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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

モスバーガー公式アプリ(後編): ロイヤルカスタマー化を意識したファン増強アプリ

 Post by MML編集部

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前編では、モスバーガーアプリに隠された「ロイヤルカスタマー化戦略」を、アプリの機能と共に解説していきました。

モスバーガーアプリの利用者は、アプリを通じ同社のブランドイメージである「素材や味へのこだわり」や手描き看板を模したトップ画面に代表される「フレンドリーな接客姿勢」などに触れ、Wi-Fiや電源提供などまで検索できる便利な店舗検索機能などを通じ実際の来客機会を作り、店舗での体験を繰り返すことにより、ブランドの熱狂的なファン・ロイヤルカスタマーに育っていくのでしょう。

後編では、同社の集客の仕掛けやプロモーションについて、モスバーガーアプリとの連携も含め、探ってみたいと思います。

モスバーガーモバイル-アプリとの連携により各種機能を提供

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モスバーガーでは、スマートフォン・フィーチャーフォン向けの会員サイト「モスバーガーモバイル」を提供しており、アプリ上でクーポン機能等を利用する際には、同サイト上での会員登録・初回ログイン操作が必要となっています。

マイ店舗登録‐店舗別のメルマガ配信等で”ストアロイヤリティ”を強固に

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会員向けに提供されている集客の仕掛けの一つに、「マイ店舗登録」機能があります。この機能は、よく行くお店を最大20店舗まで登録できるもので、登録した店舗から個別のメルマガが届く仕組みになっています。

継続的なコミュニケーションをするために「利用頻度の高い店舗」をあらかじめ選択させ、選択した店舗からのみ情報受信をすることにより濃密なコミュニケーションを続け、ブランドスイッチを起こさない仕組みを整えています。

店舗のメルマガには、新商品などの情報はもちろん、地域性の高いトピックス(地元の原材料の利用・地元のお祭りやイベントに対応した独自メニューなど)など、店舗ごとにユニークな内容が含まれており、各店舗が独自に運営していることがわかります。

TSUTAYAアプリの回でも触れた通り、各店舗で独自のメルマガ発信を行っているチェーンはさほど多くありません。店舗側でコンテンツを作成する手間の大きさや、トレーニングコストがかかること、不適切な内容が配信されてしまうリスクなどがネックになり、運営の効率性を意識するファーストフードチェーンでは特に導入障壁の高い施策と言えるでしょう。

モスバーガーでは以前より、店頭の手描き看板などを通じ、各店舗での情報発信や、スタッフの名前を前面に出したコミュニケーションが文化として根付いており、メルマガの配信にもそれらのノウハウが生かされているものと推測されます。

またこの取り組みは、「スローフード」「ハンバーガーレストラン」などを標榜し、ロイヤルカスタマーを大切にする同社の戦略に合致しています。その運営の丁寧さや独自性から利用者はますます、モスバーガーというブランドのみならず、その店舗に対する”ストア・ロイヤリティ”をも高めていくのではないでしょうか。

モスカード‐ボーナスポイント付きプリペイドカード

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モスバーガーでは2012年4月に、繰り返しチャージ(入金)して使えるプリペイドカード「モスカード」の提供を開始し、昨年9月時点で累計50万のユーザーに利用されています。

リチャージ式のプリペイドカードは、スターバックスなど複数のチェーンでも導入されていますが、モスカードは単にチャージされた分の金額を注文できるだけではなく、チャージ金額に応じた「ボーナスポイント」が貯まる点も特徴です。

ボーナスポイントの仕組みは他にSUBWAY上島珈琲店でも導入されていますが、全体で見るとまだ少数派と言えるのではないでしょうか。ここでもやはり、来店頻度の高いロイヤルカスタマーを大切にする姿勢が表れていると言えます。

モスカードとモバイル会員の連携-積極的な連携促進の意図は「顧客データの分析」に

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同社では2013年9月より、モスカードとモバイル会員の連携を開始し、モバイルサイト上での残高確認などに対応しました。もともとポイント利用時にはレシート上に残高が表示されるようになっていましたが、モバイルサイトにも対応させ利便性を向上させることにより、モバイルサイトへの会員登録の促進や、サイトへのアクセス機会を増やす効果が期待できます。

また、モスカードをモバイルサイトに登録しておくと、毎月1,000名に500円分のポイントがあたるキャンペーンに自動でエントリーされる仕組みになっています(2014年3月まで)。積極的な連携促進の意図はどこにあるのでしょうか。

連携に関するプレスリリースを確認すると、「今回の連携により、「モスカード」の利用履歴と「モスバーガー モバイル」会員の情報を合わせ、お客さまのニーズを把握することで、一人ひとりに合わせたサービスの提供につなげます。」との表記があり、連携の主目的が顧客データの分析によるマーケティング精度の向上にあることが分かります。

モスカードは登録手続きが不要な一種の金券であり、利用者の個人情報を確認することはできません。しかしながら今回の「モバイルサイト上で、ログインした状態でのみ残高確認が可能」となったことにより、「どの会員がどのカードを使って購買をしているか」を把握することが可能になったのです。

「ロイヤルカスタマー化」視点での考察

同社がモスカードを「単なるポイントカード」ではなく、「プリペイドカード+ポイントカード」として導入したことにも、「ロイヤルカスタマー化」という観点が含まれているように感じます。

ポイントカードは、ポイントの付与と消費のバランスが戦略の要となります。特にTポイントなどの共通ポイントと違い自社チェーンのみで使えるポイントカードの場合は、ポイントの価値をユーザーが理解しそのカードを常時携帯する状態を作り、次回の消費に繋げてもらえない限り、売上増に繋がりません。紛失や非携帯によりポイントの利用機会を逸したり、有効期限切れ等でポイントが失効してしまうと、かえってブランドイメージの棄損にも繋がってしまいます。

モスカードはプリペイド機能とポイント機能が一体化されており、予め一定のお金をチャージしているため、「(モスカードにおける)現金代わり」として財布に入れ持ち運ぼうとするインセンティブが働きます。

それにより、氾濫するポイントカードと差別化し常時携帯をさせることにより、顧客によりブランドロイヤリティを高めさせる効果に繋がっているのではないでしょうか。

オンラインギフト機能の「MOSポチっとギフト」

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モスカードのサイトには「ギフトとして送る」用途も提案されていますが、もう一つのサービスである「MOSポチっとギフト」もおもしろい仕掛けです。

これは、モバイル会員が非会員に向けて、モスのほぼ全ての商品の中から1つを選んで購入し、メールで商品バーコードを送信することにより、受け取った非会員が店頭で商品に交換できる仕組みです。システムはソフトバンクギフトを採用し、携帯キャリアを問わず申込・購入・ギフト送付・交換ができる仕掛けを実現しています。

国内におけるオンラインギフト市場は数年前からいくつかの仕組みが登場しているものの、なかなか爆発的なヒットには至っていません。その裏側にはプチギフトの市場がいまだ未成熟であること、クーポンを他人からもらって店頭で引き換えるという文化もできあがっていないことがあげられます。

しかしながら、「MOSポチっとギフト」は単品プレゼントが前提となっているため、店頭交換時に「ハンバーガーはギフトで、ドリンクは現金で購入する」といった新しいマネタイズの機会をうみだす事となり、新たな送客支援ツールとして徐々に拡がっていくものと思われます。

まとめ:ロイヤルカスタマー化を目的に一貫した集客施策 アプリとの連携によりさらなる効果拡大も

前編でも触れた通り、モスフードサービスはスマホアプリ・サイトを通して、商品力を始めとする独自のブランドイメージを最大の提供価値と捉え、店舗と顧客をつなぐことを第一義においたコミュニケーションを通し、利用者のロイヤルカスタマー化を意識しているように感じられます。

集客の仕掛けを見ても、それらの戦略との一貫性が感じられます。ストアロイヤリティを高める店舗別の丁寧なメールマガジンの発行や、携帯されやすいプリペイド/ポイントカードの提供、ボーナスポイントなどのインセンティブを充実させたモスカードの取り組み、モスカードとモバイル会員との連携を通じた顧客ニーズのさらなる追求などは、どれも「ロイヤルカスタマー化」につながる施策と言えるでしょう。

マクドナルドとの比較から「差別化戦略」と評価されることの多いモスフードサービスですが、単に競合企業との差別化を意識するのではなく、顧客と正面から向き合いロイヤルカスタマー化を図る姿勢が、結果としてモスバーガーというブランドを際立たせ、顧客がファンとして継続的に来店する状態を作りだしているのではないかと感じられます。

なお現在のところ、今回取り上げた各集客施策と「モスバーガーアプリ」との連携は、不十分なように感じられます。より効果を上げるためにはアプリ上で、

・店舗別メールマガジンのプッシュ通知形式での提供(TSUTAYAの例)

・アプリ画面上でのモスカード残高照会ボタンの追加

・(外部ブラウザの立ち上げを必要としない)アプリ内ブラウザでの残高照会機能の追加

などを通じアプリの起動回数を上げる事によって、ユーザーとのタッチポイントを増やし、ロイヤルカスタマー化を加速させることができるのではないでしょうか。

同アプリの今後の動向に期待したいと存じます。