販促や集客、ブランディング戦略を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所
モスバーガーやユナイテッドアローズが語る、お客様を振り向かせファンを育成するオムニチャネル戦略とは?
本記事は、宣伝会議が主催する「インターネット・マーケティングフォーラム2017」より、「企業のデジタルシフト お客様接点の多様化はビジネスチャンス」と題したにパネルディスカッションの模様をお届けする。ユナイテッドアローズの高田 賢二氏とモスフードサービスの齊藤 雅久氏をお招きし、モデレーターは月刊「宣伝会議」編集長の谷口 優氏が務めた。
現在、ユナイテッドアローズではハウスカードの会員がおり、自社ECと実店舗を併用されているお客様の年間購入金額は、自社ECサイトのみをご利用されるお客様の約5倍も高いと高田氏は語る。
「お客様ご自身がチャネルを意識せずシームレスに購買している。現在はマーケットも低迷していますが、お客様のお金の使い方や商品の買い方、ファッションの価値観も非常に変わってきていますので、我々もECや実店舗を含めてシームレスなチャネルを開発し、お客様とのタッチポイントを増やしていくことが大事だ」と語った。
「シームレス化を目指すと、リアルとデジタルで取得したお客様データを統合していくことが重要になってきますよね」と谷口氏のコメントに高田氏は、ユナイテッドアローズではハウスカードを始めて約10年になるが、プログラム、サービス、インセンティブの分野において、改めてCRM戦略を見直したと語る。
「これまではどちらかというとお客様を囲い込むスタイルをとってきましたが、お客様との接点を増やすほど、我々のエンゲージメントである良質なコミュニケーションも重要だと感じています。そのために顔と名前が分かる会員活動ということで、改めて2つ存在したEC用と店舗用のカード情報を統合し、いつでもどこでもシームレスにお客様がお使いいただけるような活動を進めている」という。

(画像右から)株式会社モスフードサービス 営業企画部営業サポートグループ・Webマーケティングネット注文推進担当グループリーダー 齊藤 雅久氏 / (中央)株式会社ユナイテッドアローズ 執行役員 事業支援本部 本部長 高田 賢二氏 /(左)株式会社宣伝会議 月刊「宣伝会議」編集長 谷口 優氏
モスフードサービスの齊藤氏は、マーケティング調査会社から1996年に同社へ入社し、店舗開発部で各調査を担当した。その後、マーケティング室で企画や販売促進、ダイレクトマーケティングの部門を担当。現在は営業企画部営業サポートグループに所属し、店舗現場の中でデジタルを活用できる機会を創出している。
モスバーガーにおけるデジタル施策の取り組みは、2008年フィーチャーフォンが主流だった時代、「モスWEB会員」向けの携帯サイトを開設したところから始まる。その後Twitterや公式アプリの開発を経て、2012年4月に「モスカード」を導入し、ロイヤルカスタマーとのエンゲージメントを醸成した。
2015年2月、スマートフォンから事前注文すると、指定した時間に商品が受け取れる「モスのネット注文」を導入。2017年は電子マネーやクレジットカードを導入し、さらなる利便性を向上する施策を行う予定。

目次
開く
チラシの効果が薄くなったと実感
モスバーガーが考えるカスタマージャーニーでは、お客様が自宅にいてテレビCMやチラシを見たりするが、新聞の購読率の減少を考えると、チラシの効果は薄くなったと感じているようだ。そうするとスマートフォンを活用してお客様に情報を届けるのが重要になってくる。 例えば空腹を感じて「今日は何を食べようかな」と考える、お昼頃の11時にモスバーガーの情報をタイムリーに送るなど、お客様にとっていいタイミングになおかつ邪魔にならない頻度で情報を送ることが大事だと話す。 そして、モスバーガーに来店するお客様を調査すると、全体の6~7割は店舗の前を歩いている人や、店舗周辺に仕事、用事があった方であるため、店頭の看板やツールを使って商品をアピールすることも重要と考えている。 また商品を食べていただいた瞬間に「美味しい」と感じていただけるか、対応したスタッフの印象は良かったのかなどが再度来店に大きく影響しているため、高評価をいただければよい口コミや情報が広がる可能性が高い。商品を提供する店舗での体験評価は大変重要であることから、ミステリーショッピング調査を行ない、年間を通じて改善活動を行っている。
加速するファッション業界のEC化
続いてユナイテッドアローズの高田氏は2007年に同社へ入社し、現在では事業支援本部の本部長を務めている。事業支援本部とは、情報システムや物流、在庫管理、デジタルマーケティング、お客様相談室、販売支援などさまざまな業務をまとめている。 ファッションに関連したリテール市場はEC化が進んでおり、ユナイテッドアローズ社単体売上の16%はECサイトによるという。それを今期は18%、長期的には25~30%という実績を計画している。