オプト岩本氏。オムニチャネル戦略を成功させるアプリ活用方法とは?

 Post by MML編集部
無印良品、丸亀製麺 などが公式アプリを公開し、驚くような効果を上げている様子を見ていると、これからアプリを取り組もうかと思っている企業も少なくない。 そもそも、Webとアプリはどう違うのか、どうすれば成功へと導けるのか疑問を持つことだろう。 本記事はオプトとReproの共催で開催された「アプリマーケティングセミナー#3 オムニチャネルにおけるアプリ活用」において、オプトのスマートデバイス戦略・開発責任者である岩本氏が「オムニチャネルにおけるアプリの基礎」というテーマで講演内容をまとめたものである。 本セミナーには、これからオムニチャネル施策においてアプリマーケティングを取り入れていこうとする広告主が多く集まった。オムニチャネルの中でアプリはどういう立ち位置なのか、ユーザーにどのようにコミュニケーションすべきなのかなど、アプリマーケティングの基礎編が丁寧に説明された。
株式会社オプト スマートデバイステクノロジー部 部長 岩本 智裕氏
さまざまな企業が公式アプリを開発し、驚くような効果を上げている様子を見ていると、「これからアプリを取り組もうか」「どうしてこんなに効果が出るのか分からない」といった方も少なくない。 まずはオムニチャネルにおいて、なぜアプリが重要視されるのだろうかについて触れていきたい。 10年前と現在を比較すると、世の中の社会環境はだいぶ変わってきている。 その中で一番変わったものと言えば、モバイル端末の登場が挙げられる。博報堂DYメディアパートナーズの調査によると、モバイル端末のメディア接触率は2006年が3%に対し、2016年では23%にまで増加している。 今まで情報の取得場所はテレビ番組や新聞、パソコンだったものが、モバイル端末、特にスマホの登場によって、いつでもどこでも、電車の中でも、カフェでも、テレビを見ながらでも、情報を取得することができるようになった。

「ホーム画面」はユーザーが最も閲覧される場所

「皆さん、世の中で一番PVが多いところはどこだと思いますか? 今まではプロバイダーの公式サイトやポータルサイトが一番PVの多かったところだと思います。 私が思うに、一番PVの多いところって、朝起きて最初に開くスマホのホーム画面だと思うんですね。 この画面が、一番PVが多いですね」。 「ホーム画面を最強のブックマークと捉え、アプリから商品の宣伝やコミュニケーションの活性化ができるかどうかというのが、オムニチャネルにおいて、お客様がいつでもどこでも近くにいる状態を作ることにつながっています」。 今までユーザーは、「ブラウザ」を中心にデジタルに触れながら生活していたものが、最近ではTwitter、LINE、Instagramを中心とした「アプリ」に触れながら生活していることが分かっている。 「このように現代の若者はアプリを重要視していて、その波に乗るためにもアプリを注力することは非常に重要ですし、そのアプリの特徴をきちんと捉えて戦略を組むということは、オムニチャネルにおいて非常に重要だと思います」。

アプリはロイヤルユーザーを囲い込むバケット

今までアプリは、マルチチャネルにおいてWeb・店舗と並列する1つのチャネルとして捉えられていたが、今では全てのチャネルの中核になっていると岩本氏は感じているという。 「そのようなアプリを用いたオムニチャネル戦略において、いかにアプリにユーザーを誘導するか、また、誘導したユーザーが定着するかが重要です」と岩本氏は述べていた。

オムニチャネルではさまざまな場所でDLされる

さて、ユーザーはどのようなきっかけでアプリをインストールするのだろうか。 そのきっかけを、どこから得るのか考えることは非常に重要である。例えば、皆さんが普段使っているアパレル系アプリやポイントカードアプリなどは、どこでインストールされるだろうか? おそらく、広告を見てダウンロードする人よりも、店舗や友だちの紹介をきっかけにインストールする人が多いのではないだろうか。だとすると、広告のあるべき姿はアプリをインストールさせるための広告ではなく、店舗誘導や認知を上げるための広告ではないかと説明した。

リテンションに対する認識を見直す必要がある

FLURRYが発表した資料によると、本日アプリをインストールしたユーザーのうち、翌日起動してくれるユーザーは約30~40%、さらに1週間後に起動してくれるユーザーは約10%と言われている。 例えば、広告で1人獲得するためにかかった金額を500円とした場合、1週間後に起動してくれるユーザーの獲得単価は5,000円となる。 ただし、オムニチャネルとして考えた場合、この考え方には落とし穴があると岩本氏は語る。 なぜなら、ポイントカードアプリは毎日起動するわけではなく、各アプリによって利用頻度が違うからだ。すなわち、1週間後(7日後)に起動してくれるユーザーは10%かもしれないが、残り90%のユーザーはアプリを離脱したわけではない。彼らのほとんどは適切なタイミングで起動するということだ。 「リテンションの分析方法は、サービスによって違います。一般にはN日目に起動したユーザーがどの程度いるかを示す”Classic Retention“の指標が用いられるが、起動率が高くないオムニチャネルサービスにおいては、N日目以降に起動したユーザーがどの程度いるかを示す”Rolling Retention”を指標とするのがお薦めです」と岩本氏は語った。

WebとアプリにおけるKPIの違い

一口にKPIと言っても、Webとアプリでは考え方が全く異なってくる。 Webの場合は、ランディングページに訪れてその場で買ってもらうことを必要とする世界である。なぜならば、ユーザーはもう一度訪れるために検索をしなければならず、再来訪にかかるコストが高くなってしまうからだ。 しかしアプリの場合、最強のブックマークとしてホーム画面にアプリのアイコンがあるため、1度インストールされると、再来訪が容易となる。インストール後すぐにコンバージョンに至る必要はなく、数日間のうちにコンバージョンを獲得すれば良い。 このように考えるとKPIは変わってくる。

居なくなった7割のユーザーを取り戻すために

岩本氏の調査によると、アプリから居なくなるユーザーは非常に多いという。 「著名なアプリでも、2年間でインストールされたユーザーのうち、当月起動してくれるユーザーは25~30%です。 アプリを起動しなくなった70%のユーザーはアプリを嫌いになったのではなく、インストールしたことを忘れたか、起動する理由がないだけと推察できます」。 「季節に合わせてさまざまなキャンペーンを実施するオムニチャネルサービスは、フレッシュな情報を届ける必要があるが、プッシュ通知やアプリ内のメッセージなどは、インストールしているからといって全てのユーザーに情報が届くわけではない」。 「そのため、インストールしたユーザーのIDをしっかりと蓄積し、情報が届かなくなってしまったインストールユーザーが日々訪れるFacebookやTwitter、LINEなどのプラットフォームでキャンペーンを伝えることは非常に有益であると考えます」と話しセミナーが終了した。