メタップスリンクス森氏が語る、アプリ分析から改善のきっかけを見つけ出す具体的な事例

 Post by MML編集部
アプリ担当者と話していると「思ったようにアプリダウンロード数が増えない」「アプリを期待通りの利用や活用をしてくれない」というご相談を聞くことがある。では、どのようにデータを分析したら問題点を見つけ、売上に貢献できるアプリにできるのか、具体例を交えながら解説した。
株式会社メタップスリンクス コンサルタント 森 光平氏
本記事は、メルカリとメタップスリンクスの共催セミナー「アプリ事業者向け!大注目上場を果たしたメルカリのアプリマーケティングを徹底解剖!」より、メタップスリンクスの森氏より「アプリ運営課題解決の基本アプローチ」というテーマで講演を行った。 メタップスリンクスは、アプリマーケティングの支援を行っている会社。自社で提供する「メタップスアナリティクス」を活用してデータを可視化し、中身のデータを上手く活用しながらマーケティング戦略立案・施策の実行を支援している。

アプリによる「売上の方程式」とは

アプリを事業としていく上で売上の構成要素は何かを分解していくと下図のような形になる。左に行くほどマーケティング側のKPI、右へ行くほどプロダクト側のKPIとなる。両方の連携がうまく行って相乗効果が生まれてくる。

クライアントが語る2つの課題

クライアントとヒアリングをすると、主に2つの問題に突き当たっていると森氏は語る。1つは、ユーザーが増えない問題。これは、サービスをローンチしたばかりのフェーズでよく起こってくる。解決策としては、広告施策を上手く絡めながら自然流入を最大化させた新規ユーザーの獲得やユーザーの掘り起こしをしながらDAUやWAUを見ていく。 2つ目は、ユーザーが利活用してくれない問題。ユーザーがアプリをダウンロードしてくれたものの、新規会員登録や購買につながらず、思ったような行動を起こしてくれない。解決策としては、UI/UXを改善し、コンテンツ量を増加しながらLTVを見ていく これらの施策をまとめると以下の表になる。続いて、新規ユーザー数の向上と、購買単価を上げる具体的な施策について語った。

「カスタムKPI」はどこか、「X地点」はどこかを探す

スマートフォンの個人保有率に関する調査結果を見ると、保有率の伸びは年々鈍化している状態だ。しかし、モバイル広告市場の推移を見ると、鈍化することなく年々増額の一途をたどっている。 つまり、現在はオンライン上において一つの広告枠への入札競争が激化しているので、最終的にCPAが高騰する傾向にある。安く獲得が出来ないからこそ、良質なユーザーをアプリ内に連れてくるという視点が非常に重要になってくる。つまり、CPAだけで新規獲得プロモーションの評価をすることは難しくなっている。 では、どうやって評価するのだろうか。それは、獲得単価だけの評価ではなくて、「獲得単価とカスタムKPI」などで評価することが必要だと森氏は語った。このカスタムKPIとは、例えばECサイトの場合は「お気に入り登録」、フィンテック系であれば「決済情報登録」など、各アプリの独自KPIのことを指す。 その上で優良ユーザーの共通行動を見つけ出す。以下はあるアプリを分析したグラフである。ファネルに各画面を設定し、カスタムKPIとなる「お気に入り登録」までのユーザー行動を見てみると、「X地点」で離脱している人が非常に多い。逆に言うと、X地点を超えたユーザーは優良ユーザーとなる。 これらのユーザーをもとに分析していく。7日後起動したユーザーと、30日後のユーザーLTVはどれくらいいるのか調査すると、X地点を超えなかった青色赤色の線グラフは低い割合であったものの、X地点を超えた黄色の棒グラフは高い割合を示していた。 これらの応用編として、X地点を超えたユーザーは、はたしてどの広告を経由でやってきたのか、または、どれが費用対効果の高い広告なのかを判断する場合はどのようにしたらよいのだろうか。 その場合は、各広告の「X地点突破率」を集計し、それをCPI単価と組み合わせることで、X地点突破における広告単価が計上され、投資判断が可能となる。

ユーザーがアプリを活用してもらうための具体例

ユーザーがアプリをダウンロードしてくれたものの、「お気に入り登録」や「会員登録」など、利活用をしてくれないことがある。その場合、どのように行動を促進すればよいのだろうか。 具体的に「X地点」を超えるためには何をしていくのかと言うと、アプリ内の特定ページで「ポップアップ」を表示してランディングページへ誘導したり、または、ユーザーに「インセンティブ」を提供したり、「動画」を流したり、「イベント情報」を提示したりして、必然的にユーザーを特定行動へ促していく。 X地点を超えた人(赤色)、購買した人(黄色)、全体(青色)から継続率を調査したところ、「X地点を超えた人」と「購買した人」の継続率の推移は、非常に似ていることが変わった。 「もしかすると、X地点を超えるようなページ遷移を用意してあげたら、売上アップにつながるのではないかと予想し、ここにポップアップの遷移を出します」。 ポップアップの遷移を出した結果、売上が169%に増加。また、7日間の継続率は143%に増加し、1人あたりのユーザー課金額(ARPU)も122%に増加した。 「データ分析において必要なことは、仮説検証を繰り返すこと。始めから数字を取るのではなくて、自分で仮説立てをして、何が起こっているのかということを、データを取って検証する。そして、確信が持てるものを見つける」と語った。 さらに森氏は、「担当者はまず、運営しているアプリにおいて取得すべきカスタムKPIは何なのか、ユーザーの定着率が上がるX地点はどこなのかを見つけることが重要である」と語りセミナーが終幕した。