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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

Pontaタイム公式アプリ(前編):ゲーミフィケーションでPonta陣営の送客を担うO2Oアプリ

 Post by MML編集部

今回は三菱商事子会社ロイヤリティマーケティング社が提供する共通ポイントサービス「Ponta」の公式アプリ「Pontaタイム(ポンタイム)」について、前後篇の2回に分けて取り上げたいと思います。

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「PONTA」:スタートから4年弱で6,000万の会員を獲得した共通ポイントサービス

「Ponta」は、今からおよそ4年前の2010年3月に、三菱商事系のコンビニ大手「ローソン」が2006年から展開していた「ローソンポイント」をベースに開始された、共通ポイントサービスです(ローソンアプリの分析記事はこちら)。名称の由来は「ポイントターミナル」で、イメージキャラクターとしてたぬきの「ポンタ」が採用されています。

ローソンはもともと2003年から、国内の共通ポイントサービスの走りである「Tポイント」に加盟していましたが、2007年に独自のポイントサービス(ローソンポイント)を開始・Tポイントとの提携を解消し、2010年に「ローソンポイント」をベースに共通ポイントサービス「Ponta」を開始するなど、国内ポイントサービス市場の中で当初から存在感を示してきました。前後に発生した動きを簡単にまとめてみましょう。

(ローソン・Pontaをめぐる動き)

2003年10月 Tポイントが共通ポイントサービスを開始 ローソン(コンビニ業界初)、

エネオスの加盟2企業でスタート

2006年1月 ローソン独自のポイントサービス「マイローソンポイント」開始

2007年3月 ローソンがTポイントとの提携を解消

2007年4月 セブン&アイホールディングスがnanacoを導入

2007年11月 ファミリーマートがTポイントと提携開始

2008年12月 ロイヤリティマーケティング社設立

2010年3月 ロイヤリティマーケティング社が、ローソンポイントを共通ポイント化し「Ponta」を開始。

ビデオレンタルチェーン「GEO」の会員資産を統合し計2,000万会員でスタート

スタートから豊富な会員資産をベースに開始し、以降同じく三菱商事系のケンタッキーフライドチキンが加わるなど提携企業を急速に拡大した結果、2014年1月にはサービス開始から3年10ヵ月で、会員数6,000万人、提携企業数70社を超える規模に拡大しています。

Tポイントの会員数は昨年9月時点で会員数4,677万人、提携社数104社61,189店舗との発表をしています。両者の会員数は計測基準が違っており(Pontaは複数のカードを所有する会員を名寄せしていない)、一概に比較することはできませんが、4年弱で国内トップクラスのポイントサービスに拡大したことは驚異的なスピードと言えるでしょう。

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競合他社が入り乱れる中、ネット分野などにも経済圏を拡大

共通ポイント業界では2012年にTポイントがヤフージャパンと資本・業務提携を行い両社のID/ポイントを統合したほか、2013年3月にはEC大手の楽天が「楽天スーパーポイント」の共通ポイント化を開始するなど、ネット/リアルや業種の垣根を超えた熾烈な競争が繰り広げられています

Pontaでもそれらの流れを受け、新たなサービスコンセプトとして「『B2O2O(Broadcast to Online to Offline)』」を掲げ、リアルの店舗だけでなくウェブサービス・TV番組などとの連携を開始しています。

Tポイント陣営のヤフージャパンとローソンが共同で展開する日用品宅配サービス「スマートキッチン」で、競合にあたるPontaのポイント付与に対応した事は、「禁じ手」として話題になりました。

共通ポイントサービスのビジネスモデルの根幹は、提携社数・利用店舗数をいかに増やすかにかかっていると言えるでしょう。利用できる店舗が増えれば増えるほど『ポイントの通貨圏』が拡大して現金に近い価値を持つようになり、利用者の利便性が上がり、そのポイントを使った消費が活発化する為です。

ロイヤリティマーケティング社では提携余地が限られるリアルの大手チェーンストアだけでなく、スマートキッチンを始めとする各種ウェブサービスとの提携や、クレジットカード決済代行事業を通じた中小ECサイト向けのPonta利用の開放などを通じ、ネット上でも加盟企業数を増やす事により、同分野で先行するTポイント×ヤフージャパンや楽天などの追い上げを図っているものと思われます。

Pontaタイム(ポンタイム)アプリ‐「ゲーミフィケーション」で顧客の囲い込みを図るポイント獲得アプリ

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Pontaタイム2013年8月に公開された、「バッジ」を集める事でPontaのポイントを獲得できる「ゲーミフィケーション」型のO2Oアプリです。

ゲーミフィケーション」は簡単に言うと「ゲームのメカニズムを応用し利用促進を図る仕掛け」の事です。様々な応用分野がありますが、O2Oの分野では「Foursquare」等が代表的な事例として知られています。

企業との提携により、店舗でのチェックイン操作等によりクーポンポイントが獲得できる仕組みなどが多数のサービスで提供されており、お店に足を運ばせるきっかけを作る手法の一つとして広く普及しています。

Pontaタイム(ポンタイム)もそれらの概念を盛り込んだアプリと言えますが、獲得できるポイントが「実際に利用できる」Pontaポイントである点や、Pontaカードのメインアプリとして、実店舗での利用履歴などと連携が図られている点が特徴的と言えるでしょう。

実際の画面/機能を確認してみましょう。

初回起動時の丁寧なチュートリアル

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アプリをダウンロードし起動すると、使い方の簡単なチュートリアルが表示されます。

ソーシャルゲームの起動画面などと同じように、「ここを押すことでポイントが貰える」「次にこれを押すと○○ができる」といったガイダンスを通し、ユーザーが内容をスムーズに理解できるよう工夫されているようです。

 

これらのガイダンスを経たユーザは自発的に各コーナーを参照し、その結果自らが知ることを積み重ねて行くため、知らず知らずのうちに様々なコーナーを確認し、ゲームのようにアプリ機能を楽しんでいくこととなるのでしょう。

毎日の起動など、アプリ内のさまざまなアクションでアイテム・バッジ・ポイントを付与

Pontaアプリでは、アプリ内に不定期に表れる「ハッパー(タヌキのキャラクターにかけた、葉っぱを模したアイテム)」をタップすることや、さまざまな操作に応じて貯まる「バッジ」を集める事により、「Pontaポイント」が獲得できる仕掛けが取り入れられています。 主なアクションとして以下などがあります。

① 初回起動時のポイント付与

アプリをダウンロードし初回起動すると、ボーナスポイントが獲得できます。

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② 起動でのポイント付与

アプリ起動により1日に1回ポイントがもらえる仕掛けです。起動と同時に「ハッパー」が舞い落ち、タップする事により、日によって異なる1~10程度のポイントが獲得できます。同種の演出はソーシャルゲームによく見られるもので、利用頻度を上げる仕組みとして活用されているようです。

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③Pontaカードの登録

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PontaタイムではPontaカードのIDを登録しない状態でもポイントを貯める事ができますが、ポイントを実際に利用する為には、アプリ上にPontaカードのIDを使いログイン操作を行うことで、Pontaカードと獲得ポイントを紐付けする必要があります。

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「ログインしないと使えない」クーポンアプリ等も見られる中、「会員登録なしで気軽に始められる」「貯まったポイントを利用する時には登録が必要」という2段階でのプロセスは、ユーザーの心理的な負担を軽減し、サービスの離脱率を下げる効果が期待できるでしょう。

 

チェックイン機能

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キャンペーン中の提携企業の店舗でチェックイン操作(レジ横のQRコードのスキャン)をすることで、ボーナスポイントがもらえる機能です。画面上には最寄りの提携企業の店舗が表示され、お店に足を運ぶきっかけを作る仕掛けとして活用されています。

店舗詳細画面には地図と連動した誘導機能などは含まれていないようですが、対応することにより、送客率を改善する効果が期待できるでしょう。

>画像:PONTA3.jpg

「友だち」友達を活用したバッジコンプリート

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「友だち」には、アプリユーザが友達を誘い、友達が会員登録や同じミッションをクリアしたり協力しあうことで、より多くのポイントを一緒に獲得できる仕掛けも備わっています。これもソーシャルゲーム等で良く使われる手法であり、会員獲得や利用率向上に大きく寄与しているものと思われます。

お買い物メモ

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Pontaを提示した店舗での利用履歴をタップすることで、「ハッパー」を獲得することができる機能です。

Pontaは加盟店のPOSレジと連携しており、Pontaカードの提示を行う全ての購買データが運営元のロイヤリティマーケティング社に送信されています。Pontaのウェブサイトでは獲得ポイント数などの詳細を確認することができますが、こちらのお買い物メモ機能では「店舗名」と「貯めた回数」のみに情報が絞られており、ゲーム性を棄損しないシンプルなUIになっているようです。

「お買い物メモ」を見ていると、普段何気なく利用しているポイントカードが、購買履歴の収集手段として活用されている事に改めて気付かされます。これらのデータはユーザー個々の単なる購買履歴に留まらず、ビッグデータとして提携社間のポイントの流通状況やユーザー属性ごとの購買パターンなどさまざまな分析にも使われ、より効果的なサービス運営や販促提案に活かされていくことでしょう。

前編まとめ:共通ポイント×ゲーミフィケーションのタッグで高い効果を実現するモデルケース

昨年11月の日経デジタルマーケティングの記事によると、「Pontaタイムアプリの利用有無により、優良顧客になった人の割合が22.4倍も違っていた」との結果が示されており、Pontaタイムの効果が非常に高く出ていることが分かります。

「Pontaタイム」の画面は「Foursquare」などを模倣した部分も多く、仕組み自体は特筆すべきものではないかもしれません。しかしながら、このサービスを共通ポイントの運営企業自体が企画・提供し、数多くの加盟店で実際に利用できるPontaポイントがアプリ上で獲得できる点は、利用者のモチベーションや販促の実効性に大きな意味を持つと言えるでしょう。

また、同社経営企画本部本部長の藤井美穂氏は、上記の記事で「消費者とあらゆる面で接点を作り、Ponta導入企業の店頭に連れていく。ポンタイムは、そうした当社の役目を示す成功例だ」とコメントしています。

これまで共通ポイントを活用したプロモーションとしては、「○○でポイント2倍」といった、店舗側でのポイント付与率を調整するものが多かったように感じます。その情報をいかに伝えるかという点で、旧来のメルマガ等だけでは不十分な面が出てきていたのではないでしょうか。

Pontaタイムは、起動ごとにもらえるポイント等の仕掛けによりユーザーと日常的に接点を作ることによって、キャンペーンの実施情報などを効果的に伝えつつ、チェックイン機能等により実際の送客を含めたサポートを行うことを可能にしたと言えます。

オンラインからオフラインまでをカバーすることにより、取得できる情報も増え、ビッグデータの観点からも、より精度の高いマーケティングが可能になっていくのではないでしょうか。

木曜日の更新では、アプリを活用したキャンペーンの事例を中心にお届けします。ぜひ、ご覧くださいませ。