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アプリの予算取りやアプリ開発の依頼方法など。丸亀製麺やフジテレビが語る、発注者として委託する際、気をつけたいポイント

 Post by MML編集部

今回は、アプリを発注する企業と受注する企業が集まり、パネルディスカッションを開催した。企業がアプリを導入する時、どういう点で気をつけなければいけないのだろうか。

アプリの予算取りの方法から、信頼できるアプリ開発会社の見分け方。アプリ開発会社に委託する際、気をつけたい点やスムーズな依頼の仕方。最近流行りの「テンプレアプリ」についてのメリット・デメリットなど各社、意見を交えた。

画像右から、株式会社モンスター・ラボ 津山 拓郎氏 / 株式会社ロケーションバリュー 小嶋 利典氏 / 株式会社トリドールホールディングス 西村 友博氏 / 株式会社フジテレビジョン 枝根 聡樹氏 / Repro株式会社 平田 祐介氏

本記事は、2月27日に開催された「アプリの虎Vol.2 ~有名企業アプリ活用最前線~」がより、パネルディカッションの模様をダイジェストでお届けする。フジテレビの枝根氏とトリドールホールディングスの西村氏、ロケーションバリューの小嶋氏、モンスター・ラボの津山氏をお招きし、モデレーターはReproの平田氏が務めた。

平田:今日ご来場いただいている人のうち半数はアプリを持っていない企業が多いそうなので、アプリを作るにあたってどういう点で気をつけなければいけないのか、発注者側と受注者側から洗い出していきたいと思っています。

企業はどういう位置づけでアプリを見ているか

平田:フジテレビさんはWebとアプリの両方をお持ちですけど、具体的なKPIを通じて、両者の特徴を話していただければと思いますが、ちなみにFODの場合、課金はWebのほうが多いですか、それともアプリのほうですか?

枝根:弊社の場合、現段階では、アプリ上の課金は対応していません。AppleやGoogleに手数料をお渡しすると利益が残らないという事情があります。テレビは電波を利用しているので沢山の人が視聴しても固定費は変わらないんですが、デジタルの場合、利用者がいればいるほどインフラ代がかかってしまいます。

ただ、アプリ内で勝負するのだったら、アプリ内課金が入っていないとそもそもコンバージョン上がらないし、アプリ内課金はブラウザ課金よりコンバージョン率が高いと言われているので、本当にアプリで稼ごうと思ったらアプリ内課金は必須だと思います。

平田:トリドールさんは、会社側のアプリってどういう位置づけで見られていますか?

西村:弊社の場合、レストラン事業なので、店舗機能の一部として捉えています。アプリで何かを見せるというメディア的な使い方ではなくて、より店舗のオペレーションを良くするとか、店舗ビジネスを加速すると行ったような位置づけで捉えています。

アプリの予算取りについて

平田:アプリ開発の予算ってどういうふうに取っていますか?

西村:よく言われることですが最初から大型の予算設定をするのではなくまずはスモールスタートで始めて売上に対する効果が出る確証を数値で得ることが大切だと思います。効果が出ることさえ分かれば予算の確保は「どれだけ拡大するか」の話になりますので。また、スケールアウトする際はそれによってどれくらい効果が見込めるのかの想定とそれを検証する手段を用意しておくことが重要だと思います。

平田:アプリがうまく行ったとして、経営的には予算をたくさん出そうという感じなんですか?それとも、ほどほどにしようかという感じなんですか?

西村:ほどほどにしようという感じではないですね。最近ではチャネルシフトという言葉もあるようにオンラインのビジネスがオフラインにやってきたりしています。弊社のような実店舗を持っているビジネスも自らデジタルとデータを活用しなければいけないフェーズに入っています。最先端を行くのは難しいかもしれませんが、少なくとも業界内において遅れをとらないように常に意識はしています。

平田:フジテレビさんは、バジェットをどう作っているんですか?

枝根:予算は組み立てているので、その収支目標を達成するために費用は計上しているのですが、アプリに関しては ぶっちゃけ「僕を信じてください」しか言ってないですね。

アプリ開発を依頼する時、「ワークフローをきちんと作る」

平田:アプリ開発を依頼する時、どこに気をつけたらいいのでしょうか。モンスター・ラボさんはいかがですか?

津山:アプリ開発を委託するのなら、ワークフローをきちんと作ることですね。ユーザーの導線設計のほかに、運営者側の動き、管理者側の動きもありますね。

この時、誰がどう動いているのかというフローを作って、開発会社さんと相談しながら担当者の負荷をどれだけ下げられるか、そこまでの設計をして作ればよいかなと思います。

ユーザーの立場に立って、表側のユーザー部分だけきちんと作るのですが、他の部分は抜け落ちていて、そこの設計ができていなくて、後々回してみたら、失敗するパターンがありますね。

「ユーザー体験」と「コンテンツ」を考えてほしい

平田:アプリ開発会社にはこういう観点で依頼したほうがいいというのはありますか。ロケーションバリューさん、いかがでしょうか?

小嶋:発注される側として1つ言いたいことがありまして、RFP(提案依頼書)の中に機能一覧を書かれる担当者さん多いのですが、ぶっちゃけあまり意味がなくて、皆さんが考えてもらいたいのは、「ユーザー体験」と「コンテンツ」なんですよね。

機能の羅列から見積もってと言われますが、実は、いかようにも見積もれちゃうんですよ。例えばHTMLで安く抑えることもできるし、ネイティブでリッチに組み込むこともできるので、それで開発会社を選ぶのって、ぶっちゃけあまり意味無いなと感じています。

それよりも、こんなサービスを提供したいという話を聞きたいですし、クーポンやキャンペーン、コンテンツとか、お客さまにより価値できるものにお金をかけていただいたほうが、個人的にはいいと思っています。

初期ではスモールスタートを目指そう

平田:弊社も困ったアプリの相談をいただくことが多いですけど、初期開発費用しか予算に積んでいないパターンが多くて、100点のものを最初のリリースで出すなんてグーグルでも無理ですと。

僕らは60点ぐらいのものを目指してリリースすることが大事なんです。まず、やりたいことを早期に出す。そして、そこに対する予算をなるべく低くする。ユーザーに求められるものをなるべく早く提供して、そこが刺さったら、少しずつ機能を追加していくみたいなことは、Webとアプリの大きな違いです。

企業は何が刺さるか分からないので、あれもやりたい、これもやりたい、こんなこともしてみたいとやりがちなんですけど、究極的に言えば、機能を1個だけに絞って、まずは開発会社さんと話をする。そして、その後の展望をどうやって進んでいきしょうか、というのがいいと思います。

「信頼できるアプリ開発会社」2つの見分け方

平田:発注側として、信用できるアプリ開発会社の見分け方ってありますか?

枝根:そうですね。答えは2つあって、1つは「実績」。結局、同じような業界のアプリをどれだけ実績を出して、成果出しているのかということ。2つ目は「どれだけ僕らの立場に立っていただけるのか」ということ。つまり、仮にあなたが僕らと同じ事業をやっている立場だったら、どういう目線で事業をやっているのか分かりますよね、という関係性が築けないと難しいですね。

僕らがこういうふうにしたほうが、お客さまは満足してくださるから、こういうことをしたいと言う時、それに共感、もしくはアドバイスをいただけるような会社というのがありがたいと思います。

現場にいないと分からないことだってある

平田:ありがとうございます。トリドールさんは逆に、アプリ開発会社とコミュニケーションする上で難しいことってありますか?

西村:そうですね、事業をきちんと理解してアプリを作り込むことって結構難しいと思います。もちろん期待としては開発会社には当社の事業を理解して作っていただきたいのですが、やはり現場にいないとどうしても分からないことがあります。

結局、そのアプリが事業にフィットするかどうかは発注者側に責任がありますので、開発のプロフェッショナルの意見を伺いつつも、事業の仕組みに関わる機能を考える時は主導権をもって判断する必要があると実感しています。開発パートナーに求めすぎないことも大切です。

テンプレートを使ったアプリ開発の課題

平田:ずっと同じアプリ開発会社とお付き合いされているんですか?変わったタイミングや理由は何ですか?

西村:いろいろと理由はありますが、実はもともと、パッケージを使っていたことがありまして、パッケージでは自分たちがやろうと思っていたことが、対応できなくなってきました。ビジネスが、そのアプリできちんと動くことが分かってくると、そこに投資もできるので、自分たちでカスタマイズしてやりたいという気持ちに変わりました。

スケールするための手段をきちんと残しておく

平田:今、とてもいいお話をされました。初期段階でアプリに参入やすいから、テンプレートを使ったアプリ開発サービスで出そうよ みたいな意見って出がちだと思うんですよね、予算も低くていいから。その後、自分たちのオリジナルアプリに変更されたと思うのですが、今あらためて新しくアプリを作られる企業にとって、どういう始め方がいいんでしょうね?

西村:テンプレアプリで作るかオリジナルアプリとして作るかは正直どちらでもいいと思うのですが、私は、スピードが一番出せるかたちが一番いいと思っています。大切なのはスケールするための手段をきちんと残しておく、ということです。

テンプレアプリを使う際、注意しておいたほうがいいのは、テンプレアプリの中で取得していたデータをきちんとスケールした時に再活用できるか、そういったところは最初から考えておかないと、後々トラブルになることがあるので、注意しておいたほうがいいと思います。

ベース機能だけテンプレを活用。コア機能はシステム連携で

平田:ありがとうございます。ロケーションバリューさんはいかがですか?

小嶋:弊社はO2Oに特化したアプリを開発しています。他と比べて安めに提供しているのですが、例えば、アプリをフルスクラッチで要件定義から作ると費用が何千万円もかかってしまうので、そもそもそのお金は出せないよ という企業がたくさんいるので、僕らはASPサービスを提供しています。

先ほどテンプレアプリの話が出ていましたが、僕らはテンプレアプリが好きじゃないというか、自分たちの事業はそうじゃないと思っていて、プッシュ通知や店舗検索のような、あくまでもベースの機能だけはテンプレでいいよねと。例えば会員証のようなコアとなる機能は、きちんと企業さんのシステムと連携して作りましょうというかたちでやっています。

お客さまの声は早い。だから一緒に活動する

小嶋:それと、弊社のクライアントとは、基本的に週1回のペースで定例の打ち合わせをしています。アプリってお客さまの声がすごく早いんですよ。クライアントと一緒にやらないと良いアプリが作れないので、そこは共同でやっていきましょうというスタンスでやらせていただいています。だから、大手企業でもお付き合いいただけているのかなと思います。

平田:ありがとうございました。このあと懇親会があるので、ご興味のある方は受注者側と発注者側の方も参加されるので、いろいろと聞いてみてください。この辺で、パネルディスカッションを終了いたします。