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オムニチャネル戦略やO2O事例を読み解く専門メディアモバイルマーケティング研究所

LAWSONアプリ:積極的なマーケティング施策とビッグデータ戦略を支える多機能O2Oアプリ

 Post by MML編集部

国内4大コンビニチェーンで唯一の公式スマートフォンアプリ

lawson_app

コンビニ業界は様々なWebマーケティング手法がしのぎを削る、O2O(オンラインtoオフライン)の最先端の現場と言えます。しかしながら、実はセブンイレブン・ローソン・ファミリーマート・サークルKサンクスの国内4大チェーンの中で、公式のブランドアプリを公開しているのはローソン1社のみ(2013年9月時点)と、他の小売業に比べアプリの提供事業者が少ないのが現状です。独自の進化を遂げた店頭での各種マーケティング施策に合致するよう、各社とも慎重に準備を進めている段階と推測されます。

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そんな中、ローソンでは2012年6月にいち早くローソン公式スマートフォンアプリを公開し、多くのユーザーに支持されてきました。RainbowappsAppStore年間トップチャート(2013年)によると、企業ブランドのアプリが多く掲載されている「ライフスタイル」のカテゴリーで18位となっており、店舗を有するチェーンに限ってはGUに次ぐ2位と、大変多くのユーザーに支持されているようです。

今回も、スマートフォンアプリを通じたローソンのマーケティング戦略について、紐解いていきましょう。

マーケティング分野における意欲的な取り組み

ご存知の方も多いかと思いますが、ローソンはネットマーケティングの分野において、数多くの先進的な取り組みを行ってきた事で有名です。ここ1-2年でも「ローソンクルーあきこちゃん」を通じた27もの公式SNSアカウントの運営や、「LINE公式アカウント」へのいち早い取り組み、プログラマーがローソンのデータを活用し独自のサービス開発を競う「HackaLawson 2013」(ハッカソンイベント)の開催などが話題となってきました。(※詳細については、同社のWEB戦略のキーマンである白井明子氏の講演記事等をご覧ください)

スマートフォンアプリに関する取り組みについても、他の取り組みと同様に、意欲的な機能が多数備わっています。

Pontaカードの活用をベースに、多数の機能が詰まった多機能アプリ

ローソンアプリの主な機能は、以下の通りです(GooglePlayの説明文より)。
一般のユーザーも利用が可能ですが、共通カードサービス「Ponta」のIDを使いログインをする事により、全ての機能が利用できるようになっています。?

  • Ponta会員なら、”毎月”もらえるおトクな「クーポン」
  • Ponta会員なら、ローソン店内で無料インターネット接続や動画・音楽等の限定コンテンツが利用できる「LAWSON Wi-Fi」
  • 1日1回チャレンジできるPontaポイントがもらえるゲーム
  • Pontaカードをお持ちの方がスマートフォンにPontaカードをダウンロードし、ローソンのレジやLoppiで利用できる「ローソンモバイルPonta」

 

*おサイフケータイ対応端末限定。対象機種は以下よりご確認ください。
http://www.lawson.co.jp/ponta/static/mobile-ponta/support.html#smt

  • 地図とGPSにより現在地から最寄のお店を探せる店舗検索
  • 最新の新商品やキャンペーン情報
  • ニュース

※「ローソンモバイルPonta」はおサイフケータイ対応のAndroid機種のみで利用可。

特長的な機能について見て行きましょう。

「ローソンモバイルPonta」でカードレスでのポイント利用が可能

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ローソンでは2010年3月1日に、共通ポイントサービス「Ponta」への対応を開始し、既存のローソンポイントカード会員をPontaに移行しています。Pontaは、ローソンの親会社でもある三菱商事の100%子会社である「株式会社ロイヤリティ マーケティング」が運営しており、サービスの企画段階からローソンへの導入を前提に進められたと推測されます。

ローソンアプリでは、そのPontaカードをより便利に利用できる仕組みとして、「ローソンモバイルPonta」機能が搭載されています。ローソンモバイルPontaでは、おサイフケータイ対応のスマートフォンを使い、プラスチックカードなしで店頭でポイントを貯める/使う事が可能になっています。

近年多くの企業がポイントサービスに参入した事により、消費者は全てのカードを携帯しきれなくなっており、よく利用するカード以外は持ち歩かない傾向が強まっています。矢野経済研究所の2011年6月の調査によると、ポイントカードの平均所有枚数は「9.9枚」、そのうち実際におサイフに入れて携帯するカードの枚数は「6.6枚」という結果が出ています。この事は、折角発行されたポイントカードのうち約3分の1が利用されていない事を意味しています。

ローソンでは、おサイフケータイを活用しカードレスでポイントの利用を可能にする事で、顧客の利用機会のロスを防いでいるのです。

同様の取り組みは、モバイルマーケティング研究所を運営する弊社の開発事例の中でも「レストランカラオケ・シダックス」「カプリチョーザ公式アプリ」等で提供されています。スマートフォンを活用したカードレスでのポイントカード機能の提供は、今後のトレンドとして確実に普及していく事でしょう。

クーポン機能-「Loppi」を活用し、店舗オペレーションを簡略化しながら多様な施策を実現

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ローソンアプリでは、Ponta会員限定のクーポンが二次元バーコードの形式で提供されています。これらのバーコードを、全国のローソンに設置されている独自の情報端末「Loppi」で読み取り、引換券を発行する事により、クーポンが利用できるようになっています。

?小売店でのクーポン提供においては、スタッフへのオペレーションの周知、スタッフによる不正利用の防止、クーポンの二重利用の防止、実際に利用された件数の把握など、様々な課題があります。ローソンでは既存のインフラであるLoppiとPontaをきめ細かく活用する事により、それらの課題をクリアしながら、各種ネット媒体を通じた様々なO2O施策を実現しているようです。

なお二次元バーコードの表示は自社サイトへのリンクにより提供されているようですが、iPhone版アプリでは2012年11月にiOSの独自機能である「Passbook」にいち早く対応する事で、よりシームレスにクーポンを利用できるようになっています。新機能に対する同社の意欲的な姿勢がここでも読み取れます。

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「ローソンWi-Fi」で店頭限定のコンテンツを提供-ユーザー端末を「デジタルサイネージ」化

ローソンでは、店舗への来店頻度を向上させる仕組みとして、「ローソンWi-Fi」機能が提供されています。

ローソンでは、ほぼ全店でWi-Fiサービスを導入しており、docomo、au、SoftBankのスマートフォンでWi-Fiによるインターネット接続機能を利用できるようになっていますが、アプリを活用しPonta会員認証を行い「ローソンWi-Fi」で接続をする事により、独自のゲーム・映像コンテンツの利用が可能になっています。

例えば、「Wi-Fiスロットゲーム」では、ローソンWi-Fiに接続する事により、最大1,000ポイントがもらえるスロットゲームに1日1回チャレンジする事ができます。このゲームはローソン以外の場所では利用できない事から、会員が店舗に定期的に足を運ぶきっかけとして、一定の効果を発揮していると想定されます。?

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また、ローソンでは「Loppi」を活用した各種チケット販売に力を入れており、映画・音楽等の特別映像がローソンWi-Fi限定で多数提供されています。ローソンには1日に1,000万人が来店すると言われており、店頭POSのディスプレイ等を通じたコマーシャル映像の視聴数はかなりの規模に上るものと思われます。特典映像はそれらの映像のロングバージョンとも言えますが、各コンテンツのファン層にとっては来店してでも見たい、ニーズの高いコンテンツと言えるでしょう。

それらをユーザー各自のスマートフォン端末で再生している様は、さながら「スマートフォンのデジタルサイネージ化」とも言え、全く新しいタイプのプロモーション手段と言えるだけでなく、来店頻度の向上やチケット販売の増加等にも相乗効果を発揮しているものと思われます。

ゲームクリア時に「アチーブメント広告」を配信する取り組みなども

ローソンアプリでは、上記のWi-Fi限定のゲーム機能以外にも、ユーザーが参加できる「ゲーミフィケーション」の要素を取り入れたゲームコンテンツの提供に注力しているようです。

2013年2月には、アチーブメント広告の分野で有名な米Kiip社のサービスを活用して独自のゲームを提供し、ステージをクリアしたり、ハイスコアだった際などにクーポンなどを配信。ユーザーが高揚した状態の時に、これらの広告を露出することで、広告主とユーザーとの間に強いエンゲージメントを醸成する効果を狙っているようです。

Kiip-Lawson

このように、「ローソンアプリ」では、ユーザーがメリットを感じながら、自然に店舗に行く誘引や動機づけとなるものを様々な手法で提供しているようです。

「Ponta」のビッグデータを活用し、個々の店舗運営へ活かす

ここまで見て来たように、アプリユーザーは、「Ponta」の会員になる事で様々なメリットを享受できる事から、スマートフォンアプリがPonta会員への誘導経路および各種施策の実施ツールとして、非常に重要な位置を占めているように見えます。

PRESIDENT2013年6月17日号の記事によると、Pontaの会員は2012年度末で5,200万人を超え、ローソンにおけるPonta会員の売上比率(2012年度末)も45%と非常に高い比率になっており、1日約2000万件のデータから、売り伸ばしの可能性を最短1日で判別できるといいます。

これらの購買データ(ビッグデータ)を活用する事により、本部側ではマーケティング施策の現状分析から戦略策定、プロモーション企画・実施効果検証まで一貫して行う事が可能になり、販売機会ロスの削減や、消費者のニーズに合わせた商品開発等を通じた顧客満足の向上を図っています。

また平成26年2月期 第1四半期決算短信資料によると、ローソンでは2013年3月から、Ponta会員のデータを活用した分析レポートを店舗に提供する仕組みを開始し、ビッグデータを店舗レベルでの売上向上と運営精度の向上に活かす事を可能にしています。

2012年度通期の決算説明会資料でも「Pontaカードデータ活用は「セグメント」から「個」へ」「思い込みによる品揃えから脱却し、データに基づいた店舗運営を実現する」等のメッセージが記載されており、本部/店舗双方で今後より深いレベルでのデータ活用が見込まれます。?
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まとめ:各種マーケティング施策への積極姿勢×Pontaによるビッグデータ活用 両輪の中心を担う重要なアプリ

ローソンのマーケティング戦略に表れる2つのキーワードとして、「各種マーケティング施策への積極姿勢」と「Pontaによるビッグデータ活用への注力」があげられるように感じます。

「各種マーケティング施策への積極姿勢」については、国内コンビニ大手チェーンの中で唯一ブランド公式アプリを公開している事や、27ものSNS公式アカウントを活用している事、Passbookなど新しい機能に積極的に対応している様子から特に感じられます。

同社広報の杉原弥生氏のインタビュー記事にも、「Web戦略としてうちはとにかく同業他社よりも早く着手することにこだわりがあるんです。」とのコメントがあり、リスクを取りながら新しい施策に積極的に取り組んでいる姿勢が、同社の強さの秘訣なのではと感じられました。

また、「Pontaによるビッグデータの活用」については、「Ponta会員の売上構成比は45%」「1日に2,000万件の購買データ」といった実績を通じ、これまでどちらかと言うと“バズワード”として捉えられていた「ビッグデータの活用」が、まさに本格運用期に入った事を感じさせます。

そして、それら2つの特長を支え、マーケティング施策とビッグデータ・顧客とローソンの橋渡しをしているのが、同社のスマートフォンアプリと言えるでしょう。

ユーザーがさまざまなアプリ内のコンテンツを通じ店舗に誘導され、購買データが日々蓄積されていく事により、より精度の高いマーケティング・店舗運営が可能になる。それらの好循環を生み出すローソンのアプリに、これからも注目していきたいと思います。