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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

TSUTAYAアプリ:オムニチャネルのお手本事例を徹底解説!

 Post by MML編集部

カルチュア・コンビニエンス・クラブ:TSUTAYA、Tポイント、ネット事業の3つを運営

CCCホームページ

DVD/CDレンタルチェーンのTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは、国内最大の映像・音楽ソフトレンタルチェーンであるTSUTAYA事業のほか、共通ポイントサービスの「Tポイント」事業、「TSUTAYA DISCAS」「TSUTAYA TV」等のネットエンタテイメント事業を運営する企業です。

近年では特に「Tポイント」事業で大きな躍進を遂げており、現在では会員数4,710万、加盟店舗数6万店舗超(2013/11/10 日経新聞記事より)にネットワークを拡大。2013年にはYahoo!JAPANとの包括提携を発表し、ポイント・IDの統合を図るなど、ネットとリアルの区別なく勢力を拡げています。

2011年2月には、事業環境の変化に対する迅速な対応などを目的として、MBO(マネジメント・バイアウト)による上場廃止を発表しており、直近の売上は公開されていません。しかしながら、ネット配信や電子書籍など急激な市場環境の変化にさらされているTSUTAYA事業でさえも、2012年度の書籍売上高が過去最高を記録し書店チェーン国内最大手となるなど、同社が強みとする「データベースマーケティング」の力を活用し、好調を維持している様子が見受けられます。

TSUTAYAのモバイルマーケティング戦略

TSUTAYAオンライン トップ

同社のモバイルマーケティングの歴史は非常に古く、「iモード」のスタートと同じ1999年には「TSUTAYAオンライン」を開始し、モバイル向けのオンラインクーポンやメールマガジンの配信等を開始しています。モバイルクーポンの代名詞と目されるマクドナルドのモバイルサイト開始が2003年である事を考えると、いかに早期からスタートしたかが分かるでしょう。

TSUTAYAオンラインはiモードを始めとするモバイルインターネット端末の爆発的な普及に合わせて右肩上がりで会員数を伸ばし、当時まだ珍しかったメールマガジンによるオンラインクーポンの配信はユーザーにも高く支持され、1999年3月期に640億円だった売上高が2004年3月期には1,423億円と2倍に急拡大する原動力の一つとなりました。

ところが、当初全会員に一斉に新作入荷やクーポンのメールを行っていた事で、「効果が高すぎて来店数が殺到し、レンタル作品の欠品や混雑が発生した結果、顧客満足度が下がる」という悪循環に陥ってしまいました。

その課題へ対処するため、店舗別・ユーザー別に配信内容を細かく設定できる独自のメール配信システム「クリモル君」を2004年に各店舗に導入、顧客の年齢・性別等の属性に合わせて各店舗が内容の出し分けや配信日の分散を行う事により、集客数の分散・安定化を実現することができ、より高い業績へと結び付ける事が可能になりました(参考記事1参考記事2)。

現在チェーン企業の販促施策は本部主導で行うケースが多いように感じますが、TSUTAYAではこれらの経緯から長年にわたり『各店舗独自のマーケティング施策を行う力』が養われ、現在へ繋がる強みの一つになっているように感じられます。

合計で11のアプリを公開

同社では消費者の利用デバイスの変化に合わせ、2010年ごろから、スマートフォンアプリの提供に注力しており、現在では合計で11ものアプリを提供しています。

No アイコン アプリ名 概要
1 TSUTAYAアプリ お店在庫検索・お得情報
2 TSUTAYA FREEマガジン リリース情報を見る
3 T-SITE Tポイントお得情報
4 Tポイント 提携先のクーポンをGET
5 ツタヤ宅配レンタル-TSUTAYA DISCAS- ネットでレンタル
6 TSUTAYA TV TVで見る(オンデマンド配信)
7 7_tsutaya_musico TSUTAYA ミュージコ♪ アプリで楽しむ(着うた・芸能・占い)
8 8_tsutayaar TSUTAYA AR β版 アプリで撮ってお得情報GET
9 9_tdolby T×DOLBY Music Player アプリで聴く(5.1chサラウンド)
10 T-リモコン アプリでリモコン
11 aune!(アウネ) 映画・音楽・本でマッチング

?参考:TSUTAYA WEBサービス・アプリ紹介

?弊社でもNo4の「Tポイントアプリ」をModuleAppsのプラットフォーム上で開発・提供しており、同社のTポイント加盟店舗の検索やクーポンを通じた販促にご活用いただいております(詳細:イマナラ!プラットフォームをOEM提供 カルチュア・コンビニエンス・クラブによる「Tポイントアプリ」サービス提供開始)。

今回は、TSUTAYAの店舗集客を担うO2OアプリであるNo1の「TSUTAYAアプリ」を中心に、同社のO2Oマーケティング戦略を分析してみたいと思います。

TSUTAYAアプリ:TSUTAYA事業を担うO2O販促用アプリ

TSUTAYAアプリ トップ画面

TSUTAYAアプリは、最寄りのTSUTAYA店舗の在庫やクーポンの検索、各種メディアソフトのリリース情報やランキング情報の確認などができる、O2O販促用のアプリです。2010年9月の公開から現在まで複数回にわたるリニューアルを行っており、時系列でまとめると以下のようになります。

TSUTAYAアプリの関連トピック

2010年9月 レンタルランキング情報がチェックできる「TSUTAYAランキング」アプリとして公開
2010年12月 最寄り店舗のCD/DVD在庫を検索できる機能を追加、名称を「TSUTAYAサーチ」に変更
2012年4月 100万ダウンロードを突破 リリースカレンダー機能を追加
2013年2月 利用履歴の確認やTSUTAYA AR機能を追加 名称を「TSUTAYAアプリ」に変更

 

主な機能やその狙いについてチェックしてみましょう。

ご利用店舗登録/店舗検索

TSUTAYAアプリ ご利用店舗登録

アプリを起動すると、利用店舗の登録を促す画面が表示されます。「ご利用店登録」ボタンを押すと店舗検索画面に遷移し、現在地や位置情報を使い、最寄りのTSUTAYA店舗が検索出来るようになっています。

該当の店舗情報画面で「ご利用店舗に登録」をタップすることで、利用店舗の登録が完了します。

利用店舗を登録することで、以下の機能が使えるようになっています。

(1) 登録店舗で発行されているクーポンの受け取り
登録店舗で発行されている「レンタル半額」などのクーポンを受け取る事ができます。
(2) 作品の在庫検索時に、登録店舗の在庫状況をワンタッチで確認
後述する在庫検索機能を利用する際に、その作品の在庫が登録店舗にあるかをワンタッチで確認できます。

レンタル業態では在庫の返却を同一店舗に行う必要があることから、普段よく行くお店が1-2店舗に限定されるケースが大半です。TSUTAYAではスマートフォンアプリ上でもその特性を活かし、利用店舗と紐付いたUIとすることにより、マーケティング効果やユーザー利便性の最大化を図っているようです。

トップ画面

TSUTAYAアプリ トップ画面

トップ画面は各メニューボタンの他に、新作やキャンペーン情報に関するローテーションバナーの表示スペースが設定されています。ローテーションバナーは約2秒間隔でスクロールしており、タップすると詳細情報のウェブページに遷移することができます。

レンタル業態では、個々人の好みに合った魅力的なレンタル作品をユーザーに訴求することが購買機会・売上の拡大に直結します。リンク先のページでは新作に関する動画やキャンペーン情報などが映画公式サイト並みに充実しており、利用者の購買意欲をより強く喚起しているようです。

在庫検索・お気に入り

TSUTAYAアプリ 在庫検索

皆様も、新作のDVDをレンタルしたい時などに、最寄りの店舗に在庫がなく、残念な思いをした事があるのではないでしょうか。TSUTAYAアプリの在庫検索機能では、DVD作品などをタイトル名などのキーワードで検索することにより、登録店舗の在庫状況を確認したうえでお店に向かうことができます。(電話連絡による取り置きも可能)

登録店舗に在庫がない場合、周辺のTSUTAYA店舗の在庫状況を地図上で確認することもできます。在庫の有無をピンの色でひと目で確認できるUIは非常に分かりやすく、たとえば会社帰りに「借りたい作品の在庫が地元の駅前店舗にないので、在庫がある1駅前の店舗で借りて行こう」といった使い方ができるようになっています。

無印良品のアプリのコラムでも触れたとおり、在庫検索機能は利用者側の利便性に留まらず、店舗側にとっても「販売機会ロスの防止、在庫問い合わせへの対応工数削減、接客イメージのアップ」など、さまざまな効果をもたらします。導入にあたっては基幹系のシステムと消費者向けのウェブサイトやアプリとの連携が必要で、大規模なシステム改修を伴うケースも多いかと思われますが、長期的に見てそれを上回るメリットがあると言えるのではないでしょうか。

レンタル業態の場合は特に、メディアの置き場所にも限りがありますので、限られた在庫を複数の店舗で効率的に回転させることができるこの機能は、TSUTAYA全体の売上の総和を上げるうえで、必須の機能と言えるでしょう。

なお、検索した商品は「お気に入り」に登録することが可能です。気になる作品を登録させることにより、将来的な購買機会を漏れなくカバーできるよう工夫されているようです。

TSUTAYAアプリ お気に入り

ネット宅配レンタルやECサイトとの連携によるオムニチャネル展開

また、商品情報にはネット宅配レンタルの「TSUTAYA DISCAS」や、ECサイトの「TSUTAYAオンラインショッピング」の商品ページにも直接リンクされています。購買機会のロスを減らすためには商品の提供手段を「実店舗でのレンタル」に限らないオムニチャネル展開を意識している事が感じられます。

TSUTAYAは店舗の9割がフランチャイズ加盟店であり、同社のオムニチャネル戦略には加盟店の理解が必要であったと思われます。TSUTAYAではTSUTAYA DISCAS事業の強化にあたり、同社を運営していたレントラックジャパンを子会社化した際に、同社がもともと得意としていたPPT(ペイ・パー・トランザクション:DVD在庫を貸与し、レンタルの出来高に応じ収益を分配する仕組み)事業によるフランチャイズ店舗の仕入れ費用抑制などのサポートを並行して行っており、それらの施策を通じて理解を深めながら、ネット事業の拡大を図ったものと推測されます。

クーポン機能

TSUTAYAアプリ クーポン 店舗別 プッシュ通知

TSUTAYAアプリのクーポン機能は、初回起動時に登録した店舗単位で提供されています。登録店舗で新しいクーポンが発行されると「プッシュ通知」が届くようになっており、プッシュ通知をタップするとクーポンの詳細画面を表示できるようになっています。

TSUTAYAアプリ 店舗別クーポン

配信内容は「レンタルDVD旧作DVD100円」などで、利用期間は内容により1日~1・2週間程度となっているようです。

昨今スマートフォンおよびソーシャルメディア等の普及により、メールマガジンの効果の低下が指摘されています。それに代わりアプリを通じた「プッシュ通知」配信の効果の高さが注目されており、クーポン発行のお知らせなどにも使われ始めているようです。

現在は全店一斉の内容でプッシュ通知を配信するケースが大半ですが、TSUTAYAでは前述の通り店舗ごとに独立した販促施策を重視しており、プッシュ通知についてもその方針を引き継ぎ、店舗単位での配信ができるよう設計されているようです。

ジャケ写!:画像認識技術を活用しジャケットの写真から作品を検索

jake01

「ジャケ写!」機能は、Sonyの提供する画像認識システム「SmartAR」を活用し、アプリ上でDVD/CDのジャケットを撮影することで、該当作品の作品情報を確認できる機能です。店頭でレンタル作品選びに迷った時に、他者のレビュー情報やYoutube上の予告編動画などを参考にすることができ、意思決定を後押しする役目を果たしているようです。

また、店頭で在庫がない場合に近くのお店の在庫有無をチェックする・他の小売店の店頭で購入を迷ったDVD商品があった際、近くのTSUTAYA店舗のレンタル在庫有無を確認し、購入かレンタルかの判断を行うといった使い方もできるでしょう。

リリース情報、ランキング情報

TSUTAYAアプリ リリース情報

リリース情報

TSUTAYAアプリ ランキング情報

ランキング

「リリース情報」では近日レンタルが開始される新作情報などが、「ランキング」ではデイリー/週/月の各単位でのレンタル作品ランキングが確認出来るようになっています。「在庫検索」と同様、商品情報には最寄りの登録店舗での在庫情報確認が出来るようになっており、店舗への集客をしっかりとサポートし、購買機会の創出を図っているようです。

ランク確認

TSUTAYAアプリ Tサイト情報

TSUTAYAでは2013年10月から、月間のレンタル利用回数が多い顧客に対し、貯まるポイント数が増える「ツタランク」サービスを開始しました。これまで一律で100円あたり1ポイントであった付与率を改変し、前月の利用日数が1日の場合は200円あたり1ポイント、2日以上場合は200円あたり2ポイント、5日以上場合は200円あたり3ポイントになっています。ランク確認では現在の自身のランクが確認できるようになっています。

これらの手法は「ランクアップマーケティング」と呼ばれ、楽天を始めとする多くの企業が既に取り入れています。購入回数の少ない顧客を得意客へと育てる目的で導入されているものと想定されます。

一方、旧基準では100円あたり1ポイント、つまり200円あたり2ポイントであった事から、月1回の利用ではこれまでよりポイント付与数が下がる形となります。同社では「旧作100円レンタル」「レンタル半額」等の施策を通じ客単価の低下が起きている可能性があり、ランクアップ制度導入によって「ロイヤルカスタマー化の促進」と共に「客単価向上」や「販促費の抑制」を狙っているものと推測されます。

Facebookページリンク

TSUTAYAアプリ facebook

TSUTAYAの公式facebookページへのリンクです。同社アカウントのいいね!の数は26万件を超えており、facenaviの「Facebook 企業/ブランド公式ページ ベスト500」では国内30位に位置しています。投稿に対する「いいね!」の数は平均数百件となっており、購買機会の創出に一定の寄与を果たしていると思われます。

関連サービス

TSUTAYAアプリ 関連サービス

同社のその他ウェブサイトやアプリの紹介リンクが掲示されています。前述の通り同社は11ものスマートフォンアプリを公開、TSUTAYAオンラインを始めとする6つのウェブサイトも運営しています(紹介ページ)。アプリ・相互集客を行う事により、オムニチャネルマーケティングの実践による売上の最大化を図ろうとしているようです。

ご利用履歴

直近6カ月のレンタル履歴が確認できます。「途中までしか見られなかったあの作品をもう一度借りたい」といった時に、ワンタッチで在庫状況を確認し、購買機会に繋げることを狙っていると想定されます。

アカウント

ログイン操作をすることで、「Tサイト」上でTSUTAYA以外の店舗を含むTポイントの利用履歴の確認や、登録情報の変更などができます。Yahoo!JAPANとの提携により、IDの紐付け操作を行うことで、Yahoo!JAPANIDでのワンタッチログイン等にも対応しているようです。

まとめ:データベース×モバイルによるオムニチャネル戦略実践のお手本事例

TSUTAYAのマーケティング施策は、Tポイント陣営の盟主として、加盟する大手チェーン企業に対し「お手本」「成功事例」を示すべき宿命にあります。TSUTAYAアプリはその位置付けに足る、完成度の高いアプリとなっているように感じます。アプリの強みを構成する要素として「データベース」「店舗単位でのモバイル販促インフラ」「オムニチャネル」の3つがあげられるのではないでしょうか。

データベースマーケティング

TSUTAYAはTポイントを通じ、早期から顧客の属性情報データベースを所有しており、それらの属性に合わせたマーケティングを実践してきたパイオニア的存在です(参考記事1参考記事2)。

同社の会社概要ページの「事業概要」には「世界を代表するデータベースマーケティング企業を目指し、DBマーケティング事業を中核事業に据え、、」との書き出しから始まっており、自社のことを「レンタル業」「共通ポイント運営業」などではなく「データベースマーケティング企業」と定義している点からも、いかに顧客データベースを活用したマーケティングを重要視しているかが分かると言えるでしょう(参考:データベースマーケティング)。

TSUTAYAアプリでは初回起動時のポップアップやクーポン画面・アカウント画面からのログイン操作を通じ、顧客が利用する店舗を登録させることにより、在庫検索・クーポン・プッシュ通知・ランク確認などアプリの各機能を、利用店舗や属性に紐付けて表示できるようになっています。

顧客の購買行動とこれらの販促施策データを突き合わせることで、どのような販促施策の効果が高いのかを分析し、さらなるマーケティング精度向上に活用されているものと推測されます。

店舗単位でのモバイル販促インフラ

同社は、店舗を有する企業によるインターネット活用が「クリック&モルタル」と呼ばれていた早期から、「TSUTAYAオンライン」を始めとするモバイル戦略に注力してきた、モバイルマーケティングのパイオニアでもあります(参考記事1参考記事2)。。

データベースは単に所有・分析するだけでは効果を発揮せず、登録顧客に対し「どのような手段・内容でリーチするか」がセットで考慮されなくては、最終的な集客効果に繋がりません。

同社では各店舗の販促の成功事例やノウハウは、店舗向けの専用サイトである「TSUTAYA NAVI」上で共有され、配信すべきコンテンツの内容についても、直営/フランチャイズの垣根を越えたナレッジ共有インフラが整備されています。

また、顧客との接点である「モバイルサイト・スマートフォンアプリ」や、顧客への訴求手段である「メールマガジン・プッシュ通知」・さらにメールマガジン配信システム「クリモル君」の提供などを通じ、顧客にリーチする手段が高度に整備されています。

それらのナレッジ共有インフラ・配信インフラの整備により、他チェーンではあまり見られない、「店舗単位のメールマガジン・プッシュ通知・クーポン配信」等が実現されている点も、同社の大きなアドバンテージと言えるでしょう。

オムニチャネル・マーケティング

一方TSUTAYAは、店舗を通じたレンタル・販売以外に、「TSUTAYAオンラインショッピング」でのネット販売や、「TSUTAYA DISCAS」での宅配レンタルサービスも提供しています。TSUTAYAアプリの商品情報には、登録店舗でのレンタル在庫状況と共に各サイトの該当商品ページへのリンクが貼られており、ログイン操作を行うことでワンタッチで注文・レンタルができるようになっています。また、TSUTAYAオンラインショッピングで注文した商品を店舗で受け取りする事などもできるようです。

ほかにも、DVD/CDのジャケットをカメラで撮影するだけで作品情報・在庫情報を確認できる「ジャケ写」機能や、地図上で周辺店舗の在庫状況を一覧表示する機能などが実装されています。購買機会の創出とともに、ユーザーの購買機会を『最寄り店舗>周辺店舗>DISCAS>オンラインショッピング』と何重にもカバーし、『手段を問わない』商品・サービス提供により販売ロスをゼロに近づけようという強い意思が感じられます。

近年、ネット/リアルの販売チャネルを問わずに顧客に商品・サービスを提供する「オムニ(すべての)チャネル・マーケティング」という概念が提唱されていますが、同社の戦略はまさにオムニチャネル・マーケティングへの意欲的なチャレンジであり、モデルケースと言えるのではないでしょうか。

店舗網を有する小売業にとって、ネット販売チャネルの強化は、さまざまな課題が生じやすいテーマです(参考記事)。フランチャイズ加盟店が全体の9割を占める同社にとっては尚更、理解・説得にさまざまな努力を要したものと想定されます。

それらの課題に対する同社のスタンスを表すものとして、「TSUTAYA DISCAS」がスタートした2006年のインタビューでは、「TSUTAYAの店舗から客足が遠のく影響を及ぼしはしないか?」といった記者の質問に対し、同社の創業者・代表取締役CEOである増田宗昭社長が、以下のような発言をしています。

 「ツタヤは常に顧客に喜ばれるサービスを提供してくれる会社と思ってもらえる事が、結果的に最大の加盟店支援につながる。」

このような顧客第一のポリシーのもと、加盟店支援と並行してネット販売チャネルの強化を果敢に進めたことが、現在の同社のオムニチャネル戦略に結実したと言えるでしょう。

アプリ開発をご検討中の企業様は、オムニチャネル戦略の「お手本アプリ」として、TSUTAYAアプリをチェックしてみることをお勧めしたいと思います。