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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

Pontaタイム公式アプリ(後編):ゲーミフィケーションでPonta陣営の送客を担うO2Oアプリ

 Post by MML編集部

前回の記事では、Pontaタイム(ポンタイム)アプリの主な機能などについて触れました。今回はPontaタイムアプリを使ったプロモーションの事例やその他周辺施策に触れてみたいと思います。

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ポンタイムアプリの目的とキャンペーン施策の位置付け

始めに、Pontaタイムアプリの目的について改めて整理してみましょう。

前編で触れた「起動時ポイント」などの機能は、アプリの利用頻度を上げユーザーを集めるための仕掛けと言えます。しかし、いわゆる純広アドネットワーク広告などのマネタイズ策を取っていない以上、利用頻度を上げること自体が売り上げを生むわけではなく、単にポイントを付与するだけでは逆に、コスト負担が増えるだけになってしまいます。

コスト負担をしてまで利用頻度を上げる理由は、Pontaタイムアプリの主目的が「加盟企業への送客拡大(=ロイヤリティマーケティング社のポイント手数料売上の拡大)」にある為だと推測されます(※)。

前編の最後で触れた同社経営企画本部本部長の藤井美穂氏のコメントなどからもその事は明らかであり、『アプリの利用頻度を上げ、アプリ上で新たなキャンペーン実施を効果的に告知する事により、キャンペーン参加者を増やし、加盟企業の店舗に送客をする』ことこそが、このアプリの存在意義と言えるでしょう。

つまりPontaタイムアプリの目的を一言で言うならば、『アプリに集めたユーザーを、加盟企業に送客すること』であり、その送客の仕掛けが、今回触れる各種キャンペーン施策になると言えるでしょう。

※:その他の目的として、「キャンペーン企画自体の広告収入の獲得」「ポイントによるユーザーの繋ぎとめ・囲い込み」「利用データ収集と販促施策への活用」などがあるものと推測される。

主なキャンペーン・アクションの例

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Pontaタイムアプリ上で提供されているキャンペーンでは、以下などのアクションで「バッジ」を獲得し、全バッジを獲得することでボーナスポイントを貰える流れがベースとなっているようです。

(バッジ・ポイント獲得に繋がるアクションの例)

A.キャンペーン対象企業のサイトへのアクセス

B.キャンペーン対象企業のサイト上に表示される「ボーナスコード」のアプリ上での入力

C.キャンペーン対象企業のサイト上での会員登録やメルマガ登録

D.キャンペーン対象企業の店舗での物品購入

実際に実施中のキャンペーンを見てみましょう。

代表的な獲得系キャンペーン事例:ケンタッキーフライドチキン

上記アクションを伴う代表的なキャンペーン事例として、「ケンタッキーフライドチキン」の事例を取り上げてみたいと思います。

同社はPontaと同じ三菱商事系の企業であり、2010年3月のスタートと同時にPontaに加盟しました。Pontaタイムアプリ上では、Ponta会員向けに「カーネルPontaクラブ」という会員サイトを用意するなど、積極的な連携を図っており、店頭で貯める・使えるPontaポイントをフックに、顧客の獲得・囲い込みを図っているようです。

登録の流れを画面の流れを順を追って見てみましょう。

① まずアプリ上で「カーネルPontaクラブ」をタップすると、獲得できるバッジの一覧が表示されます。

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② 空欄となっているバッジをタップすると、「Pontaタイム特設サイトに行ってこのバッジをゲットしよう」とのガイドが表示され、サイトにアクセスすることでバッジを獲得できます(A.)

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③ 続いて、専用サイトに表示された「ボーナスコード」をアプリのトップから入力することで、次のバッジが貰うことができます。(B.)

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④ 最後のバッジは、「カーネルPontaクラブ」の専用サイト上で、PontaIDを使い会員登録を行い、後日メールで提供されるボーナスコードを入力することで獲得できます。

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⑤ 全てのバッジが揃う事によりボーナスポイントを獲得することができます。

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「バッジ」というライトなフックを元に、「バッジをコンプリートしたい」というユーザーの心理を喚起し最終的な会員登録に繋げる流れは、一般のモバイルサイトに比べユーザーの心理的負担を下げる効果に繋がっているものと推測されます。

登録した会員に対しては、専用サイト上で「10人に1人 使ったポイントまるごとお返しキャンペーン」など、Pontaポイントを活用したキャンペーンが実施されており、ユーザーの囲い込み・購買頻度の向上に活用されているようです。

サービスの特徴について認知を拡大:ウィラートラベル

高速バス大手のWILLERTRAVEL(ウィラートラベル)も、Pontaタイム上でキャンペーンを提供しています。

ウィラートラベルは3列シートや女性専用車、ほぼフルフラットシートのビジネスマン向けの専用車など、これまでの高速バスのイメージと違った快適なシートなどで知られています。

Pontaタイム上では、バッジごとにそれらの特徴の紹介コンテンツやキャンペーン情報ページなどへのリンクが設置されていますが、アクセスをしてもすぐにバッジを獲得できるものは一部に留まります。

大半のバッジは、アプリ起動時などに不定期で表示される「ハッパー」をタップすることで獲得できるようになっており、キャンペーンに参加の意思がない会員にもそれらのアラートが表示される事で、紹介コンテンツに自然に触れてもらう効果を期待しているようです。

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バッジの獲得というゲーム性のある仕組みをきっかけに、自社のサービスのさまざまな特徴をPonta会員に少しずつ認知させて需要喚起を図り、「¥500割引クーポン」のバッジ提供などを通じ、最終的な会員登録や予約に繋げているようです。

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複数のPonta加盟企業での購入を促す:宝くじキャンペーン

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宝くじキャンペーン」は、専用サイトへのエントリーや、期間中にローソンやシェルなど複数の加盟企業で商品の購入を行うことにより、バッジの獲得および「ジャンボ宝くじ5,000枚」などが抽選で当たるキャンペーンです。期間中の商品購入の「社数」により当選確率が変わる仕組みとなっており、2社利用で「抽選で100名にジャンボ宝くじ30枚」3社利用で「抽選で30名にジャンボ宝くじ100枚」にエントリーができるようになっています。

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加盟企業にとって共通ポイントサービスへの主な期待は「ブランドスイッチ」にあると言えるでしょう。ブランドスイッチとは競合ブランドを利用している消費者を自社ブランドにスイッチさせる事を指し、たとえば「(マクドナルドやモスバーガーではなく)Pontaが貯まるケンタッキーに行こう」という利用者を増やすことこそが、強く期待する所ではないでしょうか。

しかしながらユーザーは「どの企業がどのポイントカード陣営に属するか」を十分に認識できているとは言えず、カードを持っていながら会計の後に気付き「カード使うんだった、、」という経験は誰もがしている事ではないでしょうか。

宝くじキャンペーンでは加盟企業を一覧化し「購買回数」ではなく「購買社数」を応募条件とする事によって、(購買頻度の高いコンビニなどだけでなく)「ルートインホテル」や「ピザハット」など購買頻度が低い業態をも巻き込みながら、加盟企業全体の購買機会を底上げする仕掛けと言えるでしょう。

イメージキャラクター「ポンタ」の有効活用

Pontaのキャンペーン等から見える特徴の一つとして、イメージキャラクターの「ポンタ」が活用されている点が挙げられます。

ウィラートラベルの事例では、同社のバスやユニフォームとポンタが一緒にデザインされたかわいいデザインのバッジなどが、利用者の「バッジを貯める」モチベーションに少なからず影響を与えているものと思われます。

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イメージキャラクターの採用はTポイント楽天スーパーポイントなどには見られない特徴で、Pontaタイムのような娯楽性の高いコンテンツとは特に親和性が高く、企画・表現のバラエティを拡げる効果にも繋がっているように感じられます。

また、12月にはローソンのキャラクターとして高い人気を誇る「あきこちゃん」とコラボした「LINEスタンプ」なども配布されました。ケンタッキーの「カーネルおじさん」とのコラボなど、人気のキャラクター同士をコラボさせることで、ユーザーにより親近感を与えサービスへのロイヤリティを高める効果を果たしている点は、隠れたポイントと言えるのではないでしょうか。

ウェブサイトキャンペーン:ユーザー参加型の「Ponta紅白戦」

Pontaのウェブサイト上でも、興味深いキャンペーン企画が実施されています。

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2013年7月に行われた「紅白戦キャンペーン」では、Ponta会員をエントリー時点で自動的に赤組と白組に分け、各組に属した会員の取得ポイント等に応じて、特設サイト上の「ポンタ」を1ポイント1mずつ進ませて、先にゴール(勝利)した組の会員でポイントを山分けするという仕掛けが提供されました。

サイト上では途中経過がリアルタイム更新されるなど、ユーザーの参加意識を高める仕組みが盛り込まれており、多くの参加者を獲得したようです。

両チームの最終結果は約800万メートルとなっており、1メートル=1ポイントというルールを適用すると、エントリーがあたユーザーが期間中に貯めたポイントは1,600万、一般的な付与レートである「100円あたり1ポイント」で仮に試算すると、約16億円の消費がなされた事になります。キャンペーンをフックとした消費がどの程度発生したかは分かりかねますが、それだけ多くのエントリーがあったという点は、十分すぎる成果と言えるでしょう。

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同種のスキームは同じく7月下旬から実施された「毎週バトル!! お笑い! Ponta紅白戦」などでも話題を集めており、定番化しているようです。

紅白戦キャンペーンはPontaタイムアプリと同様「ゲーミフィケーション」の概念を活かし実際の利用促進に繋げる、完成度の高いキャンペーン事例と言え、単にポイント提供に留まらない同社の「送客力」を表したものと言えそうです。

なお前回開催にあたってはPC向けのサイトのみが用意されたようですが、スマートフォンへの最適化・アプリ内ブラウザでの提供に対応させる事ができれば、より多くの応募を獲得することが出来るのではないでしょうか。

まとめ:共通ポイントの可能性を拡げる意欲的なチャレンジ

Pontaタイムアプリは一般消費者に「おトクなポイント獲得アプリ」として認知を拡げており、AppStoreの「ライフスタイル」カテゴリでも企業系アプリとして比較的高い60位前後のランクをキープするなど、多くのユーザーに支持されている事が分かります。

その理由は単にポイントのおトク感だけでなく、「バッジ」や「チェックイン」などゲーミフィケーション型の仕組みを取り入れ、「ポイント獲得の過程を楽しませる仕掛け」を提供している点にあると思われます。

これらの仕掛けは企業側から見ても魅力的なものであり、一般的な購買・エントリーによるボーナスポイントの獲得と比較し、単なる「一時的なおトク感の提供」を超え「ブランドに対するロイヤリティや認知を高める課程」を提供できる仕掛けとして、共通ポイントサービスに新たな付加価値をもたらしたものと言えるでしょう。

また、前編でも取り上げた通り、「Pontaタイムアプリの利用有無により、優良顧客になった人の割合が22.4倍も違っていた」といった高い実績も確認されており、加盟企業の売上に与えるインパクトも大きなものになりつつあるようです。

ゲーム性を取り入れたO2Oアプリは様々な企業がチャレンジしながら、まだまだ成功例が少ない分野と言えますが、そのようなジャンルで(アプリ・ネット系企業とは別の)ポイントサービスの運営元企業が成功を収めた事は特筆に値すると言え、非常にチャレンジングな取り組みであったと言えるでしょう。

Pontaが共通ポイントサービスとして後発組ながら、短期間で国内トップクラスのユーザー・加盟企業数を獲得できた背景には、三菱商事という強力な後ろ盾の信頼性・ネットワークだけでなく、「Pontaタイムアプリ」に代表されるある種「エッジの効いた企画」を実行に移せる、同社の意欲的なチャレンジ精神があったと言えるのではないでしょうか。

O2Oアプリの成功例の一つとして、今後も同社のチャレンジを注視したいと思います。