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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

しまむら公式アプリ(前編):独自の経営戦略を反映する実用性重視のシンプルなO2Oアプリ 参考にすべき3つのポイントとは?

 Post by MML編集部

今回はアパレル大手の「しまむら」の公式アプリについて、前後篇の2回で取り上げます。ぜひご覧ください。

しまむらアプリ トップ

しまむら:国内最大の店舗数を誇るアパレル大手 グループ合計で1,800店以上を運営

しまむら ホームページ トップ

しまむらは、国内アパレル業界でファーストリテイリング(2013年8月期、1兆1,430億円)に次ぐ第2位の売上高(2013年2月期、4,910億円)を誇る企業です。世界のアパレル企業売上高ランキングでも9位に位置しており、「国内2強の一角」と評するメディアもあります。

20~50代の女性・主婦をターゲットにした「ファッションセンターしまむら」を中心に、若年層向けカジュアルを扱う「アベイル」やベビー・子供用品の「バースデイ」など複数のブランドを展開しており、店舗数は「しまむら」だけで1,200店、全ブランド合計で1,800店を超える規模となっています。

この店舗数はファーストリテイリングの国内店舗数ユニクロGUセオリー合計で1260店程度+その他ブランド若干数)よりも多く、国内最大と言われています。

これまで郊外のロードサイドを中心に出店を続けてきた同社ですが、近年では都市部への小型店出店などにも力を入れているほか、昨年には長らく競合と目されていたイトーヨーカドーやイオンなどのGMS内への出店にも成功するなど、新たな展開を見せています。

独自の経営戦略で4期連続最高益を更新

しまむらは競争の激しいアパレル業界において、独自の戦略で堅調な業績を続ける優良企業として知られており、2013年2月期まで4期連続で過去最高益を更新しています。

低価格帯のトレンドファッションを短期間で販売するファストファッション型の業態として知られており、近年では「しまラー」(しまむらの商品で全身をコーディネートする同社のファン層を指す)などの言葉も生まれ、女子中高生や20代前後の若い女性にも支持を拡げています。

アプリについて解説する前に、同社の特徴的なビジネスモデルについても少し、触れてみましょう。

(1)外部メーカーから商品を一括仕入/多品種少量の品揃えでトレンドに対応し回転率を高める

しまむらは、SPA(製造小売)方式のユニクロ・GUなどと違い、自社で製造を行わず、500社を超える外部のメーカーから直接商品を仕入れる形を取っています。

それにより多品種のトレンドファッションを豊富(1店舗あたり平均4~5万点)に品揃えすることが可能になっており、同社代表の野中正人氏のインタビューによると、週に6回は新しい商品が店頭に並ぶそうです。

また、個々のアイテムは1店舗あたり1サイズ1点ずつの販売が基本となっており、あえて少量ずつの販売とすることで商品の回転を早め、移り変わりの早いトレンドに対応しています。

(2)店舗の負担を軽減するさまざまな工夫/ローコストオペレーションを可能に

しまむらでは、メーカーからの商品仕入れを本部が一括して行うセントラルバイイング方式を採用しています。仕入れた商品は専用のシステムにより各店の数量などが決められ配送される仕組みとなっており、店舗側での発注業務を不要にしています。

また各在庫は単品管理され、本部の「コントローラー」と呼ばれる社員の手によって、店頭に届いた商品を売り切るために最適な販売戦略の立案や店舗間の在庫移動等が実施されます。アパレル業としては珍しく物流網を自前で構築しており、店舗間の在庫移動などをローコストに実施できる体制が整えられているようです。

通常は店舗の店長が担う場合の多い発注・販売計画等の作業を本部側が担うこと、作業マニュアルの細かい改善を続けることなどで運営店舗運営を効率化し、ローコストオペレーションを実現しています。

(3)パート社員を積極活用/安定した店舗運営を可能に

しまむらでは従業員の8割超程度をパート社員が占めています。パート社員は「M(Middle)社員」と呼ばれ、福利厚生・残業手当・ボーナスなど社員としての待遇を得ながら、週2日の時短勤務を認めるなど家庭を持つ主婦でも働きやすい環境作りが為されています。

それらの処遇によりスタッフの定着率・ロイヤリティを高めることで、安定した店舗運営が可能になるほか、優秀なM社員を店長などに登用しており(R(Regular)社員)、現在では全店長の7割以上を元パート社員が占めるなど、人材育成の面からも有効に機能しているようです。

同社はほかにも、流通チャネルや販促方針など多くの面で独自のスタイルを築きあげており、今回取り上げる「しまむら」アプリにもそれらの特色が反映されているようです。アプリの概要や機能とともに触れてみましょう。

公式スマートフォンアプリ「しまむら」:店頭集客に機能を絞ったシンプルなアプリ 告知にも注力

しまむらアプリ トップ

しまむらは2013年9月に公式スマートフォンアプリを公開しました。公開と同時期の2013年10月にはフィーチャーフォン(フィーチャーフォン)向けサイトを閉鎖(※)しており、現在はスマートフォン向けアプリを中心にウェブマーケティングを行っているようです。

しまむら モバイルサイト 閉鎖のお知らせ
※実際はアクセスが可能で、情報の更新を止めている状態の模様

サイト閉鎖の背景:スマートフォンユーザーの利用時間は、フィーチャーフォンユーザーの10倍以上!?

フィーチャーフォン向けサイトを維持する企業が多い中、同社のサイト閉鎖の判断には、どのような背景があるのでしょうか。

凸版印刷が2013年5月に20代~40代の主婦層を対象に行った調査によると、主婦層におけるスマートフォン普及率は約50%で、現在は50%を超えているものと想定されます。

また、1日あたりの携帯電話の平均利用時間について、フィーチャーフォン利用者の約半数が10分未満と回答したのに対し、スマートフォン利用者の半数以上が1時間を超えると回答するなど、利用時間の両極化が進んでいることを指摘しています。特に2時間以上利用すると回答した人が全体の3割程度を占めており、両者の差は10倍以上に開いていると言えそうです。

スマートフォンユーザーの利用時間は、フィーチャーフォンユーザーの10倍以上

これらの利用時間の差は販促効果の差に直結する部分であり、費用対効果に大きな差を生んでいることが想定されます。それらの背景が同社の「フィーチャーフォン向けサイト閉鎖」および「スマートフォンへの注力」という判断の背景にあったものと推測されます。

ペイドメディアでの積極的なアプリ告知:オウンドメディアおよびアプリの重要性を評価

同社のホームページや各種ペイドメディアを見ていると、オウンドメディアとしてのアプリの重要性を評価し、「受け皿」として活用しようとしていることが感じられます。

まず、ケンタッキーの回でも取り上げたテレビCMでのアプリ告知(以下動画の29秒ごろ)が挙げられます。

テレビCMなどのペイドメディアは支払いを止めた瞬間に出稿が停止され、効果が無くなる性質を持っています。

対して自社のスマートフォンアプリを始めとするオウンドメディアは、顧客を囲い込むことにより効果を積み上げていく事が可能なメディアであり、ペイドメディアに触れたユーザーを(店頭集客だけでなく)いかにオウンドメディアに誘導するかは、非常に重要な観点と言えます。

実際に「CMがきっかけでアプリをダウンロードした」というレビューも見られ、同社の狙いは奏功していると言えるでしょう。

しまむらアプリ 評価

 

 

また、同社が2013年10月より開始したLINE公式アカウントでは、「友だち」登録後に配信されるメッセージで、スマートフォン向けの特設ページへのリンクが設置されています。リンク先ページはLINE用に作成され、目立つ位置にApp Store・Google Playへのリンクが設置されており、アプリDLのスムーズな導線が構築されていることが分かります。

しまむらアプリ LINE公式

LINE公式アカウントの高額な費用を考えると、掲載を無期限に続けることは難しいと言え、コストのかからない自社メディアにユーザーを誘導する事は、非常に重要なポイントと言えるでしょう。

テレビCMやLINEでのアプリ告知は一見簡単な事のようですが、他社ではあまり実施されていないように感じます。オウンドメディアの効果が向上することは、ペイドメディアへの出稿量を下げることにも繋がることから、担当代理店などが積極的に提案をすることは考えにくく、企業側が明確な意思を持ってペイドメディアとオウンドメディアの連携を図ったプロモーション計画を立てることが、重要と言えるでしょう。

しまむらアプリの主な機能

しまむらアプリの機能は店舗集客に必要な機能を中心に、オーソドックスかつシンプルな構成となっています。後編でも触れますが、同社はアパレル大手としては非常に珍しくネット通販を一切行っておらず、アプリの目的も店頭の販売チャネルを強化することに絞られているように感じます。

アプリはネイティブ/ウェブ双方で構築された「ハイブリッドアプリ」で、読み込みが遅いとのレビューも見られるものの、スマートフォンサイトと同一のページを使っている箇所は見られず、アプリ専用の画面として作成されているようです。各機能について詳細を確認してみましょう。

(1) ホーム

しまむらアプリ トップ

ホーム画面には新商品やチラシ等のローテーションバナーが表示され、バナーをタップすることで詳細を確認できるようになっています。

また、ヘルプ画面へのリンクが表示され、使い方の案内を見ることができます。

(2)店舗検索

しまむらアプリ 店舗検索

現在地、都道府県、フリーワードで店舗を検索できる機能です。検索結果は一覧表示のみとなってり、地図上で確認することはできないようです。

店舗詳細画面では店舗別のチラシの確認や地図の確認、マップアプリの起動、お気に入り登録等ができるようになっています。

しまむらアプリ 店舗詳細

(3)チラシ

しまむらアプリ チラシ

「チラシ」からは、全国版のチラシを確認することができます。ピンチイン/アウトにより拡大/縮小ができるようになっており、詳細の確認が可能です。

「各店チラシへ」をタップすることで店舗別のチラシを検索することも可能ですが、検索が不要な「お気に入り」の店舗情報から確認をしたほうが便利なようです。

(4)「お気に入り」

しまむらアプリ お気に入り

店舗検索画面で登録したお気に入り店舗を一覧化できる機能です。ワンタッチで店舗詳細やチラシなどを確認することができます。

(5)ブランド

しまむらアプリ ブランド

同社のPBブランドの紹介ページを確認することができます。バナーをタップするとアプリ外ブラウザでスマートフォン用サイトに遷移する仕様となっています。

(6)メディア

しまむらアプリ メディア

PBブランドの雑誌掲載情報に加えて、YoutubeでTVCMやメイキング画像等を確認できる機能です。

Youtube上には30件ほどの動画がアップされており、女性誌の人気モデルなどが出演していることから、多いもので2~3万再生されており、ユーザーとのエンゲージメント醸成に寄与しているようです。

(7)プッシュ通知

しまむらアプリ プッシュ通知

しまむらアプリには「プッシュ通知」機能が実装されており、新しいチラシが掲載された時などに通知が配信されるようです。通知をタップ(スライド)することで該当のチラシを確認できるようになっており、アプリを起動するきっかけを醸成しているようです。

以上がしまむらアプリの主な機能となります。

次回後編では、他社アプリと比較した同社アプリの特徴やその理由、ユーザーからの評価や課題点等について触れさせていただきます。後編もぜひご覧ください。