5月29日から6月1日まで「
Advertising Week Asia 2017」が開催された。 これは未来のソリューションを共に探求する世界最大級のコミュニケーションの祭典である。
LINEの地福 節子氏より「LINEリサーチを通して見る、今どきの若者のインサイト」をテーマに、現代の高校生・大学生の日常生活や交友関係、または学生と30代で比較した情報接触の違いなど、調査結果で明らかになった学生によるインサイトについての講演が行われた。
LINE株式会社 マーケティングコミュニケーションセンター インサイトリサーチチーム マネージャー 地福 節子氏
LINEが運営する「LINEリサーチ」は、業界最大級のモニターを有するスマートフォン専用のリサーチプラットフォーム。 2012年に自社サービスの企画開発および機能改善等を目的に運用していたもので、2016年11月から、それを土台としたリサーチパネル&システム「LINE Research Platform」を、調査事業者向けに公開している。
利用者はPCからスマートフォンへシフト
LINEが、15歳から79歳までを対象にスマートフォンとPCの利用を調査したところ、スマートフォンの利用者は6,400万人、PCの利用者は4,300万人で、そのうちスマートフォンのみ利用している割合は31%と、3割のユーザーが月1回スマートフォンのみ利用している。
続いてPCとスマートフォンを利用しているユーザーの割合を男女別、年代別に分け、
1日1回以上の利用者は「緑色」、月1回以上の利用者は「水色」にして棒グラフで表示した。 10~40代のユーザー7割は毎日スマートフォンを利用しており、月1回以上の割合は1割も満たないことが分かった。
一方PCの利用頻度を見ると、10代の女性では毎日PCを利用する割合がほとんどなく、5割以上のユーザーは月1回以上PCを利用している結果となった。 つまり、日常生活の中ではPCを見る機会がほぼなくなってきており、利用頻度はスマートフォンへシフトしていることが伺える。
続いて、今どきの高校生、大学生の日常について調査した。 以下のデータは、高校生がスマートフォンで使っているサービスを1日にまとめたもの。 朝、アラームで目を覚めてLINEやTwitterをチェックする。出かける前に天気や乗換案内をチェックして、ゲームや音楽、各SNSを見ながら通学する。
休憩時間や放課後に各SNSをチェックして、ゲームや音楽を聴きながら帰宅する。 自宅での勉強中はLINEやTwitterのチェックはあきらめ、辞書や電卓などの勉強ツールを利用する。 その後自由時間になったら、音楽やYouTube、各SNSをチェックして就寝する。そういった生活が平均的に行われている。
高校生男子「ゲームと面白ネタで盛り上がりたい」
次に、高校生男子の人間関係について調査した。男性の中では比較的、他人との共感性が強い年代で、「親友は会って話したい。LINEよりも会いたいな」という気持ちがあり、両親とも今日あった出来事をよく会話している。 また、ゲームと面白ネタ、悪ふざけで盛り上がりたいというのが、高校生男子の特徴である。
高校生女子「親友とずっとつながっていたい」
続いて、高校生女子の人間関係について。親友の存在がとても大きく、親友は家族よりも心を許せる大切な存在である。 親友が大好きでずっとつながっていたい、そのためにLINEしていたい様子が見られる。 なぜ親友が特別なのかというと、他の子には言えない愚痴が言えるからであり、そのほか、兄弟や両親とも楽しかったことを会話している。
続いて大学生がスマートフォンで使っているサービスを1日にまとめたもの。 高校生と違う部分は、LINEとTwitter、Instagramの利用割合が大幅に増加しており、1日中利用している。 あとはニュースやCookPadなどの料理アプリを見るというのが特徴である。
大学生男子「いろいろな人と交友したい」
次に、大学生男子の人間関係について。 アルバイトのほかサークルやクラスメイトが増えることから交友関係は広がり、いろいろな人と交流したい環境となる。 親友とは会えなくなるため、LINEやTwitterでコミュニケーションをとるが、社会性が増した分、ゲームや悪ふざけのネタは減少する。 一人暮らしをする人が増えた結果、家族から電話が来てもLINEで返事をするような、心の距離を置く特徴が見られる。
大学生女子「交友は広がっても親友は大事」
続いて、大学生女子の人間関係について。 女子についても交友関係は広がっていくが、親友はやはり大事なのだが、高校生の時よりも密着度は減少するが、愚痴を言えるのは親友だけであるという。 高校生女子の場合は過剰に共感する傾向にあるが、大学生になると客観的視点ができて、むやみに協調する傾向がなくなる。 家族との距離は変わらず、楽しかったことをLINEでやり取りする。
24歳以下と30代ではスマホの使い方が大きく異なる
社会人である30代と、スマホサービスのターゲットである15~24歳の若年について、情報接触の年代差を調査した。グラフの中で8ポイントの差異があるものについては、黄色でハイライトしている。
「スマートフォンで、家族・友人・知人に連絡するもの」について、若年はLINEの無料通話やTwitterの投稿・リプライ、TwitterのDMに偏りがあり、30代は以前から存在するキャリアメールやスマホの標準電話、SMS/MMSに偏っている傾向がある。
また「普段情報源として使っているもの」について、若年はテレビやパソコンを利用するが、30代はテレビやパソコン、新聞などたくさんの手段を使って情報を収集している。 特に新聞は、30代に入ると情報収集として利用する傾向が強まる。
さらに「スマートフォンの中で普段情報源として使っているもの」について、若年はLINE NEWSのほか、Twitterのタイムライン、Twitterの検索結果、動画サイト/アプリ、Instagramのホーム画面など、たくさんのサービスを使っている。 30代は、Yahooニュース、LINE NEWS、LINEのタイムライン、Facebookのホーム画面など、若年と比べランキングの順位が入れ替わるのが特徴である。
次にSNSを代表するサービスの利用頻度について調査した。 黒色が1日1回以上利用、灰色がそれ以下、白色が使っていない割合を表す。LINEは世代共通に利用されており、若年ではTwitterやInstagramの利用が多かった。 一方30代ではFacebookの利用が特徴的だった。
高校生や大学生はどうやってキーワード検索するのか?
ところでTwitterやLINEの利用が多い若年も、キーワード検索することがあるのだろうか? 高校生と大学生の男女を対象に「調べたいものが浮かんでいる場合の調べ方」について調査した。 全体的には、8割以上がスマホのSafariやブラウザからキーワード検索している割合が多かった。
また、女性はTwitterやInstagramからキーワード検索する割合が多く、大学生になると男女ともパソコンからキーワード検索する割合が多くなるようだ。
LINE Research Platformでは、広告効果測定に限らず幅広いテーマの調査を実施している。 一般企業・政府団体の法人は、調査事業者を通じてサービスを利用することができるため、興味のある方は検索してくださいと話し、セミナーが閉幕した。