TikTok担当者が語るアプリを夢中にさせた3つの理由。企業がユーザーと上手く広告コミュニケーションを取るコツとは?

 Post by MML編集部
今や多くの若者がTikTokアプリにダンス動画を投稿し、その盛り上がりから数々のテレビ番組でも紹介されている。なぜここまで人を夢中にさせるのだろうか。また、TikTokに広告を提供するブランドは、どのようにすればTikTokユーザーとうまくコミュニケーションが取れるのだろうか。TikTok担当者が具体例を交えながら解説をされた。
写真左から、TikTok グローバルブランディングイノベーション プロダクトディレクター 孙 朔氏 / TikTok Japan ブランドアドバタイジングレベニューパートナーシップ ディレクター 田村 千秋氏
本記事は、10月5日に開催された、コムエクスポジアム・ジャパンが主催する「アドテック東京」より、TikTokの孙 朔氏、田村 千秋氏の講演「世界中が注目!TikTokが切り開く、新しいショートムービーの世界」の模様をお届けする。 TikTokは、AI技術の導入と独自のUXや操作性を用いて、誰もが影響力のあるショートムービーコンテンツを発信することを可能にした、ソーシャルショートムービーアプリ。 日本でサービスをローンチして、2018年10月でちょうど1年を迎える。TikTokがこれまでパブリックな場所でプレゼンテーションする機会は多くなかったため、多数の来場者の注目を集めていた。 調査会社「Sensor Tower」によると、TikTokは2018年第1四半期、世界で最もダウンロードされたiOSアプリに輝いた。 これは世界だけにとどまらず、日本での利用もすごい勢いで伸びており、現在の月間動画再生回数は130億回を突破した。 TikTokは単なるオンラインプラットフォームだけではなく、その垣根を超えて世界中にあるコミュニティととらえていただき、皆さまとともに盛り上げていけたらと孙氏は語った。

TikTokを夢中にさせる3つの要素

ではなぜ、こんなにTikTokが利用されているのだろうか。 それには3つの理由があるという。1つ目は「Creation」。TikTokには、音楽とエフェクトが豊富に取り揃えており、ユーザーはそこから簡単に、クリエイティブな15秒の短い動画制作ができる。 2つ目は「Contents」。誰もが簡単に動画制作ができるので、面白いコンテンツが豊富にある。それに加えて、TikTokの運営元はAIの会社であるため、AIのアルゴリズムを使って、ユーザーの世界観が広げられるようなおすすめのしかたを行っている。 3つ目は「Connection」。TikTokのユニークなインターフェースが、ユーザーとコンテンツのつながりを加速している。例えば、「雨効果」というエフェクトが世界中で流行っており、このテーマだけでも日本で25万本以上の動画が投稿されているという。こういったところがTikTokを夢中にさせる要素なのだという。

TikTokユーザーから見える2つの特徴

TikTokには多くのスマホネイティブが集まっている。そして、ユーザーにとって心地よいと言われるTikTokのUI/UXで楽しんでいる。ではTikTokのユーザーはどのような特徴があるのだろうか。それには2つの大きな特徴があるという。 1つは、TikTokユーザーの43%が、誰よりも早く、情報をキャッチしていると思っていること。2つ目はTikTokユーザーの67%が、いい商品やサービスは自分から発信したい、おすすめしたいと思っていることである。 「私達も日々、スマホネイティブについて分析していますが、最近彼らは、ブランドが提供する広告でも直接会話することに躊躇しない特徴があるということに気が付きました。今年の7月から広告を展開させていただいていますが、ブランドの広告にもすごい数の『いいね』や『コメント』をいただいています」。 「彼らは自己表現欲求が強いところがあるため、彼らが持っている心の琴線に触れることができれば、彼らの影響力を持って、どんどんと自発的にブランド体験を拡散してくれるでしょう」。

ハッシュタグチャレンジはTikTokユーザーとの距離を縮める

ちなみに自社の調査によると、52%以上のユーザーが「ハッシュタグチャレンジ」を楽しみ、48%以上のユーザーが、実際に動画を投稿して拡散するという結果が出ている。 ハッシュタグチャレンジとは、企業に一定のテーマ(同じハッシュタグ)を与え、そのテーマにあった動画を撮影・投稿してもらう施策のことである。同一ハッシュタグページにユーザーが投稿した動画が集まっていくので、投稿者と視聴者をより増幅させる効果を生み、より高いエンゲージメント効果を実現することができる。 国内ではサントリーやローソン、海外では米国バーガーキングなどがハッシュタグチャレンジに参加。ブランドの世界観を表すダンスと音楽を活用して、大御所タレントやインフルエンサーが踊る動画を提供。インパクトを与えつつ同時に、親近感を与えることができた。 「ブランドの広告主と話をして感じてきていることは、マーケティングファネルの長い道のりのなか、ハッシュタグチャレンジを行うと、なぜかブランドとユーザーの距離が一気に縮まって、スピードアップしていると実感しています。そこがTikTokでマーケティングする価値の1つだと思っています」。

ユーザーはスキマ時間を狙って動画を消費している

自社調査によると、日本ユーザーの90%以上が、通勤時間や外出先、学校などでTikTokを使っていると回答している。TikTokは音声をONにして見るプラットフォームだから家で見る人が多いのではないかと予想されるのだが、実際はいろいろな場所で見られているという。 また、日本ユーザーの88%が、友達と一緒にTikTokを楽しんでいると回答している。TikTokは基本的に一人で見るソーシャルメディアと違って、友達と一緒にハッシュタグチャレンジの動画を撮ったり、友達と一緒に動画を見て笑い合ったり、どちらかというとおもちゃとしてTikTokを使っている傾向がある。 「おそらく彼らは、電車の乗り降りのなか、数分もあればすぐにTikTokを開いて、面白い動画があれば いいねやコメントをしたり、ソーシャルメディアで拡散したりしているんじゃないかと、スキマ時間を狙ってこのような動画消費に使っているんじゃないかと思っています」。

広告に接触したユーザーは好感度が増加

ショートムービープラットフォームであるTikTokは、AIを活用して各ユーザーにおすすめコンテンツを配信している。このスキマ時間はユーザーにとっても、ブランドにとっても、「プライムタイム」のような時間になっているのではないだろうか。 TikTokが作り出したプライムタイムは、ブランド企業が参入することで、ブランドリフトも実現している。現在TikTokではニールセンと協業して広告に接触したユーザーと接触していないユーザーを分け、ブランド認知したか、ブランドに好感を持ったか、購入意向があったかなど、ブランドリフト調査を行っている。 例えば、企業A社においてブランドの「認知度」を調査したところ、非接触者は27.6%に対して接触者は32.5%と、リフト率は18.0%増加した。また「購入意向」においては、非接触者は3.1%に対して接触者は3.9%と、リフト率は25.8%増加したそうだ。 また、企業B社ブランドの「認知度」を調査したところ、非接触者は61.6%に対して接触者は85.5%と、リフト率は38.8%の増加。「高感度」においては、非接触者が12.9%に対して接触者が21.0%とリフト率は62.7%増加した結果が出ている。 「まだリサーチを始めたばかりですが、TikTokでもきちんと広告効果が出ているところを可視化できるようになってきました。各社からブランド調査についてのお問い合わせが多く、優先度高めで推進していますので、今後ご期待いただければと思っています」。

年内に新しい広告を準備中

今後の予定として、2018年以内にCall to Actionをベースにしたパフォーマンス広告を開始する。 TikTokでは、毎日200億以上のデータサンプルから分析している。そのユーザーのニーズや嗜好を分析し、どんな広告を提供したら好意的に受け取ってもらえるかを考え、それに合わせて広告を提供している。 また、入札価格については「oCPC」モデルを推奨している。oCPCとは、目標CPAに対する入札価格を自動的に最適化する機能。 CPCで入札しながら、ファイナルコンバージョンでコンバージョンの最適化を目指す。 この広告はAppsFlyer、Adjust、TUNEなどのサードパーティと連携を行って、透明性を目指す。 現在提供している広告も含めて、TikTokのAIがパフォーマンスを実感いただけるようにしますのでご期待くださいと語りセミナーは終幕した。