menu
menu
menu
menu
ModuleApps

オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

MUJIパスポートアプリの高度なオムニチャネル戦略とは!?

 Post by MML編集部

過去最高益の更新を続ける良品計画のスマートフォンアプリ戦略とは!?

MUJIパスポートアプリ トップ画面

「無印良品」を展開する良品計画は2012年に過去最高の1,880億円の売上を上げたほか、直近の2013年3~8月期も過去最高益を更新するなど、好調な業績で推移しています。先進的なマーケティング戦略でも知られる同社は、様々な講演やメディアの場などでも取り上げられることが多いようです。そんな同社の成功の秘密を、今回は『スマートフォンアプリを通じたO2O戦略』の目線から、同分野を担う『MUJIpassport』を対象に探ってみたいと思います。

スマートフォンアプリへの取り組み

同社では以下の表に示す通り、目的に応じ複数のスマートフォンアプリを展開しています(以下)。

mujiapp これまでも、主にブランディング目的と思われる「MUJINOTE」や「MUJItoGO」等が公開されてきましたが、リアル店舗でのO2O集客を目的とした『MUJIpassport』アプリの公開は2013年4月と、意外な事にシリーズの中で最も遅いようです。十分な準備を重ね、満を持してリリースしたアプリと言えるでしょう。

『MUJIpassport』アプリとは?

「MUJIpassport」アプリは、店頭からECサイト等まで複数の販売チャネルを1つに統合したポイントサービス(MUJIpassport)を中核とするアプリです。他にも「チェックインでのポイント提供」や「最寄り店舗の検索」「店舗の在庫検索」など、リアルの店舗への集客を強く意識したアプリである事が読み取れます。早速、代表的な機能とポイントをチェックしてみましょう。

MUJIpassport-全てのマイル獲得手段を一つの画面にまとめ、エンゲージメントを強化

「MUJI passport」では、以下のシーンで「MUJIマイル」を貯める事ができます。

  • 店頭での商品購入
  • ネットショップでの商品購入
  • 店舗への来店・チェックイン(1回のチェックインで10マイル)
  • 商品への口コミ投稿(1回に1マイル)

上記で貯まったマイル数に応じてプレゼントされる「MUJIショッピングポイント」を使い、実際の商品の購入が出来るという、二段階のポイント制となっています。ポイント戦略の詳細分析については他に譲りますが、特に特長的なのは、(直接ショッピングに利用できない)「マイル」という仕組みをあえて設ける事により、幅広いシーンでのマイル獲得手段を提供しているという点ではないでしょうか。

以下のインタビューにおいて、無印良品のWEB事業部部長の奥谷孝司氏が『「圧倒的な商品力をもってシェアを奪うのではなく、 「顧客時間」、つまりは「お客さんの日常の時間」というものに入り込めないかと考えています。」』とのコメントをされています。

お客様と時間を共有する、無印良品に学ぶこれからのソーシャルマーケティング

「MUJIマイル」の仕組みについても、多様なマイル獲得手段により顧客との接点を増やし、顧客時間に入り込み、エンゲージメントを高めようとする同社の取り組みに合致しているように思えます。

他の企業では、店頭のポイントカードとECサイトのポイントが別になっているケースや、既存のポイントとは全く別の外部のポイントサービスに加盟してしまうなど、顧客の興味を分散させてしまっているケースが多いようですが、無印良品では、それらを「MUJIpassport」というアプリに一元化し、ブランドとユーザーのインターフェースを一つに統合する事によって、『気になる商品についての検索』『友達への共有』『実来店』『購入』などの各段階で、より効果的にエンゲージメントを高める役目を果たしています。

常にユーザーの手元にあるスマートフォンのアプリを中核とした顧客との接点拡大の視点は、スマートフォンを活用した販促の重要なポイントの一つと言えるでしょう。

最寄り店舗の在庫が事前に確認できる!先進の「SHOPPING GUIDE」機能

MUJIパスポート SHOPPING GUIDE

お店で購入しようとした商品が品切れで、お店のスタッフに在庫を調べてもらった経験は、誰しも持っているのではないでしょうか。時間をかけて調べてもらった結果「欠品」という答えが返ってきて、余計にがっかりしたという声も少なくないでしょう。避けられない事ではありますが、店舗と顧客の双方にとって、時間と印象の面でロスが大きいと言えます。

MUJIpassportの「SHOPPINGGUIDE」では、特定の商品が最寄りのお店に在庫があるかどうか、地図上でワンタッチで確認する事が可能です。

これにより、顧客は事前に欲しい商品の在庫があるかを確認し、在庫がある最も近くの店舗を選んでお店に行く事ができるようになります。在庫確認等の手間を省いて集客数を上げる事ができる、顧客だけでなくお店にとっても、大変メリットの大きい仕組みといえます。

小売店において商品の在庫情報は通常、バックエンドの専用システムのみで管理されている場合が多いと思います。それをユーザーに見える状態にするのには、システム上もポリシー上も、かなりの努力が必要だったと推測されます。実際に上記のインタビューでも、『?弊社のECサイトでは店舗や在庫に関する情報を詳しく公開しています。 こういった取り組みは、ECサイトを始めたときからなるべく早く行ってきました。』とのコメントがあり、それら早くからの取り組みが、今回のアプリでの「地図上で最寄り店の在庫がわかる」という理想的かつ先進的なUIに結実したと言えるのではないでしょうか。

なお、SHOPPINGGUIDE機能の初期画面は「おすすめ商品」の表示となっており、季節に合わせたおすすめ商品などが紹介されています。もちろん、最寄り店舗の在庫検索もワンタッチで可能です。店舗の売上を上げる為のプロモーションの仕組みを風上から風下まで一つの画面で担うこの機能は、O2Oの理想形の一つと言えるでしょう。

MUJIパスポート SHOPPING GUIDE2

実際に使ってみると、店舗の在庫情報をアプリ上で検索する機能は、アパレルや生活雑貨等の小売業のO2Oアプリにおいて、将来的にスタンダードな機能になるのではないかと感じます。

MUJIPassportIDの作成や商品紹介にSNSアカウントを活用

無印良品は早くからソーシャルメディアに注力しているブランドとしても知られており、facebookの「いいね!」数は国内の企業/ブランドの中で20位と上位に位置しているほか、「myMUJI」という各ソーシャルサイトでの商品紹介の口コミにマイルを与える横断検索できるサイトなどを運営しています。

最近の企業のスマートフォンアプリでは、TwitterやFacebookなどのSNSと連携しているものも多いですが、「MUJI passport」における連携はもう一歩踏み込んだものになっています。

(1)アカウント作成にSNSアカウントを活用することで、登録率を向上

まず「MUJI passport」のアカウントを作成する際には、ユーザーが既に登録しているfacebookやTwitterのIDを使ってアカウント作成が出来るようになっています。メールアドレスや氏名など基本的な情報を入力する手間を省く事により、会員登録におけるユーザー負担を減らす事で、会員登録率の向上を図っているものと思われます。

(2)作成に使ったSNSアカウントは「myMUJI」ともシームレスに連携される

「MUJIpassport」のアカウントをユーザーのSNSのIDで作る事により、アプリ上から「myMUJI」のサイトにアクセスした際、ワンタッチでmyMUJIへの登録ができるようになっています。これにより、SNS上での商品紹介に応じた「マイル」の獲得など、次のステップへの移行をシームレスに実現しています。

(3)異なるSNSでの獲得マイルを一つに連携する機能も

一人のユーザーがFacebookやTwitter、mixiなど、異なるSNSを使い商品紹介を行った場合も、獲得したマイルは1つに合算され、マイルを貯めやすい仕組みになっています。

一般の企業でのfacebook活用はまだまだ「facebookページのいいね!数をどう増やすか」に等に重点が置かれがちですが、本来の目的は「いいね!」の数ではなく、「いかにユーザーにブランドに関する話題をシェアしてもらうか」にかかっている筈です。

無印良品はポイントカードの「MUJIpassport」とソーシャルアカウントを共通化し、口コミに対してインセンティブを提供する「myMUJI」の仕組みを提供する事によって、ユーザーが口コミをしたいと思わせる状態をシームレスかつスムーズに作りだしていると言えます。スマートフォンアプリとソーシャルの相性は高く、今回の施策により、アプリを起点としたシェア数も上昇しているのではないかと思われます。

まとめ:長年の先進的なマーケティング・システム戦略に裏打ちされた、O2Oアプリの理想形

MUJIPassportは、単なる“ポイントカードのアプリ化”のアプリケーションとは違い、「MUJIPassport」を通じたポイント機能~チェックイン機能・口コミ機能などの一元化、顧客の利便性を追求した在庫検索機能、ソーシャルアカウントの効果的な活用など、通常のO2Oアプリケーションの数歩先を行く先進的な機能が目立ちました。

また、それらの機能の背景には、「ECサイトでの在庫状況表示」「MUJIマイル」「myMUJI」など、長年の先進的なマーケティング施策・システム投資に裏打ちされた、周到な準備があったと言えます。

バックエンドの仕組みがそこまで整備されていない企業で、一足飛びにこれらの機能を実装しようとする事は困難が大きいでしょう。しかし、既にO2Oアプリの理想形を形にしている同社のアプリは、スマートフォンアプリを通じて『将来的にどのようなユーザー体験を提供できるか』という将来像を明確化するモデルケースとして、非常に参考になる事例といえます。

「MUJIpassportのようなアプリを新たに作りたい」といったニーズをお持ちの方は、これらのアプリを参考に、「まずは店舗検索で」「2次改修でチェックインポイントの機能を」「最終的には在庫検索機能を」といった形で、数回の開発フェーズに分けてシステムに取り入れていく長期計画を立てるとよいでしょう。

実際のアプリをベースにイメージする事が出来れば、社内で関係者を巻き込む際にも、より話を進めやすくなるのではないでしょうか。

ぜひ手元のスマートフォンに『MUJI passport』アプリをダウンロードし、体験してみてください。