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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

Amazonを迎え撃つ!ヤマダ電機公式アプリの全貌と戦略

 Post by MML編集部

「O2Oアプリ分析」シリーズの第4弾は、家電量販業界の盟主「ヤマダ電機」の公式アプリについて、前後編2回の記事で取り上げたいと思います。Amazonをはじめとするネット通販との競争を迎え撃つヤマダ電機のスマートフォンアプリ戦略とは? ぜひご覧ください。

ヤマダ電気公式アプリ トップ画面

ヤマダ電機:圧倒的な売上規模を誇る、家電業界のガリバー企業

ヤマダ電機の2012年度の売上高はおよそ1兆7,014億円と、国内小売業で1位のイオン・2位のセブン&アイに次ぐ第3位。家電量販店の中では2位のエディオン(6,800億円、シェア14.4%)を大きく引き離すダントツの1位で、35.9%のシェアを誇っています。

直近2期は減収減益、Amazonなどのネット通販大手との競争が激化

しかしながら、2011年3月期に過去最高の2兆1,540億円の売上を記録して以降、直近2期は連続して減収減益を続けており、今年の4月には業績不振の責任を取って全取締役が降格するという話題が世間を騒がせました。

業績不振の主な理由は、地デジ移行・エコポイントによる薄型テレビの需要先食いの反動と言われていますが、もう一つの原因として、Amazonをはじめとするネット通販事業者との競争による利益率低下が一因との見方も出てきています。

近年、店頭で品定めをしてネットで商品を購入する「ショールーミング」と呼ばれる行動が消費者に認知されてきています。特に家電製品は、どの店舗でも同じ商品が購入できてしまう事から「一物多価(※1)」な性質が強く、消費者にとっても価格比較の対象になりやすい面があります。?

国内ではまだ家電量販店が優勢な状況ですが、総務省の情報通信白書(平成25年度版)によると、米国ではネット通販大手と小売店の競争が激しさを増しており、2012年にはAmazonの売上高が世界最大の家電量販チェーンであるベストバイの売上を逆転し、ベストバイが赤字に転落する事態となりました。ヤマダ電機の強烈な対抗意識の背景には、このような米国での状況も念頭にあるものと思われます。

これらの状況に対抗する形で、ヤマダ電機ではネット上で他の類を見ない多様かつ積極的なマーケティング施策を実施しています。今回も公式アプリを中心に、ヤマダ電機のマーケティング戦略を分析していきたいと思います。

※1:一つの商品やサービスが、同一市場・同一時点において、異なる価格で提供されている状態の事。

YAMADAモバイルアプリの概要:ECからSNSまで全て自前で運営

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YAMADAモバイルアプリ(※2)は2010年4月に、業界初の公式iPhoneアプリとして公開されました。
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当初はポイント機能のみのアプリとしてスタートしましたが、その後2011年にヤマダモールに対応するなど数回のアップデートを経て、現在の形になりました。主な機能/リンクは以下の通りです。

  1. ?バーコード(ポイント機能の「ケイタイde安心」)
  2. ?ショッピング(ECのヤマダモール)
  3. ?お得クーポン
  4. ?遊ぶ(ヤマダゲーム)
  5. ?読む(ヤマダイーブック)・動画(ヤマダDOOGA)
  6. ?家電レビュー(ピーチクパーク)
  7. ?マルチSNS
  8. ?もらう(ヤマダポイント)
  9. ?店舗/チラシ検索

このアプリの大きな特長として、ECモールからゲーム・レビューサイト・電子書籍まで、他社プラットフォームを利用せず、全て自社ブランド・自社開発(※3)を行っている点が挙げられるでしょう。

ヤマダ電機で業界初のPOSシステムの導入を先導するなど、システム化を先導してきた同社取締役・執行役員専務 CIO?の飯塚裕恭氏も、インタビュー記事の中で「提携の仕方にもいろいろある。自分たちのプラットフォームに乗せる提携と、他企業のプラットフォームに乗せてもらう提携とがある。前者はいいが、後者はよくない」とのコメントをされており、経営方針として自社開発による開発スピード向上やコントローラビリティが強く意識されている様子が伺えます。

早速個々の機能について見てみましょう。

※2:Android版アプリの名称は「ヤマダ電機 ケイタイde安心」で、iPhone版アプリと異なります。
※3:自社で要件定義をし他社に開発を依頼するケースなどを含む。

(1)バーコード(ポイント機能「ケイタイde安心」):”オフラインtoオンライン”の入り口

ヤマダ電気公式アプリ ポイント

ヤマダ電機は2001年にポイントカードの提供を開始しました。ポイントカードを活用していち早く「顧客の囲い込み」を図った事は、同社の成長に大きく寄与しました。現在の会員数はおよそ2,350万人と言われており、同社のマーケティングの根幹となっています。

以降2005年には店舗にポイントマシンを設置し、スロットゲーム等を通じ「来店ポイント」を付与する仕組みを開始しました。また2010年4月にはカードを廃止し、携帯電話・スマートフォンアプリ画面でのバーコード表示を通じたポイント付与システムケイタイde安心にいち早く全面移行するなど、様々な改善を続けています。

これまで「顧客の囲い込み」が中心であったポイントカードが、YAMADAモバイルアプリを通じた「ケイタイde安心」機能の提供によってECや各種ネットコンテンツなどへの入り口として機能しており、「オフラインtoオンラインの入り口」の役目を果たしているのです。

昨今ポイントカードの電子化を図っているケースは多いようですが、カード自体を廃止するケースはまだ少数派と言えます。ヤマダ電機では、一人で複数枚のポイントカードを使い、ポイントマシンを乱用するユーザーが一時期問題となり、それらを防止するため、原則として一人一台の所有が前提となる携帯電話に切り替えた背景があったようです。

その事が携帯・アプリ利用者の増加を早め、結果的に「オフラインtoオンライン」の加速化に繋がったであろう点は、興味深い事例と言えるでしょう。

(2)ショッピング(ヤマダモール):ケイタイde安心会員IDとヤマダモールIDの統合により、会員登録なしでショッピングが可能に

ヤマダ電機アプリ ヤマダモール

ヤマダ電機では2010年11月にショッピングモール「ヤマダモール」の提供を開始しました。早くから運営してきたヤマダ電機web.comを中核に、家電以外のジャンルで外部企業を積極的に募る事で総合ショッピングモールとして運営されて、スタート段階で350社が参画、品揃えも120万点を超えるなど、総合ショッピングモールとして運営されています。

ヤマダモールでは商品の購入にあたりヤマダポイントを使う/貯める事が可能になっています。2,350万人の会員資産をベースにネットショッピングへの誘導を図る事で、ネット通販に流れつつある顧客を取り込もうとする意図が見受けられます。

ヤマダ電機では、EC専業との競争から現在300億程度に留まるECでの売上を、3年以内に1,000億規模に伸ばす事を目標としています。2012年12月にベスト電器を買収したのも、同社が2005年に出資した独立系EC事業者である「ストリーム」(家電通販サイト ECカレント 運営会社)のECノウハウ吸収が目的と言われています。

また今年6月には、「ケイタイde安心会員」と「ヤマダモール会員」のIDが統合され、ポイント会員は新たな会員登録を新たに行う事なく、登録済みのメールアドレスと4ケタの暗証番号により、ヤマダモールへのログインが可能となりました。商品の届け先住所はポイント会員登録時に登録済みのため、決済情報を入力するだけで注文の完了まで進む事が可能です。

ネットショッピングは『いかに会員を増やし利用させるか』が課題となりますが、既存のポイントカード会員資産を活かし、既存会員がワンクリックでネットショッピングを楽しめる仕掛けは、店頭を通じて多くのポイント会員を集めてきたチェーンでしか実現できない流れと言えるでしょう。