2018年のアプリ市場はどう進んでいくのか?App Annieが予測する10のポイント

 Post by MML編集部

アプリ市場データを提供するApp Annieは、調査ブログ『2018年のアプリ市場を見通す10のポイント』を発表いたしました。今回は、そのうち5つのポイントについて紹介します。

AR分野がさらに加速

2017年は、ポケモンGOやSnapchatに代表されるように、ARに対する消費者の関心を高めました。2018年はARが大きな潜在能力を発揮するための重要な一歩を踏み出すことでしょう。

Facebook、Google、Appleといった企業は、2017年の開発者向けカンファレンスで、さまざまなAR関連のプロジェクトを発表しました。3社以外にも、AlibabaやBaidu、Tencentといった中国の企業もARプロジェクトを発表しています。

こうした取り組みで、パブリッシャーがARアプリの開発をより簡単でスピーディーにできるようになり、また消費者の関心がさらに高まることで、ARの導入はさらに加速することでしょう。

実際、アメリカでは「Augmented Reality(拡張現実)」という検索キーワードでApp Storeの上位にランクインするアプリのダウンロード数は、2017年9月以降大きく伸ばしています。これは、新しいAR関連アプリが増えたことに加え、既存アプリにAR機能が追加されたことが要因です。

ARのチャンスを手にしようと押し寄せるパブリッシャーはますます増加しており、2018年には現実の対象物に重ねて表示できるGoogle翻訳の「リアルタイム翻訳」機能などのような「その状況で知りたい」ニーズに特化したアプリが、最も多くユーザーの関心を集めることでしょう。

スマートデバイス市場はこれから

スマートデバイス市場が誕生したのは、Amazonが第1世代のEchoをリリースした2014年のことでした。2016年にはホリデーシーズンの間際で発売されたEcho Dotが49.99ドルという初心者にも届きやすい価格で、驚くほどの販売増を記録。2017年7月12日のAmazonプライムデーには、Echoデバイスの大幅な値引きにより、市場は大きく盛り上がりました。

市場の盛り上がりによりアメリカでは、スマートスピーカーと連携するAmazon Alexaアプリのダウンロード数が、2016年10月から増加傾向になり、ホリデーシーズンとAmazonプライムデーのころに急増しました。

2018年には、最近発売されたGoogle Homeを始め、AppleやSmsung、Alibaba、Baiduといった新規参入組によってスマートデバイス市場はさらに拡大すると考えられます。音楽の再生、基本的なウェブ検索、実用的な用途など、現時点ではその用途はまだ限られています。

技術に詳しいユーザーが新しい使い方を模索する中で、他のコネクテッドホームビジネスの導入が増えていくとApp Annieは予測しています。

小売業:消費者行動が多様化しあらゆる次元に影響

モバイルは近年、小売のカスタマージャーニーにおいてますます中心的な役割を担うようになっています。価格、商品情報、レビューなど、主に実店舗内で買い物をする際のツールからスタートしたモバイルは、今やそれ自体でショッピングを完結できるチャネルとなりました。加えて、従来の実店舗型の小売業者が、カスタマージャーニーをさらに発展させるためにアプリを採用しています。

これまで、「実店舗とオンライン併用型の小売店」と「デジタルファーストの小売店」を区別することは簡単でしたが、買収や提携、イノベーションによって、その境界線はあいまいになっています。こうした動きは、店舗での買い物、自宅での買い物、商品の配達など、小売カスタマージャーニーのあらゆる次元に影響を与えています。

2018年には、こうした変化のために消費者の買い物習慣が変化して、小売店と消費者の関係が見直されるだけでなく、モバイルアプリやウェブ、実店舗などのような既存の小売チャネルの存在意義さえ、変化し始めると考えられます。

例えば中国で見られるように欧米市場でも、モバイルで購入した商品の受取場所として実店舗が使われるケースが増えるでしょう。また、精算や支払いの処理に長い間使われてきたレジの役割が縮小し、場合によってはモバイルに置き換えられるでしょう。

これから数年の間に、信頼や価値、利便性といった最も重要な要素に対する人々の期待が少しずつ高まり、ついには小売の新しいパラダイムが生まれるときが来るものと思われます。購入チャネルにかかわらず、モバイルは今後も、多くの消費者にとってショッピング体験の中心となるでしょう。

ファイナンス:個人間送金アプリで決済がさらに多様化

利便性はアプリの普及を進めてきましたが、ときにセキュリティを懸念されることがあります。当然ですが、ファイナンスアプリはこの点を克服する必要があります。これは新しい話ではなく、クレジットカードやATMなど、過去のイノベーションでも同じです。

Venmoなど、米国で人気の個人間(P2P)送金アプリは、フィンテックの中でも目立つ存在でしょう。P2P送金アプリは現金や小切手に取って代わり、ミレニアル世代を中心とする消費者の支払い方法を一変させました。

2018年にはそのサービス範囲を拡大することで、収益機会を増やし、従来の銀行との競争激化に対抗し、ユーザーエンゲージメントの強化を図るとみられます。そして、オンライン振込やサードパーティー決済の成長が、P2P送金アプリの取引量を増加させるでしょう。

特にサードパーティー決済は、小売業者や販売業者が支払いオプションに採用していることが追い風になっています。このようなサービスは、さらなる利便性をもたらすことから、ユーザーには好意的に受け止められています。

またこの分野には、メッセージングやソーシャルネットワーキングなど、自社の大きなユーザー基盤に対するサービス、マネタイズ、エンゲージメントの新たな手法を常に模索している他のカテゴリーから、成功企業の参入が増えることが予想されます。

なかでもWeChatは、多くのユーザーにとって、中国におけるサービス配信チャンネルの定番であり、様々な目的を実行するための拠点であることから、固有の地位を築いています。

以上は、アプリ市場が近い将来に進化を遂げると予想される分野のごく一部です。

アプリ市場は誕生から10年の間に大きく発展しましたが、それでもポテンシャル全体でみれば、ほんの序章にすぎません。アプリに対する期待の高まりによって、開発者によるイノベーションと技術進化はさらに加速するでしょう。

他の手段でも実行できる活動をなぞるだけのアプリでは、ユーザーはもはや満足しません。人々はアプリに対して、さまざまな目的やタスクをこなす方法を根底から一変させ、なおかつ、他のプラットフォームでは実現不可能な、まったく新しい体験を生み出すことを期待するようになっています。

アプリ市場の次の10年間で、アプリ開発者が現在できることの境界を越えてそうしたニーズに応えるのを楽しみにしています。

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