相鉄グループの「情報」を一元化し、ワンストップで簡単にアクセスできる仕組みが完成

相鉄ホールディングス株式会社

藤井 慎太郎 氏
塩﨑 匠 氏

お客様のウェルビーイング向上を支援して「住み続けたい沿線」作りを目指す、相鉄ホールディングス株式会社。

今回は、DX・ICT推進担当でアプリの開発、顧客ID統合を行う藤井様と、アプリの運営、グロースを担当する塩﨑様にModuleApps導入の決め手や、導入後の変化、ModuleAppsを活用した具体的な改善事例についてお話を伺いました。

課題
・IT知識に明るくない
・短期間でのリリース
効果 ・迅速な情報提供
展望
・お出かけ情報を提供する機能のリリース
・One to Oneマーケティングで最適なコミュニケーション
・お客様のウェルビーイング向上

「住み続けたい沿線作り」を目指す、相鉄ホールディングス株式会社

――相鉄Styleアプリについて

藤井様|相鉄グループ各社のコンテンツを集約して、ワンストップでお客様にサービスをご覧いただけるポータルアプリとして開発しました。トップ画面にカテゴリーを設けて、お客様が得たい情報をカテゴリーに沿って1、2タップしていただくと知りたい情報にアクセスできる設計にしています。ヘルスケアや買物情報など相鉄グループ以外の情報も掲載し、沿線のお客様がご利用になって生活が便利になったと思えるよう、パートナーさんと連携しています。

塩﨑様|移動はあくまでも手段でしかなく、その先に目的があって移動されると思っていますので、移動を誘起できるようなアプリを目指しています。お客様が喜んで行ってみたいな、楽しそうだな、と思えるような提案をしていけたらと思って活動しています。

想いに寄り添って、一緒に作り上げてくれる姿勢が決め手

――アプリ開発前の課題

藤井様|顧客接点を中心に「攻めのDX」がミッションですが、まだ始めたばかりでITの知識がないメンバーもいますので、そのなかでアプリ開発がどこまでできるのか不安でした。また、短期間でリリースをするので、専門的な知識がないメンバーで立ち上げていくことに対しては課題感があったと思います。こういうアプリにしたいという大きな構想は持っていましたが、手段としてどうしていくかという課題はありました。

――アプリ開発の経緯

塩﨑様|アプリを開発した理由は大きく2つあります。1つ目は、相鉄グループはリアルを軸としたビジネスをしてきましたので、デジタルのタッチポイントが弱かったことです。スマホを開いて、そこに私たちの事業が出てくることを、なんとか実現したかったのが大きな課題です。2つ目は、相鉄ジョイナスや相鉄線、相鉄ホテルでは公式アプリが提供されていましたが、対応がバラバラでした。グループのシナジーを出していくためにはワンストップで、お客様が相鉄グループのサービスにアクセスできる必要があると考えました。デジタルのタッチポイントと、ワンストップが大きな2つの背景としてありました。

藤井様|鉄道会社特有の事業構造だと思いますが、鉄道事業だけでなく、スーパーがあり、不動産があり、ホテルがあり多角化事業を行なっていて、ビジネスとしては成立しています。一方、お客様から見たとき、スーパーの相鉄ローゼンには行っていただいても、商業施設のジョイナスは同じ相鉄だと知らない方もいらっしゃるかもしれません。

ホテルも相鉄のホテルだと知らない方もいらっしゃって、そういった方々に「相鉄グループ」としてこれだけ生活に寄り添ったサービスがあるということをお伝えする手段がなく、スマホファーストの時代になって、生活の中で使っているスマホの中に、お客様とコミュニケーションを取る手段があれば、1つのアプリで我々の事業やサービスをお伝えすることができるので、「ワンストップ」という概念やキーワードは、私たちがやりたいことを集約しています。

さらに「ワンストップ」も、スマホアプリを使っていただく方々は沿線に住んでいらっしゃる老若男女ですので、あまりスマホを使用されない高齢者などに対してもご利用いただけるよう、数タップくらいで自分が知りたい情報に行き着けるようにしています。

――DearOne(ModuleApps2.0)を選んだ決め手

藤井様|「攻めのDX」を行っている中で、相鉄線沿線のお客様の暮らしを豊かにして、少しでも「住んでて良かったな」と思ってもらえるものを体験していただきたい。そういう想いに寄り添って、一緒にものづくりをしていただけるという観点が重要だったと思います。DearOneの営業担当者がそういう雰囲気を醸し出していたと思います。

顧客目線に立って必要な機能を選定

藤井様|グループ各社のコンテンツをカテゴリーに分けて、どのコンテンツであればアプリ利用者様が求めているのかを、各社と整合をとって選んでいくプロセスを丁寧に行いました。グループがたくさんあるからこその難しさがありました。

もちろんお客様が1番で、使っていただいて便利なアプリというのが重要ですが、企業目線ではグループ各社に対しても、グループで発信できるツールができたというのをメッセージとして伝えるという意味合いもあると思っています。いろいろ整合をとっていく中で、そういった意図なども伝わったと思いますので、成果物としてお客様にアプリを使っていただくというのはもちろんですが、そのプロセスにおいてグループ各社との意識を醸成できたのも成果だと思います。

プッシュ通知で、コロナ禍でも迅速な情報提供が可能に

――アプリ公開後、グループ内の反応

塩﨑様|グループ内では、これまで私たちからお客様へ情報を発信する手段がなかった部署や会社から、アプリを通してプッシュ通知で情報を発信したいという声をいただくようになりました。実際、バナーやプッシュ通知を行っています。当初グループ内の開発前のヒアリングの際にはなかった要望が、やってみて「こういうことはできる?」という相談が来るようになったので、スモールスタートでもアプリを提供してよかったなと思いました。

――アプリの効果、成果

塩﨑様|現在は、お客様がどういう情報に興味があるのかを、ModuleAppsに標準搭載されている行動分析ツールのAmplitudeで見られるようになっています。構想の段階ではお客様の動きが掴みきれていなかったので、どのような情報に興味を持っているのか、データで見られるようになったのはすごく大きいです。まだ活用はできていませんが、Amplitudeの使い方を説明していただきながら伴走して進めていただけるのは、これからもっと大事になっていくと思います。

藤井様|これまではお客様にお伝えしたい情報を私たちからプッシュ通知でお知らせしておりませんでしたが、ポータルアプリ上からプッシュ通知をすることで、有益な情報を的確に伝えることはこのアプリを通じて出来ることの1つだと思います。

塩﨑様|例えば、通常のダイヤ改定であれば、2週間の予告期間を設けて行なっていますが、コロナ感染者増による急な減便などアプリで告知をすることができ、情報を届けられたことで助かったお客様もいるのではないかなと思っています。アプリがなければ、バス停に告知をして、お客様がバス停に着いたときに減便だとわかるという流れになっていたと思います。

One to Oneマーケティングで目指すお客様のウェルビーイング向上

――今後リリース予定の新機能や、アプリで改良していきたい点

塩﨑様|おでかけ情報をお知らせする機能を、2022年度内を目処にリリースしたいと考えています。

藤井様|アプリを提供してわかったことがたくさんありました。もう一度原点に立ち返って、価値のある機能や情報を考え直して、機能改善やアプリのリニューアルを行なっていきたいと考えています。

――部署や会社全体の今後の目標

塩﨑様|ウェルビーイングってすごくふわっとした概念ですが、事業としてウェルビーイングに対して手を打っているからにはきちんと評価をしなくてはいけないと思っています。学術的に言われている評価指標と、事業指標はまた異なると思います。その評価・改善のためにデータを活用していきたいと思っています。そのデータを取るためには、アプリを使ってタッチポイントを持って、サービスとしてお客様に使っていただいて、私たちとしてはデータを収集して、施策が良かったのか評価しながらより良いサービスに繋げていく、アプリのタッチポイント、データ、施策がうまく回転していくようにしたいです。

藤井様|生活に密着した事業をしていますので、それを磨きつつ、サービスが届いていない可能性もあるので、ご利用いただくことで沿線のお客様一人ひとりが自分に合ったサービスを選んでいただけるようにするために、One to Oneマーケティングで最適のコミュニケーションをとっていくことをしなければいけないなと考えています。達成できれば私たちも、沿線全体のウェルビーイングも上がっていくのではないかなと思っています。

――「相鉄沿線のウェルビーイング向上を目指したい」という概念

「相鉄グループ長期ビジョン”Vision2030″及び中期経営企画(2022〜2024年度)」より

藤井様|相鉄グループ目線では、沿線に住んでいただかないと事業が成り立ちませんので、住みたい沿線、住み続けたい沿線にならないと持続的には発展できません。住みたい、住み続けたいかの判断軸は「ここに住んだら幸せになれるかどうか」だと思いますので、さまざまな個人の観点はあるとは思いますけど、そういうのをウェルビーイングだと考えています。身体の健康、心の健康、心身ともに健康になれるのではないかと思ってもらえる沿線にしなければいけないと考えています。それを私たちはデジタルタッチポイントで行うのがミッションで、その1つのツールがアプリだということです。「ビジョン2030」の人生100年時代を生き生きと過ごせる沿線とリンクすると思います。

塩﨑様|選ばれるためには人生100年時代を生き生きと過ごせる沿線にしたい、それを分解すると心身ともに健康でとなるので、そこがウェルビーイングと繋がってくると思います。お出かけスポットも楽しいところでワクワクしたり、買い物をして嬉しい気持ちになったり、そういったものをお客様がシームレスで体験いただけるアプリにしたいと思っています。

――DearOne社、ModuleAppsに今後期待すること

藤井様|スピード感を持って立ち上げられたのはModuleAppsの基盤があったからこそだと思っています。今後リニューアル時にも活用したいので、様々なお客様のご要望があると思いますが、うまく時流・トレンドを捉えて、基盤として成長していっていただけると私たちもうまくスピーディーにリニューアルしていけるのではないかと思っています。

塩﨑様|開発して運用していく中で、当社も徐々に知識や経験は溜まっていますが、アプリ専業で行なっているDearOneにはさらに多くの知見があると思っています。我々はビジネスサイドを主として見ている、DearOneはアプリを主として見ているので、パートナーとしてときには耳の痛いようなこともご提案いただけるような関係になれればなと思っています。

ビジネスとして我々が行いたいことと、アプリとしてお客様に受け入れられるものがどういったものか、一緒に作り上げていけたらいいなと思っています。