5月11日、日本最大のIT専門展示会「
Japan IT Week春」が開催された。その中で、Twitter Japanの笹本 裕氏が「Twitter利用者4,000万人がマーケティングにもたらす即効性と拡散性」をテーマに、調査データを基にしたTwitterの特性や、Twitter広告の効果を最大化するプランの選び方について講演が行われた。
Twitter 副社長 兼 Twitter Japan 代表取締役 笹本 裕氏
Twitterは2011年3月に日本オフィスを設立した。当時の月間アクティブユーザーは670万だったが、この5年間で4,000万と5.9倍まで利用者を伸ばしてきた。この利用者の伸びは、世界中で最も早い規模であるという。
「本社の人から、なぜ日本人はこんなにTwitterを利用するのか?と聞かれることがよくあります。日本ではスマホ大国でもあり、通勤・通学に公共交通機関を利用する特性もある中で、利用者はTwitterを利用されるのではないか」と笹本氏は日本で利用される理由について説明した。
Twitterは、2011年当時「短文投稿サイト」として日本で紹介された。5年経過した現在では、画像や動画、ライブなどを配信することができるようになり、Twitterは、もはや1つのジャンルにこだわらず、多方面で今の気持ちを投稿できるプラットフォームになりつつある。
そんな急成長を続けるTwitterは、大きく3つの特徴があると笹本氏は述べた。1つは、
マスメディア並みにリーチ規模があり、伝達スピードが最も速いところが特徴である。
先ほど述べたとおり、Twitterは
4,000万の月間アクティブユーザーが存在する。ビデオリサーチの視聴率調査エリア(関東・関西・名古屋地区)内の自家用テレビ所有世帯数は
推定2,940万世帯だった。また、朝日新聞や読売新聞など大手5誌の発行部数は
2,383万部と、Twitterはマスメディアに匹敵するほどのリーチ数を誇っている。
また「
伝達スピード」のところで、インテージの調査によると、主要テレビ局と比較して、人口の20%に情報が到達するまでの時間について調査したところ、Twitterが約9時間と、最も早く伝達できるという結果となった。Twitterは何かを発信したとき、20%の人に最も早く情報を伝えられる特性がある。
2つめは、ツイートは利用者に早く届くということだけではなく、
「世の中を動かす影響力がある」。「#保育園落ちたの私だ」というハッシュタグに代表されるように、個人の発信が社会問題とリンクして、世の中に影響力を与えることが起こってきている。もちろん企業側でもハッシュタグを活用して、ムーブメントを起こしている事例も出ている。
最後は、Twitterは
「終日利用されるメディア」である。起床した時点から多くの人が今日見た夢の話や通勤電車、メイク、昼休みの過ごし方など、何らかの出来事についてツイートしている。Twitterはどの時間帯でも利用されているということを知っていると、企業は「この時間帯に商品・サービスをアピールしたい」といったマーケティング活動が可能になってくる。
広告を活用して商品・サービスをエンゲージする
企業は今まで登場した特徴を活かして、自社の課題を解決していければよいのだが、そもそも企業が抱えている悩みは、マーケティングの購買ファネルにおいて各々異なってくるものである。
企業は自社の商品・サービスをどのように利用者とエンゲージしていくのだろうか?そのことについて笹本氏は、各購買ファネルにける重要なポイントを1つひとつ説明した。
まず
「認知」のファネルでは、どこよりも早く的確な情報をターゲットへ届けたいということで、Twitterの特徴はマスメディアに匹敵するほどの「リーチ」や「伝達スピード」にあると言える。
Twitterでは、1日1社限定で24時間配信される
「ファーストビュー」という広告メニューがある。Spotifyは、4,000万人のアクティブユーザーに、対象のハッシュタグを使ってツイートすると、あなたに合った音楽をオススメするという広告を掲載した。
「ファーストビューのメリットは、テレビ並みにリーチができて、テレビCMの何分の1という費用で実施できるため費用対効果が高い。そしてTwitterの特性である、新商品をいち早く届けるということに最大のメリットがある」と笹本氏は説明した。
利用者との会話を盛り上げる広告プラン
続いて
「興味関心・比較検討」のファネルでは、自社の商品・サービスに目を向けさせたいところで、Twitterでは一人ひとりのツイートが会話となり、世の中を動かすムーブメントを秘めている。会話を喚起する広告を活用して自社の注目を促進することができる。
まず1つは、インフルエンサーを活用した
「プロモライブビデオ」がある。これはTwitterのタイムライン上から視聴でき、コメントや空中を舞うハートマークを送信できるもの。ユニリーバは、タレントを起用したLUXのプロモーション映像を配信し、利用者はハートマークやコメント投稿することができて、双方向にブランドを訴求することができた。
2つめは、会話を盛り上げることができる
「カンバセーショナルカード」である。ツイートの下に設けられた複数のハッシュタグボタンをタップすると、利用者はあらかじめ設定されたメッセージをツイートさせることができる。
カルピスは動画とカンバセーショナルカードの両方を活用した広告を実施した。動画の中に流れる製品のメッセージを見て、利用者の感想をあらわしたハッシュタグボタンをタップすると、あらかじめ設定したメッセージがツイートされる。
広告で購買や来店へ向けて最後の一押し
最後に
「購買」のファネルでは、購買や来店へ向けて最後の一押しをより確実にするということで、Twitter利用者の非常に高い利用頻度を活用し、より購買に近いタイミングで消費者に接触できる。
マクドナルドでは、その時間になると「皆さんおやつの時間ですよ」と記載したツイートを投稿している。これはマクドナルドが来店してほしい利用者をセグメントして対象者に送ると、これを見た利用者は、そろそろおやつを購入しようかと思って来店するきっかけをツイートで演出している。
Twitterの、もう1つの大きな特徴は「世の中の人々の興味・関心の集合体」であると語る。「今思っていること、今考えていること、今検索していること。検索している内容が興味・関心なのだと我々は思っております。そういった興味・関心に対して、適切なタイミングでメッセージを発信していただけると、利用者は反応していただけるものと考えている」と説明した。
このほか、自社ブランドのファンを醸成するために、ツイートAPIを活用して利用者の声に耳を傾け、積極的なコミュニケーション活動を行っている。
以上のような、各購買ファネルにおけるマーケティング活動の課題について、Twitterは何かお手伝いをできるのではないかと思っている、と語りセミナーが終了した。