オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

「アプリはお客様のためにある」(株)ユナイテッドアローズが語る現状把握してお客様を理解するアプリ改善手法

 Post by MML編集部

株式会社ユナイテッドアローズ(以下、ユナイテッドアローズ)は2016年8月、自社が運営する「UNITED ARROWS LTD. HOUSE CARD」(以下、ハウスカード)と「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE」(以下、オンラインストア)のID統合に伴い、2つ存在したアプリを1つに統合してリニューアルを行った。

アプリのダウンロード数は増加したものの、リテンション(継続)率が課題に届かず問題を抱えていた。 その後、ユナイテッドアローズが行った対策とはどのようなものか。

株式会社ユナイテッドアローズ 事業支援本部 デジタルマーケティング部 デジタルコミュニケーションチーム リーダー 安藤 彩子氏

7月18日、Repro、ロケーションバリュー、FROSKの3社共催によるセミナー「アプリの虎」が開催された。ユナイテッドアローズの安藤 彩子氏により「アプリで実現するカスタマーエクスペリエンス」と題した講演を行った。

2016年8月、ID統合に伴い2つのアプリを統合

ユナイテッドアローズは、18ものストアブランドを展開し、その中でリアル店舗とオンラインストア店舗の2つのチャネルを有している。 2016年8月、リアル店舗だけで使用できたハウスカードのサービスをオンラインストアでも使用できるよう、IDとサービス会員情報を統合した。

それに伴って、当時運用していた「ハウスカードアプリ」と「オンラインストアアプリ」を1つに統合し、新たなオンラインストアアプリとして、リニューアルを行った。

ちなみに「ハウスカードアプリ」は、アプリストアに掲載して、新規顧客を獲得することとを目的で開発。それに加えて、既存会員にメリットを享受いただけることを目的としてするアプリを開発しようと思っていたという。 そして「オンラインストアアプリ」は、リアル店舗への送客を目的に作られたもので、リアル店舗の買い物を楽しむためにインストールするメディアという位置づけが強かった。

これらを統合して、買い物をする前後にお客様へ情報やサービスを提供することで、お買い物体験の価値を向上したいと安藤氏は語る。 アプリを統合する時、まずはオンラインストアとして研ぎ澄ましたアプリ開発を心がけた。

その結果、アプリのインストール数は前年比306%、アクティブユーザー数は前年比370%に成長した。アプリの受注実績を見ると、アプリ経由の受注が前年比120%、オンラインストアに占める売上のシェアが前年比250%まで増加した。

アプリの目的を考えることは大事

2016年8月から状況を見ていると、アプリのダウンロード数は増加しても、その後のリテンション率が期待に届いていない、という状況が分かってきた。 この実態を把握した時、「私たちは何でアプリを作ろうと思ったのだろうか」と社内でもう一度討議をしたという。 そして最終的に着地したのが、アプリを通して「カスタマーエクスペリエンスの向上」を取り組もうというものだった。

「本当はアプリを開発する前に、社内でアプリの目的を整理・明確化することがとても大事なことだとは考えていましたが、スケジュールの都合もあり、そこが当初うまく行かないままリリースことになってしまいました。 これからアプリの開発を考えている方は、『アプリで何を達成発信するのか』ということをよく検討して、戦略・戦術を1つの方法を見出したほうがいいのではないか」と、アプリを導入する、やる目的を明確化する、考える大切さについて語った。

ユナイテッドアローズでは、アプリの現状を把握して顧客のニーズを理解するために、Reproを利用している。 以下は、リテンション分析の表である。 例えば6月29日に会員証を使った人が14日後、何%リテンションしたのかが分かるようになっている。

画面上部は「会員証ページを見た人」がリテンションしている割合で、画面下部は「お気に入りを使った人」がリテンションしている割合を表す。 これだけ見ても、利用する機能によって翌日以降のリテンションに違いがあるということは一目瞭然である。

今度のグラフは、画面上部がお気に入りを「1日1回利用した人」で、画面下部がお気に入りを「1日3回利用した人」がリテンションしている割合を表す。 これを見る限り、同じ機能を利用していても、使っている頻度で翌日以降のリテンションに違いが出てくる。

こうやって現状把握していると、ある程度の仮説が出てくる。 「私たちはとにかくお客様を理解したいという思いを強く持っています。お客様がアプリを継続利用するニーズやインサイトを把握し、もっと継続してたくさんご利用いただけるアプリにアップデートしていきたい」と抱負を語った。

データ活用を視野に入れたアプリ活用を考える

今後の展望について安藤氏は「ただお客様の期待に応えていくだけでは、それは当たり前のものであり価値は上がらないと思っています。 カスタマーエクスペリエンスを達成していくためには、お客様の期待以上のものを提供していかなくてはいけませんが、それをプランニングするためにはデータ活用がとても大事」だと語る。

アプリのデータはこれからとても貴重な企業資産になってくるため、アプリを導入する際はデータ活用までを視野に入れた開発を考えるのも1つの手段であると語る。

お客様が求めるものを見極めて、お客様に使っていただける、お客様にとって価値のあるタッチポイントになるようにアップデートを掛けていきたいと語り、講演が終了した。