300件以上の事例で分かった、失敗しないWeb制作会社の選び方。企業と制作会社をマッチングするプロが伝授

 Post by MML編集部
1月27日、宣伝会議が主催する「デジタルマーケティングカンファレンス2017」が開催された。このイベントは、日頃デジタルを駆使してマーケティング活動を行っている担当者を対象に、課題を解決するノウハウや成功事例などを紹介するものである。 今回は、ニフティの長野 仁氏が「WEB担当者必見!コンサルタントがWEBマーケティングで行う、3つのポイント」と題して、失敗しない制作会社の選び方や依頼の仕方、Webサイトの分析方法などを語った。
ニフティ株式会社 クラウド事業部 SMB事業推進部 担当 長野 仁氏
ニフティの長野氏は、「WEB販促の窓口」「まかせてWEB担」という、企業と制作会社をマッチングし、企業をサポートするサービスを運営している。企業のWeb担当者と話をすると「Web制作会社の選び方がわからない」「Webからの集客を増やしたいけど、どうしたらいいの?」というご相談を受けるという。 商品やサービスを告知するにあたり、Webサイトは非常に重要なポジションを占めている。サイトを改善していきたいし、広告も運用していきたいけれど、業務に手が回らない、またはWebの専門家ではないからそこまでの知識がない。こういう悩みが非常に多いという。長野氏は「そのような悩みに対して、何をやっていけばいいのか、具体的に説明させていただく」と述べた。

制作会社へ依頼する前に整理する3つのこと

社内からWeb制作やリニューアルの話が出た時、Web担当者はやろうとしても、どこから手を付けていいのか悩んでしまう。長野氏は、まずは制作会社へ依頼する前に、3つのことについて情報整理する必要があると語った。 その3つとは「やりたいこと」「やるべきこと」「できること」である。Web担当者の中には年度初めに、予算設定や獲得目標などを設定していると思う。まずはWebの「やりたいこと」を設定していく必要がある。そして、アクセス解析を活用しながらサイト上の課題を発見する。こうして自分たちが「やるべきこと」の課題を発見し、その中から「できること」を選択する。 この3つの中で最も重要なのは「やるべきこと」であるという。一生懸命、広告を打って新規ユーザーを獲得しても、肝心のお問い合わせフォームによる離脱率が高ければ、あまり効果が出てこない。「そういうザルの部分をきちんとバケツにして、お客様を逃さないようにしましょう」と長野氏は語る。 さらに「新規ユーザーの獲得コストは、既存ユーザーを新たに戻してくる費用の約5倍かかると言われています。例えば、既存ユーザーにメルマガ配信を行って、フォローアップするなど、できることをきちんと洗い出しましょう」と話した。

「やるべきこと」を見つける3つのポイント

では、やるべきことを見つけるために、何をやっていけばいいのだろうか。その方法は3つあると長野氏は語る。まず1つ目は「仮説を立てること」である。メインとなるお客様がどういうシーンでサイトを利用するのか考えながら、直感的にサイトの使いやすさを見ていく。または社内の営業にも協力してもらい、使いにくいところはないか見てもらう。 それから、同業他社のサイトと比較し、自社サイトとの違いを理解することも必要である。競合サイトのアクセス数や流入数を分析するためには「Similar Web」を活用するのも良い方法である。 2つ目は「流れを理解する」ことである。サイトのアクセス解析からグラフを表示し、どこが山になって、どこが谷になったのか。動きに不規則なところはないか、なぜ不規則な期間に何が起こったのかを分析しながら課題を見つけていく。 3つ目は「分類を行う」ことである。全体だけ見ると漠然としたデータしか見えてこないため、カテゴリ別、コンテンツ別、フォーム別にまで落とし込んで、データを比較する。例えば、分類したものを「訪問数×新規の割合」と「訪問数×リピートの割合」のように比較していくとよい。特に、コンバージョン率を見る場合は、全体ではなく分類した方法で見ていくことが重要であるという。 そして、BtoBビジネスの場合、Webサイトは営業ツールの1つとして捉えているため、訪問数よりも「訪問企業数」を意識する必要がある。新規のお客様はどれくらいの割合で訪問しているのか、お問い合わせフォームに訪問した企業はどこなのかを見て、次回営業がアプローチをかけるなど、この情報から見込み顧客を逃さない方法が取れる。「らくらくログ解析」や「List Finder」を使うとIPアドレスから企業を割り当てることができる。

失敗しないWeb制作会社の選び方とは

多くの企業と話をすると、Webサイトの「制作」と「運用」を同じ制作会社に一括して依頼しているパターンをよく見かけるそうだ。しかし長野氏は、現在まで300件以上の制作を見た経験から「制作と運用は、会社を分けたほうがいい場合がある」と話す。 「例えば、皆さんがお店を出すときに、制作会社というのはいわゆる“内装業者”のように、言われたように制作する会社です。そしてWebマーケティングというのは“集客コンサルタント”の意味合いがあります。そのため飲食店を出すとき、内装業者さんに『集客も一緒にやってよ』と依頼するようなことになります。もちろん例外はあります」と、制作会社にも得意分野、不得意分野があり、高い予算を提示すると制作会社は不得意分野であっても受注する傾向があるため、Web担当者はそれらを見極める必要があると語った。 長野氏は制作会社を選ぶ際、「失敗しがちな選定基準」として4つを上げた。1つ目は「予算」である。予算を理解せずに制作会社へ依頼するWeb担当者が多く、低予算で外注した結果、失敗するケースが目立つ。2つ目は「コミュニケーションが取りやすい」こと。連絡が取りやすく、返信の速さで制作会社を選ぶパターンが多いが、制作会社によっては制作と営業が分断されており、連携がうまく取れていないところもある。 3つ目は、「デザイン」。集客をしていく際に優先すべきところは「使いやすさ」といった動線が取れていることであり、デザイン最優先ではない。4つ目は「実績」である。掲載されている実績を参考にしても、制作会社によっては一部しか担当していない、または下請けが制作していたなどがあり、それだけを信じるのは難しいところがある。 制作や運用をする際にあたって、これは何をするためのホームページなのか目的意識を持つことが大事であるという。長野氏は「その目的をきちんと理解した上で、適切な取引先を選定していきましょう」と述べた。 そして、「今までの内容を参考に、成果につなげていただきたい。分からないことがあればもう一度内容を読み返したり、または『WEB販促の窓口』に相談していただきたい」と話しセミナーが終了した。