全国に約2,200店舗を展開する大手ドラッグストアのウエルシア薬局は、2016年に「ウエルシアグループアプリ」をリリース。2023年4月にDearOneが提供する伴走型アプリ開発サービス「ModuleApps2.0(モジュールアップス2.0)」を導入し、リニューアルを実施しています。 そこで今回は導入を主導された藤村様に、導入の決め手やリニューアルの過程、導入後の変化などについてお話を伺いました。
- 課題
-
- 共通のAPSを利用していたため、オリジナルのカスタマイズができなかった
- 効果
-
- Tポイントに加え、WAON POINT、PayPayとも連携し、ユーザーベネフィットを向上
- シニア層に訴求し、8カ月で100万ダウンロードを突破
- MAUは約150%伸び、利用されるアプリへ
- アプリ運用担当の若手社員が自主的な提案を実施するように
- 展望
-
- 「進化を続けるアプリ」を目指し、継続してアップデート
- 新機能の開発や新規コンテンツの作成にも注力していく
アプリリリースから7年後に大幅リニューアルを実施
DearOne 神津| ウエルシア薬局様には「ウエルシアグループアプリ」にModuleApps2.0(モジュールアップス2.0)をご導入いただいております。まずは、こちらのアプリの特徴を教えてください。
ウエルシア薬局 藤村様| 全国に約2,200店舗あるウエルシア薬局でお買い物をすると、お買い物金額に応じてお得にポイントが貯められるアプリです。2016年9月にリリースした当初はTポイントのみの連携でしたが、2023年4月にリニューアルを行い、TポイントとWAON POINT、PayPayを連携できるアプリになっています。
ーーご担当の業務内容
DearOne 神津| ご担当されている業務や役割も教えていただけますか?
ウエルシア薬局 藤村様| 私はウエルシア薬局の商品本部 販促企画部という部署でマーケティンググループマネージャーとして勤務しております。マーケティンググループではアプリ関連、ポイント販促の運営管理、自社IDであるウエルシアメンバーの登録促進、幅広いジャンルのお店とお客様をつなぐプラットフォーム「Gotcha!mall(ガッチャ!モール)」などのデジタル販促、店内放送のUSEN放送の運営等を担当しております。
フルスクラッチとAPSの「良いとこ取り」をできることがModuleApps2.0の強み
ーーModuleApps2.0導入時の課題
DearOne 神津| ModuleApps2.0(モジュールアップス2.0)導入以前はどのような課題がございましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| リニューアル前の課題としましては、以前のアプリは完全なオリジナルアプリではなく、共通のASPを利用していたため、広告IDの取得や活用が全く出来なかったところが課題の1つでした。
また、共通のASPでは「カスタマイズが難しい」ところも懸念点でした。WAON POINTやPayPayとの連携ができないだけでなく、たとえばアプリの中のTOP画面のボタンの位置、バナーの大きさや動きなど、全てにおいてオリジナルでつくりたいという思いがありました。そこがカスタマイズできずに歯痒い思いをしていましたね。
DearOne 神津| UI/UXの改善については、具体的な内容は固まっていましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| はい。キャンペーンのお知らせなどを出すTOP画面のカルーセルバナーに関しては、大きさや動き、デザインのところをユーザー視点でもう少し使いやすいものにしたいと思っていました。それによりクリック数などを向上させたいという思いと、ウエルシアグループアプリは全世代に使っていただきたいアプリではあるものの、ドラッグストアのアプリという特性から60代以上のシニア層の利用者も多く、シニアの方も使いやすいアプリにするなど改善の余地があると考えていました。
ーーModuleApps2.0を選んだ理由、導入の決め手
DearOne 神津| その課題を解決するためにModuleApps2.0を導入するまでの流れを教えてください。
ウエルシア薬局 藤村様| 社内で「このようなアプリの世界観を実現したい」という内容をまとめて、コンペを開催しました。そこに参加していただいたDearOneさんのプレゼンが非常に素晴らしかったので、お願いすることにしたのです。
DearOne 神津| ありがとうございます。我々のプレゼンのどういった点が、とくに気に入っていただけましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| DearOneさんの強みがとてもわかりやすかったことです。フルスクラッチ形式とASPの中間である「ModuleApps2.0」を活用することで、オリジナリティをもたせながら、フルスクラッチの開発よりもかなり価格を抑えられることに、魅力を感じました。
他社とも比較したところ、フルスクラッチで開発した場合は高額になってしまったり、逆にコストを抑えようとすると汎用的なデザインやモジュールになってしまったりして、今までのアプリと同じようにオリジナリティが出しにくいことがわかりました。
そのなかで、DearOneさんはフルスクラッチとASPの“良いとこ取り”で、「コストを抑えつつ好きなことができる」という点が決め手になりました。
導入決定後は密なコミュニケーションで細部の調整と、ユーザー視点の高いUI/UXを実現
ーーフットワークの軽い対応で、疑問点も即解消
DearOne 神津| ModuleApps2.0導入決定後は、どのように進められましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| コンペから7か月後にアプリのリニューアルリリースが決定していたので、時間があまりありませんでした。そのため、コンペが終わったらすぐにDearOneさんと要件定義に入り、多いときには週に2、3回はリアルで打合せを行い、その他も電話で毎日コミュニケーションを取るなど密に連携し、開発まで進めていきました。
DearOneさんは昼夜問わず連絡をしてもすぐに対応していただけたので、不安や疑問に感じる点があっても溜めることなくすぐに解消できたので、ストレスはありませんでした。本当にフットワークが軽いと感じましたね。
DearOne 神津| ありがとうございます。要件定義が定まった後にリニューアルを進めていく中で、苦労された点はありましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| DearOneさんと直接関係する話ではないのですが、TポイントとWAON POINTは運営会社が違うので、1つのアプリのなかで各社のレギュレーションを担保するところが非常に難しかったです。ロゴマークの大きさ、UI、機能、システムなど、さまざまな制約・規約があるなかで、DearOneさんには細かな調整の対応をしていただきました。
23年4月のリニューアルではTポイントとWAON POINTがそれぞれ別のページで表示されるようになり、同年11月のさらなるリニューアルで、会員ページではTポイントとWAON POINTが1つの画面で表示されるようになりました。
どちらもバーコードをレジで対応して読み取ってもらう必要があるので、そこを守りながらも両社の要望をDearOneさんとキャッチボールしながら調整していきました。実際にバーコードの大きさなどは2つで微妙に違うのですが、このあたりの細かな調整にも対応していただきました。
ーー多数の他社事例をもとにした提案が参考になる
DearOne 神津| 導入前にUI/UXの課題のお話がありました。そこで工夫された点についても教えてください。
ウエルシア薬局 藤村様| UI/UXに関しては弊社とDearOneさんの両方で、社員にヒアリングして意見をもらって、それを参考にしています。カラーリングのところはパステルカラーでありながら、地味すぎても魅力がないと思いますので、老若男女が不快と感じないような、見ていて明るくなる色遣いにしています。
また、弊社オリジナルキャラクターの「うえたん」をアプリの中にうまく登場させて小さなお子様から大人の方まで楽しめるようなアプリにしたいと思っているので、そのあたりも相談しながら進めました。
DearOne 神津| そのあたりは数値での指定は難しく感覚のお話になると思いますので、コミュニケーションがとても重要になるかと思います。そのなかでDearOneからは他社事例の紹介などはありましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| はい。DearOneさんはドラッグストアに限らず、いろいろな業界の他社アプリをたくさんつくられているので、他社さんの事例もご紹介いただきながら、「こういう形がいいのではないか」とご提案いただきました。やはり事例が多いので、そこはとても参考になりましたね。
ダウンロード数が8カ月間で100万を突破
ーーMAUも約150%の伸びを実現
DearOne 神津| ModuleApps2.0によるリニューアル後の変化や効果があれば教えてください。
ウエルシア薬局 藤村様| ダウンロード数がリニューアル後約8か月間で100万ダウンロードを達成しました。旧アプリは約6年間で総ダウンロード数が450万だったので、急激に増加しました。また、MAUはリニューアル前と比較して約150%に伸びています。
お客様に最も評価していただいたのは、2つのポイントカードを提示できる点ですね。以前はTポイントとWAON POINTの両方がアプリに組み込まれていなかったので実物のカードをレジに出さなくてはいけなかったのですが、アプリであればスマホ1つで2つのポイントカードを表示できるので、そこが便利になったという声を多数いただいています。
4月のリニューアルにあわせて「WAON版うえたんの毎日くじ」など、アプリにオリジナルコンテンツを用意しました。以前はTポイント版のコンテンツしか無かったのですが、WAON POINT版も新たに作成し、以前と比べてコンテンツ数は2倍以上になっていると思います。アプリが充実して、お客様に喜んでいただけていると思っています。
DearOne 神津| たくさんの方にダウンロードされて、利用されるアプリになっているんですね。そこは、こだわられていたUI/UXの改善も大きかったですか?
ウエルシア薬局 藤村様| UIの改善はキーポイントだと思っています。ウエルシアオリジナルのクレジットカードの広告バナーを出しているのですが、以前はクリック数があまり伸びませんでした。そこでカラーリングや文字の大きさを変えたところクリック数が約2倍になったので、見た目を少し変えるだけでも変化があると感じています。
現在も、DearOneさんに全てのボタンのPV数やクリック数をレコーディングしていただいているので、社内で毎月定例会を行い、クリック数が悪いものがあれば文字の大きさやカラーリングの改善について弊社とベンダーで話し合い、それをもとにDearOneさんからアドバイスをもらい改善を続けています。
シニア層の要望に応えてダウンロード数が急激に増加
DearOne 神津| シニア層のお話がありましたが、リニューアルしたことでユーザー層は変化しましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| はい。以前は女性の方中心に使っていただいてたんですが、リニューアル後は男女関係なく、世代も60代、70代以上の方まで使っていただいてるというデータが出ています。
毎月15日に60歳以上のお客様限定でポイントが3倍になる「シニアズデー」があり、紙のカード(シニアパスポート)をお渡しし、そのカードをレジでご提示いただいていたのですが、「アプリに搭載できないか」というお声をお客様から多数いただいておりました。4月のリニューアルで搭載し、店頭でチラシを配り告知・宣伝したところ、シニア層のダウンロード数が伸びました。
ドラッグストアという業態の特徴で、10代や20代の方よりも60代や70代のシニアのお客様に多数ご来店いただいております。その方たちもお孫さんとのコミュニケーションでスマホを使われている方が増えていますので、「紙や板の実物のカードしか使えないというのは時代にそぐわない」と感じていたので、スマホに組み込めてよかったです。
DearOne 神津| 導入前は「広告の活用ができなかった」というお話もありました。
ウエルシア薬局 藤村様| ModuleApps2.0導入後の現在は、DearOneさんが提供されているリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA(アルタナ)」を利用して広告を実施しています。ARUTANAはDearOneさんと契約しているアプリケーションを中心にリテール横断で広告を出稿できるサービスで、最初は試験的に始め、今は本格的に行っています。広告活用することで、アプリケーションの運営だけじゃなく、広告収入も期待できるので、そこに関してはプラスになってると思います。
ーー運用メンバーの変化
DearOne 神津| 社内の運用されているメンバーに、変化などはございましたか?
ウエルシア薬局 藤村様| アプリの実務を担当しているのは入社3年目の若手社員です。私はマネージャーとして近くで見ておりまして、その立場からすると、大きな成長を感じています。
以前はダウンロード数やクリック数、MAUを管理画面で見ることができませんでしたが、ModuleApps2.0では自分のパソコンから見ることができるようになりました。販促企画部という部内で実行計画書、いわゆる年間のロードマップをつくっています。目標に対してどの程度足りていないかなども、以前はベンダー経由でしか見られませんでした。しかし今は、ModuleApps2.0で見ることができるため、到達するためにはどのようなキャンペーンが必要か、そのための追加予算はいくらかと具体的に提案してくれています。
入社3年目でそういうことが出来るのは、やりがいを感じると思いますし、自らデータを見て、必要なことを考えてアクションを起こすということは大きな成長につながっていると思っています。
「進化を続けるアプリ」でありたい
ーー伴走してもらいながら今もアップデートを続けている
DearOne 神津| DearOneからのサポートについて、感想を教えていただけますか。
ウエルシア薬局 藤村様| リリース前のサポートだけではなく、リリース後の各種アップデートの作業のサポートも非常によくしていただいてます。とにかく強調したいのは、フットワークの軽さと、レスポンスの速さですね。私はいろいろなお取引先様と接する機会も多くありますが、ピカイチだと思っています。電話で質問すれば即答がほとんどで、持ち帰り案件でも即日回答をもらえることが多くて助かっています。
DearOne 神津| ありがとうございます。今後、どのようにアプリを拡大したいと考えていらっしゃいますか。
ウエルシア薬局 藤村様| 「ウエルシアで買い物するなら、まずはアプリを入れないと!」と、お客様に思っていただけるようなアプリになるよう、アプリ独自のクーポンやオリジナルコンテンツを充実させていきたいですね。アプリが起点、初めの1歩になるようなものにしたいなと思っています。
また、「進化を続けるアプリ」でありたいですね。リニューアルリリースして終わりにしたくないというのは日々感じていて、PV数などのデータを見て、いろいろな人の意見を聞いて、世間の流行やトレンドにもアンテナを張り、日々ブラッシュアップをしていきたいと思っています。今まで以上に、より便利に、よりお得に、日々その進化を続けられるようなアプリにしていきたいです。
そのために今もDearOneさんとは定期的に連絡を取りながら、1つのアップデートが終わったら次の要件定義をして、2~3か月の期間でまたアップデートをするということを繰り返しています。ずっと伴走してもらっていますね。
今後、DearOneに期待すること
DearOne 神津| 最後に、DearOneに今後期待することを教えてください。
ウエルシア薬局 藤村様| フットワークの軽さやレスポンスの速さは継続していただきつつ、今までできていなかった新機能の開発や新規コンテンツの提案のほうに注力していただけると非常にありがたいなと思います。