タワーレコード株式会社様は2023年7月、会員向けアプリ「タワレコ店舗アプリ」をDearOneが提供する伴走型アプリ開発サービス「ModuleApps2.0(モジュールアップス2.0)」でリニューアルされました。
今回は、タワレコ店舗アプリのリニューアルと運営をご担当する佐藤様と中川様に、ツール導入の背景や、どのように機能を活用されているかお話を伺いました。
- 課題
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- 顧客ごとの精緻な情報配信が難しかった。
- 顧客のロイヤリティ向上に効果的に寄与できていなかった。
- ユーザーが「また開きたくなる」魅力的で継続的に使えるアプリ作りが必要だった。
- 効果
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- プッシュ通知による詳細なターゲティングが可能となり、店舗来店頻度や購買意欲が向上。
- オンライン施策と店頭施策をつなぐアプリ体験の設計により、MAUが175%と大幅に増加。
- アプリ起動によるログインスタンプ付与とクーポン発行機能実装によりDAUが1.4倍増加。
- 展望
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- アプリを起点に、店舗とECの体験をつなぐOMO施策の中核としての役割を強化
ユーザーに使ってもらうため、求められた情報を届けるアプリにリニューアル
DearOne 小林|2023年7月、「タワレコ店舗アプリ」を弊社サービスModuleApps2.0でリニューアルいただき、現在も伴走支援をさせていただいております。佐藤様・中川様のご担当領域についてお聞かせください。

タワーレコード 佐藤様|私はITサービス本部の情報システム1部という部署に所属しておりまして、主にコンシューマー向けのサービスに特化したシステムを管理しています。担当としてはECサイトや店舗アプリなど、お客様の目に直接触れるWebサービス全般を管理しております。直近ではオンラインサイトのリニューアル、CMSや検索エンジン、ModuleApps2.0のバージョンアップについても担当いたしました。
タワーレコード 中川様|自分は店舗事業本部の店舗管理部という部署におりまして、名前の通り店舗の予算管理や営業計画、店舗サービスの導入のサポートなど、主に管理・サポート業務を中心に行っています。その中で佐藤と同じく店舗のスタッフ用のシステムの導入改修などの進行管理や推進をしております。


タワレコ店舗アプリ
DearOne 小林|ModuleApps2.0でリニューアルされる前後のタワレコ店舗アプリの位置づけと概要をお教えください。
タワーレコード 佐藤様|当初は「お店の情報を届ける」ことに主眼を置いていたアプリでしたが、お客様に使っていただいているうちに求められる役割が大きく変化し、オンラインの接点としての利用が多くなっていました。そこで改めて「使いたくなるアプリ」を目指し、オンラインへの導線を意識したリニューアルに踏み切りました。
DearOne 小林|会員アプリの使われ方に課題感を持たれてリニューアルを検討したということでしょうか。
タワーレコード 佐藤様|課題はいくつかありますが、もっと開いてもらえるアプリにしたいと考えていました。前のアプリをリリースしてすぐに、求められていたのはオンラインメディアだったんだなと気付きましたので、主に音楽に関するニュースを掲載するようにリニューアルしました。
DearOne 小林|オンラインニュースはほぼ毎日更新されていますがかなりの量ですよね。
タワーレコード 佐藤様|そうなんです(笑)。意外と少人数で、たくさん更新してくれています。音楽関連のオンラインニュースだけで1日に10〜20本、加えてセール情報や特集記事もあったりするので、コンテンツ量としてはすごい数だと思います。
DearOne 小林|それはすごいですね。
タワーレコード 佐藤様|アプリを開くとオンラインニュースがあって、バナーでは直近打ち出したい音楽情報が出ていたり、タワーレコード渋谷店の1階に入ったときの感覚を再現できているかなと思います。音楽の世界で今何が起こっているのかを見られるのが、タワレコ店舗アプリの面白いところかなと思っています。アーカイブも消さないので深掘りもしていける環境です。
DearOne 小林|音楽業界のことを知ることができるニュースアプリのような、情報発信に力を入れた会員アプリというのはとてもユニークですね。
タワーレコード 中川様|会員アプリとしては、メンバーズカードをアプリ内で発行できるようにして、すぐに手元に仮会員証を表示できるようにしたいという課題もありました。元々はお店に行って紙のカードをレジに通して初めて会員証として機能する仕組みだったのをアプリ内だけで完結できるようにしました。
DearOne 小林|弊社開発のアプリでは通常、新規会員は企業様側のECサイトをブラウザで開いて登録してもらう動線が一般的です。タワーレコード様の場合は先にバーコード仮会員証を発行可能、店頭ですぐに使えるカスタマイズを入れさせていただきました。
タワーレコード 中川様|紙のカードを探さなくて良くなったので会員証を出しやすくなったのでレジ効率も上がりましたね。
タワーレコード 佐藤様|また、別の課題として、MAU率(マンスリーアクティブユーザー率:サービスを1ヶ月間に1回以上利用したユニークユーザー数(MAU)を、サービスの登録者数で割った割合)を上げたいという話も当然ありました。店舗利用のお客様とオンライン利用のお客様、そして顧客単価の高い両方使ってくれるロイヤルカスタマーを増やしていこうということで、アプリを使った相互送客を構想しました。オンライン利用のお客様が店舗に行きたくなるクーポンを配信したりその逆だったり、ログインスタンプやスクラッチという必要としていた「使ってもらうための機能」がModuleApps2.0に標準搭載されていたのも大きかったです。
DearOne 小林|積極的にユーザーにアプローチできるようなアプリ改修を行うためModuleApps2.0を選ばれたということですね。実際に使ってみていかがでしたでしょうか。
タワーレコード 佐藤様|1日1回のアプリ起動でログインスタンプが貯まっていきクーポンが発行される機能を実装したところ平均DAUが1.4倍になりました。
プッシュ通知機能で最適なユーザーに最速でアプローチ

タワーレコード 中川様|ユーザーへのアプローチという点でプッシュ通知機能の存在も大きかったです。これまではDMが中心だったのですがリードタイムがかかっていました。それがアプリでプッシュ通知を使えるようになったおかげで、すぐにアプローチできるようになりました。
DearOne 小林|確かにタワーレコード様は私が担当しているお客様の中でもかなりプッシュを活用いただいている印象がありますね。オンラインへの送客という点では、ポイント還元のお知らせなどもプッシュ通知するなど工夫されていて、いつも拝見して勉強させていただいています。
タワーレコード 佐藤様|もともとCRMツールを入れて顧客をセグメント化していたので、プッシュ通知を送るターゲットを絞ることはできていたのですが、肝心のツールが無かったところModuleApps2.0のおかげで実現できました。
DearOne 小林|どれくらい細かくセグメント分けしてプッシュ通知を送っているのでしょうか。
タワーレコード 中川様|毎回変動しています。例えば特定のアーティスト作品を購入された方に対して追加の情報をプッシュ通知を送ったり、仮カードだけ発行して本登録をしていない方に向けた通知をしたりして、どんな動きになるかを見ています。
タワーレコード 佐藤様|もっと踏み込むと購入金額や購買履歴でもセグメントしています。
DearOne 小林|タワーレコード様の場合ユーザー層もかなり広いかと思いますのでセグメントも膨大になりそうですね。プッシュ通知機能が特に役立つケースなどはありますか。
タワーレコード 佐藤様|大型アーティスト作品の販売解禁などは他ECサイトとお客様の取り合いになるのでプッシュ通知は重要です。ただそのアーティストが好きではないお客様に対してはノイズになりますので、過去にそのアーティストと接点がある方に絞り、すみやかに通知するのがかなり効果的なのかなと思いますね。
DearOne 小林|他で買われる前にうちで買ってねということですね。
タワーレコード 佐藤様|最近ですと各ECサイトで特典も違ったりするのでお客様も吟味されていますが、なんにせよ情報を早く出すことは大事です。タワーレコードの特典情報も含めてすぐに解禁情報を必要なお客様に送ることができるのでセグメント機能は役立っています。
DearOne 小林|データを拝見しているとプッシュ通知を送られたタイミングでDAU(Daily Active Users:1日あたりのアクティブユーザー数)も伸びていたりと施策が数字に表れているのがタワーレコード様のすごいところだなと感じています。
タワーレコード 佐藤様|そうですね。SNSやDMに比べて、店舗アプリ経由のユーザーは訪問数も滞在時間も圧倒的に多いんですよね。ポテンシャルが高いお客様に使っていただいているのがタワレコ店舗アプリの特徴で、ターゲットを正確に絞って情報を送れているかなと感じています。
ユーザーにとって便利なアプリを、オンラインと店舗のハブに
DearOne 小林|社内での反響はいかがでしょうか。
タワーレコード 佐藤様|ModuleApps2.0になってからDAUがダッシュボードで日々確認できるようになったことは特に反響がありましたね。前日に実行した施策がどうだったのか善し悪しを見ることができて、悪ければすぐに修正する動きも取れるようになったのは大きいです。
タワーレコード 中川様|年末年始にスクラッチからの景品クーポン発行をしたのも面白かったですね。アクティブ数も大きく伸びたというか、本来は年末年始で情報更新が少ない中でアプリ利用率が落ちるところを食い止めた感じがありました。
ダウンロード数も伸びていて、リニューアル前からの延べ数で現在180万ダウンロードまで伸長し、さらに増えていますし、MAUも以前から175%増と併せて伸びていますので順調かなと思います。
DearOne 小林|ダウンロード数が伸びているのは何が良かったのでしょうか。
タワーレコード 佐藤様|お店でフライヤーを出してアプリダウンロード促進の取り組みもしていますけど、使うとお客様にとって便利なアプリですよということが伝わっているのかなと思います。もちろん紙のメンバーズカードがいらなくなるというのもありますし、店舗の在庫検索をしたらそのまま店舗で受け取れるという利便性を打ち出したりもしています。
DearOne 小林|最初の課題でも伺ったオンラインでも店舗でも使えるアプリ、ということですね。
タワーレコード 佐藤様|CDを買うだけだったら正直どちらでも差はありません。オンラインは24時間いつでも買えるという利便性がありますが、お店は行ってみるとやはり楽しいんです。

タワーレコード 佐藤様|オンラインでもレコメンドやサジェストで情報発信しているつもりですが、やっぱり店舗でイベントを開催しているアーティストとの出会いや、すぐそこに試聴機があって聴いてみたら良かったという体験はオンラインでは難しいんですよね。試聴ボタンがあったとしても。またお店に来店されたお客様に対してはついで買いをしたくなるような楽しいお店作りを実施しています。
タワーレコード 中川様|そうですね。そこは原点回帰じゃないですが、最近の取り組みとしても力を入れていますね。好きなアーティストのアルバムをECで予約するためだけにタワレコ店舗アプリをインストールされた方も店舗にも来ていただけたら嬉しいですね。
タワーレコード 佐藤様|オンラインやオフラインでの体験を通じてCDを買っていただけたらという気持ちですね。
次はModuleApps2.0でEC機能の追加など、トレンドに合ったより使いやすいアプリに
DearOne 小林|実際使われてみてDearOne、ModuleApps2.0の良かった点をお聞かせいただけますでしょうか
タワーレコード 佐藤様|我々が目指すアプリをどのように実現するかについて、DearOneさんには設計段階から親身に伴走いただきました。そういったサポート体制はすごく良いところだなと思います。ワガママばっかり言っているかもしれませんが。
DearOne 小林|ありがとうございます。佐藤様は特に情報システムご担当というところで知識も豊富ですので、開発の進行にも多大なご協力をいただいていると感じています。
タワーレコード 中川様|他にも使いたい機能を色々とご提案いただけるのも魅力ですよね。やっぱりお客様に店舗を回ってほしい思いもあるのでスタンプラリー機能は本当にいつかやりたいなと思っています。
DearOne 小林|直近ではオンラインのアイコンをもっと目立たせるようなデザインへ変更や、EC機能をアプリのほうに移設されるかのご検討をいただいていますね。
タワーレコード 佐藤様|そうですね、今、タワレコ店舗アプリがECサイトとのハブになっているので、ゆくゆくはECの機能もアプリで実現していければと思います。Webブラウザだと操作がわかりづらいというお声もいただくので、そこはアプリネイティブでもスムーズな購入ができるUIを作れるといいのかなと。
DearOne 小林|今後DearOneに求めることをお聞かせください。
タワーレコード 佐藤様|システム的な観点から言うとやっぱり基盤やシステム、世の中の動向やアプリ、ECサイトなどの使われ方も常に変化していくのを我々だけは追い切れない部分が確実にあると思います。音楽のトレンドはもちろん追いかけていけますが、アプリやシステムのトレンドってなかなかキャッチアップできない部分もあるので、そこはぜひこれからも教えていただきたいです。中川さんはどうですか?
タワーレコード 中川様|自分も同じこと考えてました(笑)。お客様の使い勝手のために僕たちもいろいろやってみてはいますけれど、やっぱり他社がどうしているのかなどの情報を提供していただけると刺激になりますので。
タワーレコード 佐藤様|自社の中にいると、凝り固まったような見方しかできなくなってしまうので。ぜひ俯瞰していただいて、間違った方向に進もうとしたら遠慮なく指摘していただけるとすごく助かります。
DearOne 小林|ありがとうございます。佐藤様はECサイト、中川様は店舗の方も管理されていたりと、お忙しい中タワレコ店舗アプリだけに集中するのが難しい部分もあるかと思いますので、ユーザー体験を支えるアプリやデジタル施策のトレンドは常に変化しているので、アプリのトレンド、他社事例や新機能含め、弊社の視点で適切な情報提供などさせていただければと思います。
