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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

ユニクロのO2O戦略の中核を担う公式アプリの全貌とは!?

 Post by MML編集部

ユニクロの好調の一端を担うスマートフォンアプリとは?

ユニクロアプリ トップ画面

2013年8月期の売上高が前年比7%増と3年ぶりに前年実績を超えたユニクロ。客単価は微減となったものの、来客数は前年比12%増となり、販促施策の成功による結果と報じるメディアも散見されます。同社の好調の一端を担っているスマートフォンアプリについて、紐解いていきたいと思います。

早くからスマートフォンの可能性に着目

ユニクロを運営するファーストリテイリングでは、早くからスマートフォンアプリを通じたプロモーションに力を入れています。2008年に世界的な広告賞を総舐めにした「UNIQLOCK」のiPhoneアプリ版公開は2008年10月。iPhone3Gの発売が2008年7月であった事を考えると、国内企業の中では最も早くスマートフォンアプリの提供を開始した企業の一つであったと思われます。

以降、現在までに6つのアプリを公開しており、スマートフォンアプリが同社のプロモーション戦略上、重要な役割を担っている事が感じられます。

UNIQLOのアプリ公開暦
2008年10月  UNIQLOCK
2010年3月  UNIQLOCALENDAR
2011年3月   UNIQLOOKS
2011年9月  UNIQLOアプリ
2012年4月  UNIQLO WAKE UP
2012年10月  ビックロベーダー
2013年3月  UTCAMERA SHOOOT&SHARE

UNIQLOアプリの概要

今回取り上げるUNIQLOアプリは、2011年9月の公開当初はカタログアプリとして登場しました。他のアプリが主にブランディング・プロモーションを目的としているのに対し、オンラインからオフライン(O2O)への橋渡しとしての役割だけでなく、SoLoMo(Social,Local,Mobile)を体現し、実際の売り上げ貢献を行うアプリとして機能追加を重ね、現在では様々なマーケティング戦略の一端を担っているようです。

UNIQLOアプリは「ユニクロストア」「チラシ」「クーポン」「マイニュース」の4機能から構成されています。AppStoreの説明文は以下の通りです。

■ユニクロストア <NEW!>
オンラインストアや、さまざまなユニクロのアプリへアクセス!
便利な店舗検索機能もご利用いただけます。
さらに、店頭で気になった商品の詳細情報やユーザーズボイスが、その場でわかるバーコードスキャン機能が追加!
※iPadでは現在本機能はご使用いただけません。

■チラシ
ユニクロのお得情報が詰まったチラシをいち早くお届け致します。

■クーポン
お得なクーポンを手に入れることができます。

■マイニュース
お気に入りのお店をマイストア登録すると、そのお店からの最新情報や、お得な情報が届きます。
今すぐ登録してお気に入りのお店からの情報をゲットしよう!
※現在マイストアサービスは東京と群馬の一部店舗のみ提供しています。
※iPadでは現在本機能はご使用いただけません。

O2Oを主目的として展開

UNIQLOアプリでは2012年4月にモバイル会員の登録受付を開始し、2013年6月にはモバイル会員が1000万人を突破するなど、ユーザー数も相当な規模に成長しているようです。同プレスリリースにも明記されているように、アプリ戦略の最大目的は「O2O」であることは間違いなく、地域に根付いた小売業として、インターネットを活用することを掛け合わせ、顧客を売上貢献の大きなロイヤルカスタマーに育てていくことを目的としているように見えます。

–プレスリリース抜粋–
スマートフォン向けアプリ「UNIQLO APP」に機能追加オンラインとオフラインの連携を強化へ 2012年1月より提供しているスマートフォン向けアプリ「UNIQLO APP」。これまでは、チラシやクーポンといった サービス中心にご提供してきましたが、第一弾として6月中旬に「バーコード読み取り機能」を追加いたします。この機能を使えば、店舗で気になった商品の機能や素材、色柄や価格といった情報をスマートフォン上でその場で閲覧できるようになります。

リリースに表れる意図:「バーコード読み取り機能」でオフラインからオンラインへの誘導も

ユニクロアプリ 商品バーコードスキャン

中でも、今回追加された機能のひとつ、バーコード読み取り機能について見てみましょう。この機能では、店舗で気になった商品のバーコードをスキャンすれば、直接オンライン上の商品紹介ページに飛ぶことができ、素材・色・デザインなどを確認できるようになっています。

この機能は店舗においては店員に代わって顧客への情報提供を行うことになるだけでなく、“店頭にサイズがない場合にオンラインストアで購入をする”など、「オフラインからオンライン」への誘導にも寄与しています。

これは、店舗の役割が商品販売・決済だけにとどまらず、店員とのコミュニケーションから得られる情報、そのコミュニケーションから醸成されるブランドイメージや実際の商品を見ることができる利点を残しつつ、万が一サイズ等が不足していた場合、他ブランドにスイッチするのではなく、オンラインストアを通し場所を問わず購入をサポートし、販売機会を漏れなくカバーするツールになることを意味します。

これまで「O2O」は「オンラインtoオフライン」の文脈で語られる事が多かったように感じますが、プレスリリースの内容を改めて見返すと、ユニクロではその概念をもう1歩進めて『オンラインとオフラインの連携』と定義しています。

アプリを中心にオンラインとオフラインの『双方向』で顧客の誘導を図る事で、顧客とのエンゲージメントの向上・売上向上を図っている点は、着目すべきポイントと言えるでしょう。

チラシをスマートフォンで提供:若年層へのリーチ強化と共に、コストダウン効果も大きい

ユニクロアプリ チラシ

ユニクロと顧客をつなぐ販促施策の接点として、これまでは「新聞の折り込みチラシで告知された週末の特売セール」のイメージを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。現在も全国でチラシが配布されており、その重要性は言わずもがなですが、若年層の新聞購読率の低下から、十分にリーチできていない顧客層が居る事も確かでしょう。

また、チラシの配布コストは、B3サイズで1枚5円~と言われており、ユニクロでは年間で200億円以上の配布コストがかかっています。そのコスト高から、今年に入り同社が“新聞折り込みチラシを全廃する”という噂も流れました。

対して、スマートフォンアプリを通じたチラシの提供は「0円」。チラシ情報のアプリでの提供は、単に若年層の取り込みに留まらず、コストダウン効果の観点からも、非常に大きな意味を持つものと言えるでしょう。

『時間限定のクーポン』で顧客の購買欲を喚起

ユニクロアプリ 時間限定クーポン

同社の新聞折り込みチラシについて「週末の特売セール情報」が中心である事に触れましたが、長年の週末セール戦略が「週末になれば安くなるから、それまで待とう」という顧客行動を引き起こしている点も否めません。今年からユニクロでは週末のセールを2日から4日に伸ばした事からも、その傾向を変えようとしている事が見受けられます。

UNIQLOアプリ上にも、週末への偏りを減らす重要な仕掛けとして「時間限定クーポン」が提供されています。この機能は、クーポンを利用できる時間を「水曜の20時まで」といった形で限定する事により顧客の「今行かないと勿体ない」という思いを喚起しているようです。

この機能は、SoLoMo LABを運営するロケーションバリューが2009年から提供している「イマナラ!」や、同社で開発する企業アプリ上で提供している「時限クーポン」の概念と同じものと言えるでしょう。

いかにピークタイムの顧客をアイドルタイムに振り向けるかは、店舗を持つ企業共通の課題と言えますが、これらの「時間限定クーポン」の活用が、解決策の一つとして今後より多くの企業に活用されていくものと想定されます。

SNS投稿の入り口としてもスマートフォンを活用

ユニクロアプリ SNS

UNIQLOのマーケティング戦略は、上記のようなオウンドメディア(自社が所有するメディア)を通じたO2O施策にとどまらず、2010年9月にはfacebook公式ページを開始したほか、2013年6月にはLINE公式アカウントを開始するなど、他社が提供する様々なアーンドメディア(評判・信用を得るメディア)・ソーシャルメディアを通じても、幅広く展開されています。

今年の6月からはコミュニティサイト「みんなでつくる、みんなのユニクロ」を開設し、オンライン上に投稿される多数の“顧客の声”を、より見やすく、そして投稿しやすくし、商品を通じた顧客同士のコミュニケーションの活性化、加えて、顧客とのダイレクトコミュニケーションの場としても活用しているようです。

SNSと親和性の高いスマートフォンの特性を活かし、アプリ上にもfacebookログイン機能が実装され、最新ニュースなどを簡単にシェアできるようになっており、投稿の入り口として多くのユーザーに活用されているものと想定されます。

まとめ:“SoLoMo”マーケティングの中核を担うお手本アプリ

スマートフォンの普及により、従来型の新聞折り込みチラシやテレビCMと違い、「リアルタイムに、場所を選ばず、ダイレクトで」顧客に情報を届けることが可能になりました。ユニクロではその特性を活かし、チラシ機能や時限クーポン機能を通じ、オンラインからオフラインへの誘導を図る仕掛けを充実させるだけでなく、バーコード読取り機能を使った「オフライン(店舗)toオンライン(EC)」の誘導を図る事により、相乗効果を高めています。

加えて、「みんなでつくる、みんなのユニクロ」などのソーシャルメディアを通じ、顧客との中長期的なリレーションを多方面からとろうとしていることがわかります。

UNIQLOアプリはそれらの戦略の中心を担うアプリとして非常に重要な地位を占めており、まさに『SoLoMo(Social,Local,Mobile)』の視点で包括的に考えられた、お手本となるスマートフォンアプリと言えるのではないでしょうか。

ユニクロでは「シルキードライ」「サラファイン」から「ヒートテック」「フリース」に至るまで、年間を通じて強力な商品ラインナップを揃えています。それらに合わせ、アプリを通じ年間を通してユーザーへの情報提供やリレーションの維持拡大を図る事により、商品×マーケティングを両輪として、顧客に“各季節に一度はユニクロ製品を購入しよう”と思わせる『きっかけ』を作りだすことに成功しているのです。

『SoLoMo』の視点を体現したお手本アプリとして、是非参考にしていただければと存じます。