TカードやTポイントを活用したCCCマーケティング、スマホを中心とした新たなビッグデータ戦略とは?

 Post by MML編集部
1年以内に、日本の総人口の約50%が利用し、購買で年間40億回利用されるTカードやTポイント。 CCCマーケティングでは「情報の製造流通業」を目指して、ビッグデータを活用したさまざまな取り組みを行っている。 具体的にはどのような活動を行い、社会へ還元しているのか、その内容を講演された。
CCCマーケティング株式会社 取締役 佐藤 淳氏
11月10日、「2017 Japan IT Week 秋」が行われた。 このイベントは年に3回開催されるもので、一般の方は入場できない業界関係者のためのIT商談展である。 そのなかで、CCCマーケティングの佐藤氏から「CCCマーケティングが提供する新たなマーケティング・プラットフォーム ~大規模な購買データ・ライフスタイルデータを元に~」というテーマで講演が行われた。 佐藤氏は、カルチュア・コンビニエンス・クラブへ入社後、2007年よりTカード、Tポイントに関連した業務に従事、その後、マーケティング営業、アライアンス営業を経て、現在では、CCCマーケティングの取締役としてマーケティング・プラットフォーム事業を管掌する。 CCCマーケティングは、データベースに基づいたマーケティング事業を行っており、そして、Tポイント、Tカードを運営する株式会社Tポイントジャパン、そして電子マネー事業を行う株式会社Tマネーを傘下に持つ。

1年間で、日本総人口の約5割が利用

現在、1年以内に利用するユニークのT会員は6,443万人おり、日本総人口の約50%が利用している計算である。 そしてこの数は、年間で7~8%の増率で推移している。 また、1か月以内に利用しているユニークのT会員数は約5,000万人、1週間以内では約3,000万人いるため、1年間の利用者のうち、7割が1か月以内に利用、5割が1週間以内に利用している割合となる。 T会員の属性を見ると、男女比は約半数だが、近年では女性の割合が増加している。 その理由として佐藤氏は、スーパーマーケットやドラッグストアでTカードが利用できるようになったことから割合が変化しているという。 そして日本に住む20代総人口のうち、約8割が1年以内に利用している。 現在、Tポイントの提携先企業は178社、約73万店舗。 この1社は、全店舗加入している企業を1社としてカウントしているため、一部加盟している企業を含めるとさらに増加する。

蓄積したデータは商品やサービスの開発に役立てられる

CCCマーケティングでは、TカードやTマネー、カードケースアプリ、モバイル上の会員証といったツールから蓄積されたデータを、提携先の企業である流通業界やメーカー各社に、使えるような状態に加工して、集計データを提供している。 それらは、流通業界やメーカー各社が商品やサービス開発をして活用し、やがて新しい価値を持った商品やサービスとして消費者のもとへ帰ってくる循環型フレームワークを実施している。 新商品やサービスの開発にとどまらず、現在では、例えばスーパーマーケット、コンビニストア、ドラッグストア、レストランチェーンといった「食」をテーマで一括りできる提携先企業と一緒に、マーケット全体から見えてくるユーザーの特性や嗜好を分析して提供するマーケティングサポート支援も行っている。 最近では、インターネット接続ができるテレビが登場しており、テレビの設定でT-IDを申請すると、T会員の情報が連携できるようになっている。 現在、インターネット接続できるテレビは約50万台あり、そのうちT-IDに連携したテレビは10万台以上にのぼるという。 これらの情報も今後、社会へ還元される世の中が来るのだろうと思われる。

ほとんどのことがスマホで実現できるサービスを提供

CCCマーケティングでは、店内でお買い物する以外のシーンでも補足できるよう、消費者の皆さまにもっと身近になっていくことを大きなテーマとして掲げており、ほとんどのことが「スマホ」で実現できるサービスの導入を、ここ数年取り組んでいると佐藤氏は語る。 その表れとして、「Tポイントアプリ」がApp Storeのライフスタイル部門で1位を獲得。 「TカードやTポイントがユーザーの支持を得ていて、それがスマホに搭載されることで、よりいっそう皆さまに喜んでいただけた証なのかなと思う」と理由を説明した。

アプリ上から会員証が提示できる「モバイルTカード」機能

プラスチックのTカードを提示しなくても、アプリ上の「モバイルTカード」を店頭に提示することで、Tカードと同じように利用できる機能である。 将来的には、決済機能やワンタップサービスを実現するために進めている。 現在では提携先企業であるファミリーマート、ウエルシア、TSUTAYAの各公式アプリで、モバイルTカード機能が実装されている。

One to Oneで実現する「Tカードクーポン」

店舗担当者のなかには、クーポンを配信しても取得されなかったという状況が起こりやすい。 そんなことが起きないよう、T会員の特性や嗜好を解析して、その人にあったクーポンを出し分ける「Tカードクーポン」を提供している。 例えば、ある期間中、ウエルシア公式アプリで取得されたクーポンは24,500セットあった。 そしてあらゆるアプリ先から配信された同じクーポンの取得数は6倍以上の152,000セットに上ったという。 データベースで生成された価値を、直接お客様に感じていただく機会を増やそうと、現在取り組んでいる最中であると佐藤氏は話す。

自社アプリが作れる「スマホアプリ提供サービスパック」

提携先企業によっては、自社アプリを持っていないということもある。 そういった企業に必要な機能をサービスパック化した、アプリ開発ASPサービスを用意しており、提供を行っている。 このようにCCCマーケティングでは、「Tカード」の公式アプリが存在し、自社アプリを持っていない提携先企業にはASPサービスを用意し、あるいは既に自社アプリを持っている企業にはTカードにまつわる機能をセットインするサービスを用意している。 このように、全てのお客様接点をスマホ化し、アプリ間ネットワークを1本化することで、お客様に楽しんでいただける機会を積極的に推進している。

2018年春「お買い物サポートサービス」をリリース予定

TカードやTポイントを利用する会員が、購買データを取得されていることに対して、あまり心地よくないという意見は少なからずあり、CCCマーケティングでもさまざまな対応を行っている。 それに加えて、会員が直接的にメリットを感じるサービスの導入も進めている。 「お買い物サポートサービス」は、ビッグデータを活用して、買い物する時に自分が欲しい商品を入力することもなく、その人が購入した商品のジャンルをランキング化する機能や、商品レビューが確認できる機能、商品を購入するとその履歴が家計簿として利用できる機能、購入した商品のレビューを書き込める機能などを搭載したサービスである。 「メーカー側から見ると、商品を知ってもらういい機会となるし、小売業側から見ると、お買上げの接点が増えるという効果が期待できる」と話す。

お買い物レシートでTポイントが貯まるサービス開始

T会員の中でも、提携先企業以外で買い物をされていることもあり、そこを補足することで何かが見えてくるのではないかと思い、2017年6月からサービスを開始している。 このサービスでは、毎月1万人、月間15万枚のレシートが登録されている。 同じカテゴリの商品でも、自社の購買データと競合の購買データを補足することで、最初の視座として、どれくらいの割合でお客様を自社に誘引しているのかといった割合が見えてくる。

「情報の製造流通業」を目指して

CCCマーケティングでは、さまざまな種類で、さまざまな構造のビッグデータを蓄積しており、それらが複合的に活用できるよう整備を行っている。 そして提携先企業の目的と用途に応じて、活用できる仕組みや活用できるサービスを提供することが、「情報の製造流通業」であるCCCマーケティングの使命だと感じている。 したがって、データベースを核とし、それが価値化する状態へと持っていくことで、データを活用する提携先企業とともに価値を協創でき、消費者の皆さまが買い物をスマートに、少し楽しくすることを大きな目標に掲げ、日々前進しているところだと佐藤氏は説明し、セミナーが終了した。