行動に整合性があるのか確認していく。今回の解決策がユーザーストーリー全体の一部だったとしても、全体を見回して整合性にズレがないか確認することでサービスの一貫性を保つ必要がある。

オンボーディングを最適化するためには、オンボーディングを阻害している課題を特定し、最適解を発見することが大事である。そのためには、上記の施策を行ってサービス改善に務めることが必要だと語りセミナーは終幕した。